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2011年3月

2011年3月30日 (水)

てんやワンや

金曜日の夜から二匹のヨークシャーのお兄さんの「竜馬:14歳」の様子がおかしくて、立ち上げれない。立ち上がってもすぐに転ぶ。夜は痛みがあるのか、じっとしていない。目もうつろで元気がない。食欲もなく、尿も垂れ流す。そんな状態でした。
翌日動物病院に連れて行ったら、超音波検査、血液検査、尿検査の結果、「慢性腎不全」の疑いがあると言われて、緊急入院しました。最初は「膵炎か膵臓がんの可能性も」と言われた妻は、一瞬ぎくっとしたそうです。膵臓がん患者が2人(?)になったらたまらないと思ったのでしょう。

点滴に輸液、一晩預けて翌日も夕方までずっと点滴です。さすがにイヌも家族も疲れてしまいました。

今日は病院が休診日ですので、自宅で輸液60ccを皮下注射しています。おかげでずいぶんと元気が出てきました。
問題は腎臓の機能が3割しか働いていないとのこと。慢性腎不全なら命も危ないのですが、この間の治療のおかげか、BUN、クレアチンの値も、まだ高いですが、しかし正常値の上限あたりまで落ち着いてきました。

少しほっとしているところです。しかし、毎日皮下注射をするようになると大変だなぁ、と今から心配です。医療費もすでに6万円は超えています。

震災のこと、原発のことで書かねばと思うこともたくさんありますが、しばらくは時間がとれそうにありません。

2011年3月23日 (水)

SPEEDIの情報を公開せよ!

SPEEDIは本来、現在のような事態になったときに迅速に放射能の拡散をシミュレーションして公開するために開発したはずです。しかし、政府は必死で秘匿しようとしています。私はまだデータ揃わないのだとばかり考えていましたが、朝日新聞によれば、地震発生の2時間後から、1時間毎に予測値を報告しているという。

住民の被曝(ひばく)量や放射性物質が降る範囲の予測を国が公表していないため、研究者らから批判が出ている。文部科学省が委託した機関が1時間ごとに計算し原子力安全委員会に報告しているが、国は「データが粗く、十分な予測でないため」と説明している。

 同センターによると、11日の地震発生約2時間後から、東京電力・福島第一原発について計算を始めた。放射性のヨウ素や希ガスについて、放出量の見積もりを何段階かに変化させて計算。1時間ごとに2時間後までの被曝予測データを、原子力安全委員会に報告しているという。

 原子力安全委員会事務局は「放射性物質の種類や量、放出時間などの推定が粗いので、避難などの判断材料としては使っていない。その状況なので軽々しく公表できない」と説明している。

 福島第一原発から出た放射性物質の拡散予測について、米原子力規制委員会(NRC)は「あくまで推定で、実際とは異なるかもしれない」と注釈つきで公表。米国はこれらを参考に原発から半径80キロメートル以内にいる米国人に避難を勧告した。また、フランスやオーストリアの研究所なども拡散する様子の動画をホームページなどで公開している。

なぜ公表しないのか? その予測結果があまりにも厳しいからではないのか? 私も海外のサイトが公開した動画を見たが、インターネットが普及した時代に、国内だけで情報を隠そうとしてもむだだということが理解できていないようです。

Wshot00216_2

地球規模(26日まで)
irsn.fr/FR/popup/Pages/irsn-meteo-france_19mars.aspx
仏放射線防護・原子力安全研究所

被曝線量
irsn.fr/FR/popup/Pages/animation_doses_corps_thyroide_17mars.aspx
仏放射線防護・原子力安全研究所

物質飛来(これが元のURL)
irsn.fr/FR/popup/Pages/animation_dispersion_rejets_17mars.aspx
仏放射線防護・原子力安全研究所

自民党の河野太郎氏がブログで怒っています。

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)というシステムがある。緊急事態が発生した際に、気象観測情報、アメダス情報と放出核種、放出量等の情報を入れることにより、六時間先までの希ガスによる外部被曝線量や甲状腺等価線量などをシミュレーションすることができる。

事故発生後から、この情報の開示を自民党の対策本部として政府に求めてきたが、全く開示されない。

その一方で、ある海外メディアからSPEEDIによる計算結果の二次元表示を見せられて(つまりリークか?)、なぜ、これが公表されないのかという質問を浴びる。

それが本物かどうかもわからないため、昨日22日は答えられず。

23日朝9時から、官邸、文科省、原子力安全委員会にそれぞれ電話するも、三者ともそれぞれ自分に公開する権限はないと力説するだけ。

このシステムを持っているはずの文部科学省に、「原発の緊急事態のSPEEDIに関する情報の担当部署をお願いします」と電話すると、「原発に関する情報はスピーディにお出しするようにしています」。思わず、頭に上っていた血が降りてきた!

十数分後に事務次官室に電話が回され、何度目かの「SPEEDIの担当部署をお願いします。」「少々お待ちください」と言われ、待たされていると、スピーディってどこの部署と電話の向こうで騒いでいる。ようやく回されると、「3日前から原子力安全委員会に移りました。」

その原子力安全委員会も官邸も誰が開示できるのかまるで把握していない。

あげくのはてに、「事故で情報が取れないので正しい数値を入力できず、どれだけ意味のある情報になっているか」。本来、事故のための「迅速」影響予測システムのはずなのに。

枝野官房長官は「SPEEDIによると、東京電力福島第1原子力発電所から30キロ圏外の一部でも、1日あたり100ミリシーベルトの被曝線量になるケースが出たことを明らかにした。」と報道されたので、官邸にはそのデータが届いていることは明かです。

国民に迅速に情報を提供するという約束はどうなったのですか?

「あらたにす」に慶應大学教授 竹森俊平氏が寄稿して次のように述べています。

福島第一原発から退避圏内を20キロと定めた日本政府の方針に対して、問題の調査に訪れた米国原子力規制委員会ヤツコー委員長の定めた米国人の退避圏内が 80キロという事実は、内外問題認識の差をもっとも明確に示す事例と言えるだろう。これについて3月17日のニューヨーク・タイムズは「Japan Offers Little Response to US Assessment(日本側はアメリカ政府の判断にほとんど反応していない)」という記事で、なぜ、この食い違いを日本のマスコミがもっと追究しないのかと訝っている。もし、米国政府の決定が「過剰反応」なら、それを証明する事実を提示するべきだし、もし、そうでないなら、日本政府に「退避圏内」の正当性を問えばよいのに、と日本のマスコミの姿勢を批判しているのだ。

このようなときのために税金を使って開発したシステムではないですか。それともJCO事故の時に、SPEEDIが安全だと予測した避難所で大量の中性子線が測定され、SPEEDIの信頼を落としたことがトラウマになっているのでしょうか。

原子力安全委員会が作成した「原子力施設等の防災対策について」では97ページに、

SPEEDIネットワークシステムを用いた予測線量の算定について
 
緊急時において、適切な防護対策を実施するためには、予測線量を迅速に得ることが必要となる
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDIネットワークシステム)は、地形の影響を考慮して、放出源情報、気象情報等を基にして、放射性プルーム(放射能雲のこと)の移流拡散の状況を計算し、希ガス等からの外部被ばくによる実効線量、ヨウ素の吸入による甲状腺等価線量等を表示用端末機の画面上に図示することができる。
このシステムでは、緊急事態の発生したサイトに係る情報(放出核種、放出量等) 、各地方公共団体の連続モニタのシステムの気象観測情報、気象庁の数値予報格子点データ及びアメダス情報等を入力することにより、風向・風速等の予測処理と、それに基づく放射性プルームの移流拡散の状況を計算する。緊急時には、文部科学省からの指示により計算結果等の表示を行い、原子力災害対策本部等の関係機関においてこれらを活用することができる

と書かれてあるんですが・・・。元ボイラ技師の髙木文部科学大臣、”想定能力のない”東芝出身の斑目春樹委員長殿。

*************************

やっと公表しましたね。しかし、ヨウ素131とキセノン・クリプトンなどの放射性希ガスによる甲状腺被ばくの予測だけです。セシウム137による影響は入っていない。

放射能の拡散

●原子力安全委員会の斑目委員長が、本日の参議院予算委員会で「想定を超えたものだった。今後の原子力安全・規制行政を抜本的に見直さなければいけないと感じている」と語った。いまだに「想定外」と、自らの「想定能力のなさ=無能」に気付いていない。

●昨日のハイパーレスキュー隊の被ばく線量に対する私の記事に関して、いろいろとコメントをいただきました。追加で以下の事実のみをアップしておきます。(財)放射線影響協会の集計によれば、平成21年度の原子力関係に従事する放射線業務従事者の被ばく線量で、20~25mSv被ばくした従事者が7名います。過去8年間でも毎年1名以上がこの被ばく線量となっています。(放射線業務従事者の年齢別線量 [平成21年度])しかしこれがニュースになったことは一度もありません。

●福島原発の事故のみが大きく取り上げられていますが、東北電力女川原発でも津波に襲われています。女川原発周辺の環境放射線測定を行なっている重要な拠点である宮城県原子力センターは壊滅状態とのこと。職員2人と女性事務員2人が行方不明だそうです。隣の原子力保安検査官事務所兼原子力防災対策センターも同様で、所長さんは行方不明。防災対策センターが海抜2mの場所にあるというのは、津波のことはまったく想定しないで建てているのでしょう。「原子力は安全だ」と言ってきた手前、自分たちの建物だけを高いところに造るわけにはいかなかったのでしょうね。「安全神話」の犠牲者だとも言えます。

●3/19のこのブログで「半径100kmの県民を疎開させるべき」と書きました。唐突の印象を与えたかもしれませんが、私だけの考えではなさそうで、琉球新報が20日付社説で次のように書いています。全文を紹介します。

大震災・放射性物質拡散 「石棺」方式の決断検討を
2011年3月20日

 東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第1原発で今、何が起きているのか。日本政府の説明では全容がつかめない。
 放射線量について「直ちに人体に影響を与えるレベルではない」と繰り返す。しかし実際に発表されている線量は、1時間当たりの瞬間的な数字だ。それを1年間浴び続けた量と比較して問題ない、と説明している。明らかにすり替えている。
 各国の対応は対照的だ。自国民を日本の退避圏より遠くに避難させた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米原子力規制委員会の「非常に困難な」危機的状況との見方を伝え、解決に数週間かかる可能性があると報じている。
 炉心溶融や使用済み核燃料プールの水位低下などが連鎖的に発生し、国際評価尺度(INES)の暫定評価は、より深刻な「レベル5」に引き上げられた。
 米国はすでに横田基地に化学、生物、放射線、原子力に関するコントロールセンターを設置した。
 原発から放射性物質が拡散し続けている。この事実は重い。
 1都6県の水道水から微量の放射性ヨウ素が検出されている。
 福島県内の牛の原乳と茨城県のホウレンソウから食品衛生法の放射能の暫定基準を超える放射線量が検出された。厚生労働省は「仮に食べても直ちに健康被害の懸念はない」としている。冷静に対応してほしい。
 政府は放射線量のデータを含め直ちに正確な情報を国民に提供すべきだ。
 放射性物質は海外に拡散している。米国カリフォルニア州にごくわずかな放射性物質が観測された。欧州に到達する可能性もある。
 米紙USAトゥデーは専門家の話として、最悪の場合、使用済み燃料プールの水がなくなり燃料が発火。極めて強い放射性物質が80キロ以上遠方まで拡散する恐れがあると報じた。
 放射能の影響を受けやすい妊娠中の女性(胎児)や幼児、子どもたちは、万一に備えてできるだけ遠くに避難することを勧める。
 海水を注入した施設は廃炉が当然だし、現在の冷却作業の効果が限定的なら、これ以上の放射性物質の拡散を防がなくてはならない。旧ソ連のチェルノブイリ原発のように、原子炉をコンクリートで固めて放射性物質を封じ込める「石棺」方式も検討すべきときだ


本土の中央紙の「安全だ」報道と比較して、沖縄のマスコミの方が核心を突いています。「石棺方式」と県民の一斉避難も検討すべき時です。

文部科学省のホームページのトップに「全国の放射線モニタリング状況」が掲載されています。空間線量率の時系列データをグラフで表示しているので、現在の状況が非常に分かりやすく把握できます。茨城県(水戸市)のデータを見ると少し不安になります。
Wshot00214

「定時降下物の調査結果」では、3月20日のデータで、茨城県ひたちなか市(福島第一原発からの距離は122km)の土壌が異常な値を示しています。野菜から放射能が検出されているのですから、土壌が汚染されているのは当然ですが。

Wshot00215

ヨウ素131が93,000MBq(メガベクレル)/平行キロメートル、セシウム137が13,000MBq/平方キロメートルです。1㎡に換算すれば、それぞれ93,000Bq(ベクレル)と13,000Bqになります。チェルノブイリ原発事故後には広範囲の土壌がセシウム137で汚染されましたが、そのときの値は50万Bq/㎡と言われています。この土地に1年間住んでいれば、セシウム137からだけで1mSvの被ばく量になります。(その他の核種を加えれば10倍以上)それに比べれば、ひたちなか市の値は38分の1ですが、122kmの地点でこの値ですから、原発周辺では相当汚染されていることが予想されます。住民はもとの街に帰ることができるのでしょうか。

文部科学省が詳細航空サーベイなど、原発周辺の全域を測定する準備をしているようです。測定結果を待ちます。

今日は主として客観的データをアップしました。

2011年3月22日 (火)

第11回 いのちに感謝の独演会、受付始まる

毎年恒例の、樋口強さんの独演会。今年も申し込み受付が始まりました。

「第11回 いのちに感謝の独演会」
●日時:2011年 9月18日(日) 午後1時~ (約3時間)
●木戸:ご招待 (対象:がんの仲間とそのご家族限定 各優先枠毎に先着順)
●会場:東京・深川江戸資料館小劇場(地下鉄大江戸線・半蔵門線「清澄白河」駅 徒歩5分)

申し込みはこちらからです。

また、樋口さんの活動が「シチズン・オブ・ザ・イヤー」を受賞したとのことです。おめでとうございます。

シチズン・オブ・ザ・イヤーを受賞

がんの仲間とそのご家族だけをご招待して希望と勇気を分かち合おうと、開催してきました「いのちに感謝の独演会」が昨年の2010年で10年を迎えました。
このことが、「市民に感動を与える社会貢献活動」として、「シチズン・オブ・イヤー2010」を受賞しました。この賞は、シチズン社が20余年に亘って「市民が市民に伝える感動」をテーマに続けている表彰で、たいへん意義深く受け止めております。
また、関係する皆様に長年支えられて続けてこられたことに深く感謝いたします。

不謹慎だとの批判は覚悟ですが

東京消防庁の50人の活躍です。高線量の原子炉の近くでの作業は、放射線が目には見えないだけに相当のストレスだったに違いありません。このような高線量域ではなかったのですが、私にも経験があります。放射線源のコバルト-60が容器から脱落して収納不要になり、放射線源を手作業で容器に戻す必要があったのです。ガイガーカウンタが激しく連続して鳴る音を聞きながらの作業は気が気ではないのです。しかし、作業が終わって個人被ばく線量計の数字を見ると、あっけないほどの少ない線量でした。もちろん事前に綿密に行動を計画して、遮蔽材を準備しての作業でした。

東京消防庁の方々の被ばく線量は、最大で27mSvだと報じられています。これなら、政府の言い方を借用すれば、CT検査の2、3回程度の被ばく線量です。記者会見した消防隊長が涙ぐんだり絶句して、テレビもそれをさも英雄的行為であるかのように報じていますが、私にはやらせか過剰反応としか映りません。枝野官房長官もNHKの水野解説委員も、その他の専門家と称するコメンテーターも異口同音に「100mSvは安全だ。健康に影響するレベルではない」と言ってきたのではないですか。27mSvの被ばくをともなう作業で大騒ぎするとはどういうことでしょうか。彼らの行動をどうのと言うのではありません。作業が終わるまでは実際の被ばく線量は分からないのだし、初めての原子炉事故への対応ですから、決死の覚悟だったに違いありません。彼らだから成し遂げられた立派な行為です。しかし、(政府の言い分では)たいした被ばくではないことを忘れてしまっているようです。

たまたま27mSvですんだのではないのです。事前に十分に遮蔽や作業時間を考慮して、予測被ばく線量を計算してから作業をするのです。作業中も絶えず環境の線量率を監視しています。100mSvを超える恐れがあれば、作業などさせません。最初から安全だと分かっている計画に対して、さも危険だったのだというような報道には我慢がなりません。27mSvの1回だけの被ばくは英雄的で、一般人の100mSvの被ばくは安全だというのはダブルスタンダードだろう、と言いたいだけです。100mSv程度は安全であるのなら、彼らの行動は安全な風車に突進したドンキホーテとロシナンテということになりはしませんか? そこでテレビで「安全だ」と解説している専門家、たとえば東大附属病院の中川恵一先生に質問しますが、27mSvの被ばく線量は、英雄的と賞賛されるような危険な被ばく線量でしょうか、それともまったく健康には影響のない被ばく線量なのでしょうか?

2011年3月21日 (月)

「想定外」とは「想定する能力がない」ということ

20日のチェロ・アンサンブルホリデー2011は中止になった。ま、当然だが、この一週間チェロをケースから出していなかった。昨日出したら、無事を確認できた。

「想定外とは想定する能力がないということ」とどこかの大臣が言っていましたが、専門家の想定というものもあてにならない。

想定能力のない例

  • SPEEDIにアクセスが集中して繋がりにくい
    テキスト版でなんとか提供しているようだが、原子力事故を想定したシステムなのに、この程度のアクセスが集中しただけでこんな状態。
  • SPEEDIに「原子力施設等の防災対策について」という原子力安全委員会の指針があるが、13~14ページにはこのような記述がある。

「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(以下 「EPZ:Emergency  Planning Zone」という。)を定めておき、そこに重点を置いて原子力防災に特有な対策を講じておくことが重要である。この範囲で実施しておくべき対策としては、 例えば、周辺住民等への迅速な情報連絡手段の確保、緊急時モニタリング体制の整備、原子力防災に特有の資機材等の整備、屋内退避・避難等の方法の周知、避難経路及び場所の明示等が挙げられる。
EPZのめやすは、 原子力施設において十分な安全対策がなされているにもかかわらず、あえて技術的に起こり得ないような事態までを仮定し、 十分な余裕を持って原子力施設からの距離を定めたものである。

として、「原子力発電所、研究開発段階にある原子炉施設及び50MWより大きい試験研究の用に供する原子炉施設」でのEPZは半径8~10kmで十分だとしている。避難区域の半径20km、屋内待避区域が30kmの現状から見て、いかに空々しく楽観的に聞こえることか。

  • 東電は「津波が5~6mの高さでも安全性は保たれる」としていたが、非常用ディーゼル発電機や海水ポンプが水没してしまった。
    東京新聞3/19「社説」によれば、理科年表には「 明治三陸地震津波の波高はいずれも現・岩手県大船渡市の吉浜二四・四メートル、綾里三八・二メートル、同宮古市の田老一四・六メートルの記録がすでにある」という。これでは「千年に一度の想定外の津波」との言い訳は通用しない。
  • 非常用電源を確保しようとして、東電の営業所にある発電車を集めたが、コネクターの形状が合わずに接続できなかった。東北電力からの送電線を確保することを決めたのはその後であった。
    非常用ディーゼル発電機が動かない場合の想定も訓練もしていなかったということ。

柳田邦夫の『死角―巨大事故の現場 (新潮文庫)』によれば、大事故は常に些細な偶然、人為的ミスの重なりで起きる。偶然が重なることは、長い時間の間では常に起こり得るのである。科学的根拠のない「安全神話」と経済効率優先の招いた人災事故である。

「想定能力がない」とは、平たくいえばバカということ。専門的能力の欠如ともいう。

がん患者は毎日、再発・転移を「想定の範囲内」として生きている。

2011年3月19日 (土)

今公表すべきは、死の灰の拡散データだ。

茨城県のホウレン草から放射能を検出したと報道された。核種もベクレル数も不明だが、福島県の農産物・畜産物は壊滅的であろう。NHKの水野解説員は「人体に影響のないレベル」と相変わらずの(意図的に)まちがった説明を繰り返している。ホウレン草に検出されたということは、吸っている空気も水も、濃度は小さくても、ありとあらゆるものが汚染されているのだ。ホウレン草だけを食っているのではない。

文部科学省の測定では、3月19日19:00時点で、原発から北西30キロにあるNo.32地点で136.0μSv/hと発表している。
Wshot00212

「直ちに健康に影響する線量ではない」と水野解説員は言うが、一年間では
     136×24×365=1,191,360μSv=1,191mSv
であり、放射線業務従事者の一年間の許容線量50mSvの23.8倍なのである。5年間で100mSvという法律があるから、実に60年分の被ばく線量になる。生涯放射線に被ばくする仕事に従事していてもあり得ないほどの線量を、たった1年で被ばくする量だという事実を、マスコミは報道しない。
ちなみに、このような被ばくを文部科学省では「事故」といい、「大量被ばく」という。そして、その作業員は直ちに放射線作業からはずされ、千葉の放医研に送られて厳重な検査を受けることになるのである。事業者には「事故報告」が義務づけられる。マスコミにたたかれる。そんな線量が、30キロの自宅待機の距離にあるのである。しかも、この数値は外部被ばくに限った計算である。内部被ばくは考慮していない。

セシウム137はバリウム137mを経てバリウム137に壊変する過程で大量のガンマ線を放出する。このガンマ線がモニタリングポストで測定されているのであろう。空気中のセシウム137を体内に取り込むと、バリウム137mに壊変するときにベータ線を放出する。ヨウ素131もキセノン131に壊変する過程でベータ線を放出する。体外被ばくはガンマ線が怖いが、内部被ばくはアルファ線、ベータ線のほうがこわい。それはごく小さい距離しか跳ばないからであり、ごく薄い物質で遮蔽されるからである。つまりは放射性物質のごく近傍の細胞だけを放射線が叩く。発がん作用が大きくなる。

政府は半径100kmの県民を全員疎開させるべき時期になったと、私は考える。アメリカなどの諸外国は80km以内は待避するように自国民に勧告したが、この処置の方が正しいのである。

今必要なのは、

  • どのような核種が
  • どの程度
  • どの方向に

拡散しているか。そのデータを公表することである。SPEEDIはそのためのシステムではなかったのか。まったく期待された機能を果たしていないではないか。

核種の同定にはアルファ線、ベータ線、ガンマ線のエネルギーを測定する必要がある。しかし、茨城県にはたくさんの原子力関係の施設・研究所がある。そうした計器を持っているし研究者もいる。どうして測定して公表しないのか。

モニタリングポストはガンマ線・中性子線など電離放射線の空間線量率を測定しているだけである。原子炉の周辺では重要なデータではあっても、それ以外の地域では、空気中に放射性物質がどれくらい漂っているのかの「指標」でしかない。これで人体の被ばく量を推定して安全だと報道するのは、無知であるばかりではなく、事実の隠蔽である。

2011年3月18日 (金)

SPEEDI(環境防災Nネット)

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)といういかめしい名前のシステムが立ち上がっているはずだと検索したのですが、「環境防災Nネット」として存在していました。

原発事故が起こった際には、ここに放射性物質の放出量、風向き、降雨、地形データをインプットして汚染状況をチェックして数時間先の放射性物質の動きや広がり具合を予測しようというシステムです。
が、現在、各地の空間線量率がアップされているだけです。
現在の各県の最大値などが一度に把握できるという点では役立ちます。
モバイル版もありますから、URLを携帯電話などに入れておけば役立つかもしれません。

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緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI:スピーディ※)は、原子力発電所などから大量の放射性物質が放出されたり、そのおそれがあるという緊急事態に、周辺環境における放射性物質の大気中濃度および被ばく線量など環境への影響を、放出源情報、気象条件および地形データを基に迅速に予測するシステムです。

 このSPEEDIは、関係府省と関係道府県、オフサイトセンターおよび日本気象協会とが、原子力安全技術センターに設置された中央情報処理計算機を中心にネットワークで結ばれていて、関係道府県からの気象観測点データとモニタリングポストからの放射線データ、および日本気象協会からのGPVデータ、アメダスデータを常時収集し、緊急時に備えています。

 万一、原子力発電所などで事故が発生した場合、収集したデータおよび通報された放出源情報を基に、風速場、放射性物質 の大気中濃度および被ばく線量などの予測計算を行います。これらの結果は、ネットワークを介して文部科学省、経済産業省、原子力安全委員会、関係道府県お よびオフサイトセンターに迅速に提供され、防災対策を講じるための重要な情報として活用されます。

とあるのですが、まだその役割を果たしていないようです。宮城・福島のデータがない状態では無理なのかもしれません。しっかりしろよ!

エックス線・ガンマ線・ベータ線の空間線量率に関しては、Gy(グレイ)=Sv(シーベルト)です。(n:10^-9,u:10^-6)

nGy/h=1000μSv/h

で換算できます。

ジタバタしなさんな。

昨夜は大規模停電の可能性があるということで、息子も娘も早めに帰宅しました。幸い大規模停電には至りませんでしたが、電気を最小限にして過ごしました。自宅を建て替えるときにオール電化を勧められたのですが、インフラやエネルギー源をたったひとつに頼ることはリスクが大きいからと断わったのでした。正解でした。風呂も台所もガスです。暖房もガスファンヒーターですから、エアコンほどの電力は消費しません。もっとも電気が止まればファンヒータも風呂の循環もできませんから、利用できませんが。水道も加圧ポンプを使っていませんから、水道局が断水しなければ3階までなら水は来ます。高層マンションは脆弱です。エレベータが止まったら外にも出られません。本当に何が安心な生活なのか、これから見直しが迫られるでしょう。「スローライフ」がキーワードになるような気がします。

災害用ラジオの電池が単2で、これが店頭になくてどうしようかと思っていたのですが、ダイソーに行くと入荷していました。一人一個という制限ですが、これでしばらくは安心です。パナソニックなども電池を増産する体制に入っていると聞きます。買い占めなどしなくて大丈夫です。

近所のパン屋さんでは、朝の8時には行列ができていて、一人で10斤も買っていく人がいると言います。そうした人の多くが、普段は買いに来たことのない人だとも。買い込んで冷凍しても、電気が来なくなればカビが生えるでしょうに。米屋にコメもありません。保存の利くものはほとんどが品切れという状態です。おかげで生鮮食料品はたっぷりと売れ残っています。イチゴ・リンゴ、肉や魚も結構あります。豆腐など買い手がない様子です。だから昨夜はすき焼きにしました。この際ですから玄米菜食は忘れて、ビールと牛肉をたっぷりといただきました。(被災地の方には申し訳ない思いですが)がんとの闘いも体力が基本、災害時にも体力がないと乗り切れません。

メルトダウンが起き、東京に放射能雲が流れてきても、すぐに死ぬような危険が迫るわけではありません。逃げるにもある程度の時間的余裕はあります。ジタバタと逃げ出しても途中で渋滞に捕まり、身動きとれずに大量の死の灰を浴びるというシナリオの可能性が高いでしょう。家族に若い世代がいなければ、じたばたしない方が良い。

少々の被ばくをしても、がんになるのはだいぶ先の話です。(既にがんを2度もやった身体だし、いまでもがん細胞があるはずだと思っています)妻や子供の将来に発がんのリスクが増大するでしょうが、心配したってしょうがありません。せめて半減期の短い核種が減衰する期間は屋内退避して、買い置きの水とコメで過ごせば良いのです。学生時代、ご飯と味噌あるいはインスタントラーメンで数ヶ月を過ごしたこともある世代ですから、その気になればどうってこともないでしょう。がんになったって、その原因が原発のせいか、食べ物か喫煙なのか、医療被ばくのせいなのか、誰にも分からないのです。全体としてみれば、がんになる人が増加するということであって、自分がその一人なのかどうかは分かりません。統計的にしか分からないのです。これって、がんの生存率曲線、余命などと同じですね。直接の因果関係が明らかになることは希であり、多くの事象の因果関係は統計的にしか分からないのです。

だったら、がんに対する考え方と同じですよ。今日でなければできないこと、今やるべきことをしっかりとやる。あとは運を天に任せる。何が起きようと受け入れる。じたばたしたってしょうがないです。60歳以上の人間は、避難するときには若者に先を譲り、最後まで残りましょうよ。普段の災害とは違います。放射能事故では災害弱者は妊婦・子供、ついで若者です。老人は「放射線災害強者」です。今回の被ばくが原因でがん細胞のDNAに異常が起こっても、1㎝の腫瘍に成長するには20年かかるのです。それまでに寿命が来ているかもしれません。

テレビのインタビューで80歳くらいの方が放射線が怖いと言っていましたが、いったい何歳まで生きるつもりなのかと思ってしまいました。もっとも放射線に対する知識がなければ当然の反応ですから、ご本人を責めることはできません。

昨夜、食事をしながら「東京に放射能が来たらどうする?」と訊ねたところ、みんな「この家にいる」と。なぜなら我が家には2匹のヨークシャーテリアがいて、避難所には犬は受け入れてもらえないだろうから、というのがその理由でした。犬を中心にして決めるのか?と思われるかもしれませんが、それで良いのです。災害時は弱者の立場を考えて行動するべきだと思います。ペットも弱者です。

ただし、この事態が運良く収束したら、原発を推進した政治家(中曽根、正力)、それに安全だとお墨付きを与えた科学者や技術者は、過去の自らの発言・論文を掲げて責任を明らかにすべきだと、強く言いたい。この事態になってもなお、「福島第一はGEのMark-1で古い型である。第二は大丈夫だったではないか。」(だから想定外の例外だと言いたいらしい)とコメントした専門家がいた。必ずそうした議論になってくるにちがいありません。しっかりと監視する必要があります。

団塊の世代よ、ジタバタしなさんな。

2011年3月16日 (水)

原発周辺の妊婦と子供は疎開すべきだ。

文部科学省の測定によると、福島第一原発から20kmと少し離れた場所で、昨夜最大で0.33ミリシーベルト/時間の空間線量率を測定したという。(以後、mSvと表示する)

ニュースはこれに対して「3時間外出しても健康に影響はない」と付け加えることを忘れない。どうも報道に規制がかかっているようで、NHKの原子力担当の解説委員が健康への影響を話している最中にイヤフォンで指示があった様子で、言葉が詰まっている場面もあった。「健康への影響はない」とか「1年間の公衆の許容限度を3時間で受ける量であるが、直ちに影響が出るわけではない」とコメントするのは、「言葉のレトリック」ではないのか。

放射線・放射能の影響を考える場合の基本を平易にまとめておく。

  • 放射能と放射線の違いを理解すること。(例:ホタルとホタルの出す光)
  • 外部被ばく内部被ばくの違いに注意してニュースを見る。
  • 発表されている放射線の値は、電離放射線(エックス線・ガンマ線)による空間線量率である。内部被ばくについては口をつぐんでいる。
  • その場所にいた場合に、人体に対する外部放射線による外部被ばく線量は、空間線量率×時間である。
  • 空気中に放射能を持った死の灰が浮遊していて、それを肺などに取り込んだ場合は、内部被ばくとなるが、個の被ばく線量は推測でしか分からない。
  • 「健康に影響はない」というのは、外部放射線による外部被ばくだけを考慮しているのである。
  • 屋内に退避していても、木造家屋では電離放射線を遮蔽することは難しい。放射能を持った浮遊物を屋内に入れないことで被ばく量を減らすことを考えるべきである。
  • したがって、「数時間外出する程度なら問題のない放射線量」というのは、建物の中に放射性物質が侵入していないというかぎりにおいて言えることであるが、その保証はない。

放射線と放射能の違いは、よくホタルの例で説明される。ホタルが出す光が放射線であり、放射線を出す物質=ホタルが、放射能である。今回の事故は、かごに入っているべきホタル(放射能、核燃料)が外に大量に飛び出して、あちらこちらで光(放射線)をまき散らしている状態である。割合は少ないにしても、ホタルは屋内にも入ってきている。(こちらの資料

0.33mSv/hがどの程度の放射線量であるか、比較できるようにしてみた。

  • 放射線管理区域の境界では、1.3mSv/3月
    3ヶ月の累積線量で、1.3mSv以上は「管理区域」として放射線業務従事者以外は立ち入ることができない。(実際は内部被ばくのある場合など複雑だが、省略)
  • 許可事業所の境界では、0.25mSv/3月
    放射線を取り扱う事業所(福島原発も該当する)の境界における制限値。公衆の許容できる被ばく線量=1mSv/年に相当する値である。
  • 放射線業務従事者の被ばく限度、50mSv/年(ただし、5年間で100mSvを超えないことであるから、実質的に20mSv/年である)
  • 1回の緊急作業における放射線業務従事者の限度、100mSv
    これを今回は250mSvに引き上げると文部科学省は決定した。

0.33mSv/hという空間線量率は、わずか4時間で管理区域の境界線量を超え、その場所に2週間滞在すれば、緊急時の放射線業務従事者の限度である100mSvを超えてしまう被ばくとなる。これは屋内にいてもほぼ同じであろう。つまり、おそらくは、通常なら半径20~50kmの範囲を放射線管理区域としなければならないような線量になっているのである。すでにスリーマイル島原発事故のレベルを超えている事態である。

文部科学省は、避難所での線量率を測定して公表すべきである。「直ちに影響が出るという線量ではない」という枝野官房長官の説明は、間違いではないが、「後から発がんリスクの増加」として影響するという意味である。政府もマスコミも「内部被ばくによる発がんリスク」に口をつぐんでいる。

ただし、必要以上に怖れることも不要である。医療被ばくなら、

  • 胸部レントゲン撮影では、0.3mSv
  • 1回のPET検査では、5mSv
  • 1回のCT検査では、15~20mSv

である。問題は、今回の事故では連続して、妊婦・子供にかかわらず被ばくするということ。発がんリスクを今心配しても致し方あるまい。

政府はパニックを怖れて真実は小出しにする。本当の危険が迫ったときには脱出は不可能である。政府が避難勧告を出そうとしないのなら、妊婦、子供は直ちに、なるべく遠くに疎開すべきである。

首都圏にいる春休み中の学生は帰省した方が良い。

2011年3月15日 (火)

政府は、妊婦と乳幼児を直ちに避難させよ!

福島原発事故は、ここ一両日中が山場だと思う。
政府は、一刻も早く避難の準備をすべきである。国民にもその準備をするように告げるべきである。しかし、多数の人間が一度に避難することは物理的に不可能である。混乱と事故の元になる。受入先だって用意できない。
今は、妊婦と乳幼児の避難を進めるべきだと考える。避難先は、少なくとも図の「緩い避難基準」の範囲外である。

国民はパニックになるべきではない。確かに放射線は怖いという意識がある。しかし、半径20~30キロ圏外にいれば、急性死はほぼ免れる。それ以外の地域では放射線の晩発障害による発がんリスクが大きくはなるが、がんになった場合に、それが今回の事故が原因かどうかは分からないのである。(他の原因と区別ができないということ)

原発事故…その時、あなたは!』より被害の想定図を掲載する。福島第一6号炉が最大規模であるので、それを想定している。
あくまでも最大の爆発事故があった場合に、ある気象条件の下での試算であることに留意して欲しい。図①は急性障害による死者の数と割合(%)、図②は晩発的影響(発がんによる死者の数)、図③は、長期避難をすべき範囲である。セシウム137の半減期が約30年であり、その10倍(放射能値が1/1024となる期間)とすれば300年間は人が住めない地域である。「緩い避難基準」は旧ソ連のチェルノブイリ事故の基準に従っている。「厳しい避難基準」は白ロシア共和国が設定した基準である。

これらの試算は、風の吹く方向によって違ってくるが、最大となる場合を表示している。

__09

我々は、冬暖かく夏涼しいという快適な生活と引き替えに、今回のようなリスクを承認してきたのである。ここは慌てることなく対応しようではないか。「慌てることなく」というのは、取りあえず急性障害を避けることに専念し、晩発的影響(発がんリスク)は、これからの医学の進歩に任せようということだ。「一個の原発で、百万年に一度しか起こらない」という専門家の詭弁にだまされた結果、それが3~4個も同時に起き、1000年に一度の大地震・大津波も同時である。津波の被災者に、ロシアンルーレットを突きつけているのである。

避難するにしても、県境での橋がネックとなり大渋滞になる。車での避難は逃げ切れずに放射能曇に晒されることにもなりかねない。要は、風向きとその日の天候、降雨の可能性を総合的に判断するべきだ。密閉された室内で、半減期の短い核種が減衰するのを待つという選択も有り得る。
参考となる資料をアップする。<「genpatu-jiko.pdf」をダウンロード

膵臓がん患者である私は、これからもうひとつがんが増えたって、どうってこともあるまい。その前に膵臓がんで寿命になっているはずだ。だから、東京から避難はしない。当面は情報を見守っている。

あくまでも最悪の場合のシュミレーションである。パニックになるべきではない。万一(?)に備えよということである。

この記事が杞憂に終わってくれることを願っている。

2011年3月14日 (月)

祈る!

福島原発の制御室はいま、修羅場だろう。不眠不休の英雄的な闘いが続いているに違いない。限られた情報しかない状態で難しい決断を、瞬時に決定しなくてはならない。これまで誰も経験しない事態だ。マニュアルなんか役にたたない。あらゆる可能性を追求しているはずだ。消火用配管から海水を注入するという、残された最後の手段だろう。そこまで追い詰められている。ポンプ車の燃料切れで海水が注入できないという、予想もしないような事態が発生した。これを責めているが、大事故は常に「想定外」の偶然が積み重なって起きるものであり、今回の事故そのものがいくつもの「想定外」の連続ではないのか。

起きる可能性のあるものは、必ず起きるのである。

しかし、今は反原発論議をしている場合ではない。何としてでもメルトダウンを食い止めなければならない。自らの命の危険をものともせずに、修羅場の制御室で奮闘している東電の方々に、声援と祈りを送る。

福島第一3号炉はプルサーマル燃料だ

今日爆発した3号炉は、プルサーマル燃料(MOX)を入れています。
プルトニウムは猛毒。通常のウラン燃料ならともかく、プルトニウムが飛散すると大変なことになる。(17時現在、格納容器は無事のようです。)
***********************
東京電力 福島第一原子力発電所3号機 2010年平成22年)9月18日より試運転開始。同年10月26日より、営業運転を開始[9]

プルトニウムとその化合物は人体にとって非常に有害である。プルトニウムはアルファ線を放出するため、体内に蓄積されると強い発癌性を持つ。
以上Wikipediaより
***********************

報道の問題点:
正門付近で1500マイクロシーベルト/時間とかの数値が報道されているが、これは外部放射線の線量率であり、問題は放射性物質による内部被ばく。

外部(からの)被ばく=レントゲン検査
内部(からの)被ばく=PETでの検査

と考えてみれば、その違いが分かる。

放射線と放射能のちがいを混同している報道が多いが、今から問題になるのは内部被ばく、「放射能=放射線を出す物質」だ。1時間で公衆の年間許容量だから云々という議論は、外部放射線による外部被ばくのことであり、的外れの報道である。何処のテレビだったか中川恵一氏が出てきていたが、医療放射線の専門家ではあっても、原発事故には不適切な人選だ。的外れなコメントをしていた。

ウラン燃料の場合、内部被ばくは健康に影響が出るまで(発がんリスクが高くなる)相当の時間がかかり、急性障害(即死する)ようなことは東海村JCOのような事故でもないかぎりあり得ない。内部被ばくの場合は「預託線量当量」が問題になるが、この値は測定することは通常困難であり、鼻腔内から採取されて放射性物質から推測するしかない。ホールボディカウンターで体内からのガンマ線を測定して推定する方法もあるが、いずれにしろ推測値である。預託線量当量は、50年間のリスクとして計算されるが、一般人については70歳までと定義されている。つまり、内部被ばくが問題になるのは、主に子供・妊婦などである。20k圏以外であれば、必要以上に怖れる必要はない。この点で政府の言っていることは正しい。

しかし、3号炉の爆発で、仮にプルトニウムが飛散したとなると、この仮定は成り立たない。プルトニウムは、化学的にも史上最悪の猛毒であると共に、α線という飛程の短い放射線を出すため発がん性が強い。化学的毒物であると共に、強い放射性毒性を併せ持っている希な物質である。

現状では危険ではないが、格納容器が破損しないように、万全の対応を祈るしかない。

取り急ぎ羅列した。

2011年3月13日 (日)

【被災地のがん患者さんへ】

被災地の方に、こころよりお見舞い申し上げます。

J-CAN 地震被災者のための医療情報ブログ

がんのチームオンコロジー、上野直人先生のブログより転載させていただきます。


がんに関わる医療従事者、がん患者、がん患者の家族として自然災害の時になにが出来るか。
もちろん自然災害における救急医療が最優先であるが。時間がたつにつれて被災地の限られた状況で、がん医療をどのように維持できるかが大きな問題となる。

つまり過酷の状況の中でもがん専門医療として出来る事がたくさんあります。

【患者と家族向け】
1. 化学療法を受けている人は被災地における救助あるいは後片づけ作業をしないようにまたさせないように。抗がん剤により免疫がおち感染しやすいです。 カトリーナハリケーンの最大問題でした。

2. 抗がん剤で食欲が無ければ、まず食べる事よりも水分補給して下さい。がん患者は脱水しやすいので、健常者よりも十分に水分補給を。スポーツ飲料が一番。 スポーツ飲料が無ければ多少砂糖と塩を水に加えて下さい、吸収がよくなります。

3. 内服薬の抗がん剤を飲んでいる被災地の方へ。がん専門医療従事者が身近(みぢか)に無ければ飲むのを控えた方が良いかもしれません。特に抗生物質との組み合わせには気をつけて下さい。

4. 最近、静脈からの抗がん剤を受けた人は速やかに被災地から出て下さい。免疫抑制がかかっているので、被災地地域にいることをすすめません。

5..抗がん剤を他の施設でスムーズに受け入れには、薬と用量を知っているのが大切。さらにはカルテがあると最高。抗がん剤は他の薬と違い厳しい管理下にあるので人ずての情報では医師は投与しにくい。

6. チームオンコロジーの掲示板では、被災地のがん相談を受け付けています。こちらまで。

【医療従事者向け】
1. 被災地の抗がん剤受けているがん患者の受け入れている病院は名乗り出て下さい。このサイトでポストさせて頂きます。

2. 非被災地で被災地のがん患者を受けいれている病院は名乗りあげて下さい。このサイトでポストさせて頂きます。

3. Twitterで医療情報を流す時は、 #311care のハッシュタグをつけるようにしてください。

4. 本来Twitterあるいはネットでの医療相談は禁止ですが、例外として助けて下さい。Twitterでの質問はこちら

2011年3月12日 (土)

【地震連絡】

10:43

家族全員無事です。
相当揺れて、ピアノが移動したり、壁に数カ所大きな亀裂ができました。落ち着いたら調査します。
娘は歩いて帰宅、幸運にも携帯電話で連絡が取れたので途中まで車で迎えに行きました。大渋滞の中、何とか迂回路を見つけて合流。一緒に帰宅中の同僚を川崎大師付近まで送り届けてあげました。数時間歩いてきたからふたりとも相当疲れていました。
都心から川崎方向への道路は、歩道を途切れなく歩いて帰宅している人でびっしりでした。異様な光景です。なんというか、花火大会の終わった後の一斉に観客が帰宅するような感じ。違うのは楽しそうではなく、ただ黙々と足を勧めていること。途中で道ばたに座って休憩する人もたくさんでした。

大災害です。福島原発の情報が小出しにされている印象を受けます。管総理が現地に乗りこんだり、原発内で行方不明や数人が亡くなっているなど、大きな被害を予想させますが、「安全だ」という情報が流されています。本当か???

こうした災害時には、一番最後まで稼働しなくてはならないライフラインのはずの電力設備が、原発の場合は真っ先に心配しなければならない"やっかいなお荷物"になります。電気を作る設備でありながら、緊急時に外部からの電力を断たれると炉心の冷却もできないという不可思議な弱点を持っています。M8.8という超巨大地震を想定した設計にはなっていないはずです。
大事にならないことを祈るばかりです。

16:00 やはりメルトダウンか? チェルノブイリ並みになるかも。政府は真相を隠しているに違いない。

22:00 1号機の建屋は吹き飛んだが、とりあえず、格納容器は損傷していないらしい。しかし、冷却のために海水を注入するというが(専門家・コメンテータも現実的対応だと単純に評価しているが)、これは別の危険性(圧力が高まって下に水圧が加わる)を生じる。冷却する行為が、格納容器を損傷する(可能性)という、過去に例のない危険な賭となる。賭をするということは、炉心溶融(メルトダウン)が始まっているからだろう。

緊急炉心冷却装置(ECCS)がなぜ機能しなかったのか。原発の「安全神話」に寄りかかっていたのではないか。かわいそうに、NZの地震被害者の存在がかすんでしまった。

2011年3月10日 (木)

やはりイレッサは「薬害」だ

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              雨上がる


来週のアンサンブルホリディー2011も迫ってきたので、ブログを書く暇を惜しんで練習しています。低音部が多く太い弦を押さえるために、左手の小指にはチェロだこが育ってきています。

日本医学会や国立がん研究サンターの和解案に応じるべきではないという見解が出て、それには厚生労働省からの働きかけがあったということが明らかになり、調査委員会も発足しました。そもそも学会が係争中の裁判に対して見解を述べるなどという、これまで例のないことに踏み切った時点で「これはおかしいな」と感じたものでした。案の定という次第です。薬害エイズやB型肝炎の裁判では、関係する学会は沈黙を守ってきたではないですか。

薬害肝炎訴訟原告の坂田和江さんが、医療者側の誤解している点を指摘したものが、医療ガバナンス学会のメールマガジンにアップされています。坂田さんの指摘は、東京大学医科学研究所客員准教授 上昌広氏に対するものですが、内容は多くの医療者の誤解を指摘するものだと言えます。

Vol.46 薬害イレッサ訴訟について 薬害肝炎訴訟原告・薬害肝炎の検証及び再発防止のための薬事行政のあり方検討委員会委員 坂田和江

イレッサの大阪地裁判決が出て、医療者・患者の側からもいろいろな意見がでています。それらを見ていると、判決文を本当に読んだのだろうかと疑いたくなるようなものも見かけます。マスコミの報道だけで判断しているのではないかとの疑問も湧いてきます。

イレッサ大阪地裁の判決文は900ページもありますから、全てを読むのは困難であるにしても、判決の要旨くらいは読んでから意見を言うべきだろうというあたりまえの考えにしたがって、時間をかけて目を通してみました。

正直なところ、法律用語を理解するのは難しいです。アストラゼネカの製造物責任は認めたが、国の責任は認めなかったという判決ですが、私は製造物責任(PL法)を認めたことの意義は大きいと思います。企業の利益を優先した結果、人為的に拡大した「薬害」であると言えます。判決文要旨の

平成14年7月当時においては,医療現場の医師等は,分子標的治療薬についての理解は十分ではなく,医学雑誌等から情報を得るほかない状況にあった。そして,必ずしも肺がん化学療法についての十分な知識と経験を有するとは限らない医師等がイレッサを使用することが予想され、(中略)
このような状況において,被告会社は,その関与による情報提供(プレスリリースやホームページ)において,ZD1839(イレッサ)の副作用は軽度から中等度の皮膚反応や下痢にとどまるなど,副作用が少ないことをZD1839の特筆すべき長所として強調する一方,間質性肺炎の発症の危険性を公表していなかった

上の部分に「薬害」の核心があります。先の記事でも紹介した『ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実』には製薬企業の医師たちへの「教育・研修」と称した宣伝活動が生々しく書かれていますが、イレッサの時も同じことがあったわけです。判決文ではアストラゼネカのこれらの活動は「広告とは言えない」としていますが、実態は広告活動そのものです。

イレッサが承認された2002年7月5日までの新聞雑誌記事データベースを調べてみました。検索キーワードは「イレッサ OR ゲフィチニブ OR ZD1839」で、結果は85件ヒットしました。記事媒体の詳細は下の図を見てください。主なものでは、NHKニュース(1)、朝日(4)・毎日(3)・読売(5)の三大紙に、共同通信(3)、地方紙では熊本日日新聞(2)が取り上げています。()内は記事の回数

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次に検索キーワードを「(イレッサ OR ゲフィチニブ OR ZD1839) AND 間質性肺炎」として検索した結果は、ゼロ、一件も有りませんでした。承認前に大規模な事前宣伝活動をしていながら、副作用として「間質性肺炎」を書いた記事は全くありません。

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これはマスコミに非があるのではなく、アストラゼネカが知らせなかったためです。例えばメディアを対象にしたアストラゼネカ主催のセミナーが、2001年10月16日(イレッサの承認申請2002/1/25 すらまだ出されていない時期)に開かれて、次のように報道されています。

徳島大学・曽根教授 分子標的治療薬が肺がんの新しい治療法に
2001.10.18 日刊薬業 7頁
 徳島大学医学部の曽根三郎教授(内科学第3講座)は16日、メディアを対象にしたアストラゼネカ主催のセミナーで講演し、増殖因子や血管新生因子などがんの悪性化にかかわる分子を標的にした分子標的治療薬が、肺がん克服の新しいアプローチになると説明した。曽根教授は、従来の抗がん剤は腫瘍進展を阻止しても骨髄抑制などの副作用発現により継続投与できないのに対し、こうした分子標的治療薬のひとつであるEGFレセプター阻害剤は骨髄抑制がほとんど認められず、多くは長期にわたって継続投与が可能と指摘、がんと共存していくという新しい考え方もあるとした。そのうえで、患者の生存期間の延長やQOLの改善・保持をめざして、(1)外科手術でがんを切除後、外科手術ではとりきれない微小転移がんを抑えるため分子標的治療薬を継続投与して再発を抑制する(2)化学療法や放射線療法によりがんを縮小させた後、分子標的治療薬を継続投与する--といった新しい治療戦略を提示した。一方、曽根教授は分子標的治療薬の課題として、分子標的治療薬は動物を対象にした実験データからヒトでの効果を予測しにくいため、ヒトへの投与ではとくに副作用の面で注意する必要がある点を提示。他の抗がん剤との併用で思わぬ副作用の出る可能性も否定できないことを示した。
 また、曽根教授は、分子標的治療薬のひとつとしてEGFレセプター阻害剤ZD1839(イレッサ)の臨床データも紹介。同剤の国内フェーズ1では、25例中、12%に腫瘍縮小効果(完全寛解+部分寛解)が認められ、これに腫瘍の大きさが不変(NC)だった症例も加えると36%に増加したと報告した。

このようなセミナーを元に書かれた新聞記事で、「完全寛解・部分寛解」という語句を見た患者が、”夢のような抗がん剤”だと期待するのは当然のことです。

判決の第5分冊「医療現場の医師等のイレッサに対する認識」において、「従前の小細胞肺がんの標準治療薬であるドセタキセルのセカンドラインの奏功率が約7%であったこと等からすれば、イレッサが日本人に対してセカンドラインで27.5%の奏功率を示したことは驚異的な事実であるとして、医療現場の医師等に受けとめられていた」ことと、アストラゼネカが間質性肺炎の可能性を伏せていたこともあり、多数の死者を出す事態のなったのですから、これは「薬害」といってまちがいはない。

国立がん研究センターの嘉山理事長は、和解勧告はすべきでないとした先の会見において、間質性肺炎の副作用が後の方に書いてあったということに対して、『これは4番目だから注意しなくていいよ、ということではなくて、私ども医療人としてはどんな順番で書いてあっても同じように、対等に「重大な副作用」として扱う。』と述べています。しかし、判決の要旨では「医療現場においてこれを使用することが想定される平均的な医師等が理解することができる程度に提供(指示・警告)しなければならない。」と述べています。外科医が手術の延長線上で抗がん剤治療も行なうことが多い医療の現実を見れば、全ての副作用を記憶している医師がどの程度いるのか、疑問です。

イレッサの例から私たちがん患者は学ぶべきことは、「夢の抗がん剤」だとか「画期的な分子標的薬」だとかいわれても、承認後の治療はいわば”第4相試験”と考えて慎重に判断することでしょう。患者が判断するためにも、製薬企業は都合の悪い情報も含めて、全ての情報を公表する必要があるのです。

2011年3月 2日 (水)

「結果」を「目的」にする過ち

_dsc1022                河津にて


チェロのレッスンももう15章に入り、五度音程を同時に押す(ソとレ)とか、ピチカートで早いパッセージを弾くエクササイズになりました。このエクササイズでは左手が第4弦から第1弦へとか、第2弦から第4弦へと大きく移弦します。下の図で、最初の移弦は共に開放弦ですから右手の移弦だけでよいのですが、ソ→レ→ファの部分では第2弦→第4弦→第2弦と、大きく移弦します。

Pitch0001

この部分、左手の指先を移動させようと焦ってもうまくいきません。先生曰く。「指で音を取りにいくのではなく、左腕・肘を上げて、腕全体を前に出すようにすればよい。そうすれば指は自然とその場所に移動するから。急いで指だけを移動させようなどと考えないことです。」

まさにその通りでした。私の場合は、指先で押さえようとするのですが、腕が移動していないから目的の弦に届かないのです。あたりまえと言えばあたりまえですが、初心者にはこれが分からない。指先でなく、腕全体に意識を合わせてやると、腕が動いてその結果、指が所定の位置に移動するようになります。これは同じ弦の上でのポジション移動やビブラートでも言えることです。指で音程を決めようとすると、確実に音程が定まらない。肘を先ず移動させて、その結果として遅れて指先が移動するように、釣り竿を振る感じでしょうか。竿を振るときに、竿がしなって、遅れて竿の先がついてくる感じ。葉っぱの先に貯まった水滴がポトンと落ちる感じ、とも表現されました。

「結果」としてしか得られないことを「目的」にしてしまう過ちと言えるでしょうか。「生きるために働いている」はずなのに、いつの間にか「働くために生きている」ようになり、挙げ句の果ては過労死などと、笑えない現実もあります。

製造現場では「品質は工程で作り込め」と言います。良い車を作ろうとするなら、一つ一つの工程を大事にしなさい、ということ。最終的は検査工程で粗悪品をはねるのではなく、設計の最初から品質は作られるのだと。がん患者の場合は、検査で数値が悪くても自分の身体を「はねる」わけにはいきません。しかし、検査結果だけに一喜一憂している患者がいかに多いことか。日々の営みが大事なのだと思います。

「治り方を知りたがる患者さんには、治るという現象が起きにくい」というのも、「治る」という結果を「目的」にしてしまっているのです。治るかどうかは「成り行き」であり、「たまたま」そうなるのです。自分のブログからの引用で恐縮なのですが、「サイモントン博士の講演会」でこんなことを書いています。

老子の言葉に「勝とうとしなければ負けることはない」というのがあります。癌の治療にも同じことが言えるということです。「何が何でも癌に勝ってや る」という闘争心は、ちょっと躓いたときに疑心暗鬼になりやすい。「今の治療法で大丈夫だろうか。なにか魔法の特効薬があるのではないか。気持ちで癌が治 るはずがない」ということになります。

「そうか、勝とうとしなければ良いのだな。よし、今日から勝つという気持ちは捨てよう。そうすれば癌が治るに違いない」 このように考えたら、あなたは既に取り逃がしています。
勝つか、治るかどうかは「成り行き」なんです。成り行きだから目標にしてはいけない。目標にすることは「執着」することです。また、「勝とうとするな」とい うのは、現代医学をすべて拒否して、心のあり方や食事療法などの代替医療で治そうというのではありません。ここは微妙なところです。治す努力はしなければ なりません。しかしそれだけに執着しては治るものも治らなくなるのです。

がんはスピリチュアルな病気 ―がん患者と愛する家族のための心と体の処方箋― 私の下手な文章ではうまく説明できませんから、最近見つけた素敵な本『がんはスピリチュアルな病気』から紹介します。著者はメソジスト派の牧師さん。大腸がんで余命1~2年と言われた”元がん患者”です。

がんだから、私は毎日なにかをする

重要なのは、自分のすべき一つのことに集中すること一それも、ただこなすのではなく、その 経験を味わうことだ。"やることリスト"の項目にチェック印を入れ、あわただしく次の項目にとりかかるのではなく、集中し感じることが大切なのだ。

打席に立つと、つい言いたくなる。自分がここに来たのはよくなるためだ、ホームランを打って、がんをフェンスの向こうへ、いや、場外へ飛ばすためだ、と。そうしたいところだが、ホームランとは、小さななにかの積み重ねが最終的にもたらす結果に他ならない。スタンスの開き、バットの傾き、選球眼、体重移動、手首の返し一そういう小さななにかが集まって、アーロンをホームラン王に作り上げたのだ。打席に立った私がやらなければならないのは、単によくなることだけではなく、よく生きること、その日の一つひとつの出来事に集中し、小さなことに目を向けることだ。なぜなら、その一振りに愛を込める方法が、私の取るべき唯一の方法だからだ。今の私が毎日することは、以前の私がやっていたことを全部合わせたよりも重要なのだ。この先の命が長かろうと短かろうと、苦しみが待っていようと、安らかだろうと、私が毎日すべきことは、表現の手段はさまざまでも、同じ一つのことだ。だから、一通の手紙、一本の電話、一枚の皿洗いにありったけの愛を注ぐ。よく生きれば、病気もよくなるだろう。でも、重要なのはそこではない。哲学者セーレン・キルケゴールは、「心の純粋さとは、一つのことに打ち込むことである」と書いている。ホームランだろうと、送りバントだろうと、打席で私がすべきことは、ただ一つ、"愛すること"なのだ。

この本、2008年に出版されていますが、どういうわけか、あまり評判にならなかったようです。今ならアマゾンで何冊か中古品があります。私は110円+配送料250円で手に入れました。と書いて一日経たない間に、1000円以下のものは売れてしまったようです。このブログの読者でしょうね。ご購入ありがとうございます。

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