« 2010年12月 | トップページ | 2011年2月 »

2011年1月

2011年1月31日 (月)

ウルフキラー、これで決定

celloの記事が少なすぎますね。頑張らねば。がん関連のできごとが多くて、そのことを書くだけで精一杯。書くためには調査と検討が必要なのは言うまでもありませんから、一介の、家族の生活を抱えて仕事を続けているがん患者には結構な負担です。がんは、知れば知るほどわからないことが増えます。このブログの記事も鵜呑みにはせず、ご自分で検討するための参考程度にしてください。

最近、BSで堤剛さんが久々にNHK交響楽団と共演したドボルザークのチェロ協奏曲を聴きました。堤剛さんと言えば”ドボチェロ”と言うほど有名ですよね。私も一枚CDをもっています。この日の演奏には「最悪の演奏」とか、「ベートーベン」のようだとの辛い評価もありますが、それはさておき、テレビの画面を見ていると、チェロのG線、駒とテールピースのほぼ中間点に小さなウルフキラーが付けられていました。

私のチェロですが、1月12日に書いたピュア・ブリランテをウルフ・エルミネーター(こちらは made in Austriaです)に代えて試してみました。どうやらこちらの方がよい。G線とD線の両方に付けてみましたが、これは逆に音がこもったようになり断念。写真のようにG線の駒寄りに付けた状態が一番効果がありました。結局堤剛さんと位置は少し違いますが、ほぼ同じ大きさのウルフキラーを同じ弦に付けることになりました。「軽いウルフキラーがよい」というチェロの力学の仮説が正しいように思います。

P1010496

レッスンは今年からフンクのアダージョに入っています。チェロ4重奏曲で和音の素敵な曲ですが、第4パートの指使いがいちばん紛らわしい。こんな曲です。

3月20日にはヤマハのアンサンブル・ホリデーがあります。曲目は「魔女の宅急便」より「海の見える街」とモーツアルトの交響曲第41番「ジュピター」の第1楽章。バイオリンとチェロのポップス・アンサンブルですが、楽譜が届きました。バイオリンは大変そう。チェロはまだましですが、何カ所かにハ音記号(テノール記号)があります。高音部の攻略が課題になりそうです。更に今年は青色申告に挑戦しています。「やよいの青色申告」を使ってデータはほぼ入力したのですが、これからチェックと決算書の作成、確定申告の提出と毎年のことですが、多忙です。

というわけで、しばらくブログへのアップが少なくなると思います。

2011年1月30日 (日)

粒子線治療は膵臓がんの標準治療となるか?

【下段に追記しました】

著者の菱川良夫氏は、元兵庫県立粒子線医療センター院長だった人ですが、2010年4月から鹿児島県指宿に建設されたメディポリス医学研究財団がん粒子線治療研究センター長に就任されています。1月15日には、前立腺がん患者第一例目の粒子線(陽子線)治療が始まりました。滞在型の温泉や宿泊施設、ゴルフ場・テニス場も備えた総合施設です。

「がんは治る!」時代が来た「がんは治る!」時代が来た』は、このがん粒子線治療研究センターの紹介と、粒子線とは何かを一般の方にもわかりやすく解説した本です。ブラッグピークによって放射線(光子線)よりも周辺の組織への影響がほとんどないこと、大きながんにも効く、1日1分の照射で計画的に治療が進められるなど、粒子線治療の特徴も詳しく紹介されています。また、高周波ハイパーサーミア・免疫細胞治療も同じ施設内で受けることができるそうです。

膵臓がんに関しては特別の期待を持っているようで、「従来では治せなかった膵臓がん克服への大きな可能性」と一節を設けて「従来の放射線の3割増しの照射ができるようになって、抗がん剤との併用で局所進行膵癌でも治る可能性が出てきた」と述べています。さらに、膵臓がんなどの、粒子線でなら治る可能性のあるがんに限定して保険適用をするべきではないかとも書いています。現在は先進医療で粒子線治療部分は完全に自由診療であり、300万円かかるようです。これが膵臓がんだけでも保険適用になることの恩恵は大きいです。他の治療法でも治る可能性があるがんにまで保険適用するのは、財政上の負担も考えると現実的ではないかもしれません。まずは膵臓がんのように治癒の難しいものを保険適用するという考えは現実的でしょう。

手術不能の局所進行膵がんに抗がん剤以外の治療法が保険でできるようになるなら、膵臓がん患者にとって大きな希望になるに違いありません。

切らずに治すがん粒子線治療革命―「メディポリス指宿」の挑戦 兵庫県立粒子線医療センターとは違って、指宿の施設は陽子線の施設だけであり、重粒子線はありません。著者は陽子線も重粒子線(炭素線)もほぼ同じだとは言うのですが。

同じメディポリス医学研究財団がん粒子線治療研究センターを紹介した本で『切らずに治すがん粒子線治療革命―「メディポリス指宿」の挑戦 』も出版されています。

民間施設ですから、それの宣伝本だと割り切った上で必要な情報だけを読む、そんな読み方でよい。住友生命の会長が推薦文を書いているくらいです。現状では富裕層や海外の大金持ちをターゲットにした施設であり、大多数のがん患者には無縁の存在でしょう。


「粒子線施設もう要らない」と題する北海道がんセンター長・西尾氏の講演内容(抜粋)がロハス・メディカルにアップされています。

コンピュータ技術がなかった時に考えられた粒子線治療と、今コンピュータの進歩で同じような放射線のかけ方をできるようになった。たとえば前立腺がんで言えば重粒子線で絞り込んでかけようが、放射線をコンピュータの技術で絞り込んでかけようが、成績はほとんど変わらないということになります。

骨肉腫だとか悪性黒色腫だとか、非常に効きにくいがんがあります。そういうものに関しては同じ粒子線でも炭素イオン線というのがあって、細胞をやっつける力が普通のX線の3倍くらい強い。ですから普通の放射線の効きにくいがんについては炭素イオン線なんかを使えばやっつけられる。日本で炭素線の装置は4カ所目が動き出そうとしている。そうしたら、それで全部さばけちゃうわけです。

陽子線治療も、このままいくと16カ所になります。そんなにそれが必要な患者さんはいません。ですからそういうのは十分に適応のある患者さんをそこに送ってやれば日本全国で出てくる患者さんをさばけるわけです。僕は、もう要らないって言っているんですけど、企業がつるんでですね儲けのために入り込んできている。そうすると結局むしり取られるのは患者さんなんですよ。

まだ臨床試験段階の装置、それも巨大装置に資源を使うべきではないと思いますね。医療の分野でまだ他に必要なところがある。近藤誠氏が日本におけるCTの異常に多いことを指摘していますが、粒子線も同じことになりそうです。どうして日本人はこんなに新しもの好きで、新技術にのめり込むのでしょうか。重粒子線にしても白血球数の減少という副作用が問題になっているのですから、しっかりと試験をするのが現状で取り組むべきことでしょう。基礎的なデータをいい加減にして、ともかく実用化というのは、イレッサでも同じ構図です。

続きを読む "粒子線治療は膵臓がんの標準治療となるか?" »

2011年1月29日 (土)

イレッサ-国立がん研究センターの見解にたいする疑問

管総理の最終判断により、イレッサの和解勧告は拒否すると決定したと報じられている。この決定に関しては、先の国立がん研究センター、日本肺癌学会、日本臨床腫瘍学会の「和解勧告は受け入れるべきではない」とした見解が大きな影響を与えたものだと思われる。しかし、これら3組織の見解は的外れであり、問題のすり替えが随所に見られる。

最初に出た国立がん研究センターの「見解」の疑問点を列挙しておく。

資料は次の2点です。
イレッサ和解勧告で、国立がん研究センターが緊急会見(ロハス・メディカル)
薬害イレッサ: 東京・大阪地裁 和解所見・勧告 要旨 (弁護団がまとめた)

  • 和解勧告書も見ないで和解に反対するとはどういうこと?
    嘉山氏は上の緊急会見において「細かいことは我々は......、まだ和解勧告書を見ておりませんので分かりませんが」と述べている。確かに裁判所は和解勧告書を非公開とした。しかし、その「所見」要旨は弁護団から明らかにされている。
    「所見」によると、「緊急安全性情報が発出された平成14年10月15日までにイレッサを投与され」た患者を救済の対象とした勧告である。
    しかし、嘉山氏の見解は、これを「絶対に安全な薬はない」だとか、「副作用一般」にすり替えていないか?

発売開始前の治験においてイレッサは高い効果を示しましたが、投与を受けた患者さんの中に急性肺障害・間質性肺炎を起こした方がいたことから、当時の厚生労働省内の国立医薬品食品衛生研究所・医薬品医療機器審査センターは治験結果を科学的に審査し、イレッサによる急性肺障害・間質性肺炎を重大な副作用として添付文書に記載し、注意を呼びかけるよう指導しています。

  • 患者原告は「初版」の添付文書を問題にしているのに、緊急安全性情報が出てから添付文書を書き換えたと言っても的外れではないか?

    嘉山氏は「記載の順番は問題ではない」と言うが、初版の添付文書では2枚目の目立たないところに「致死的」との注意書きもなく記載されていた。 ほかの肺がん治療薬では化学療法に十分経験のある医師や緊急時の措置ができる医療機関に使用が限定されているが、それもなかった。
  • 国立がん研究センターも承認前のイレッサの宣伝に荷担し、患者に期待を抱かせたのではないか?
    勧告書の「所見」では、『承認当時、イレッサは 従前の抗がん剤と比べて副作用の程度が軽い新しいタイプ(分子標的治療薬)の抗がん剤と認識されており,患者は「重い副作用のない抗がん剤」と期待していた。』 と述べている。
    私の記憶でもテレビや週刊誌、新聞記事が「夢の抗がん剤」と持ち上げていた。イレッサの承認(2002年7月5日)の半年も前の「Medical Tribune」誌に、当時の国立がんセンター中央病院内科部長 西条長宏氏と名古屋市立大学医学部第二内科教授 上田龍三氏の対談がアストラゼネカ(株)の提供で掲載され、「副作用のない抗がん剤」と宣伝に一役買っている。
  • イレッサは、特定の肺がん患者に劇的に効果がある、という点を強調する主張もある。ある種の遺伝子変異のある患者によく効くことは事実である。しかし、問題にしているのは、その効果が判明する前の初期の治療において、患者に全ての情報を公開したのか、それが問わているのである。
  • ステージⅣの肺がん患者は、いずれ死に至るのだから、数%の副作用死は賭けるに値する、との主張もある。
    この考えの誤りは、初期の患者は「副作用の少ない抗がん剤」だとマスコミやアストラゼネカの講習会を受けた医師から言われていたことを無視している。さらに、数%は公表された数字からの計算であり、実際にはさらに大きい可能性もある。この主張の最大の問題は、「どんな死に方をするかを選ぶのも患者自身だ」ということを無視している点だ。患者に必要な情報を全て与え、最終的には患者が治療法を決定する。これがインフォームド・コンセントではないか。
  • 「今後の新薬の承認や治験が遅れて、患者の不利益になる」との嘉山氏の言い方は不愉快の一言に尽きる。患者を脅かすのもいい加減にしろと言いたい。今回の問題は承認された新薬の問題であって、治験でも臨床試験でもない。イレッサの承認前からアストラゼネカの宣伝に一役も二役も買った組織の最高責任者が言うべき言葉ではないだろう。不都合な情報を隠蔽する体質が正されないのなら、それこそ今後の治験や臨床試験に参加しようとする患者はいなくなるのではないか。問われているのはそのことである。
  • 「重篤な副作用は予測できなかった」という一方で、「添付文書には適切に記載されていた」というのは矛盾している。予測できなかったことをどうして適切に記載できるのか。
     

イレッサの承認審査に当たった専門家やガイドラインを作成した者の多くがアストラゼネカから何らかの金銭的な援助を受けていたという。これで公平な審査を期待する方が無理というものだろう。日本肺癌学会に至っては厚生労働省や患者団体からも同社との金銭関係について公表するように求められているが、未だに拒否したままである。(そりゃ公表できないよね。もらっちゃってるんだもん。)

イレッサに関する声明を出す患者団体は、同時に同社との経済関係の有無を明らかにするべきだ。研究論文にも「利益相反」が記載され、経済的関係のある研究者の論文はその価値がないと見なされる時代である。癌に関する各種組織も、「これこのとおり、この会社からお金はもらってないよ。だから私の言い分を聞いてね」と、身の潔白を示してから考えを発表するべきだろう。

嘉山氏らは「副作用のない薬はない」「未知の副作用であった」などと、避けられない不幸なできごとであったかのように問題を一般化し、すり替えている。薬害ではないと言うが、これを薬害と言わず何が薬害か。「医療崩壊を招く」などと脅し文句を言うだけでは通らないだろう。

2011年1月26日 (水)

テンプレート変更しました

ココログのテンプレートを変更しました。
これまでのものは、デザインは気に入っていたのですが、本文の文字が小さいので読みづらかったようです。ココログのテンプレートの全てがデフォルトでは

font-size:small;

とCSSに設定されています。

テンプレートは変えずに、CSSファイルで変更しようとしたのですが、使っていたテンプレートがリッチテンプレートで、これはカスタムCSSに対応していないということでした。

仕方ないので、カスタムCSSの適用のできるテンプレートの中から気に入ったものを探してみました。カスタムCSSで、本文のフォントサイズだけを「標準」にして少し大きくしてみました。ただ、Pセレクタだけの変更ですとサイドバーのフォントも大きくなるので工夫が必要でした。ココログの「カスタムCSS」に次の設定をすることにしました。

p {
font-size: medium;
}

li {
font-size: medium; /*リストを標準サイズに*/
}

.module-list-item {
font-size: small; /*サイドバーのフォントは小さく*/
}

.typelist-description {
font-size: small;
}

/*リンクの設定*/
/*通常の状態*/
a:link{
color:#996600;
border-bottom:1px dotted #009900;/*罫線(下側) に点線*/
text-decoration : none;/*テキスト装飾:なし (←これを付けないと通常の下線が付いてしまう)*/
}
/*訪問済み*/
a:visited{
color:#999900;
border-bottom:1px dotted #cccccc;
text-decoration : none;
}
/*マウスでポイントしたとき*/
a:hover{
color:#99cc00;
border-bottom:1px dotted #666600;
text-decoration : none;
}

読みやすくなった気がします。タイトルのフォントも変えたいが、しばらくはこれで。

「がんもどき」理論を検証する (3)

昨日のニュースですが、理化学研究所が蛍光イメージング技術による細胞周期のリアルタイム解析を開発し、その結果、抗がん剤の濃度によって細胞周期が変化することを発見したと発表しました。

今回、抗がん剤に対する細胞の応答性を調べる研究にFucci技術を活用し、個々の細胞が見せる反応を定量的に観察することを試みました。古典的な抗がん剤として有名なetoposide(エトポシド)で処理した細胞の反応を経時的に調べたところ、低濃度ではG2(分裂前準備期)期における細胞周期進行が停止する現象(G2 arrest)、中濃度では細胞核が分断化する現象(nuclear mis-segregation)、また高濃度では細胞分裂をスキップして核DNA量が増大する現象(endoreplication)が観察されました。nuclear mis-segregationを示す細胞が死に向かうのに対して、endoreplicationを示す細胞は、抗がん剤に対する抵抗性を獲得したものと見みなされます。この結果は、高濃度の抗がん剤投与によってがん細胞がより悪性化する可能性を示しており、現行の抗がん剤開発におけるスクリーニング方法に一石を投じるものと注目されます。

これは、高橋豊氏や梅澤医師が提唱する「休眠療法:低用量抗がん剤治療法」の有効性を示唆するとともに、「がんもどき」理論の根拠となっている”がん細胞分裂周期一定説”を否定するものです。がん細胞は本当にしたたかです。単純な推論や線形思考では太刀打ちできないと思います。

私は、心情的には近藤氏の主張に多いに惹かれます。現状の常識を敢えてひっくり返そうとするその反逆精神は賞賛したいという気持ちがあります。統計データの見方・考え方も参考になります。万年講師という逆境にもひるまず、自らの主張を堂々と貫き通すという一貫性は尊敬に値すると思っています。

ただ、現実にがんを持っている一人のがん患者としては、近藤氏の理論を自らの治療に適用しようとしても戸惑うばかりです。近藤氏の言い方はセンセーショナルな書き方になっていますが、それを捨象して本質だけを抜き出せば、案外と常識的な主張にすぎないと思います。

「抗がん剤は効かない」にしても、「効く」とはどういうことを指しているのかにもよりますが、固形がんが抗がん剤で治ることはないというのは、一部の例外はあるにしても共通認識でしょう。延命効果はあってもごくわずかであり、これもほぼ共通認識です。膵臓がんに対するタルセバの延命効果は10日程度ですが、これを価値があるとするか無価値とするかは、患者の置かれた立場や価値観によって異なるでしょう。幼い子供を抱えた患者であれば少しでも長生きしたいと考えるのは当然ですが、80歳、90歳なら「止めておこうか」となるかもしれません。「むだな治療はするな」という近藤氏の主張は、「むだ」かどうかは患者の価値観によって決まるとするならば、あたりまえすぎる主張だとも言えます。

「5年生存率が70%のがんなら、70%はかんもどきで、30%は本物のがんと考えて良い」と近藤氏は言います。そして、本物のがんならいずれ宿主を死に至らしめるから治療はむだであり、がんもどきなら放っておいても転移しないから、こちらも治療の必要はないと主張します。その根拠が単に一つの仮説に基づくものであり、単純な線形思考だと説明しました。また、がんの性質は遺伝子によって決まっているとの主張にも根拠がありません。がん細胞が大きく育つには10年、20年と時間がかかりますが、その間に転移能力を獲得した細胞が生き残って増大するのです。がん細胞の世界でも適者生存の競争があり、より環境に適した細胞が生き残って増えていくのです。その過程で転移に必要な遺伝子変異を獲得し、あるいは遺伝子が発現する能力を獲得するという説が有力です。

近藤氏の考えは、1個のがん細胞ができた時点で宿主の運命も決まっているという、とんでもない運命論、遺伝子万能論です。一つ一つは決定論的な現象であるにもかかわらず、あまりにも多くの因子がお互いに影響を与えながら系全体の行動に作用することによって、全体としては予測のつかない、混沌とした状態に見える系を”複雑系”と呼びます。人間もがんも、もちろん複雑系です。がん細胞一つ一つは遺伝子によって決定論的に振る舞うにしても、全体は相互に関連して予測不可能な複雑系として動作するのです。

また、複雑系においては「特別な現象が起きるために、特別な理由は必要としない」という性質もあります。「がんと自己組織化臨界現象」ではそのことを紹介しました。特別な原因がなくてもがんが消失する”自然退縮”は起こり得るのです。また、複雑系では初期条件のわずかな違いが、その後の運動をまったく異なるものにします。だから予測不可能なのです。代替療法には効果があると証明されたものは一つとしてない、しかし全てを無視するのは勿体ない、とシュレベールが『がんに効く生活』で言うのは、このことを指しているのです。

がん患者はみんな治りたいのです。統計データの右側、いわゆる「ロングテール」に自分もなりたい。そして誰にもその可能性があるのですから、近藤氏のように運命だと諦める必要はないのです。

2006年の夏に膵臓がんで余命3ヶ月と言われたふうきさんのブログがあります。病院からも追い出されて腹水がたまった状態で自宅でただ寝ているだけで、その年末を過ごしたそうです。しかし今も抗がん剤を投与しながら頑張っています。本人も医者も驚いて「奇跡」だといいますが、こんなことだって複雑系だからこそ起きるのです。Ⅳ期のがんが自然退縮するという特別なことだって起きてもよいのです。ガンの患者学研究所の専売特許ではない。しかし一方で、運悪く抗がん剤の副作用で亡くなった方はブログを書き続けることができないので、当然ながら我々の目に触れることはありません。

未来は予測できません。分かるのはただ全体としての傾向だけです。抗がん剤を使った99人のデータと無治療の99人のデータがあったとして、ある患者が抗がん剤で50人目に位置したとしても、無治療の場合も50人目であったかどうかはわかりません。それより良かったかも知れないし、悪かったかもしれない。一人の患者が両方を経験することができないのですから、あたりまえです。自分の場合どこに位置するかは分からないし、余命が延びたかどうかも実感できません。

がんに限ることではなく、人生の全ての局面で言えることですが、結局は限られた情報しかないときの意志決定はどのようにするのが合理的であるか、という問題に帰着します。

未来が予測できないならば、自分の価値観・人生観に従って決めるしかない。やってみなければ分からないことを事前にあれこれと悩むことは無益でしょう。ある程度の成功の確率が理解できたら、あとは"直感"で決めればよいのです。

以前に「冒険の旅の物語」として次のようなことを書きました。

任務は達成できることもあれば、失敗することもある。いつも必ず達成できるわけではない。この物語の核心は、「最終的に主人公が変容している」ということである。さまざまな体験によって鍛えられ、最初の青二才ではなくなっている。任務が達成できたのは、冒険によって身につけた新しい知恵と能力を使ったおかげであり、任務が達成できなかったとしたら、最初の野望はばかげた気まぐれであり妄想であったということである。彼の人生を真に満たすものは最初に考えていたものとはまったく違うということに気付くのである。

がんとの闘いの旅においても、主人公である私たちはその旅を楽しむことができるし、その過程で成長することができる。ただ単に「がんとの闘いだけに捧げた人生」ではなくなっている。死と闘うことの愚かしさを知るようになる。

道元はかく言う。「生というときには、 生よりほかにものなく滅というときは、滅のほかにものなし。かるがゆゑに、生きたらば、 ただこれ生、滅きたらばこれ滅にむかひてつかふべし。いとうことなかれ、ねがふことなかれ。」 良寛はかく言う。「災難に逢う時節には、災難に逢うがよく候。 死ぬ時節には、死ぬがよく候。 是ハこれ災難をのがるる妙法にて候」

                                                                              おわり

続きを読む "「がんもどき」理論を検証する (3)" »

2011年1月23日 (日)

「がんもどき」理論を検証する (2)

私は近藤理論に反論するとかの意図はありません。そのような知識も能力も持ち合わせていません。一人のがん患者として、近藤理論にどのように対処するのかを迫られているだけです。前回書いたように、「がんもどき理論」のひとつの根拠には大胆な仮定が導入されていること、別の仮説もあり、それに従えば近藤氏が言うように「原発病巣が0.1ミリ大のあたりに転移時期のピークがあり、ほとんどの患者は病巣が1ミリ以下のときに転移しています」とは断定できないと考えます。おおざっぱな近似式による推論を元にした「仮説」の域を出ていません。

高橋豊氏の示したグラフが正しいと仮定した場合、原発病巣のサイズが検出限界付近で、がん細胞が転移することもありうることになります。すると早期発見・手術がむだだとは言い切れない。がんが見つかったときに転移していないがんは「がんもどき」であり、その後も転移することはない、という近藤理論が成り立たなくなる可能性があります。

高橋豊氏は『癌転移の分子医学』において、動物モデルにおいてさえも転移の起きる時期を日単位で規定するのは困難であるとし、

同じ癌細胞を、同じ数、同じ動物に、同じ条件下で移植してもこの程度なので、臨床の癌のように、個々で発育速度、転移能、浸潤能、宿主の状態など大きく異なる条件下ではきわめて困難であることは当然と思われる。著者は、発育速度から転移がいつ起こるかについての研究を”癌の時間学”の一つとして研究してきたが、いまでも発育速度は大きさにかかわらず一定なのか、転移の最初の大きさはどれだけかなど、計算結果を大きく変更させる問題点が残されている。

と、現時点でもはっきりと結論の出ていない問題であると述べています。「がんもどきは放っておいても転移することはない」という主張は、現時点でのひとつの仮説に基づいての推論でしかない。

名医の「有害な治療」「死を早める手術」 (だいわ文庫) 一方で「がんもどき理論」の別の根拠としていくつかの統計データをあげていますが、正直私にはこれを検証するほどの能力はありません。近藤氏の近著『名医の「有害な治療」「死を早める手術」 (だいわ文庫) 』に論争がまとめられているので、そちらを参考にしてください。統計データの解釈などに関しては、近藤氏の主張が正鵠を射ていると感じます。(ただ、統計データ偏重癖がありそうですが)

この本の中から、大阪府立成人病センター調査部長、大島明しとの討論の一部を紹介します。

大島 近藤さんの場合、がんと診断されたら、これはもう老化だから諦めましょう、手術も化学療法も拒否しようとなりかねない。

近藤 ぼくの本には、がんの治療をするな、などとはどこにもありません。要するにやりすぎが悪いわけで、むだに闘うなと主張してきた。一切のがん治療を拒否するように受け取っているとしたら、それは読み方が足りないといわざるを得ません。

大島 化学療法や手術については、やり過ぎを拒否しようと近藤さんが強く提唱していますが、・・・・・やはり、データを大切にしないと。

近藤 少しだけ生存率がいいというデータを示されたときに、その治療を受けるかどうかは、患者さんの問題だろうと思います。

大島 そうですね。それはそのとおり。

近藤 乳がんと違ってRCT(くじ引き試験)が行なわれていない領域が多い。したがって、不確実なデータから真実に近づこうとせざるをえないわけで、そこでは他のがんからの類推、がんや人体の性質などの洞察に基づいて判断せざるをえない。それには理性の働きや思考が大事なわけで、ぼくは一つの考え方を提起したつもりでいます。

大島 「がんもどき」理論の適用の話です。「がんもどき」がありうるから検診の有効性を疑ってかからねばならない、したがって有効性をきちんと評価した上で害とのバランスで判断をしましょうというのは、私も賛成です。しかし、検診ではなく臨床の場にも「がんもどき」理論を当てはめるのはいかがなものか。

近藤 「がんもどき」理論も治療の場面に一般化できる可能性はあると思ってます。要するに何が問題かというと、いま見つけた早期がんを放っておいたときに転移することが絶対にないとは言い切れない。しかしそのために患者さん全員が手術されるのはやむを得ないのか---これも患者さんの側の問題になります。それぞれの患者さんが良く理解した上で、治療を受けずに様子を見ますというのも許されるだろうと思います。

大島 少なくとも治療の場面では「がんもどき」理論を必ずしも適用しなくてもいい-----。

近藤 それはこれまでも認めています。

大島 そこを確認しておかないと。本の中では、そこまで書いていませんよ。

近藤 それは言葉が足りなかったかもしれません。

対談での近藤氏の説明を読んだ後では、『あなたの癌は、がんもどき』から受ける印象とずいぶん違うように感じます。この本の第10章には、思考の節約のためにとして固形がんの対処法をまとめています。まとめを更にまとめると、

  1. ○ 症状がなければ、がん検診・成人病検診には近づかない
    ただし、「身体に異常を感じていないときに受ける検査は・・・」と、どんな場合でも検査は受けるなということではない。
  2. × がんによる症状がなければ、健康人と同じに考えればよい
    「本物のがん」から抗がん剤で運命は変えられない。「がんもどき」なら抗がん剤で寿命を縮めるだけ。したがって、(検出限界以下の)転移があってもなくても抗がん剤は無意味。
  3. ○ 原発病巣による症状がある場合には、抗がん剤で症状が緩和することのメリットと寿命を縮めるデメリットを考慮して、自分の人生観、価値観にしたがって決めるしかない。
  4. ▲ 治療を受ける場合でも、手術以外の選択肢があるのならそちらを選ぶべき。これは一般論であり、個別に検討する必要はある。
  5. ○ 抗がん剤は固形がんを治すことはできない。延命効果もないか、あってもごくわずかである。
  6. ▲ 民間療法やサプリメント、食事療法も有害無益である。
  7. × がん治療終了後の定期検査も必要ない
    「本物のがん」なら早く見つけても遅くてもゴールは同じ。「がんもどき」なら検査するだけ損。
  8. ×× がんの性質は遺伝子によって決まっているのだから、運命は定まっている。そう考えればかえって腹も据わるに違いない。
  9. ◎ 不要な節制はせず人生を楽しむ

こうしてみると、症状があって検査して、その結果見つかったがんにまで治療をするべきでないとは書かれていません。ただ、運命は決まっているとは、とうていがん患者としては受け入れられない内容です。(◎ ○ ▲ × ××は私の評価)

近藤氏は統計データを非常に重要視する立場ですが、もちろんその重要性は分かります。しかし、統計データが有益であるための大前提、つまり母集団の性質が一定であることが臨床試験では完全には保証されない。年齢も性別も、これまでの生活環境も、健康状態も全て異なる患者を、ただ同じがんに罹患しているというだけで集めた集団に統計的処理を施しても、その結果には限界があることに注意するべきです。

そして、統計とは「ごくわずかの違いしかないときに、相手を説得するために用いる手法」なのです。ほとんど違いがないものに対して、どの程度違うのかを推測する手法です。母集団が均質でないものを無理に統計処理するから(そうする以外の方法がないからですが)違いがなくなってしまう。モルヒネが効くかどうかは数例使ってみれば分かるのであり、これをくじ引き試験で証明する馬鹿はいない。抗がん剤の効果を統計的に処理するということは、「違いはないか、あってもごくわずか」だと認めているようなものです。

「不要な節制はせず人生を楽しむ」「遠い目標を立てるより、今日一日を大切に」
これには全面的に賛成です。今日も愉しみました。毎日の晩酌も欠かさず、いまもいい気分でこのブログを書いています。そのためか、今日も文意が不明確・支離滅裂のそしりを免れそうにない。

がん患者として、近藤理論とどうつきあえばよいのか。もう少し考えてみます。

続きを読む "「がんもどき」理論を検証する (2)" »

2011年1月22日 (土)

「がんもどき」理論を検証する (1)

近藤誠氏は『あなたの癌は、がんもどき』において、「がんもどき理論」の眼目は

がんもどき理論の眼目は、発見された時点で(身体のどこにも)臓器転移がない癌は、その後放置しても転移が生じない、と主張した点にあるのです。この主張の当否を判断するには、臓器転移がいつ生じる(成立する)かを検証する必要があります。

として、「原発病巣と転移病巣が同時の存在する場合には、大きさの比較から、転移時期が推定できます」と説明しています。そして逸見政孝氏のケースを例に転移時期を計算しています。計算過程は省略しており、結果だけを「転移成立時の原発病巣サイズは、250ミクロンです。この大きさではいかなる検査をもってしても発見不能です」と言い切ります。

それが的を得ているのかどうか、数式をもって検証してみます。

Wshot00200

転移が成立するまでの時間から、転移時の原発病巣サイズは上の式から計算できます。近藤氏もたぶん同じ計算過程で推論したのだと思われます。

しかし、この計算過程ではいくつかの「仮定」が導入されています。ひとつは、原発病巣の分裂周期と転移病巣の分裂周期が同じであると仮定している。さらに、がん細胞の分裂周期はどの時点においても同じであると仮定しています。さらに、がん細胞の充填率も原発病巣と転移病巣で同じであり、かつどの時間においても充填率は変化しない、と仮定しています。

つまり、R1とR2及び一種類の分裂周期という、3つの変数だけで転移時期を計算するには、上の仮定を導入する必要があるのです。

がん細胞の分裂周期が一定でがん細胞の数は指数関数的に(2^x)増大するというSkkiperモデルとして知られています。近藤氏の主張を図にすれば下の図のようになるでしょう。

R1

検出限界付近で転移病巣が発見されたときの、原発病巣との大きさの比較で計算して、ごく初期に転移が成立しているはずだという計算です。

がんの自然史には、Gompertzian腫瘍増殖曲線という別の仮説もあります。最初はゆっくりと成長し、中間では指数関数的に増殖、検出限界以上の領域ではまたゆっくりと成長するという説です。

Kanwa003

また、Skkiperモデルであっても、原発病巣と転移病巣では増殖速度=分裂周期が異なるという説もあります。これは、がんの休眠療法でおなじみの高橋豊氏が『癌転移の分子医学 (新臨床医のための分子医学シリーズ) 』で説明しています。高橋氏は「癌の時間学」を研究する仮定で休眠療法を思いついたといわれています。

Img

がんもどき理論の根拠のひとつではありますが、近藤氏の理論はいくつかの仮定(しかも別のモデルもある)を導入することによって成立する「仮説」にすぎません。もちろん近藤理論が正しいのかもしれません。あるいは、別のモデルが正しいのかもしれません。

しかし、複雑系であるがん細胞が、周囲の細胞やさまざまな人体の化学反応、免疫系などとの関係に影響されているのですから、分裂周期が一定不変で、転移癌も原発源も同じであるという仮定は、いかにも単純すぎるのではないでしょうか。

続きを読む "「がんもどき」理論を検証する (1)" »

2011年1月21日 (金)

「クローズアップ現代」とがん医療

P1010470

だらしない写真です。大寒のこのごろですが、窓からの陽をいっぱいに受けて裸足のままクラシックに陶酔しています。ぽかぽかと暖かくて、音楽をバックにいつのまにかうとうととする心地よさは、何とも言えません。白い2本のパイプはタイムドメインスピーカーのDimension09です。35年つきあったタンノイのスピーカーを割と高額でヤフオクで売ったお金を元手にして入手しました。これなら狭い部屋でも大丈夫。同じタイムドメインのボザール Jupity301 も健在で、結局全てのスピーカーがタイムドメイン理論による製品になってしまいました。これを聴くとBOSEのスピーカーなんぞは「刺身と乾物」の違いです。


18日のNHK教育テレビ「福祉ネットワーク "ドラッグ・ラグ"をなくせ」を見ました。すい臓がん患者の斉藤あかりさん(仮名)が、ジェムザール・TS-1に耐性ができたあと、保険で使える抗がん剤がない。タルセバを一ヶ月でも半月でもよい、早く承認して欲しいと訴えていました。(25日12:00に再放送があります)

同じ25日には久し振りに「クローズアップ現代」が、がん問題を取り上げます。「"夢の医療"が患者を追い詰める」とのタイトルで、ドラッグ・ラグ解消への動きが始まったいま、その一方で高額な分子標的薬などの新しい抗がん剤を使いたくても使えない、医療費の負担にあえぐ患者の姿を取り上げます。

医療費の患者負担に耐えられない「新しいがん難民」は、1994年来のこの国がたどってきた経済政策の象徴でしょう。クローズアップ現代の特集に「クローズアップ現代が見つめた17年」と題して国谷キャスターと内橋克人氏が語っています。1994年「ホワイトカラー合理化が始まった」だったタイトルが、今年の1月には「正社員の雇用が危ない」と、この間の日本の変遷が象徴されています。

内橋克人氏は、この17年を次のように概括してします。

1994年、丹後ちりめんの経営者の自殺が相次いだ。日本列島に息づき、地域とともに生きた地場産業が各地で消え始めた。人びとの「なりわい(生業)」「いとなみ(営為)」の場が踏みしだかれていく。「ワイルドな資本主義」の時代の幕開けだった。「生産性」という無機質な尺度が、ホワイトカラーへと翼をひろげ、やがて「成果主義」へと結びつく、サラリーマン選別時代への予兆であった。ほどなく駅前商店街はシャッター通りに一変する。駅前商店街ではファーストフード店や100円ショップがとって代わり、パート、アルバイトが労働の担い手となっていった。「クローズアップ現代」は幾度となく「消えていく商店街」に真正面から向き合っている。

翌95年の『海外移転はしたけれど』は、全国各地の工場が、低賃金労働を求めて、雪崩をうつように海外に生産拠点を移すなか放送された。雇用の規制緩和が進み、「経営の効率化」「合理化」といった言葉が肯定的に語られるなか、それまで経営者の「恥」とされたリストラが、経営者の「手腕」と評価されるようになり、人員の合理化が進めば進むほど株価が上がる、そのような時代が到来した。

戦後、日本の労働法制は「正規雇用社員」(長期安定雇用)を前提に体系化され、派遣労働などは「原則禁止」と定めていた。 それが、1980代半ばから「解体」への強い圧力にさらされるようになる。 日本生産性本部、日経連、経団連はじめ経済界は「派遣労働」の解禁を求め、「労働者派遣法」の制定を政権に強く迫るようになった。

1985年、政財界の強い要請のもと、「労働者派遣法」が成立する。私たちの社会が「規制緩和一辺倒論」「規制緩和万能論」一色に染め上げられる最初の一歩は、細川連立政権下、経済改革研究会の「中間報告」、通称「平岩研」レポートに始まる。これに基づいて、翌94年7月、「今後における規制緩和の推進等について」が、さらに95年3月には「規制緩和推進計画について」が閣議決定された。

多くの識者がこれを指して「働き方の多様化」と呼んだ。 「労働保護規制」までも「排除すべき規制」と唱え、「聖域なき規制緩和を」の合唱にどれほど多くの言論が動員されたであろうか。もたらされたものは「働き方の多様化」からは遠く、真意は「働かせ方の多様化」にあったこと、その後の現実が証明している。

こうして、いま、私たちの目の前に何があるのか。

モモ (岩波少年文庫(127))

「私たちの目の前に」あるのは、就職できない新卒、失業率の高止まり、不安定雇用、地域産業の崩壊、過去最高を更新中の年間3万人の自殺者。そして、退職強要されたがん患者、薬代を工面できずに「静かな自殺」を選択する"新しいがん難民"です。

ミヒャエル・エンデが『モモ』で警鐘を鳴らしたように、日本の17年は時間貯蓄銀行の灰色の男たちの「時間を節約すれば、良い生活が待っている」という誘いに乗ってきた結果ではないのか。エンデが元凶は「利子の付くお金」であると鋭く指摘し、内橋克人が、Food(食と農)、Energy(エネルギー)、Care(介護、医療、福祉、およそ人間関係の全て)、略して「FEC自給圏」を新しい基幹産業にと、この国を救う方向を提起しています。彼らの予想が現実化しているが、政治はお寒いかぎりで将来を託せない。どうするべきか。

今日は焼酎とワインをちゃんぽんにしたら、酔いすぎてしまった。ちょっと支離滅裂のブログ。まぁ、いつものことだからご勘弁を。"QOL"を大切にするのだと、毎晩飲んでいる膵臓がん患者もいるということ。

続きを読む "「クローズアップ現代」とがん医療" »

2011年1月19日 (水)

中性子線治療、2012年には実用化?国立がん研究センター

国立がん研究センターが、「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)の臨床試験を実施すると発表されました。ある種のがん細胞はホウ素を良く取り込む性質があり、これを利用してがん細胞だけを死滅させようとする方法です。<記事はこちら

これまでのピンポイントによる放射線照射にしろ、重粒子線・陽子線による照射でも、がん組織の周囲の正常組織には照射しないようにコリメーターで照射野を制御しています。しかし、がん組織内にはがん細胞だけがあるのではなく、正常細胞も含まれています。がん細胞の充填率が10%等と言われるのですが、がん組織の中のがん細胞はせいぜいその程度しか存在しない。ですから、照射野を正確に制御しても正常細胞を殺さずにがん細胞だけをということは難しいのです。 「ホウ素中性子補足療法」では、がん細胞だけがホウ素を取り込む性質を利用して、中性子を照射することでホウ素に核反応を励起する。核反応の結果、ホウ素は飛程の短いアルファ線を放出してリチウム-7に変わる。そのときのアルファ線によって”がん組織内のがん細胞だけ”を破壊する方法です。 ホウ素を取り込む腫瘍として「すい臓がん」も対象になりそうです。

1.BNCTの原理
 正常細胞や組織と比べてがん細胞あるいはがん組織に蓄積し易いホウ素化合物をあらかじめ患者に投与し、ホウ素化合物ががんに蓄積した時点で、低速中性子(熱中性子、熱外中性子)を照射すると、中性子とホウ素原子核との核反応(10B(n,α)7Li)によってアルファ粒子とリチウム原子核7Liが放出される。これらの粒子は飛ぶ距離(飛程)が極短い(<10μm)ので、この反応ががん細胞内あるいはその極近傍で起きると、粒子の持つ全ての運動エネルギーがそのがん細胞にのみ与えられ、修復不能なDNAの2重鎖切断が生じて細胞は死滅する。この中性子と10B原子核の反応の確率は生体構成元素の内、最も大きい14N(窒素)と中性子の反応確率の2000倍以上である。従って、ホウ素化合物ががんに選択的に蓄積すれば、そこへ低速中性子を照射することによってがんを選択的に破壊できる(図1図2および図3を参照)。この治療の成立には、ホウ素化合物が選択的に集積するがんであることが前提となるが、高い選択性と強力な殺細胞効果のため、通常のX線には抵抗性でかつ広範囲に浸潤するがん、X線治療後の再発がん、同一臓器に多発の病巣を有するがん、極めて形状の複雑ながん等が適応になる。悪性脳腫瘍、悪性黒色腫、再発頭頸部がん、多発肝がん、肺がん等である。

原子炉などからでる中性子の遮蔽剤として用いられるパラフィンにはホウ素(ボロン)を充填するのですが、こうすることによって遮蔽性能が向上します。つまり、ホウ素は中性子を良く吸収することが知られています。

ロハス・メディカルにがん研究センター嘉山理事長のインタビューが詳細に載っています。

夢の放射線治療のように思えますが、中性子は原子番号の小さい元素と反応しやすいのです。高校の化学の授業で「水兵リーベ、僕の舟」と周期律表を暗記した覚えがある人には分かるでしょうが、H,He,Li,Be,B,C,N,O,F,Neの順です。リチウム(Li)もホウ素(B)も低原子番号だから中性子と反応する。ということは、ほとんどが水(水素Hと酸素O)でできている人体も中性子を吸収します。実際に中性子爆弾というものは、インフラは壊さないで建物や戦車の中にいる兵士だけを殺すことができるという特徴で使用される。がん細胞だけに吸収されるわけではないのだから、副作用があるはずだと予想されます。もちろん相対的な中性子線量に依存するのでしょうが。嘉山さんは「体表から6.5センチくらいの腫瘍が対象・・・」と言っていますが、そこまでにほとんどの中性子が吸収されてしまう、つまり体表面が大きな被ばくを受けるということです。

【追加情報】

ホウ素中性子補足療法に関する共同研究契約締結のお知らせ(PDF)

続きを読む "中性子線治療、2012年には実用化?国立がん研究センター" »

2011年1月18日 (火)

がん患者のためのインターネット活用術 (13)

がん患者のためのインターネット活用術 2017年 第2版: 私はこれで膵臓がんを克服した ネットの情報はすぐに古くなります。Kindle本『がん患者のためのインターネット活用術 2017年 第2版: 私はこれで膵臓がんを克服した』では最新の情報に書き直して出版しています。


「がん患者のためのインターネット活用術」として一昨年に12回にわたって紹介したことがありました。(カテゴリー「パソコン・インターネット」で一覧が出ます)そのつづきです。

今回は本の検索について。このブログでは、がん関連の書籍をタイムリーに紹介しているのですが、どのようにしてその情報を得ているのか、よくもまぁそんなに本を買うお金があるよね、という疑問にお答えします。

本に関する情報を、①必要な情報(新刊・関心のある本)をタイムリーに得る、②お金をかけずに読む、③本の内容、関連サイト、読後感、購入日、読了日などの蔵書管理。これらをインターネット上でやってしまおうということです。紹介するものは全て無料で使用することができます。

三種の神器は、

  • 新刊.net キーワード登録で新刊書籍の情報がメールで届く
  • Libron Amazonから全国の公立図書館・大学図書館の蔵書を検索
  • MediaMarker 蔵書の管理

ブラウザはFirefoxを使います。MicrosoftのIEではLibronなどのアドオンを使えません。Amazonのサイトを中核にして、これらのアドオンとの連携で書籍を効率よく検索し管理することができます。

新刊.net

ユーザー登録をします。

Wshot200217

 

登録が完了したら、ログインして「キーワードの管理」画面から、検索キーワードを登録します。がんに関する書籍を検索するのでしたら、タイトルまたはキーワード蘭に「がん」と入力すればよいでしょう。「がん」のみで「ガン」「癌」も検索してくれるようです。

 

Wshot200218

 

これで「予定表」「ディスカバー」に検索されて本が表示されます。他にも作家など適当なキーワードを追加して、自分好みの書籍を検索できます。新刊が発表されたら登録したメール・アドレスにメールが届きます。

Libron

Libronは全国5000以上の公立図書館、700以上の大学図書館の蔵書をAmazonから検索できるFirefox、Google Chrome用のアドオンです。「インストール方法」にしたがってインストールしてください。簡単です。

インストール後Amazonのサイトに入り、書籍を検索します。ページの最上部にLibronのバーが表示されます。最初は「東京都立図書館」になっているので、自分が借りる図書館に変更します。私の場合は大田区図書館です。

 

Wshot200219_2

 

上の図のように本のタイトルの下に「予約する」バーが表示されるようになります。この画面から本の借り出し予約をすることができます。(もちろん図書館に事前登録してID・パスワードの設定が必要です。)

MediaMarker(メディア・マーカー)

メディアマーカーは自分の蔵書を管理するために活用できます。バーコードリーダーがあれば蔵書を簡単に登録することができます。蔵書だけでなく、いつか読みたい本を登録したり、”積ん読”になっている本を検索して「次に読む」タブで管理したりできます。簡単な読後感を書く、新聞の書評欄にリンクしておくなど、インターネットならではの蔵書管理ができます。

こちらも最初にユーザー登録が必要です。月別の購入金額や読了数の記録も残ります。私の場合は、平均すると1ヶ月10,000円購入し、25冊読んでいるらしいです。つまりは大部分が図書館の本ということですね。おかしげな代替療法の本などに自分の財布から出すのはばかばかしいが、内容はチェックしたい。ですからLibronは重宝しています。今月の読了数はまだ9冊と少ないです。

 

Wshot200224_2

 

また、Firefox、IE用のツール・アドオンも公開されており、インストールすればAmazonのページから右クリックでその書籍・CDをmediamarkerに登録することができます。

 

Wshot200222

 

本屋をぶらぶらしていて、つい気に入った本を衝動買いすることがあります。でも最近は、携帯電話からメディア・マーカーのメールアドレスにISDN番号を送信すると登録されるので、後でじっくり検討して買うかどうかを決めることもできるようになりました。

その他に

次のような役立つサイトがあります。

Webcat Plus
想-IMAGINE Book Search
カーリル
雑誌ネット

本の購入資金

月1万円を本代にしていると書きましたが、実は財布からはそれほどは出していません。というのは、アマゾンのアフェリエイトに参加しているので、紹介料が入ってきます。本代のほとんどはこれでまかなうことができています。

このブログのサイドバーにある本をクリックして、あるいはそれ以外の本や商品であれば「検索ボックス」から検索して購入していただくと、代金の4~4.5%が私に「紹介料」として、アマゾンギフト券で支払われます。これが毎月5,000~10,000円位になります。現金で買うのは1~2冊でしょうか。

ちなみにいちばん良く買われているのは『がんに効く生活』ですね。何度も紹介しているし、これは読んで実行する価値はあります。

ということで、紹介料獲得にご協力をお願いします。

続きを読む "がん患者のためのインターネット活用術 (13)" »

2011年1月16日 (日)

ためしてガッテン 掛川茶

12日放映のNHK「ためしてガッテン」の影響で、インターネットの販売サイトでも掛川茶が飛ぶように売れているようです。在庫切れの店舗も出ているようで、テレビの影響は本当にすごいです。以前には納豆もスーパーの棚から消えてこともありましたが、長続きはしなかったようですね。すぐに正常に戻りました。日本人はマスコミで報道されただけで正しい情報だと思ってすぐに飛びつき、すぐに忘れる民族です。

「ためしてガッテン」の内容が、「あるある大事典」や「思いっきりテレビ」と似てきたように感じていたので、しばらく見たことがありませんでした。今回の番組もあまり期待しないで、とりあえず録画しておこうかと軽い気持ちでした。今日になって冒頭の30分ほどは早送りしてポイントだけを見たのですが、結構まじめに作られています。

プラセボを使った二重盲検法による介入試験までやっているとは驚きでした。掛川市立総合病院副院長の鮫島庸一先生や東北大学の栗山進一教授らが実施しているそうです。東北大学の倫理審査委員会の審査を受けてのコホート研究であり、農林水産省の委託事業としても実施されているようです。地場産業の育成がひとつの目的の研究です。

10万人あたりのがん死亡率上位15都市にはお茶の産地が多いこと、掛川市では女性では第一位、男性は第二位の死亡率の低さでした。こうしたデータと二重盲検法による試験結果を合わせることで説得力のある内容となっていました。

健康食品ノート (岩波新書) ただ、できてしまったがんにお茶がどの程度の効果があるのか、いちばん知りたいことには触れていませんでした。お茶にはがんを治す効果はあるとする研究も、ないというものもあります。そのあたりのことを冷静に紹介した本としては、岩波新書の瀬川至朗著『健康食品ノート』があります。今回紹介された「掛川スタディ」の結果が出れば緑茶に対する評価はより明確になることでしょう。

シュレベールは『がんに効く生活』で、「緑茶は隣接組織への侵入及び血管新生を抑制する」とし、更に大豆といっしょに摂るとその効果はより際立ったものになる、と書いています。カテキンのなかのEGCGは、各細胞の表面にあり、がん細胞が組織内に侵入することを許可する受容体に取り付くことにより、がん細胞の侵入スイッチがONにならないようにふさいでしまう。EGCGはまた、がん細胞が必要とする新たな血管の形成を許可する受容体もふさぐことで、血管新生を阻害することができる。(Jankun.J.,S,H.Selman, R.Swiercz rt al., "Why Drinking Green Tea Could Prevent Cancer, "Nature 387, no.6633(1997):561.)

ということですから、できてしまったがんに対する効果も期待できると思われます。

Img10311899506 『がんに効く生活』の該当ページ→「GreenTea.pdf」をダウンロード

私は珈琲もよく飲みますが、緑茶は粉末茶を買ってあり、これを多めに入れて茶葉まで飲んでいます。一日3杯くらいは飲んでいるかな。掛川の深蒸し茶ではないですが、茶葉まで摂れば同じことでしょう。

源宗園 楽天市場店の深蒸し茶が、苦みの中にも甘みがあり、コストパフォーマンスも優れています。巴富士・錦富士が私の定番です。

   単品購入ならこちらから

  1. 深蒸し茶 静岡県産 道場六三郎監修 深蒸し煎茶 巴富士
  2. 【お試し用・送料無料】道場六三郎監修 深蒸し煎茶錦富士

続きを読む "ためしてガッテン 掛川茶" »

2011年1月13日 (木)

イレッサの薬害訴訟

肺がん治療の抗がん剤イレッサによる副作用死の集団訴訟に対して、裁判所が和解勧告を出した。厚生労働大臣は「これから慎重に検討する」と、態度を保留しているようだが、患者・原告側は受け入れる予定だという。

がん患者にとって抗がん剤は当然のこと、延命効果があるはずだと期待して治療を受けている。しかし、イレッサの裁判をふりかえってみると、その承認過程のいい加減さには驚くばかりである。「イレッサ薬害被害者の会」の資料を見ると、他の抗がん剤に比べてイレッサの副作用死の多さは断トツである。
Wshot200214

イレッサは2002年に世界に先駆けて日本で承認された。しかし、無作為比較臨床試験の結果、プラセボと比較して生存期間を延長することができなかったため、2005年1月4日アストラゼネカは欧州医薬品局 (EMEA) への承認申請を取り下げ、また2005年6月米国FDAはイレッサの新規使用を原則禁止とした。その後2009年7月1日欧州医薬品局は、INTEREST試験とIPASS試験の2つの無作為化第III相臨床試験の結果をもとに、成人のEGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺癌を対象にイレッサの販売承認を行った。2009年現在イレッサを承認している国は、日本を含めたアジア諸国、欧州、およびオーストラリア、メキシコ、アルゼンチンである。(この項Wikipediaより)

患者側は、日本での承認審査において副作用死の人数を過小に申告したり、延命効果がないのに腫瘍縮小効果だけで承認したことを批判している。また、審査に当たった医師に製薬企業との利益相反があったことも批判している。

近藤誠氏が文藝春秋2月号「抗がん剤は効かないのか?」で、同じように昨年の3月に承認された新しい分子標的薬ベクティビックスの審査においても、第三相試験の結果無憎悪生存率(PFS)は有意差があるが全生存期間(OS)にはまったく有意差がないにもかかわらず承認されている例を挙げて、いまだにイレッサと同じように患者を愚弄するような審査が行なわれていると告発している。こんな状態でも審査はしゃんしゃんと終わって承認されているのだから、患者は何を信用して良いのか分からない。近藤誠氏の問題提起は、標準療法の範囲内でならば、という限定付きだが貴重な見解だと思える。

__2

「がん患者には時間がない」と未承認薬の早期承認を求める患者団体の運動も、この裁判を見れば諸刃の剣である。”がんに効く夢の新薬”が現われては消えるのが抗がん剤の歴史である。いまの分子標的薬にしてもほとんどが不合格、副作用のない抗がん剤というふれこみは胡散霧消してしまった。がんワクチンが同じ運命をたどらないとも言えまい。抗がん剤の承認においては、何よりも延命効果が明らかであること、安全性が確認できること。これを抜きにしていい加減な審査で早期承認されてはたまらない。

しかし、抗がん剤は細胞毒であるからすべて止めるべきだとは考えない。イレッサでさえも無効だとは考えていない。中には劇的に効いたという患者もいるからである。たとえば休眠療法を行なっている銀座並木通りクリニックのサイトには、イレッサが劇的に効いた症例が紹介されている。結局がんは、同じがん種であっても一人ひとり違う病気である。患者の数だけ病気の数があると言っても良い。臨床試験の結果を鵜呑みにして、同じ量を同じ投与期間(クール)で、患者の状態などは無視して投与するから効かないし、重篤な副作用が出るのであろう。経験豊富な腫瘍内科医が少ないし、マニュアル通りならまだましで、製薬会社のMRが差し出すパンフレットしか読まない医者も多いと聞く。医者に同情もする。マニュアルを逸脱した投与方法では訴訟リスクも負うことになるから、医者としてはそんな冒険はできない。まして治療費のほとんどは製薬会社に流れていくのが抗がん剤の世界である。もうけにもならないのに訴訟リスクだけを負う奇特な医者はいなくて当然である。

穆如清風(おだやかなることきよきかぜのごとし)―複雑系と医療の原点 医療は複雑系である。「ゆらぎ」を無視しては医療は成り立たない。こんなことは「医者の匙加減」としてあたりまえであった。「休眠療法」などと言ったって普通に匙加減をしているだけなのに、異端療法の扱いを受けている。いつの頃からか「診療ガイドライン」という名のマニュアル医療になってしまった。統計データ+匙加減=エビデンスである、との認識がない。

中田力さんが、医療と複雑系についてのエッセイを出版している。次回にでも紹介してみたい。

と、書いた後でこちらのブログを拝見したら、近藤理論を現場から批判していて、思わず頷いてしまった。

2011年1月12日 (水)

ウルフキラーを付けてみた

私のチェロ、ゴフリラーも購入して1年になるので、ずいぶんと音がこなれてきた感じがする。響きが良くなり鳴るようになった。そのためなのか、ウルフトーンが以前にも増して出るようになった。G線のE、F、F#で唸るような、まさにオオカミの遠吠えのような振動が出る。D線のF付近でも出るが、こちらはそれほど気にならない。やはりウルフキラーが必要かなとネットで検索したら、これは良いかもというものに出会った。

P1010483 長谷川陽子さんが、ご自身で使ってみてお勧めだとブログで紹介している。一般に出回っているウルフキラーはゴムを使ってあるため、ウルフトーンは抑えられても音が変わってしまうので、長谷川さんは使わないできたが、このウルフキラーは音の変化が少ないのだという。彼女のチェロもゴフリラーであるので、これはいいかもしれない。品物は大阪にある見附精機工業(株)が作っている金属削り出しの手作り品、ピュア・ブリランテ。3000円とまあまあの値段か。早速注文したら丁寧にも速達便で送っていただいた。

溝がS字状に掘ってあり、構造はシンプルで他のウルフキラーのようにねじもなければゴムも使っていないで、溝に弦をねじ込んで取り付けるようになっている。早速G線に取り付けて最適な位置を探してみる。私のチェロでは駒に近い位置でもっとも効果があることが分かった。チェロによって最適な位置は違うらしい。
P1010481

効果のほどは、完全に消えるというわけではないが、弓の当て方を加減すれば気にならない程度にはなるようだ。

チェロのウルフトーンを物理学的に解析している「チェロの力学」という面白いサイトを見つけた。手作り楽器工房ミネハラが開いているサイトで、ウルフキラーを振動解析して原理的に説明している。機械工学で、振動が起きては困る場合に、ダイナミックダンパーという減衰装置を使う。この原理を簡単に言うと、振動を止めたい周波数に共振する振動系(振動しやすい部分)を敢えて付けると、その振動が止まってくれるというものである。この原理(仮説)からウルフトーンの発生メカニズムを推定すれば、次のようになる。

チェロを弾く時の振動数(演奏している音程)が、チェロの裏板の特に振動し易い部分の固有振動数に合ってしまう場合(Eの165Hz~F#184Hz)には、裏板の振動による反力が表板の振動を打ち消すように作用してしまう。これはつまりダイナミックダンパーが架かってしまうということであり、その結果かすれた音になってしまう。これがウルフトーンである。

ウルフトーンを消すためには、駒とテールペース、その間の弦、弦に取り付けたウルフキラーをひとつの振動系と考えて、この振動系の固有振動数がウルフトーンの振動数になっていればよい。

ウルフキラーはウルフの出ている音が駒の振動を殺してしまうことに対して、駒の振動にウルフキラーの振動を加算して、駒の振動を助けてやるもの。したがって、ウルフキラー としては、できる限り軽くて短いものがよい。

**************************

0180000000052 ということは、ピュア・ブリランテは15gと結構な重さがあるが、上の仮説が妥当だとすると重すぎるのではないかとの疑問が生じる。それでもうひとつのウルフキラー(ウルフ・エルミネーター)を試してみることにしたが、こちらはまだ到着していない。4g程度の軽さなので期待できるかもしれない。

とまあ、このように物理学を使って原理的に説明してくれますが、どの位置に取り付けるのがよいのかは、実際に試行錯誤しながら、ウルフトーンのもっとも小さくなる位置を探す方が合理的です。ウルフトーンが出るチェロは良く鳴るチェロであり、良い楽器である、ある程度はしようがないということらしいです。

あれこれと考えていると”ウルフ・シンドローム”になりそうな気もする。

 

2011年1月11日 (火)

テラ、慶應医学部と進行膵がんに対するWT1樹状細胞ワクチン療法の共同臨床試験

1月6日のニュースですが、テラ(株)と慶応大医学部が共同でWT1ペプチドワクチンの第一相試験を実施するとアナウンスされています。首都圏でWT1ペプチドワクチン療法を受けられる機会が増えます。

テラ(株)ニュースリリース

テラ株式会社、慶應義塾大学医学部と共同臨床試験を開始
~進行膵がんに対する抗がん剤を併用した
WT1ペプチド(※1)を用いた樹状細胞ワクチン療法(※2)の第I相臨床試験~


 テラ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:矢崎 雄一郎、ジャスダック上場(2191)、以下「当社」)は、この度、慶應義塾大学医学部と共同研究契約を締結いたしました。
  この共同研究契約に基づき、当社は慶應義塾大学医学部と共同で、進行膵がんを対象として、抗がん剤(塩酸ゲムシタビン(※3))を併用したWT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法に関する共同臨床試験を開始いたします。この試験により、本療法の安全性評価を行ってまいります。
 今後は、慶應義塾大学病院における本療法の先進医療(※4)への申請について、両者で協議を進めてまいります。

 我が国のがんによる死亡者数は年間30万人を超え、死因別死亡率の第1位(※5)となっており、羅患数、死亡数とも増加傾向が続いています。がんの死因の中では、膵がんは、肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がんに次いで第5位となっています。
  膵がんは難治性がんの一つで、極めて予後不良な疾患です。膵がんにおいては、多くは発見後1年以内に死亡し、発生数と死亡数がほぼ同等となっているのが現状です。進行膵がんにおいては、局所進行例では放射線化学療法が、また遠隔転移例では塩酸ゲムシタビンによる抗がん剤治療が、標準治療として位置付けられています。しかしながら、進行膵がんに対するこれらの既存の標準治療には限界があり、樹状細胞ワクチン療法は、この限界を打破する新規治療法として期待されています。
 今回の共同臨床試験は、進行膵がんを対象として、塩酸ゲムシタビンを併用した、WT1ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の第I相臨床試験を実施し、その安全性を確認することを目的としています。
  今回の共同臨床試験は、慶應義塾大学医学部外科学(一般・消化器)の北川雄光教授が、試験代表医師としてこれを統括・実施し、慶應義塾大学医学部先端医科学研究所細胞情報研究部門の河上裕教授が、免疫学的解析を行います。樹状細胞ワクチンの作製および投与は、テラの契約医療機関である、東京ミッドタウン先端医療研究所(※6)の協力のもと実施してまいります。
 当社は、WT1ペプチドの樹状細胞ワクチン療法における独占実施権、樹状細胞ワクチン療法の技術・ノウハウ及び各種基礎データを保有しており、これらを本共同臨床試験に提供いたします。
  当社と慶應義塾大学医学部は、今回の共同臨床試験において、進行膵がんに対する塩酸ゲムシタビンを併用した樹状細胞ワクチン療法の安全性を確認することで、本療法の科学的根拠に基づいたデータの構築を進めてまいります。また、今後は慶應義塾大学病院における本療法の先進医療への申請について、両者で協議 を進めてまいります。
 当社は、この臨床試験を通じて、より良い治療法の提供に取り組んでまいります。

【※1】WT1ペプチド
  WT1ペプチドとは、大阪大学の杉山治夫教授等によって発見された、ほぼ全てのがん(血液がんも含む)に存在する、世界でも有名ながん抗原(がんの特徴)と呼ばれる物質の一つです。この物質を用いることによって、より多くのがん患者に対して樹状細胞ワクチン療法を提供することが可能となりました。

【※2】樹状細胞ワクチン療法
  本来、血液中に数少ない樹状細胞(体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つリンパ球に対して、攻撃指令を与える司令塔のような細胞)を体外で大量に培養 し、患者のがん組織や人工的に作製したがんの特徴を持つ物質(がん抗原)の特徴を認識させて体内に戻すことで、樹状細胞からリンパ球にがんの特徴を伝達し、そのリンパ球にがん細胞のみを狙って攻撃させる新しいがん免疫療法をいいます。「がんワクチン療法」のひとつであり、患者自身の細胞を用いてがん細胞だけを狙うため、副作用はほとんどないと言われています。

【※3】塩酸ゲムシタビン
 ジェムザール(R)(商品名)。膵がん、胆道がん等に対する治療薬として保険適用されている抗がん剤です。作用機序としては、DNA合成を直接的及び間接的に阻害することで、細胞死を誘発します。

【※4】先進医療
  最新医療技術の中で、安全性と有効性が確認され、将来的な保険適応を検討されるものとして厚生労働省が承認し、保険診療との併用が認められた医療技術です。先進医療に係る治療費用は全額自己負担となりますが、それ以外の診察、検査、投薬、入院等の費用については公的医療保険が適用され、いわゆる「混合診 療」が認められます。

【※5】がんによる死亡者数
 出所:平成20年人口動態統計の概況(厚生労働省大臣官房統計情報部)

 ■死因別死亡率の割合(平成20年)

  *添付の関連資料を参照

【※6】東京ミッドタウン先端医療研究所
 2010年2月に設立。樹状細胞ワクチン療法などのがん治療に加え、人間ドック、日帰り外科手術等を行う。
 ■住所 〒107-6206 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー6F
 ■所長 田口 淳一

【テラ株式会社について】
 ■社名 テラ株式会社 [英名]tella,Inc. [証券コード]JASDAQ 2191
 ■住所 〒102-0083 東京都千代田区麹町四丁目7番地2 サンライン第7ビル7階
 ■設立 2004年6月
 ■資本金 418百万円(2010年9月末)
 ■代表者 矢崎 雄一郎
 ■従業員数 44名(2010年9月末時点)
 ■事業内容 樹状細胞ワクチン療法の研究開発、樹状細胞ワクチン療法等の技術・ノウハウの提供、再生医療の研究開発

続きを読む "テラ、慶應医学部と進行膵がんに対するWT1樹状細胞ワクチン療法の共同臨床試験" »

2011年1月10日 (月)

近藤誠氏の「がんもどき」を考える

あなたの癌は、がんもどき 近藤誠氏の近著『あなたの癌は、がんもどき』では、がんもどき理論から得た結論として、第10章の最後に次のように書いている。

 私自身も、死を意識する年齢になり、何で死ぬのがいちばん好ましいかをときどき考えています。がん、脳卒中、心筋梗塞という成人三大死因のうちでは、後二者はポックリ死ぬことができて好ましいようにも見えますが、もし生き残ったら、日常生活が大変です。
 その点がんは、亡くなるまでの計画が立つ。手術や抗がん剤を避ければ、日常生活もそう苦しくはなく、亡くなる直前まで正常思考が保てます。
 それで、私はがんで死ぬことを切望しているのですが、こればっかりは自分の力ではどうしようもない。がんで亡くなる患者たちを、この面ではうらやましく思います。

そして、遠い目標を立てるより、今日一日を大切に生きよ。なぜなら、目標を立てると、サプリだ、検査だと、健康産業、医療産業に振り回されるからとして、

 ただし心の片隅に、運命は受け入れておく必要がある。本物のがんにかかったならば、それは一種の運命です。運命を受け入れつつ、最小限度の治療で症状を緩和しながら暮らすなら、なお死ぬまで充実した人生を送ることができます。

がん 生と死の謎に挑む この結論には、私はほぼ賛同できる。すでに紹介した本だが、立花隆も近著『がん 生と死の謎に挑む』で「自覚症状なし・危機感なし・がんばるつもりなし」と同じような決意を述べている。このブログを最初から読んでいる方なら、私が道元や老子、良寛のことを取り上げて、同じような心境を書いていることをご存じのはずだ。

しかし、がんの最後にどのように対処するのか、という問いへの結論は同じだが、それの考えにいたる過程においては、近藤氏とはいささか異なる。

近藤理論では、がんには「本物のがん」と「がんもどき」の2種類があり、「本物のがん」はがんの初期(臨床的に発見できる大きさになる前)にすでに転移している。「がんもどき」は転移しないがんであり、発見されたときに転移していなければ、今後も転移をすることはない、と主張する。がんの転移のメカニズムはまだ分かっていないことがたくさんあり、発展途上だということは承知しておく必要があろう。最近ではCTCチップを用いることで、血液中を流れるがん細胞を数百倍の感度でとらえることが可能になり、その結果、がんの初期にたくさんのがん細胞がすでに血液中を流れていることが明らかになった。これは『がん 生と死の謎に挑む』にマサチューセッツ病院のトナー博士の研究として紹介されている。また、転移について近年の研究結果を一般向けにわかりやすく解説したものが大阪府立成人病センターのサイトにあるので参考になると思う。がん幹細胞が存在するという仮説も含めて、がんもどき理論の妥当性を支持しているようにも考えられる。

近藤氏は、がんもどきと本物のがんの比率は、そのがんの病期における5年生存率が、それぞれの確率にほぼ等しいと述べている。仮にステージⅣの5年生存率60%のがんなら、60%はがんもどきであり、本物のがんは40%である。本物のがんは小さいときにすでに転移しているのだから、いずれ宿主を死に至らせる。多くの場合治療はムダである。がんもどきは、これからも転移することはないのだから、症状がないのなら、これも治療することはムダだという。

なぜなら、がんの転移能力は遺伝子によって決定されており、遺伝子はがん細胞の分裂によって受け継がれる。ある時期からそのがんに転移能力が突然現われるのではないと主張する。確かに近藤氏の提示するデータや医学的根拠からいえば、この主張に反論することは難しい。

しかしである。がんの転移能力は本当に遺伝子だけによって決まっているのだろうか。がんが転移するためには、周囲の細胞との関係、免疫系との関係など複雑な要素が関与しているのではないのか。血流に乗ったがん細胞が、他の臓器に着床するためにはさまざまなタンパク質を用いる必要があり、そのタンパク質を作るプログラムは遺伝子によって制御されているからだというが、転移先の環境においても、周囲の環境との相互作用が必然的に存在する。そこには複雑系としてのまだ人類には未知の作用が必ず存在するはずである。

なによりも近藤理論を信じるならば、がん患者はただ、自分のがん遺伝子によって決定された運命を受け入れるだけの存在になってしまう。自発的治癒・自然退縮などといわれる特殊な治癒例も、樋口強さんのがんでさえも、笑いや抗がん剤に堪えて獲得した結果ではなくて、”それはがんもどきだったんだよ”ということであれば、患者の努力などは一切効果がなかったということになる。

がんも患者の命も遺伝子によって決定されている、という決定論・運命論である。

「抗がん剤は効かない」という主張も、「治すことはできない」という意味であるのなら納得できる。彼の発言の仕方はセンセーショナルになる傾向があるが、主張をよく読めばイメージが違ってくる。

「抗がん剤には延命効果はない」というのも「患者全体で見れば」ということであり、個々の患者においては延命する患者もいれば命を縮める患者もいるという主張である。これらが統合されて生存率曲線になると「全体としては延命効果はない」となるのである。ただ、ひとりの患者本人を見れば、延命したのか寿命を縮めたのかの真実は分からない。近藤理論に反論する方も、これを踏まえないで反論するから論点がずれている。近藤氏はCHOP療法という悪性リンパ腫で標準療法となった抗がん剤治療を日本で最初に実践した人でもある。抗がん剤のすべてを否定しているわけではない。抗がん剤の承認過程や臨床試験における問題点を、印象的な代表的な例を取り上げて説明するから衝撃的に見えるが、もう少し穏やかな書き方をすれば書いてあることはそれなりに納得できるものである。抗がん剤にしろ、手術にしろ、これまでのデータをよく考えてそのときの実情にあった、患者の価値観に則った治療法を選びなさい、結局このように主張しているのだと、私は解釈している。

がんも生命も複雑系であり、当然医療も複雑系科学であらねばならない。たくさんの因子が複雑に関連しているとき、主要なパラメータをみつけ、これを操作することによって適切な自己形成を促すことが医療の目的である。この主要なパラメータ(オーダー・パラメータ)の初期値を少し変えることによって、複雑系全体のふるまいがまったく違ったものになり得るのである。がん細胞にこれを当てはめれば、近藤氏の主張が、要素還元的で線形思考の弱点を持っていることが理解できる。がん細胞の遺伝子によって転移能力が決まっているという主張は、この誤りの最たるもののように思う。

膵臓がんはそのほとんどが近藤氏の言う「本物のがん」である。ならば私の運命は決まっているというのだろうか。そんなことはない。『がんに効く生活』に述べられているような方法で、可能性は小さいかもしれないが、がんの転移を防御するオーダー・パラメータを制御することができるかもしれない。相手は複雑系である。これをやれば必ずこうなるという、原因と結果が一対一に対応はしてくれない。だから、近藤氏が言うように「心の片隅に、運命は受け入れておく必要がある」のである。しかし、「本物のがん」はいずれ必ず宿主を死に至らせるという主張を、「患者のするべきことは何もない」として受け入れる必要はないのである。

Ac9bebf0_2文藝春秋の特集

文藝春秋の1月号で「抗がん剤は効かない」、2月号では立花隆氏との対談「抗がん剤は効かないのか?」が特集されている。”論争再燃必死”という近藤氏と文藝春秋社のもくろみが効果を上げているようだ。

文藝春秋1月号「抗がん剤は効かない」にSHOさんがブログで反論していますが、近藤氏の主張を読み違えているように思えます。Wshot00196

抗がん剤に患者を延命させる力はない
→固形癌では治癒できないことがあっても延命させるデータは蓄積され、現場ではそれが実感できている。

等と反論していますが、実感では反論になっていない。

続きを読む "近藤誠氏の「がんもどき」を考える" »

2011年1月 5日 (水)

Mindsアブストラクトに膵癌3件登録&膵癌臨床試験

Minds医療提供者向けコンテンツに1/5付で英文文献抄訳が78件登録され、その中に膵癌のコンテンツが3件あります。診断ガイドライン作成後に公表された重要な論文を抄訳として出しています。

***********************

2011/01/05に、Minds PLUS/医療提供者向けコンテンツとして下記疾患のMindsアブストラクト78件を公開しました(末尾に公開日を付記して公開しています)。

 
  疾患名(五十音順)  件数  
  胃がん検診 3件  
急性膵炎 4件
急性胆管炎・胆嚢炎 3件
クモ膜下出血 9件
膵癌 3件
喘息 2件
大腿骨頚部/転子部骨折 29件
大腸がん検診 3件
特発性正常圧水頭症 7件
脳梗塞 2件
脳出血 8件
肺がん検診 5件
 

膵癌に関する3件は下記にリンクしました。

それぞれPubMedには2007年に載せられたものですが、あらためてMindsに収録されたということです。
膵癌の根治手術後のゲムシタビン(ジェムザール)の補助化学療法により、有意に再発率が低下した。幽門輪温存膵頭十二指腸切除術は従来の術式と同等である。膵頭十二指腸切除において拡大リンパ節郭清はベネフィットがない。という内容です。


膵癌の臨床試験に一部変更と追加があるようです。

  • 順天堂大学のペプチドワクチン療法は引き続き限定募集中

      膵癌に対するペプチドワクチン療法 第I/II相臨床試験

  • 京都大学のクルクミン(ターメリック)補助療法
    ゲムシタビンを用いた化学療法に抵抗性となった膵癌・胆道癌患者

     膵癌・胆道癌症例に対する細粒化クルクミン補助療法の第I/II相臨床試験

以前に書いたターメリックの記事では安全性評価の第Ⅰ相試験でしたが、引き続き行なうようです。京都大学附属病院では他に、

局所進行膵癌に対する呼気息止め法・呼吸同期強度変調放射線治療の線量増加試験

膵癌に放射線量を増加して照射しようという試験、などが目に付きました。

続きを読む "Mindsアブストラクトに膵癌3件登録&膵癌臨床試験" »

2011年1月 3日 (月)

新しい年

明けまして、おめでとうございます。

数えてみれば、膵がんの告知を受けてから4回目の正月を迎えることができました。手術直後は正直なところ、まさか4度目の正月を迎えることができるとは思っていませんでした。2週間おきに診察と投薬をお願いしている先生にも、「2年は何とか生きて、欲を言えば4年は元気でいたい」と言った記憶があります。
_dsc0747

池上本門寺からの富士山です。傘雲をいただいているようです。年末年始は空気がきれいなので、富士山もいつもよりはきれいに見ることができます。
早朝に散歩をかねて池上本門寺まで初詣に行きました。自宅からは30分ほどの距離で、ちょうど良い散歩コースです。7時ではまだ参道の露店も閉まっており、初詣の人もちらほらです。

_dsc0690_3 _dsc0701
_dsc0696 _dsc0704
今年の目標。もちろん再発・転移のないことですが、私にできることは『がんに効く生活』に従った生活をすること。何よりも歩くこと。運動はがんの進行を遅くし、再発率をかなり低く抑えてくれます。余分な脂肪は身体の中の”毒性物質の貯蔵庫”です。運動は脂肪を燃焼させることで発がん物質をデトックスしてくれます。ホルモンバランスを変え、がん細胞の勢いを強めるエストロゲンやテストステロンの過剰分泌を抑えてくれます。運動は炎症やがんの成長を促進するインスリンとIGFの分泌を抑制するし、免疫システムにも直接作用します。
週6回、1回に30分間普通の早さで歩くだけで、がんの再発を防ぐ大きな効果があります。
「ともかく、歩け、歩け!」です。
_dsc0726 _dsc0727
_dsc0758 _dsc0715
川沿いの散歩道を歩いて本門寺に行き、境内でお参りをして写真を撮って、約2時間の散歩でした。

今年はチェロ・アンサンブルが3月にあります。4月は念願の淡墨桜をぜひ観に行きたいと考えています。
EclipseでJAVAを使ってAndroidのプログラムを作らなければならない。これも今年の課題です。

« 2010年12月 | トップページ | 2011年2月 »

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

膵臓がんランキング

  • あなたは独りではない。闘っているたくさんの仲間がいます。

膵臓がん お勧めサイト

アマゾン:商品検索

がんの本「わたしの一押し」

スポンサーリンク

がんの本-リンク

  • がん患者が選んだがんの本

サイト内検索

ブログ村・ランキング