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2008年8月

2008年8月30日 (土)

抗がんサプリメント

日本と欧米ではサプリメントに対する考え方が違うようです。日本では「ガンに効く」「これで○○ガンが完全に消えた!」などという宣伝で売られています。もっとも、○○に効くと宣伝すると薬事法違反になるので、バイブル本という形をとって売られています。いかにもその道の権威らしき何とか医学博士が登場して本を出版する、その本の巻末にはサプリメントの販売先が書かれているというパターンです。

藁をも掴みたいガン患者の心理を利用して、悪徳な金儲けの輩が跋扈しているのです。対してアメリカでは政府がサプリメントの臨床試験を行なっています。臨床試験には莫大な金がかかりますから、中小の企業では試験を行なう体力はないでしょう。そこでNIH(国立衛生研究所)やNCCAM(国立補完代替医療センター)を設けて試験を行なっているのです。

日本人の多くは、標準的治療で治らないといわれたガンに効く「魔法の薬」として、サプリメントを飲んでいるのですが、欧米では毎日の健康を維持するため、ガンを予防するために利用しているのです。食生活を改善し、自然志向を進めながら足りないものをサプリメントで補うという考え方です。Dr.ワイルもこうした考え方で「心身自在」などの本を書いて8週間のプログラムなどを紹介しているのです。私が前回のブログでワイルのビタミンCなどの服用を考えてみようかと書いたのも、健康維持・免疫力の改善、ひいては再発してもガンと闘うことのできる体力を付けるためです。

抗がんサプリメントの効果と副作用徹底検証!

『抗がんサプリメントの効用と副作用  徹底検証』は、キャンサーネット・ジャパンの編集で、こうしたサプリメントの科学的データを検証した本です。主として世界最大の医療データベースPubMedに収録された1000万件の研究報告からサプリメントが効くのかどう かを調査したものです。この本の結論では、サメの軟骨・プロポリス・アガリクス・AHCCなど、ほとんどのサプリメントにはガンに効くという研究結果は存在しません。高麗人参などごくわずかが「期待が持てる」という程度です。枇杷の葉温灸でアミグダリンが有効だといわれているようですが、アメリカではアミグダリンのサプリメントは違法です。

あぶない抗がんサプリメント

私も以前にこのPubMedでAHCCについて検索したことがあります。いくつかのヒットがありましたが、マウスでの実験レベルの研究報告しかありませんでした。日本では関西医科大学でAHCCに関するいくつかの研究がありますが、発表しているのがAHCCのメーカー・アミノアップ化学の研究者であったりします。実は大学には寄付講座という仕組みがあり、メーカーが資金を出して大学の講座を開くという制度です。アミノアップ化学がこの大学に寄付講座を提供していることはあまり知られていないようです。これも一種の「バイブル本」商法と言えるかもしれません。

逆に抗がんサプリメントの服用でガンが悪化するという指摘もあります。『あぶない抗がんサプリメント』はサプリメントを過信することへの警鐘です。

Image_002 日本補完代替医療学会が出している「がんの補完代替利用ガイドブック第3版」が参考 になります。

NIHなど、懐かしい名前が出てきました。懐かしいというのは、以前にNIH Imageという画像処理ソフトを使っていたからです。Mac上で動く医療画像のソフトですが、それのWindows番がScion Imageで仕事に使っていました。日本では厚生労働省が画像処理ソフトを作成して無料で配布することなんか想像することもできません。わが国の政府との間には、考え方において大きな隔たりがあります。

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2008年8月29日 (金)

癌研の定期検査

約4ヶ月ぶりの癌研での定期検査。といっても血液検査だけです。

腫瘍マーカーの値はCEAが3.8と、変化なしで正常値の範囲内です。CA19-9は21.1と、前回の31.2から大きく減少していました。退院後これらの数値が正常値の範囲内ではあるが、ずっと右肩上がりを続けていたので、念のためにとPET-CTを撮ったりしてきたのですが、今回の値を見る限り安定してきたようです。

白血球数も4400個/μlで、増加しています。リンパ球の割合は46.9%でしたから、リンパ球の実数は約2000となります。免疫力を維持できているといわれる数値が1800~2100以上ですから、免疫力もそこそこ回復してきているようです。

ただ、全体の白血球数をもう少し増やしておくべきだと思っています。これまでは玄米菜食と運動、ストレスをためない生活ということを中心にしてきました。サプリメントには手を出さないできたのですが、有効性の実証されている範囲内で妥当なサプリメントを探した方がよいのかもしれません。再発させない、転移させないためには、自分の免疫力を高めること以外にはありません。

私の過去の白血球数を見ると、2005年4月-3800というような値でした。手術の2年前ですが、このころには相当免疫力が下がってきていたのが分かります。これで無理は仕事や生活を続けていたのですから、ガンになるのは当たり前です。ガンは自分が作ったという所以でしょう。もちろん白血球数は免疫力のごく一部の指標にしか過ぎません。解明されていない免疫という能力を、簡単に推し量ることのできる便利な指標と考えるべきだと思います。

サプリメント選択の基準は、①第三者により効果が実証されていること、②高価でないこと、③身体に害のないこと、副作用のないこと、です。

Dr.ワイルは「癒す心、治る力」で、

朝食時  ビタミンC         1000~2000mg
      天然βカロチン  25000IU
昼食時  天然ビタミンE      400IU
      セレニウム      200~300μg
夕食時  ビタミンC         1000~2000mg

を推奨しているようです。抗酸化作用により細胞中のフリーラジカルを抑制する効果が主なようです。
Dr.ワイルはご自身のHPでサプリメントやその他の相談にも応じているようですね。

ビタミンCの大量投与には抗がん作用があるということは、多くの研究がされているので有効性はあるはずです。

しかしこの量のビタミンを摂るとすると、国内のメーカの製品ではずいぶん高価になってしまいます。欧米ではこうしたサプリメントの普及が日本以上に盛んなようで、品質の良い商品が妥当な価格で購入できそうです。Dr.ワイルの勧める量を摂っても、一ヶ月3000円程度で収まります。これなら継続してやれそうです。こうしたサプリメントは継続することで身体の基礎免疫力を高めるのが目的ですから、一ヶ月数万円もするようでは継続していくことは難しいと思います。

楽天市場で探せば、アメリカからクロネコ国際便で送ってくれる業者がいくつかあります。Dr.ワイルが勧める十数種類のビタミン類をバランスよく配合したというような製品も登場しています。ワイル博士の写真がラベルに使用されていて、売り上げの一部が「自発的治癒」の普及に提供されるらしいことが書かれています。

ともあれ、もう少し自分で調査してから考えることにします。

2008年8月19日 (火)

銀河系と治癒系

非線形科学 (集英社新書 408G)

2月9日のこのブログで『非線形科学』(蔵本由紀著)を紹介しました。本の帯には「生命体から、非生命体まで、森羅万象を形づくる、隠された法則とは?」と書かれていました。

今日のテーマは「森羅万象に通じた法則」があるのなら、それとガンの治癒との関係を考えてみようということです。

フラクタルな性質を例に挙げれば、海岸線や雲、河川と毛細血管の枝分かれパターン、稲妻と壁のひび割れ、銀河団の分布構造、これらが同じフラクタル 性を持っているが、これらはどのような物理的プロセスによって形成されているのか? そこにはまだ人間が知ることのない普遍的メカニズムがあるはずだとい うことを確信させてくれます。
「非線形科学」はマクロの現象を、要素に分解しないでマクロのままとらえようとする科学です。自然はなお奥深く、人類はまだそのほんの一部しか知っていないのでしょう。Koch_curve

フラクタルとは、全体の一部・部分が全体と相似である構造、ということができるのですが、よく知られているのは右のようなコッホ曲線です。

稲妻・ひび割れ、血管、樹木、海岸線、銀河の分布、株価の変動などにフラクタル図形を見ることができます。Cavernodsa

フラクタルな性質を示す自然のパターンはたくさんあり、これまでは単に雑然としていると考えられていたものの中に、多くの秩序が秘められているということが分かりつつあります。自然あるいは宇宙には、まだ人類が知らない広範な諸現象に共有される普遍的メカニズムが存在しているということを示唆しているのです。

カオス図形において現われるファイゲンバウム定数というものがあります。ロジスティック写像などの分岐図において等比級数の公比の逆数δとして定義され、

δ=4.669201609・・・・・・・・・

となることが知られています。この値は無限回の周期倍化分岐を通じてカオスが現われるシナリオを持つ全ての系において共通の値を持つのです。水銀を用いたベルナール対流の実験、発振電気回路と、物理的関係のないモデルに同じ値が現われてくるのです。

光の速度・プランク定数・素電荷など、物理的普遍定数が存在することはよく知られていますが、物理的成り立ちの異なるシステムの間に同じファイゲンバウム定数が存在するということは驚異的なことで、複雑系の世界にはまだ我々人類が知り得ない多くの公理が存在するはずだということを推測させてくれます。人類の到達点はまだ、「幼年期の終わり」(アーサー・C・クラーク)に過ぎないのです。

血管の分岐構造や腸の内壁などはフラクタル構造ですが、それは次のような理由によるものだろうと考えられています。

血管の配置を考えたとき、人体において体積は有限であり、血管が占有する体積は可能な限り小さいことが望ましいわけです。一方、ガス交換等の機能を最大限にするには、血管表面積は可能な限り大きく取れる方が良いのです。
このような理由から、有限の体積の中に無限の表面積を包含できるフラクタル構造(例えばメンガーのスポンジを参照)は非常に合理的かつ効率的であることが解ります。しかも、このような構造を生成するために必要な設計情報も、比較的単純な手続きの再帰的な適用で済まされるので、遺伝情報に占める割合もごく少量で済むものと考えられるのです。

ミクロの世界において合理的だと考えられる構造(フラクタル構造)は、河川の形や銀河系の分布におけるようにマクロにおいても合理的だと推測できます。『上は下の如く、下は上の如く』ということです。ただ、我々人類は、まだその本当の原理・公理を発見できていないのです。

人体における免疫系を考えてみます。遺伝情報を司るDNAは、紫外線や放射線などによる電離作用、環境中の有害物質による損傷などにより、遺伝情報の一部が絶えず壊されています。しかしそれが決定的なダメージならずに、人類が今日まで生き延びているのは、細胞のあるいは2重らせん構造を持つDNAの自己修復機能によるのです。

ナイフで指を切った傷が治っていく過程も、驚異的な仕組みで成り立っています。毛細血管が再生され、皮膚表面の細胞が連携しながら傷口をふさぐようにかさぶたが盛り上がって治っていきます。しかしそのスイッチがどういうメカニズムで始まるのか、正確には分からないことがたくさんあります。

私自身のことをいえば、2000年に直腸がんになり、直腸を切除しています。半年間は人工肛門から排便していましたが、今は自分の肛門から排便ができています。私のは肛門から5センチほどの場所にある腫瘍で、通常なら一生人工肛門になるはずなのですが、当時の主治医の先生が新しい術式を開発したからやってみないかということで、そのおかげで人工肛門にならずにすんでいます。5センチの場所の直腸がんを切除して人工肛門でなくてすんでいるのは日本記録だということでした。半年ごとに定期検査をしていますが、レントゲン写真を見ても全く普通の人と変わらない直腸になっています。つまり、切除した直腸の代わりに大腸が大きく広がって直腸の機能を自己修復して回復しているのです。

このように細胞レベルだけでなく、臓器レベルでも自己修復機能が働いているわけです。

更に上のレベル、人体全体、心の働きを含めた精神系をも統合した自己修復機能があってもおかしくはありません。『上は下の如く、下は上の如く』です。

癒す心、治る力―自発的治癒とはなにか (角川文庫ソフィア)

アンドルー・ワイルは癒す心、治る力』(自発的治癒とはなにかの中で、『治癒系』という考えを提唱しています。人体には次のようなシステム系があるのですが、

  • 運動器系     骨系 - 靱帯系 - 筋系
  • 循環器系     血管系 - リンパ系
  • 神経系        中枢神経系 - 末梢神経系
  • 臓器系        消化器系 - 呼吸器系 - 内分泌器系 - 生殖器系 - 泌尿器系
  • 免疫系
  • 感覚器系     視覚器系 - 聴覚器系 - 嗅覚器系 - 外皮系

ガンに打ち勝つ患者学―末期ガンから生還した1万5000人の経験に学ぶ

免疫系を統合し、身体性・精神性・霊性を含んだものを「治癒系」としてます。サイモントン療法関連の多くの著作(たとえば「がん治癒への道」)でも、治癒に関しては同じような考え方を述べています。柳原和子著の『がん患者学(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)や、末期がんから生還した一万5千人の経験から学ぶ『ガンに打ち勝つ患者学』においても自然治癒力・自己免疫力・自発的治癒力など言い方はさまざまですが、がんサバイバーに共通しているのは「治癒系」の力を信じて生還しているということです。

現代医療は癌を完全には克服できていません。時のアメリカ大統領リチャード・ニクソンが「人類が月に着陸したように、20世紀までにガンを地上から抹殺する」と宣言しましたが、ガン患者は着実に増加しています。

まして膵臓がんは予後の悪い病気です。現代医療だけではせいぜい20%の5年生存率であり、手術の適用ができない場合は更に数字は悪くなります。しかも5年生存率は患者のQOLには無頓着です。5年と1日で死亡しても「生存」であり、ベッドに寝たきりであっても「生存」です。「健康」とは、自分で生活を遂行できて、楽しいこと嬉しいことをたくさん体験することだとすれば、「生存=健康」とは言えません。

治癒系、自然退縮、自然緩解、免疫などについては、分からないことの方が多いのですが、それは人類の到達点がまだその程度だということであり、いずれはもっと分かるようになるのでしょう。しかし、今ガン患者である私どもは、それを待っていることはできません。

分からないけれども、そうした事例があることは確かです。

医師の加藤眞三さんのブログにこんな記事がありました。

 人の寿命はわからないと前章で述べましたが、その最たるものは「がんの自然退縮」です。日本の心身医学の創始者である九州大学の故池見酉次郎教授は、中川博士とともにがんの自然退縮例を研究しました。この研究により池見教授はストレス学説で有名なハンス・セリエ博士のセリエ賞をとられたのです。がんの自然退縮は500から1000例に一例はあると考えられているのだそうです。

 池見教授は、74人のがんの自然退縮がみられた患者さんで、精神生活や生活環境を詳しく分析できた31人をまとめています。31人中23人(74パーセント)に人生観や生き方の大きな変化があったとされています。
その23人の中7人はかねてから人間的な成長度の高い人や真に宗教的な生き方をしてきた人たちであり、がんの告知がきっかけになり、永遠の命へのめざめが起きたそうです。5人は信仰をもっていた人たちの中で、がんを宣告されることによって信仰の対象としていた教祖や神仏に自分のすべてをまかせきるという全託の心境になったとされています。5人は家族からのサポートや周囲の人の温かい思いやりに包まれて主体的な生きがいのある生活へ転換が起きた人であり、6 人は生きがいのある仕事に打ち込んでいった人だそうです。このように、約4分の3の人では、生きがいや生き方に大きな変化 があったときに、がんの自然退縮 があったというのです。 

私の経験でも、その数は多くはありませんが、悪性腫瘍が治療もしないのに退縮した例を2人みています。二人とも宗教的に高い地位にある人で、がんの告知 や治療の説明を受けた後に、それを受け止め、自分自身で積極的な治療は受けないことをきめた人です。池見先生の分類では、実存的転換や宗教的目覚めがあっ た人にあてはまると推察されます。

 

「治癒系」があると信じて、それを利用する

いのちの輝き―フルフォード博士が語る自然治癒力

病院で抗がん剤を投与している、あるいはその治療は終わって今は経過観察という名の「執行猶予」の身である、いろいろな状況の患者にとって「自分ではいま何ができるのだろうか」と考えるのは当然の成り行きでしょう。

私の答えは『自己治癒力を高める』ための方法、生活に切り替える、ということです。それ以外には今の私にできることは無いでしょう。

非線形科学がデカルト以降の要素還元主義を廃して、「全体をあるがままに見る」科学であるのなら、現代医療はいまだデカルト的な人体を臓器の集合とみる要素還元主義のままです。その行き着く先が現在の医療崩壊であり、発展途上国の住民には手の届かなくなった高度医療であり、しかもその高度医療を担っている医者自身が自分のがんすら治せないという『滑稽な』現象です。

一方でワイルやサイモントン、フルフォードらの提唱する治療・治癒への道は非線形科学が目指しているものと同じように思えます。病気・がんを診るのでなく、人間と生活・こころを診るということです。

稲妻と銀河系に同じフラクタル構造があるのなら、DNAと人間の心・精神・からだ全体にも「治癒系」という機能があって不思議ではないと推論できるはずです。

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カール・セーガンのSF小説『コンタクト〈上巻〉 』のラストは、円周率πの計算を続けると、遙かな最後に創造主からのメッセージが暗号として込められているというシーンですが、ファイゲンバウム定数もフラクタル構造も、創造主の知恵・暗号なのかもしれません。人体も宇宙と同じかそれ以上に複雑で千万無量の構造と機能を持っているのです。

東洋医学においてはそれを「気」といい、アンドルー・ワイルが尊敬するフルフォードは「生命場」あるいは「生命エネルギー」というのですが、老子の「タオ」はそれらを統べる宇宙のエネルギーということなのでしょう。

残念ながら「治癒系」が確かに存在するにしても、それをどのように活用すれば100%がんが治るということは言えません。我々はまだその一部に関する知識しか持ち合わせていないのですから、100%これで大丈夫とは当然ならないのです。しかしその治癒に向かう確率を高めるための方法は、数十年間そうした治療を続けてきた人たちが紹介してくれています。 これを利用しない手はありません。(つづく)

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2008年8月18日 (月)

盆帰り

16日から盆帰り。高知龍馬空港でレンタカーを借りて、まずはホテルにチェックイン。

夜は高校の同窓会。4年ごとのオリンピックの年に開催している同窓会だ。20人くらいの参加で盛り上がったが、定年で退職したという者、先月初めての年金をもらったという者。まだまだ現役で農業にいそしんでいる者。卒業後の40年のさまざまな人生模様があり、語り尽くせない時間が過ぎていく。話題はどうしても定年後と健康の話になってしまう。

今回の盆帰りのもう一つの目的は「墓地の移転」。両親と弟の眠っている墓を東京に移転することにした。退院後からの計画だが、やっと実現できる状況になってきた。浅草に墓を持つことができたので、移転の申請と改装許可証をもらうために町役場で手続きを済ました。ついでに本籍も東京に移動することにした。

役場の担当者に「先日墓地の移転で電話した者ですが・・・」というと、「ええと~~。どこの区画でしょうか?」と問い返された。このお盆の時期には墓地の移転をする者が結構多いそうで、都会に出て行った団塊の世代が定年を迎える時期になり、親の墓を都会に移転する例が多いという話だった。

親類一同にも改装の説明に回った。一軒一軒訪ねるのだが、当然とはいえ、どうしても話が長くなってしまう。お互いの近況や諸々の話は尽きない。

人はいずれ、何らかの原因で死ぬのであるなら、癌は、こうしていろいろと準備ができるのだからそんなに悪い「なにか」ではないと思える。

2008年8月12日 (火)

きれいな風景は抗がん剤より効果がある

PET-CTの結果で転移の疑いがありCTを撮りましたが、その結果を持ってうUクリニックへ。伊藤医院からの画像診断書をお見せして、

  • リンパ節への転移ではないらしい
  • 十二指腸の水平脚が下降している部分が作ったartifact(擬似模様)らしい
  • そもそもこの部分のリンパ節・リンパ管は手術に際して切除していること

を説明しました。

そもそも、膵臓がんの転移を予防する目的で少量のジェムザールを動脈注射しよう、その前に腫瘍マーカの値が増加傾向にあるから念のためPET-CTを撮っておこうかということから始まり、その結果がartifactだという結論になったのですから、振り出しに戻ったことになります。

今後の治療方法を相談しました。U先生のご意見は、

  • 予防として抗がん剤を使うのであればエビデンスが必要
  • 癌があるのなら、その癌の状態を指針にして治療を進めればよいが、癌がない状態で治療をする場合は、指針がない。従ってエビデンスを元にやることになる。
  • ジェムザールの動注は大阪府立成人病センターならエビデンスを持っているだろうから、そこに改めて意見を求めることも考えたらよい。
  • ゼローダの服用ということも考えられる(ゼローダは膵臓がんに対して効果があると感じている)あなたの場合、直腸がんをやっているので、ゼローダを保険で使用することができる。

との説明を受けました。「このCTはきれいですね。今後はここでCTを撮りながら経過観察をすると良いのではないですか」とも言われました。伊藤医院で撮ったCT画像は本当にきれいに撮れています。1mmピッチで(通常は10ミリピッチで撮る)、しかも見たい部分にちょうど造影剤がくるように、量と速度を先生直々に調整して撮影した画像ですから、画質が違うのは当然です。放射線技師がマニュアル通りに撮った画像とは明らかに鮮明度が違います。こんな小さなことががん患者のその後の運命を変えてしまうこともあるはずです。

  • 腫瘍マーカーDUPAN-2の値も異常はない

DUPAN-2:膵癌,胆道系癌が疑われた場合,良性疾患との鑑別に,補助として有用である。また,術後の治療効果の程度や再発の有無をよ く反映するため,術後の経過観察に有用です。DUPAN-2とその他の腫瘍マーカーとは側立値に相関が認められないため,CA19-9などとの組合せによ り診断率が向上する。

  • 術後1年経っていれば転移する可能性は相当低い(ゼロではない)
  • 仮に転移しても一年後の転移と3ヶ月後の転移ではがんの種類が違うと言っても良いほどその後の経緯が違う。現在一年後に転移した二人の膵癌患者を診ているが、経緯はよい。
  • あなたの場合、手術前も腫瘍マーカーは正常値であったし、今も増加傾向ではあるが正常値の範囲内だから、おとなしい膵臓がんなのかもしれない。

「今のあなたの状態なら抗がん剤に金を使うよりは、笑って過ごした方がよい。きれいな風景を見て感動するとか、好きな趣味をやる。私の患者にも山登りが好きで、その後の治療も良い経過を示している患者がいる。ストレスをためない仕事と生活。これが抗がん剤よりはよっぽど効果がありますよ。」「玄米菜食はストレスにならないのなら続けた方がよい」「サプリメントは、無料ならすべての患者に勧めます。効果のある患者もいますが、誰にどれが効くかは全く分からない。」

ここにもがん治療には「心とストレス」が大きく関与していることを実感している先生がいます。いろいろと相談した結果、当面は経過観察をすることに私自身が決めました。先生もその方がよいということでした。

私の現在行なっている治療・生活

  • 玄米菜食。もはや白米はまずくて食べられない。
  • 早寝早起き。9時には寝るようにしているが、これはがんになる前からの習慣
  • サイモントン療法
  • チェロを弾いて好きなクラシック音楽をたくさん聴く
  • 酒:少量だが毎日飲んでいる。この暑さにビールを飲んだ瞬間は「生き延びていて良かった」と実感できる。
  • 仕事:"きまじめ"をやめて手を抜く。同僚や部下に委譲する。

こんなことしかしていませんが、効果があるはずだと感じています。AHCC、サメの軟骨、アガリクスなどのサプリメントには全く興味がありません。

正月にデジタル一眼を買い換えて、あまり撮影もしていません。きれいな風景が抗がん剤より効くという先生の実感ですから、しばらく手にしていないカメラを担いで風景写真でも撮影に行こうか、そのためにはもう少し体力を付けなければと考えています。

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2008年8月11日 (月)

サイバーナイフ(続報)

7月25日のブログで、膵臓がんにもサイバーナイフが適用可能になったと書きました。その続報です。年内にも健康保険が適用されて使用が始まるようです。

がんを狙い撃ちする放射線治療ロボット「サイバーナイフ」が、肺や肝臓のがんにも使えることになった。従来は頭と首(頭頸(とうけい)部)のがんに治療対 象が限られていたが、胴体のがんにも使用が認められた。各医療機関での準備や最終的な手続きを経て、早ければ年内に保険を使った治療が始まる見込みだ。

メーカーは、前立腺、膵臓(すいぞう)、骨がん(転移を含む)や乳がんの治療にも保険適用を求め、来年1月以降に厚生労働省への申請手続きを行う予定。

読売新聞の記事によると下記の医療機関での実施が予定されているとのこと。

横浜サイバーナイフセンター=年内 (電)045・555・7333
埼玉医大国際医療センター(埼玉県日高市)=年明け早々 (電)042・984・4111
九州大(福岡市)=未定 (電)092・641・1151
戸畑共立病院(北九州市)=未定 (電)093・871・5421
熊本放射線外科(熊本市)=未定 (電)096・370・0712
大分岡病院(大分市)=未定 (電)097・522・3131

がんの拠点病院と言われる国立がんセンターや癌研でどうして適用を始めないのか、疑問ですが、追々適用が始まるのかもしれません。

自分のかかっている主治医に相談してみることも良いのではないでしょうか。

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2008年8月10日 (日)

タイトルを変えました。

ブログのタイトルを変えました。

私たちの世代には浜田光男・吉永小百合主演の「愛と死を見つめて」という映画の記憶があります。ミコとマコの短い愛の記録です。最近では草なぎ剛、広末涼子でテレビドラマが放映されたらしいですが、私は見ていません。テレビはほとんど見ない生活ですので、放映されたことも最近知りました。

当時は本も出版されてベストセラーになったはずだと思います。ヒロインは死んでしまうのですが、これが「闘病記」として一番先に頭に浮かんでくるのですね。言葉自体が暗いイメージです。私は死ぬつもりはありませんので、となるとこのタイトルはちょっとまずいんではないかと思い初めました。そうなると気になります。で、タイトルを変えてしまおうという結論です。

『膵臓がんサバイバー(生還者)への挑戦』
『膵臓がんの完全治癒を目指して』
などいくつか考えましたが、最初のでよいかと。

膵臓がんの場合は半年経てばサバイバーと言っても良いという考えもあるようです。予後の悪さが分かっているからでしょうか。私の場合はすでに13ヶ月です。資格はありそうですが、再発や転移を心配しながらでは、とても「サバイバーです」と言える図々しさは持ち合わせていません。

通常の5年を一応の治癒と見なす例に従って、5年間生きていたときに『膵臓がんサバイバー(生還者)』宣言をすることにします。

2008年8月 9日 (土)

テリーさんへの手紙

テリーさん。手術の成功と退院、おめでとうございます。今は少しは食事もとれるようになってきた頃でしょうか。

そしてこれから術後補助化学療法としての抗がん剤治療が始まりますね。でも同時に「がんサバイバー(生還者)」への第一歩を踏み出すのだという決意をお持ちだと思います。

テリーさんは、私と同様に大腸がんをやり、その後に膵臓がんになったのでしたね。私とはちょうど一年遅れの後輩ということになりましょうか。一年先の先輩として、私のこの一年間で学んだこと、気づかされたことを書いておくことは、テリーさんにとって大いに参考になると同時に、膵臓がんの患者の皆さんにも参考になるのではないか、また私にとっても今の状況を整理しておくことも悪くはないと思いました。

がんはどういう病気か

がんは怖い病気だという世間一般の考えがあります。その中でも膵臓がんは「がんの王様」と言われています。しかし、がん細胞が正常な細胞を攻撃することは全くないのです。癌細胞は勝手に増殖して血液やリンパ腺を通して体中に転移して、新しい場所でまた増殖します。がん細胞のある臓器の機能を失わせることによって死に至るのです。乳がんの場合などでは、相当大きくなっても転移さえしなければ命まで奪うことはありません。

がんはなぜ生じるか (ブルーバックス)

また、がん細胞は本質的に非常にもろくて弱くて不安定な細胞です。混乱した誤った情報を持ったために、本来死ぬべきタイミングを逃して増え続ける細胞なのです。ですから白血球の攻撃を受けると必ず負けてしまいます。

どうして癌になるのか、そのメカニズムを現在の科学は見いだせないでいます。遺伝子説・環境因子説・老化説などが言われています。「がんはなぜ生じるか」によれば、更に体細胞突然変異説・フリーラジカル発がん説・がん幹細胞説など多彩です。

しかし、1974年のサイモントンがんセンターにおける研究をはじめとして、がんとストレスとの深い関係が明らかになっています。それらの研究は心と身体の密接な繋がりを実証してきましたが、そのメカニズムまでは明らかにできませんでした。しかし新しい学問領域である精神神経免疫学によって徐々にそのメカニズムが分かりつつあります。

「がん治癒への道」から引用すれば、

さまざまな感情はさまざまな化学物質(情報分子)に転換されることで、身体の免疫機能やほかの治癒系に影響を与えている、という事実が明らかになってきています。キャンディース・パートは、この分野でもっとも画期的な発見をした研究者の一人です。彼女は、国立精神衛生研究所の脳生物化学部門の主任をしていましたが、脳内モルヒネ様物質の受容体(レセプター)を世界で初めて発見し、共同研究した人です。これは感情の伝達機構に関わる化学伝達物質の受容体ですが、1973年に発見されて以来、すでに五〇種類以上もの神経ペプチド(伝達物質)が確認されています。・・・・・・・・・・・・・・・科学者たちは最近のテクノロジーのおかげで、実験室において特定の神経繊維が特定の白血球細胞群の表面にまで達していることを確認しています。この発見は、脳が発したメッセージを白血球群が神経から直接受け取っている、ということをはっきり証明しています。・・・そして今日、脳からのメッセージがどのように免疫系に影響を与えるかというプロセスが、実験室において具体的に観察できるようになったのです。

こうして、がんは心のありようと深く関わりがあることもわかってきています。自然治癒力や免疫機構についても少しづつ明らかになってきています。

膵臓がんは怖い病気か?

8月2日のこのブログでASCO 2008の報告を紹介しましたが、手術可能な場合で、術後補助化学療法としてジェムザールを投与しても、膵臓がんの5年生存率は17.2%というがっかりするような数字でした。

2007年12月1日までに、303例の再発(85.6%)と293例の死亡(82.8%)が観察された。G群はDFSの中央値を有意に延長した(G群 13.4ヵ月、O群 6.9ヵ月、p<0.001)。

しかしこの数字は、西洋医学の限界であり、現在の西洋医学にだけ頼っていればこうなりますよ、というだけだと私は受け止めています。なぜなら、手術もしないで膵臓がんが完全に自然治癒(自然緩解)した人がたくさんいるからです。ブログのおすすめサイトに記載している「思索の散歩道」の加藤一郎さん、あるいは「やぶいぬ応援団」のサイトにもたくさんの自然治癒例が紹介されています。多くのがん患者が生還者(がんサバイバー)となって治癒しているのです。これらの方に共通していることは、『心のありようが、がんの治癒には決定的に重要である』という点です。

また、多くの医者が共通して「データやエビデンスはないが、がんになっても屈託なく、明るく生きている患者ほど治りが早い」ということを言っています。私たちはこうした「がんサバイバー」から多くのことを学ばなければなりません。

がんと闘う武器は何か

多くの「がんサバイバー」を見てきた医者も同じことを言っています。日本にお

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けるホリスティック医療の第一人者である帯津良一医師は、「がんになったとき真っ先に読む本」のなかで、「病気に対して無関心というか無頓着で、意に介さずという雰囲気」の人は治りが早く、「逆に、(知識をたくさん)知っていて闘志だけ燃やして空回りしてしまう」のは良くないようだと書いています。

帯津医師はこの著作の中で「病を克服する家」ということで説明しています。いろいろの治療方法を探し回り、東洋医学やサプリメントなどの代替医療にも手を出し、かけずり回っているような対処方法は良くないのです。

  • まず、心の有り様を見直すこと。サイモントン療法などが有効です。これががん治療の土台にならなければなりません。
  • 気功。帯津医師は「気功」を進めていますが、ヨガでもよ いし、何かの「身体鍛錬法」を取り入れなさいということです。
  • 食事-食事については多くの方が『玄米菜食』に勝るものはないといいます。これに関して私が大変参考になったのは東上百合子さんの「自然療法が身体を変える」などのいくつかの著作です。
  • 医学はこれらの土台の上にあるべきです。

「がん」は不思議な病気だといいます。同じがんで同じ症状の患者であっても、Aさんにはこの抗がん剤や治療法がこうkがあり、Bさんには別の治療法が効果があるというようなことが始終あるようです。それ以上に人間の身体そのものが不思議で計り知れない構造を持っているのです。人間の科学知識は、自分の身体すらほとんど知っていないというのが本当のようです。

膵臓がんの5年生存率20%の中に入りたい、これが患者の偽らざる心境であり目標でしょう。無病生存期間がどれくらい延びたかなんぞはどうでも良いことで、「自分が5年以上生きられるにはどうするか」が最大の関心事です。それには限界のある西洋医学だけに頼るのではなく、あらゆる方法を真剣に試してみるべきです。この先にこそ大いなる希望があります。

死について考える

「多くの友人から惜しまれるような死を迎えたい」のであれば、多くの友人を作り、彼らから信頼されるような「生き方をしなさい」。家族から「ありがとう、ご苦労様でした」と言われるような死を迎えたいのであれば、「家族を大切にし、平和な家庭を作るように生きなさい」。「笑って死を迎えたい」のであれば「笑って暮らしなさい」ということです。

如何に死ぬかということは、如何に生きるかということです。

がんの治療において、特に私たちのように非常に厳しい状況におかれたがん患者は、「健全な死生観」を持つことが大切だと多くの識者が言っています。死を恐れるその恐怖感が免疫力を下げ、治るはずのがんも治らなくしてしまいます。ですから、敢えて「死について考え、健全な死生観を持とう」と書くのです。

サイモントン療法のCDにはメディテーションの一部に「死に対するイメージを変える」を収録して、そのことを強調しています。

静けさに帰る

このブログでもよく紹介してきた、老子-タオの翻訳者加島祥造氏と帯津良一医師の対談集『静けさに帰る』が昨年出版されています。帯津医師が、

「死についてどのようにお考えですか」と質問すると、
「変化だよ!」
間、髪を入れずとはこのことです。よほど確信がなければこうはいきません。
タオの流れの中の一つの変化だと言うのです。

がんのホリスティック医療の第一人者と伊那谷の老子といわれる加島祥造さんががんについて大いに語っている、がんと心の問題、がんと死の問題について。我が意を強くしましたね。

道元や良寛、吉田兼好の死生観などをこのブログでは紹介してきました。このようにして自分なりの死への健全な考え方を整理しておくことは、がんの完全治癒を目指すためにも必要なことだと考えているからです。

私は信仰を持たない無神論者ですが、テリーさんが何か信仰をお持ちなら、その信仰の教えるところに従った死生観を見直してみればよいでしょう。多くの宗教が「死とは何か、人はどのように死を迎えるべきか」を説いているはずです。(中には現世利益だけを追求しているような宗教もありますが・・・)

どうして癌になったのか

がんの原因なんかはよく分かっていないと書いたのですが、その意味ではなく、私なりテリーさんなりが、「わたしがなぜ癌になったのか」ということです。完全主義者で100点満点の仕事をしないと気が済まない。頼まれたらいやと言えない。他人より能率が高い仕事をすると誇らしく思う。障害が高ければ高いほどやる気が出る。そのような人生を歩んできたのではないでしょうか。しかし、そんな生活を長く続けていると壊れてしまうので、身体の方が自己防衛的に病気を作る。「少し休みなさいよ」というわけです。

風邪くらいひいたってちょっと休んではすぐに元のペースに戻る。そんな繰り返しのあげくに、身体の方が、「こいつはいくら言っても分かってくれない」ということで、大腸がんを作ってしまう。私の場合は直腸がんでした。

どちらも比較的治りやすいがんですから、手術した当座は神妙に生活も改めて自制していたのでしょうが、がんは5年経てば完全治癒だという医学界の取り決めを信じて、自分のがんも治ったのだと錯覚をしてしまう。がんは治ったには違いがないが、その原因である生活習慣はまったく直ってはいない。

こうして、塀があれば塀を乗り越え、溝があればそれを跳び越えるようにして生きてきたのではないでしょうか。そうして気がついたら目の前に高圧電流が流れる有刺鉄線がある。これが膵臓がんです。ここから先には行っては駄目ですよ。最後のチャンスです。引き返しなさい、というわけです。

がんはメッセンジャー

ですから、がんは「天からの親切な手紙」だと東上百合子先生はおっしゃります。サイトントンは「がんは思いやりのあるメッセンジャー」だと言っています。

テリーさんも私もここから引き返さなければならないのです。引き返してどの道を進むのか。もうお分かりでしょう。自分自身の本来の姿にもどります。理想の自分なんぞは追いかけないことです。これまでの生活を根本から変えないと、がんは治りません。癌細胞は切り取ることはできても、その原因が取り除かれていないのですから、「再発・転移」するのは当たり前のことです。

サイモントン療法――治癒に導くがんのイメージ療法(DO BOOKS)

ずいぶんと長い手紙になってしまいました。テリーさん、大丈夫ですよ。膵臓がんだって末期のその他のがんだって自然治癒することがたくさんあるのだし、今はその方法・使うことのできる武器も手に入れました。もちろん100%勝てるという保証はありません。しかし、老子の言うように「勝とうと思わなければ負けることはない」のです。がんとは共存できればよいのです。大きくなりさえしなければ悪さをすることはないのですから。無くなってくれるに越したことはないですが、それを目標に頑張ると自分の身体が持ちません。

勝とうとしなければ勝っている、がんとはそのようなものらしいのです 。心の持ちようが大きく関係しています。

食欲が出てきましたら、早い段階で玄米菜食にすることがよいと思います。また心の有り様を変えるために、たとえば『サイモントン療法』を読んでみてはいかがでしょうか。付属のCDに収録されているメディテーションはやってみると気持ちがよいですよ。

もちろんこれは私の考えであり、これがテリーさんにあっているという保証は何もありません。がんは何でもありですが、すべて自己責任です。

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2008年8月 2日 (土)

ASCO 2008の生存率

ASCO 2008(5/30-6/3) CONKO-001において腫瘍切除後の膵癌患者にゲムシタビン(ジェムザール)を投与した場合の第Ⅲ相試験の結果が発表されている。ASCO 2005 での口頭発表、2007年1月のJAMA誌での経過報告を経て最終発表が行なわれたものです。

それによれば、初期膵臓癌の術後補助化学療法としてのジェムザールの優位性が明らかになった。(概要の翻訳はこちら)(ASCOの正式ページはこちら英文

エリアレビュー・膵癌【ASCO2008】──杏林大学医学部腫瘍内科学教授古瀬純司氏
アジュバントのスタンダードはゲムシタビンが共通認識に(PDFファイル)

Dfs

上の図は、無病生存率(DFS)を表わしている。図の青い曲線が術後ジェムザールを投与された患者で、赤い曲線が投与されなかった対照群である。縦軸は累積生存率(cumulative survival)で、横軸は無病生存期間(転移や再発をするまでの期間)。

この図を見てまず感じたのは、指数関数に似ているなぁというこWshot00017 と。放射性同位元素の減衰曲線などの指数関数 e(-λt)によく似ている。最初は急激に減少するがその後は減少は穏やかで、ある値に収束する。ジェムザール投与群は半減期12ヶ月の放射性壊変であり、対照群は半減期6ヶ月の放射性同位元素の壊変に近似できそうである。12ヶ月あるいは6ヶ月で50%の患者がバタバタと亡くなっていく。すい臓がんが「癌の中のキング」と言われる所以である。がんの生存期間中央値が放射性同位元素の半減期ということになります。

全生存率(OS)は次のようになっているが、これには再発・転移した患者も含まれているから無病生存率よりは高いパーセントになる。

Os

次の表は、生存率などの数値をまとめたものである。

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  • 5年時点の全生存率が2倍になる
  • 5年時点の無病生存率は3倍

このデータを見て感じることは

  • いま、術後一年を生きているのはラッキーなことなんだということが納得できる
  • 手術後13ヶ月である私の場合、再発もないから無病生存率45%の中に入っている。
  • ジェムザールの投与を受けなかった場合、13ヶ月の生存率は約25%である。その中に入っていたかもしれないし、いないかもしれない。
  • 目標は無病生存率(5年)の16.5%に入ることだ。
  • 7年生存者が13%はいる。これもうれしいデータだ。

昨日のブログにも書いたように、転移ではないことも分かり、とにもかくにも一年生き延びることができた。あと一年生きることができるかどうか、確率は50%である。しかし、放射性同位元素の壊変は純粋に確率的現象であるが、人間の病気はそうではない。現在の私が50%死んでいるわけではないし、次の一年後に私の身体の25%が生きているわけではない。ある原子核が次の瞬間に壊変するかどうかは確率的現象であるが、私が次の一年に生存率1.0となるか、0.0となるかは、自分で決めることができる。ASCOの報告は、『現在の癌治療の限界』を表わしているに過ぎない。病院や医者に任せるだけで、この「確率の舟」に乗れば、グラフに従って運命が決まっていくというだけのことだ。仮にこの「確率の舟」に乗ったとしても、7年後には13%の患者は生き延びて「癌サバイバー(生還者)」となっている。だから非常に小さいが、希望はある。放射性同位元素の減衰曲線は、限りなくゼロに近づいていくが、がんの生存率曲線はゼロになるとは限らない。いや、ゼロになることはほとんどない。必ず何パーセントかの長期生存者がいる。これが違う点であり、希望を持っても良いという根拠です。

現在のすい臓がん治療の現状が、良くなったとはいえ上のようであるなら、標準的癌治療以外の領域で、自分で自分の運命を切り開くしかない。そのために、

  • 玄米菜食を続ける
  • 毎日の散歩を続ける
  • 仕事の仕方を変え、無理な頑張りや「理想の自分」になろうとする生き方は止める
  • 苦痛だと感じることからは逃げ、楽しいと感じること、熱中できることだけをする
  • 心のありようが免疫力を高めて癌を治すことを信じ、サイモントン療法を実行する
  • 「死」に対する恐怖感を持たない。これが癌には一番悪い。
  • 「死ぬ」ための準備をしておく。
    上とは逆説的だが、「いつ死んでもよい」という心のありようが安らかな精神状態を作り出し、免疫力を高め、自己治癒力でがん細胞を縮小させることにつながる。
  • 癌からの生還者(サバイバー)とのつながりを探して参加する
  • 本来の自分であるような生き方をする
  • 休眠療法(メトロノミック療法)で少量のジェムザールを動注する
    (肝臓への転移確率を下げる)
  • 四次元ピンポイントによる放射線療法も連絡を絶やさないでおく
    (残っている膵頭部での再発・肺へ転移したときに備えて)
  • 鍼灸、温熱療法、漢方薬など、東洋医学の分野で適用できそうなものを選択してやってみる(欲張らない程度にしておく)
  • 癌治療が生活のすべてとなるような生き方はしない。今生きていることを存分に楽しむ。

以上を今後の癌治療、闘いの戦略として、のんびりとやってみる。

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2008年8月 1日 (金)

転移ではなかった

サードオピニオンで四次元ピンポイントの放射線治療をする予定だったが、植松先生の提案でもう一度CTを撮ることになった。

昨年のすい臓がんを見つけたときにお世話になった山王の伊藤医院でお願いすることにした。この病院で撮ることにしたのは、手術前のCTデータがあるはずだから、それと比較すればPET-CTでのFDG集積部が癌の転移なのかどうか、画像診断の精度が高まるはずだと考えたからです。

木曜日に予約をして金曜日にはもう撮影が可能でした。結果も当日すぐに出してくれます。大病院だとこうはいきません。予約を入れて来週か再来週に来てください。そして結果はまた、数週間後ということになります。

CT撮影前に先生から説明があり、癌研の情報提供書やPET-CTの画像を見る限り私は転移の可能性は少ないと思います、とのことでした。そして撮影。

肝心のCTの結果です。やはりすい臓がんの転移ではなかったようです。

非造影CTと3相性の造影CTが行なわれた。
膵体尾部・脾臓・胆嚢合併切除後である。
2008年7月10日に行なわれたPET-CT検査でFDG集積部が疑われた腹部大動脈右腹側領域を中心に撮影したが、CT上、有意な腫大リンパ節はないので、PET-CT検査のFDG集積部は十二指腸のartifactを見ていた可能性が高い。
残存する膵頭部腹側には境界不明瞭な低吸収域があり、術後CTとの比較や経過観察を要する。

Artifactとは辞書では「人工事実」と訳されているが、画像の分野だから「疑似模様」とか「疑似欠陥」ということでしょう。伊藤先生の説明は丁寧でとても分かりやすいものでした。「十二指腸がぐるっと回って、水平脚と言われる部分で大動脈の間を通るときに少し窪んだようになります。それがartifactを作っているようです。」

断面画像だけでなく、正面と横からの3D画像も見せてくれましたが、本来このあたりにあるはずのリンパ管がない。手術の時に14カ所のリンパ節を取り除いているが、画像でもリンパ管もリンパ節も見えない。したがってFDGが集積して赤くなっている部分にはリンパ節が見あたらない。つまり癌の転移ではないということでした。

その他の部分に関しても詳細にわかりやすく説明をしてくれました。

  • 残っている膵頭部に5ミリ程度の少し濃度の高い領域があるが、癌ではないと思う。癌なら腫瘍マーカーがもっと高くなっているはず。癌研での術後の写真と比較すればはっきりすると思うが、大丈夫だろう。
  • 肝臓にも同じように高濃度の領域がいくつかあるが、微少嚢胞だと思われる。
  • その他腹腔内臓器に異常所見はない。
  • 腫大したリンパ節はない。

この数週間ドタバタしましたが、結果的に転移もないし再発もないようです。ほっとしました。

伊藤医院の若先生は画像診断においてもすばらしい経験と知識をお持ちです。みたい部分に正確に必要な造影剤を運ぶために注入する速度を変えて注射しました。また、造影剤注入前と、直後の画像との両方で比較し、更に一年前の手術以前の画像とも比較しています。診断する医者が直接検査をするから可能なことで、癌研やがんセンターなどのように検査は検査技師に任せる方法ではこうした患者個人にあわせた検査方法は不可能でしょう。こんなに一人の患者に診察時間を割いて大丈夫なんだろうかと心配になるほど真摯に接していただき、患者としては有り難かったです。

癌患者になると、とかく大病院にかかっていれば安心だという風潮がありますが、そうともいえないと思います。手術をするならば、豊富な手術経験と設備のある大病院が安心ですが、その後の治療は小回りの利かない大病院よりは、それぞれ特徴のある病院を探した方がよいでしょう。

医者にもそれぞれ得意な分野があります。手術の上手な医者と病院、抗がん剤治療に豊富な知識と経験のある医者。画像診断に優れた知識のある先生。終末医療に熱心な先生。患者はそれぞれを使い分けて利用すればよいのです。ひとつの病院と医者に頼り切ることは危険です。自分の頭と足で情報を集め、より多くの医師の診断と意見を聞いてみることが大事です。自分の命ですから。他人は決して自分になりかわって病気を引き受けてはくれません。

さて、そもそもすい臓がんの転移の可能性を少なくしようということで、少量の抗がん剤を肝臓に動注しようとして、このことが始まったのですが、振り出しに戻ったわけです。リザーバーを使ったジェムザールの動注を始めるかどうか、夏休みの間にじっくりと考えることにします。

サイモントン療法もぼちぼちですが、始めています。

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