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2011年4月

2011年4月30日 (土)

緊急時にGentlemanがすべきこと

福島第一原発に勤務していた50代の女性と他二人の女性が、妊娠可能な女性の被ばく限度である3ヶ月で5mSvを超えたと報道された。この報道を聞いて、「こんな高線量環境下に女性を平然と勤務させていたのか」と心底驚いた。女性の被ばく限度が男性よりも小さいことはイロハのイであり、放射線業務に関連する人間には常識だ。緊急時には、女子供を真っ先に安全なところに避難させるのが、ジェントルマンの取るべき行動ではないか。日頃から「放射線は怖くない」という教育が、このような事態を招いたのではないだろうか。

東京大学大学院教授の小佐古敏荘氏が、4月30日付で内閣官房参与を辞任する意向を表明した。政府が定めた福島県における小学校などの校庭利用の、年間20mSvという線量基準を適用することは、ヒューマニズムの観点から絶対に受け入れられないという小佐古氏の意志表明だ。小佐古氏はICRPの委員も務め、2007年勧告の国内取り入れに当たっての放射線審議会にも関わっており、多くの原発訴訟においても政府側の証人として活動してきた人である。その彼からみても、今回の政府の対応は常軌を逸していると言わざるを得ないのである。小佐古氏配布文書の全文はこちら

  1. 原子力安全委員会は法に則った行動、放射線防護の基本原則から逸脱している
  2. 初期の放射能雲による甲状腺の被ばく等価線量については、関東・東北の全域にわたって公表すべきである
  3. 引き続き放射能が放出されているのであるから、SPEEDIの計算結果による公衆の甲状腺等価線量及び実効線量を迅速に公表すべきである

などと主張している。 <「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい>と題して、

 緊急時には様々な特例を設けざるを得ないし、そうすることができるわけですが、それにも国際的な常識があります。それを行政側の都合だけで国際的にも非常識な数値で強引に決めていくのはよろしくないし、そのような決定は国際的にも非難されることになります。
 今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。
 小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。

3月23日のこのブログ「放射能の拡散」でも書いた通りで、小佐古氏も触れているが、20mSvを超える被ばくは放射線業務従事者でも年間で1人とか数人であり、それを幼児や小学生に許すことを簡単に認めてしまう、ここには法律も住民の健康も何も考慮されていない。

低線量被ばくの影響に関しては、専門家の間でも意見が一致していない。しきい値があり、ある線量以下は安全だという主張もあり、それを支持する研究もある。一方で、低線量ではむしろより危険だという主張もあり、それを支持する研究もあるのである。現行の法体系の基礎となっているICRPの勧告でさえ、甘すぎるという主張がヨーロッパを中心にして提起されているのである。しかし、少なくとも法令が依拠しているICRPの放射線防護に関する基本原則は守らなければならない。特に女性と子供の健康は最大限に配慮しなくてはならないはずである。それすらも逸脱している「無法状態」だと小佐古氏は断じているのである。文部科学省にはジェントルマンはいないのか。

まだ国内法令に取り入れられていない2007年勧告の中身を先取りし、自らの主張に都合の良い低線量域での仮説とデータだけを取り上げて「安全だ」と言ってきた中川恵一氏や国がんの嘉山理事長の責任も重大である。

一方で無視できないのは、小佐古氏の文書では放射線業務従事者の「緊急時被ばくの限度」を最初から500mSvなり1000mSvにすべきだ、250mSvにしたのでは「モグラたたき」である、と言っているように読めることだ。

2007年勧告の国内法令取り入れの議論が、数年間にわたり行われ、審議終了事項として本年1月末に「放射線審議会基本部会中間報告書」として取りまとめられ、500mSvあるいは1Svとすることが勧告されています。<中略>
放射線審議会での決定事項をふまえないこの行政上の手続き無視は、根本からただす必要があります。500mSvより低いからいい等の理由から極めて短時間にメールで審議、強引にものを決めるやり方には大きな疑問を感じます。重ねて、この種の何年も議論になった重要事項をその決定事項とは違う趣旨で、「妥当」と判断するのもおかしいと思います。

これにはまったく同意できない。2007年勧告はまだ国内法令に取り入れられていないからだ。放射線安全委員会には「法に則って」と要求しながら、自らは放射線審議会の中間報告の段階の「緊急時被ばく限度」を採用すべきと言うのである。小佐古氏も涙ながらに都合の良いことをいうものだ。

1000mSvなどはとんでもない数字だが、今回の福島第一原発での緊急時被ばくを放射線業務従事者の集積線量から外すとの考えが東電から出されていた。厚生労働省は最終的には、「いずれの5年間でも100mSvを超えない」に緊急時被ばくを加算するように決定した。(従来はこの点があいまいだった)つまり、今回100mSvを被ばくすれば、今後5年間は放射線業務に従事できないということである。

作業者の健康を守るということでは当然の決定であるが、問題もある。現場の作業員の多くは下請け、孫請けである。彼らが今後5年間放射線業務に従事できないとどうなるのか。東電の社員ならいい。いくらでも別の仕事に配置換えすることが可能だから。しかし、下請けの中小企業では配置換えする部著がない。結局解雇するということにならないかと懸念する。あるいはそうならない(解雇されない)ために個人被ばく線量測定器を意図的に外すということもあり得る。これまでにもそうした行為は行なわれているのである。東電は、100mSvを超えた作業員の雇用を保障しなければならない。

東電のロードマップでも一応の安定までには9ヶ月だと言っている。私は、爆発的な事象が起きなければだが、3年以上はかかると思っている。この期間に熟練の作業員はどんどん被ばくの上限に達して戦列から離れていく。いずれは素人をかき集めて作業をさせることになる。経験を積んだ作業員がいなくなれば、他の原発では定期点検すらできなくなる。検査をして安全を担保することができなくなるのだ。この影響はボディーブローのように効いてくるだろう。結局、原発とは特定の下積みの集団の犠牲の上に成り立っているのだと、今回の事故は証明してくれた。

2011年4月27日 (水)

おいしい(我流)お茶の淹れ方

お茶ミルで挽いたお茶があまりにおいしいので、一日に5、6杯は飲んでいます。抗がん作用があるかどうかはあまり気にせず、楽しくうっとりとしながら飲んでいますが、よりおいしく作るための方法などを記録しておきます。

お茶の葉を選ぶ
あたりまえですが、これが一番大切です。とはいっても全くの素人です。産地や銘柄を聞いてもさっぱり分かりません。なので、老舗といわれるお茶屋で質問してみました。「お茶ミルで挽いて飲むのですが、深蒸し茶の中でもどのようなお茶が良いですか?」

  • お茶は蒸しで決まるといわれます。葉が短くつぶれて、見た目は粉が多い方が良い。
  • 「深蒸し茶」と書いてあっても100%深蒸し茶だけではない品もあります。確認した方が良いです。
  • 形よりも色のきれいなもの。深く濃い新緑色。
  • 香りの良いもの
  • 生産者によって蒸し時間も違うし、考え方も違う。深蒸し茶の歴史はまだ浅い。
  • 自分の好みの味を言っておすすめを聞いてみる。とろっとしていて強い甘みがあるとか、さっぱりしているとか(これなら普通の煎茶が良い)
  • 値段と味は比例しない。高いものが良いとは限りません。豪華な包装に入った100gが1200円のお茶を試しましたが、コクも香りもダメでした。
  • 安いけれど茎茶はだめ。お茶ミルには合わないし、故障するかもしれない。(いちど茎茶を挽いたがまずかった)

最終的にはいくつかの生産地と生産者を試してみて、自分の好みにあるものを選ぶしかなさそうです。

粉の細かさとお茶ミルの回転数
これも結局は好みの問題ですが、私は一番細挽きになるように調節つまみをいっぱいに回しています。あまり強く回すと、ハンドルが重くて挽くことが難しいので、何度かやってみて調整します。この状態でハンドルを80回ほど回すとちょうど私の好みの濃さになるようです。

淹れ方と飲み方
これが正しいのか分かりませんが、沸騰したお湯を入れます。ポットのお湯なら98℃で保温したものを入れています。自宅では電気ケトルで必要な分量だけを沸かしています。これは今回の原発事故を機会に節電するためです。使ってみると電気ケトルは便利ですね。200ccほどのお湯なら1分ほどで沸きます。お茶ミルで80回転させている間にお湯が沸くという、ちょうど良いタイミングです。

あまり熱いものを飲むと食道がんのリスクが高くなるそうですから、少し冷まして飲みます。また、淹れて1時間以上経つとカテキン、EGCG(没食子酸エピガロカテキン)が壊れてしまい、せっかくの抗がん作用が減少します。

マグカップは、サーモスの真空ステンレス構造で蓋付きのものです。これも重宝しています。写真のお茶ミルは京セラではなくポーレックス製です。こちらは少し安価です。最初にこれを買ったのですが、ゴム栓を外して振っても下の穴からなかなか粉末茶が出てきません。すり鉢状の角度が小さすぎるのです。しかたなく、下部の透明な部分を外してお茶を振り出していますが、どうしても周囲に粉が飛び散ります。こちらはお勧めしません。京セラはこの点を改良しています。そんなわけで、職場では京セラ、自宅ではポーレックスです。

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2011年4月26日 (火)

20ミリシーベルトでは、何が起きるか?

文部科学省が学校の屋外活動の制限基準を年間20ミリシーベルト(以下mSvと表示)以上とし、原子力安全委員会は避難基準を20mSvとしました。今回の原発事故の報道でSvとかBq(ベクレル)の単位が出てきますが、一般になじみのない単位や数字ですから、実感がつかめません。そこで、20mSvの被ばくをした場合、私たちの身体でどのようなことが起きているのか、概算をしてみました。

説明のためには更に電子ボルト(eV)という単位を説明しなければなりません。1ボルト(V)の電位差がある場所に、1個の電子を置いたとします。電子はマイナスの電荷を持っていますから、プラスの電極に向かって走り出すことになります。最終的にこの電子が持つ運動エネルギーを1eVと言います。乾電池が1.5Vですし、電子の電荷量は1.6×10^-19クーロンという非常に小さい値ですから、1eVもごく小さいミクロの世界の値です。

放射線によって1kgの物体に1ジュールの熱量を与えるとき、これを1グレイと定義します。1カロリーが約4.2ジュールですから、これもとても小さい熱量です。そして、エックス線やガンマ線の場合はグレイ=シーベルトです。1eV≒1.6×10^-19ジュールになります。

体重60kgの人が、外部からの放射線により全身均等に20mSvの被ばくをしたとき、60×0.02=1.2ジュールの熱量を受け取ることになります。これを1.6×10^-19で割ってeV単位にすると、7.4×10^18 eVになります。

放射線は光と同じ電磁波と言われる量子ですが、これが細胞の中の水・タンパク質・DNAなど、生体分子内で原子を結合する役割を担っている電子に吸収されたり、はじき飛ばしたりして電子にエネルギーを与えます。これが放射線による電離作用で、ここからすべての放射線影響が始まります。この電離作用は一般に10eV以上のエネルギーがないと起こりません。だから普通の光や電波では電離作用は起きないのです。仮に10eVで電離作用が起きるとすれば、7.4×10^18÷10で、7.4×10^17箇所の電離作用が起きることになります。人体には約60兆個(6×10^13)の細胞があると言われていますから、これで割れば、結局20mSvを全身に被ばくすれば、細胞1個あたり平均して、12,300カ所で電離作用が起きることになります。しかし、電離作用を受けた生体分子のほとんどは元の状態に修復されますが、きわめて小さい確率で誤った修復が行なわれます。特に遺伝情報をになっているDNAの二重らせんの近傍で電離作用による切断が起きると、誤った接合がされる確率が大きくなります。その結果もとのDNAとは違うDNAとなり、染色体異常ができます。この細胞は多くの場合アポトーシス(自死)を起こすので、大量の細胞がアポトーシスを起こすと急性障害が引き起こされます。アポトーシスを起こさないで細胞分裂できても、がん細胞となる確率が高くなります。細胞分裂が盛んな胎児や幼児では、この確率が更に高くなるのです。

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こうした現象はすべて確率的に起きますから、どれくらいがんになりやすいかは統計的にしかつかめません。また、修復の過程でも多くの要因が作用しますから、放射線に対する感受性は年齢やその人の体質によっても変わってきます。1mSvでも放射線に感受性の高い人では、影響が出ることになるのです。

Wshot200243 次に内部被ばくについて考えてみます。セシウム137が、1kg中に100ベクレル(Bq)含まれている食品を食べた場合を例に計算してみます。100Bq/kgは多くの食品の暫定基準値とされています。

念のために言えば、100Bqとは1秒間に100個の原子が崩壊して放射線を出すということです。100個の放射性原子が含まれているのではありません。そして、半減期の期間が経ったときには、1秒間に50個の原子が放射線を出すことになります。

セシウム137は、1.174MeVと0.512MeVのベータ線(電子)を放出し、更に0.6617MeVのガンマ線を放出します。1MeV程度のベータ線は、生体内では4mmほどしか進むことができません。この4mmほどの過程で、生体分子にエネルギーを与えてしまいます。生体分子を構成する原子の近くを通るときに進路を曲げられて、そのときに制動放射線という連続エネルギーを持つエックス線を放出します。このエックス線が電離作用を起こします。おおざっぱな計算のために、ガンマ線の影響は無視して、ベータ線の全エネルギーを1.174+0.512≒1.7MeV=1.7×10^6 eVとすると、電離作用に必要なエネルギーが10eVでしたから、すべてのエネルギーを喪失するまでに170,000カ所の電離が発生する計算になります。これが4mmの範囲で起きるわけです。人体の細胞の直径は0.006~0.025mmと言われているので、中間の0.01mm=10μmと仮定すれば、ベータ線の飛程の直線上4mmには、400個の細胞があることになります。この範囲に17万カ所の電離作用が起きるのですから、1個の細胞では平均して425カ所の電離作用が起きることになります。これは1秒間に1個のセシウムからの影響だということです。100Bqのセシウム137を含んだ食品を食べたわけですから、この現象が体内のどこかで、毎秒100カ所で起きていることになります。また、ある時間をおいてほぼ同じ場所に存在する別のセシウム137原子も崩壊してベータ線を出しますから、同じ細胞が連続して放射線の攻撃を受けることになります。先の外部からの被ばくの場合は、1年間に20mSvで1個の細胞あたり12,300カ所の電離作用でした。これも決して小さい数字ではないですが、内部被ばくは比較にならないほどリスクが高いのだと、想像がつくと思います。更に強力なアルファ線では、飛程が数10~1000nmとなり、この狭い範囲に全エネルギーを与えることになります。仮に細胞表面でアルファ崩壊が起きると、たった一個のアルファ線で細胞を死滅させることができるほどになります。

だから低い線量の被ばくでも危険だ、と主張するのではありません。がん細胞化するには他にもさまざまな要因が絡んでいるのであり、これだけでは説明できませんが、少なくともたくさん被ばくすればよりがん細胞化する確率が高くなることは間違いありません。こんな計算でも、おおざっぱなイメージを掴む手がかりになるかもしれません。

2011年4月24日 (日)

緑茶はがんに効くか?(2)

これまで分かっているデータから、がん患者は緑茶についてどのように対応すれば良いのでしょうか。緑茶に限らず、補完代替医療のすべてに対しても、私たちは時には正反対の意見や実験結果に遭遇します。今回の福島第一原発の放射線の影響についても同じように、専門家の間でも相反するようないろいろな意見があり、しかも少ない情報を元にして、私たちは判断をしなければなりません。

緑茶の効果と放射線の確率的影響(晩発障害)に共通しているのは、相手が「がん」だということです。一方はがんが治るかどうかであり、他方はがんになるかどうかという違いがありますが、対象は同じです。だから、緑茶の効果も放射線の影響も統計的にしか説明できません。そして緑茶に明らかな腫瘍縮小効果があるのなら、とっくに現代医療に取り入れられているはずですから、仮に効果があったとしてもわずかな効果だろうと思われます。また、放射線についても大線量では明確に影響があることが分かっていますが、問題になっているのは低線量の被ばくを継続して受けたときの影響です。がん細胞の成長にはさまざまな要因が関与しているのですから、あったとしても小さい効果を与える要因は、他の要因の中に埋もれてしまうことになるでしょう。つまり、信号があっても雑音の中に埋もれてしまうようなものです。

ここで、ICRP(国際放射線防護委員会)の放射線防護の基本原則(4月1日のブログに書いています)と、私の代替療法に対する基本方針を並べてみます。

  1. 行為の正当化
    放射線被ばくを伴ういかなる行為も、その導入が正味でプラスの便益を生むのでなければ採用してはならない
  2. 防護の最適化(ALARAの原則)
    社会的・経済的要因を考慮にいれながら合理的に達成できる限り低く(As Low As Reasonably Achievable;ALARA)」被ばく線量を制限すること。
  3. 個人の線量限度を超えてはならない
    職業人:100mSv/5年、ただし50mSv/年を超えないこと
                                 (年間死亡リスク=1/10,000)
    公衆:   1mSv/年      (年間死亡リスク=1/1,000)

私の代替療法を採用するときの基本的な考え方は、

  1. 重篤な副作用がないこと
  2. 理由もなく高価ではないこと
  3. ある程度のエビデンスがあること

です。重篤な副作用があれば、「行為の正当化」はできません。あたりまえですが、効果と副作用の損得を考えましょうということです。20mSv以上になる地域は逃げろ!と言われても、仕事はどうするのか?子供の学校は?介護老人を抱えている。家畜やペットがいる。つまり社会的・経済的要因を考える必要が生じます。これが防護の最適化です。代替療法も、効くかもしれないからといっても、長く続けるのですから、家計が破綻するような金額をつぎ込めません。高価なものは継続できません。経済的要因抜きに採用はできません。(代替療法の最適化)ついでに言えば、理由もなく高価なものは、ほぼ例外なくインチキだと思ってまちがいありません。また、異論はあるかもしれないが、一応の世界的に認められた線量限度があります。主として広島と長崎の被爆者の方々の疫学調査に基づいて線量限度が決められています。疫学調査による限度ですからエビデンスです。これが「ある程度のエビデンスがあること」に対応します。

原発事故による放射線被ばくでは、住民にはプラスになることはないのですから「正当化」はできません。CTの被ばくに比べて少ないとか言っている医療関係者はこの点をまったく理解していません。防護の最適化については、避難地域に指定されたが、生活を考えたら躊躇する、これはあたりまえのことです。この点も政府の姿勢は矛盾だらけです。緑茶の場合は、副作用もなく高価でもないのですから、1も2もクリアできます。

さて、一回目の記事で上げたように、緑茶に関するエビデンスはあの程度のものしかありません。がんの予防と肥満などにはある程度のエビデンスがありそうです。できてしまったがんについては『がんに効く生活』で紹介されているような内容がありますが、これも決定的なものとは言えません。(代替療法だから当然ですが)

カナダの分子医学研究所所長を務めるリシャール・ベリヴォー博士は、永年抗がん剤の作用するメカニズムを研究してきた人です。研究所が小児科病棟に移転したのを機に、小児がんの子供たちの姿を見て何とかしたいと思うようになります。そしてネイチャーに発表されたスウェーデンのカロリンスカ研究所の2人の研究者の論文に興味を持つようになります。その論文には、緑茶が既存の薬と同じ作用で血管新生を抑制する働きがあることを実証したと書かれています。しかも、一日に2、3杯の緑茶で十分だといいます。その直後、ベリヴォー博士は、膵臓がんに苦しんでいる友人レニーの妻から「ほんの少しで良いから、夫と二人過ごす時間が欲しい」という電話を受け取ります。博士は抗がん効果のある食物のリストを考案します。もちろんその中には緑茶も入っています。キャベツ・ブロッコリー・ニンニク・大豆・ターメリック・ラズベリー・ブルーベリー・ブラックチョコレートなどでした。レニーはそれから4年半生きたのでした。

緑茶に多く含まれるカテキン(ポリフェノールを多く含んでいる)、その中でもEGCG(没食子酸エピガロカテキン)には、各細胞の表面にある、がん細胞が組織内へ侵入していくのを許可するスイッチ=受容体をふさいでしまう働きがあります。新たな血管を形成する受容体もふさぐことができる。こうしてがん細胞が炎症性因子を使って送ってくる命令に答えることができなくなります。ベリヴォーらはこうしたEGCGの働きをさまざまながん細胞で試験をし、明らかにしてきました。

緑茶の抗がん作用は、このような機序で起きると思われますが、現状ではそれが十分なエビデンスとして認められるには至っていません。しかし、これまでに何度か書いたように、がんも生命も「複雑系」です。EGCGの機序が分かったとしても、その他のたくさんの因子が相互に作用しているのががん細胞です。EGCGが血管新生を抑えるから、がん細胞が縮小すると、単純な要素還元的な説明通りにならないのがあたりまえです。

しかし、「がんと自己組織化臨界現象」で書いたように、緑茶によってほんの少し条件が変化すれば、複雑系においてはそれが大きな変化に繋がることがある。初期値の少しの違いで、その後のふるまいはまったく違ったものになることもある。砂山モデルの比喩で言えば、緑茶が砂山の形状を変えることもあり得るのです。

つまり、複雑系思考でいうなら、”緑茶でがんが治るか?”という問題の立て方がそもそもまちがっています。緑茶は複雑系にどのような影響を与えるのか? それに加えてターメリックとブラックチョコレートを同時に摂ったらどうなるのか?多くの因子がどのように関連し合っているのか?これが知りたいことです。しかし、残念ながらまだ私たちの知識はその答えをえるまでには至っていません。しかたがないから、せいぜい統計的処理をして、ごくわずかな違いを検出しようとしているのです。ごくわずかの違いが検出されたら、それを試してみれば良いのです。試すためには重篤な副作用があったら困ります。高価でも継続できません。

がんが治るというエビデンスのある代替療法は一つもありません。せいぜい試験管レベル・マウス実験、あるいは小規模でのお互いに矛盾する臨床試験結果があるだけです。しかし、がん患者はエビデンスが揃うまで待ってはいられません。時間がないのです。完全なエビデンスは、いつまで経っても確立できないと思います。

複雑系思考に立てば、いまあるエビデンスでも代替療法として十分に活用することができると考えます。「効く可能性があるのだから、(複雑系が良い方向に動けば)私のがんにも効果があるはず」と考えてお茶を楽しむ、そんな付き合い方が良いのではないでしょうか。私は、三つの代替療法の基本的考え方に合格したものからいくつか選んで、平行して続けています。それらの相互作用による効果を期待しているからです。

   緑茶は、砂山の形状を変えるにちがいない

追記:今の福島原発からのセシウム137などの放射能が降り続けば、お茶に含まれる放射能による発がん作用が、EGCGのがん抑制効果を上回ることもありそうです。緑茶をたくさん飲んでがんを退治するつもりが、逆にがんを育てるということにもなりかねない。抗がん作用のある食物は限られていますが、放射能はありとあらゆる食物に平等に降り積もります。原発事故が起きれば、がん患者が代替療法に期待した効果なんかは、簡単に帳消しにしてしまうのだと、今頃になって分かりました。

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2011年4月20日 (水)

母乳からヨウ素131を検出か

やはりというか、こうなるのはあたりまえなんですが、茨城県内の複数のお母さんの母乳からヨウ素131が検出されたという速報があります。

採集時期も測定日も不明ですが、1kgあたり最大で36.3Bqだとか。測定日にもよりますが、半減期8日から計算すると8倍から16倍の濃度だった可能性もあります。ひたちなか市で13000Bqという汚染が測定されていましたが、茨城県北部には相当流れていたはずです。詳細が分かればこの記事を加筆・修正します。

共同通信の英語版で、クリス・バスビー教授(放射線リスクに関する欧州委員会=ECRR)は、次のように述べています

日本の文部科学省の公式データに基づき、福島第一原子力発電所事故による土地での放射能汚染がもたらす健康への影響を分析した。これによれば、今後50年間で、同原発から半径200キロメートル圏内では約40万人のがん患者が追加的に生じる可能性がある。
この数字には縮小の可能性があるが、増大の可能性もありうるが、それは事故の影響を最小化する戦略が行われるかどうかだ。過小評価を行うことは、過大な評価を行うよりも、国民と国家により大きな危険をもたらすことになる。

  1. 立入禁止区域を最低でも福島第一原発の半径50km圏まで拡大すること
  2. 食物による追加的な汚染を避けると共に、個々人の健康を守る効果的な方法に関する具体的な指示を提供すること。個人線量計による(放射線核種全体に関する)定期的な計測を全員について、少なくとも週に一度は実施すること。放射線防護剤や除染剤(放射線の有害な影響から身体を守る物質)を配布すること。こうした種類の食品添加物は数多く存在する。

などと提案しています。子供の喉のあたりをベータ線測定器で測ったのではダメなんです。ヨウ素131を間接的にはかっているだけです。どうして最初から母乳を測定しないのか。この測定も民間の方の測定です。政府が民間の後追いをしている。海底の藻など海草類も測定が必要です。海底は相当汚染されている可能性があります。

内部被ばくに対する対策がなさ過ぎます。学校の基準値を20mSv/年にするなどは狂気の沙汰としか思えません。一般の許可された放射線取扱施設で20mSvの被ばく報告を出したら、文部科学省・放射線規制室からすぐに電話がかかってきます。20mSvとはそのような「過大被ばく線量」です。しかも福島の場合は内部被ばくは一切考慮されていない。内部被ばくを考慮すれば少なくとも2倍、もしかすると10倍か。そもそも内部被ばく線量を正確に測定するのは原理的に不可能なのです。

2011年4月19日 (火)

緑茶はがんに効くか?

京セラのお茶ミルを使い出して、3ヶ月になります。1月に放映された「ためしてガッテン」では、3ヶ月で血圧が下がった、減量したなどの効果があったなどと説明していましたが、さてお茶はがんにはどのような効果があるのでしょうか。いくつかの根拠を探してみます。

「健康食品」の安全性・有効性情報

こうしたときに、まず最初に参照するのは『「健康食品」の安全性・有効性情報』でしょう。チャ(茶) [英]Tea, Black tea, Green tea, Chinese teaで情報が載っています。「同意する」ボタンを押して、さらに「すべての情報を表示」をクリックします。「血中のコレステロールおよびトリグリセリドを低下させる」などの有効性が多く記載されています。循環器・呼吸器、糖尿病、肥満には有効性が示唆されているようです。しかし、免疫・がん・炎症に関しては、このように書かれています。

  • 膀胱がん、食道がん、膵臓がんの予防に緑茶の経口摂取で有効性が示唆されている。緑茶の飲用がある種のがん(膀胱がん、食道がん、膵臓がん)リスクを低減させるという報告がある(PMID:9795966)(PMID:8294212)(PMID:3834338)。また、乳がん再発のリスクも低減するという報告がある(PMID:11369139)
  • 日本のコホート研究で、10杯/日以上の緑茶飲用で、肺、肝臓、大腸、胃がんのリスクが軽減(PMID:9388788)(PMID:11237198)、5杯/日以上の緑茶飲用で女性の胃がんのリスクが軽減するという報告(PMID:15286468)がある。九州での比較対照研究で、10杯/日以上の緑茶飲用で胃がんのリスクが軽減するという報告がある(PMID:3143695)
  • 胃がんの予防に緑茶の経口摂取で有効性が示唆されている。この効果は緑茶を10杯/日以上摂取すると認められるという報告がある(PMID:11304697)(PMID:9578298)(PMID:3143695)(PMID:8640692)(PMID:1873447)。10杯/日以下ではこの予防効果は現れない(PMID:11228277)(PMID:3930448)
  • 2006年までを対象に4つのデータベース(コクランライブラリー、MEDLINE、EMBASE、Chinese Bio-medicine)で検索できた疫学研究14報について検討したメタ分析において、緑茶摂取と胃がんリスクには関連が認められなかったという報告 がある(PMID:18364341)
  • 2007年8月までを対象に3つのデータベース(MEDLINE、EMBASE、Cochran Review)で検索できた疫学研究(症例対照研究、コホート研究)13報について検討したメタ分析において、緑茶の摂取は胃がんリスクを低下させたが、 コホート研究7報のみの解析では、リスク低下は認められなかったという報告がある(PMID:18973231)
  • 卵巣がんの予防に緑茶の経口摂取で有効性が示唆されている。最低、1杯/週以上緑茶を摂取すると卵巣がんリスクが低減するという報告がある(PMID:12163323)
  • ワシントン州在住の女性2044名(症例781名、35-74歳)を対象とした症例対照研究において、緑茶の1杯/日以上の摂取は卵巣がん発症リスクを低減したという報告がある(PMID:18349292)
  • 結腸直腸がんの予防に対して有効でないことが示唆されている。疫学調査の結果、緑茶の摂取は結腸直腸がんリスクに影響を与えないことが示唆されている(PMID:9578298)(PMID:3930448)
  • 直腸結腸腫切除後の患者125名(試験群60名、平均62歳)を対象とした無作為化比較試験において、緑茶抽出物1.5g/日(エピガロカテキンガラート 157.5mg、(-)-エピカテキン 36.9mg、(-)-エピガロカテキン 103.8mg、(-)-エピカテキンガラー ト 33.3mg、カフェイン 47.1mg含有)を12ヶ月間摂取させたところ、結腸の腺腫再発率と再発腫瘍のサイズが抑制されたという報告がある(PMID:18990744)
  • 予備的な臨床試験の結果、緑茶の摂取はアンドロゲン非依存的前立腺がんのリスクに影響を与えないという報告がある(PMID:12627508)。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である(66)。
  • 前立腺上皮内腫瘍を有する男性60名を対象とした二重盲検無作為化試験において、緑茶カテキン(600mg/日)およびプラセボを1年間摂取させたところ、前立腺癌の発生率、血中の前立腺特異抗原、国際前立腺症状スコアの有意な低下が認められたという報告がある(PMID:16424063)
  • 日本人男性19,561名を対象とした緑茶の摂取と前立腺がんのリスク低下の関連性を検討した結果、100名が前立腺がんを発症し、5杯/日以上摂取す る男性と1杯/日以下の男性を比較した場合の多変量危険率は0.85(95%信頼区間0.50-1.43、p=0.81)であり、緑茶の摂取と前立腺がん リスク低下との間には関連性があるとはいえない、という報告がある(PMID:16804523)
  • 男性49920名(40-69歳)を対象としたコホート研究(追跡期間11-14年)において、緑茶の摂取量と全前立腺がんの発病リスクに関連はみられないが、進行性前立腺がんの発病リスクとは負の相関がみられたという報告がある(PMID:17906295)
  • 健常人124名(18-70歳、試験群52名)を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、緑茶カプセル(詳細は不明)を12週間摂取させたところ、風邪やインフルエンザの症状の発現および罹患日数、症状発症日数が減少したという報告がある(PMID:17914132)
  • 1998年から2009年までを対象に5つのデータベースで検索できた疫学研究9報について検討したメタ分析において、症例対照研究5報の解析では、緑茶の摂取は乳がんの発生率を減少させ、前向きコホート研究4報の解析では、3杯/日以上の茶の摂取は乳がん再発のリスクをわずかに減少させるが、乳がんの 発生率に影響は認められなかったという報告がある(PMID:19437116)

このように、がんに関する研究では発症のリスクを減少させるという肯定的なものも、関連性はないというもの、さらには逆にリスクを増大させるというものまでさまざまです。「概要」にも書かれているように、緑茶を多く飲む人は、さまざまな疾病にかかりにくいという疫学調査がきっかけとなって、単なる嗜好品というだけでなく、その健康効果がクローズアップされていることは間違いないでしょう。

『がんに効く生活』では

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シュレベールが『がんに効く生活』で緑茶(カテキン・EGCG)について触れていることは前に書きました。内容をこちらからダウンロードできます。「GreenTea.pdf」をダウンロード

「われわれの研究によると、大豆および緑茶のファイトケミカルを組み合わせることにより、エストロゲン依存性の乳がんの進行を抑える潜在的な効果がある食事療法として利用することができると思われる」がんに関する科学論文には、このように極めて慎重な言い回しが多いが、その意味するところはとても重要である。

とのシュレベールの一言が象徴しているように、この種の研究は多くの場合、決定的なことが言えません。がん患者は、科学的表現の中から期待できるものを探すことになるのです。

米国統合医療ノートにも緑茶についての記事がいくつかあります。主な記事は、

  1. 緑茶は冠動脈疾患のリスクを減らす
    2011年2月22日 ... 緑茶については、摂取が多いと冠動脈疾患のリスクは0.72倍と28%も低下し、有意差がありました。1日に緑茶の摂取が1杯増える ... 緑茶については冠動脈疾患のリスクを低減する可能性があるが、データが限られており、さらに研究が必要だ、 ...
  2. 緑茶は満腹感を高める
    2010年12月3日 ... 緑茶にはいろいろな効能がありますが、2型糖尿病のリスクを低減する可能性がときおり示唆されています。 ... スエーデンの研究者らが、食後の血糖値、インスリン、満腹感に対する緑茶の作用を調べました(ソースはこちら)。 ...
  3. 緑茶は乳がんリスクには影響しない
    2010年11月2日 ... 緑茶が肺がん、子宮内膜がん、血液やリンパ球のがんなどのリスクを減らすことを示唆するデータをこれまでご紹介しました ... 6万人ほどの人を対象にして日本で長期間にわたって行われた研究です。1990年から94年の間に緑茶摂取のデータを ...
  4. 緑茶は肺がんリスクを減らす
    2010年1月14日 ... そこでも緑茶とがんについての発表がありましたのでご報告します。台湾からの研究です。 ... 緑茶を飲んでいても、IGFの遺伝子型が肺がんのリスク因子だった人は、そうでない人に比べリスクが3倍高いことがわかりました。 ...
  5. 緑茶はうつを防ぐ
    2010年1月9日 ... 日本から緑茶とうつ症状についての報告がありました。 地域社会で暮らしている70歳以上の1058人が対象となりました。 日ごろのお茶の摂取量をアンケート調査し、うつ症状を30項目の老人うつ尺度で評価しました。 11点以上を軽度のうつ ...
  6. 緑茶は優れもの
    2009年10月16日 ... 緑茶の研究が日本からまとめて出たのでご報告しましょう。 東北大学の研究者らが41761人のがんの履歴のない人たちを9年間観察するうちに、157人が血液・骨髄・リンパ系のがんになりました。 緑茶を1日5杯以上飲む人たちは、1杯以下の人 ...

東北大学の栗山進一助教授らの研究

栗山進一助教授らは数多くのコホート研究を行っています。その中には緑茶に関する研究もいくつかあります。

  • 緑茶を飲む頻度が高いほど肝がんの罹患リスクが低い
  • 緑茶摂取と血液腫瘍発症リスクの関連について
  • 緑茶摂取と肺炎死亡リスク
  • 緑茶摂取と子宮内膜がん罹患リスクについての症例対照研究
  • 緑茶摂取と全死因死亡、循環器疾患死亡、がん死亡リスクとの関連について
  • 緑茶摂取と前立腺がん発症率との関連について
  • 緑茶摂取量と乳がん発症リスクとの関連について
  • 緑茶と胃がん発症リスクとの関連について

緑茶摂取と全死因死亡、循環器疾患死亡、がん死亡リスクとの関連について」では、

緑茶に含まれるポリフェノール、特にエピガロカテキンガラートには循環器疾患やがんに対して防御作用があることが、細胞レベルや動物実験で盛んに研究・報告されてきました。しかしながらヒトを対象とした研究は少なく、一致した結論が得られていませんでした。
わたしたちのグループでは、宮城県大崎地方に居住する40-79歳の40,530人(男性19,060人、女性21,470人)を対象に大規模前向きコホート研究を行っており、1995年から全死因死亡については11年間、死亡原因については7年間追跡調査を行っています。今回1994年のベースライン調査での緑茶摂取に関する回答をもとに、対象者を緑茶摂取1杯未満/日、1-2杯/日、3-4杯/日、5杯以上/日の4群に分け、その後の死亡リスクを算出しました。その結果、図1~4のように、男女とも緑茶を多く摂取するほど全死因死亡リスクが統計学的に有意に低下し、リスクの低下は特に女性で顕著であることが明らかになりました。緑茶摂取1杯未満/日群と比較すると、5杯以上/日群ではリスクは男性で12%、女性で23%、それぞれ低下していました。循環器疾患死亡ではこうした関連がより強くみられ、リスクは男性で22%、女性で31%、それぞれ低下していました。循環器疾患の中では脳血管障害で特にリスクの低下がみられ、脳血管障害の中では脳梗塞でリスクの低下が顕著でありました。一方、緑茶摂取とがん死亡リスクとは関連がみられませんでした。
つまり、緑茶を飲むことは、脳梗塞などの動脈硬化性疾患リスクを低下させ、ヒトの寿命を延伸させる可能性があるということが、大規模な前向きコホート研究で明らかになったということです。

また栗山助教授は、NHKの「ためしてガッテン」で放映された内容について、「掛川市はがん死亡率が日本一低い--これは客観的なデータに基づいているようですので、このことを紹介いただくのは結構なことと思います。問題はこれが緑茶の効果であるとの印象を強く受ける構成であった点です」として、1月25日付で「「放送内容に関する研究総括者のコメント 」を出しています。

ある地域のがん死亡率が低いのは、1)がんにならない、2)がんを早期に発見し早期に治療できている、3)がんの治療成績がよい、などの原因が考えられます。番組では検診受診率は高くなく、がんの医療機関が充実しているわけでもないことは伝えられていました。したがって、がんにならない、つまりがんになる人が少ないのでは、との推測までは可能です。では、がんになる人が少ないことの要因は何でしょうか。この点を緑茶の飲用習慣に帰するには現時点ではデータ不足といわざるを得ません。

掛川スタディでは、緑茶の品種やその飲み方に注目し、それが健康にどのような効果を示すのかを現在検討中です。深蒸し茶がいいという結果が得られ、論文化されたわけではありません。

しかしながら、だからといってこのコメントが緑茶の効果を否定することを意図しているものでもありません。要は現在その検証が進められているということです。確実な結果が得られるまでにはもう少し時間がかかりますので、それまでは自分に合うと思われるお茶を楽しみながらお飲みになることをお勧めします。そして、禁煙や検診の受診などすでに確立されている健康行動をしっかりととることを忘れないでください。このコメントの主旨は番組内でみなさまがお受けになった緑茶に関する印象のうち、いくつかは若干結論の飛躍がみられるというものです。

栗山個人的には、緑茶の健康効果に大きな期待をしています。

要するに、結論を出すにはデータ不足、早すぎるということです。しかし、ある種の手ごたえは感じていると述べているのです。

栗山助教授は別の「緑茶と健康」と題した解説の中で、

ヒトを対象とした疫学研究で、緑茶摂取と疾病予防との関連が明らかになりつつありますので、緑茶を多く飲むことはお勧めですが、熱い飲み物は食道がんの原因になる可能性も疫学研究から示唆されています。飲むときは少し冷ましてからいただくのがいいと思います。

とも語っています。

私の結論(がん患者はどのように対応するべきか)

については、次回ということで。

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2011年4月18日 (月)

チェルノブイリの癌発症リスクはいまだに低下していない

チェルノブイリの死者についての官邸が出した”風評”については昨日書きましたが、こちらに新しい資料が紹介されています。『IPPNW「チェルノブイリ健康被害」新報告と、首相官邸資料「チェルノブイリ事故との比較」

この論文の著者たちは、方法論的に正確であり、理解可能な分析を選ぶことに重点を置きました。すでに述べた方法論的な困難があるので、この論文の目的は、明らかに間違っているIAEAの統計と対比して「正しい」統計を示すことではありません。「正しい」統計など見つけるのは無理だからです。これらの研究結果は、私たちがチェルノブイリの健康被害を論じるときに、どれぐらい幅広く多様な健康被害を扱わなければいけないかという指標を示すことしかできないのです。

とした上で、20の研究成果のうちからいくつかを挙げています。

6.リクビダートル(事故後清掃に関わった人たち)のうち90%は病気になっている。すなわち、少なくとも74万人が重い病気にかかっている。彼らは老化が早く、平均より多くの数々のガン、白血病、身体上、そして神経・精神的な病気を患っている。多くの人が白内障になった。潜伏期間が長いため、今後、ガンの発生率が高くなると予想される。

7.独立した研究によると、11万2千人から12万5千人のリクビダートルが2005年までに死亡している。

8.現存する(複数の)調査によると、チェルノブイリによる乳児の死亡は約5千である。

10.UNSCEARによると、チェルノブイリ近辺で1万2千人から8万3千人の子どもが先天奇形を持って生れており、世界全体では3万人から20万7千人の遺伝子障害を持った子が生まれている。被害全体のうち10%のみが、最初の世代に見られる(訳者注:被ばくした一世代目)。

11.死産や奇形が増えただけでなく、女児と男児の比率が変わってきている。1986年以降、生まれてくる女子の数が男子に比べ有為的に少ない。

12.ベラルーシだけでも、事故以降1万2千人以上が甲状腺ガンを患っている。WHOの予測では、ベラルーシのゴメル地域だけで、5万人の子どもたちが生存中に甲状腺ガンを患うであろうということである。全部の年齢集団を合わせたら、ゴメル地域だけで10万の甲状腺ガンという計算になる。

14.1976年から2006年までの推移の中で、チェルノブイリ以降、スエーデン、フィンランド、ノルウェイの新生児死亡率は15.8%増加している。

16.Orlov と Shaversky は、ウクライナの3歳以下の子どもたちの間で、脳腫瘍が188例見られたと報告した。チェルノブイリ以前(1981から1985)では9例だった―1年平均にしてみてると2例にもならない)。1986年から2002年の間に179人が脳腫瘍の診断を受けている-年平均で10人以上である。

19.数年間、タイプ1糖尿病(インシュリンに依存する糖尿病)が子どもと青年層に急激に増えた。

20.白血病やガンといった目立つ症例よりも、癌性ではない疾病数がはるかに上回っている。

長瀧重信 長崎大学名誉教授と佐々木康人(社)日本アイソトープ協会 常務理事らの署名のある声明は、わずかに60万人を対象にした報告だと断じています。分母(対象集団の数)がいくつかを明らかにしないで、分子(現われた影響)だけを言うのは、いかさま代替療法が「これで治った」と、よく使う手です。

最後に、首相官邸のホームページにあった「チェルノブイリ事故との比較」を見てください。これによると、チェルノブイリ事故で放射線が原因で亡くなったとされる数は、28名の作業員と、小児甲状腺ガンで15名だけ、合計43名のみです。官邸資料が言う「20年目のWHO,IAEAなど8つの国際機関と被害を受けた3共和国の合同発表」とは、「チェルノブイリフォーラム」のことです。対象集団が60万人しかなく、過小評価と批判されるこの報告でさえ、「放射線被ばくにともなう死者の数は、将来ガンで亡くなる人を含めて4000人である」と言っているのです。この報告に準拠していることになっているこの官邸の資料はそれに触れていません。

その後2006年のWHO報告では死者は9千件(対象集団は740万人)、IARC(国際ガン研究機関)論文では1万6千件(対象集団はヨーロッパ全域5.7億人)と報告されています。(参照:京大・今中哲二論文「チェルノブイリ事故による死者の数」)他にも多数公的・民間機関の研究結果はありますが、ここでは、数ある研究の中でも被害を低く見積もっているといわれる公的機関の研究結果でさえ、官邸資料は無視しているということを強調しておきます。また、この官邸資料は英語に翻訳して、国際社会に対し「これが日本の見解である」と発表する予定があるのかを問いたいです。

彼らはこの声明の内容に自信があるのなら、英文で世界に発信してみれば良いのです。

また、3月16日の「海外 癌医療情報リファレンス」では、「米国国立衛生研究所(NIH)の研究によれば、小児期や思春期にチェルノブイリ原発事故で放射性降下物を浴びた人々の甲状腺癌の発症リスクは、依然として低下していない。」と報道されています。(チェルノブイリ事故以降、依然として続く高い癌発症リスク

研究期間中に研究者らは、事故当時に当該地域に住んでいた人々において上昇した癌発症リスクが時間の経過とともに低下することを示すデータを提示できな かった。しかし、過去に原爆を生き延びた後、医学的に放射線照射を受けた者に対して別個の研究が行われているが、この研究によれば、放射線曝露から約30 年後に癌発症リスクが低下し始めるが、40年後には再度上昇することが示された。研究者らは、癌発症リスクが最終的に低下し始めると思われる時期の決定には参加者の追跡を継続することが必要であると考えている。

チェルノブイリもまだ終わってはいないのです。

2011年4月17日 (日)

パソコン通信25周年

Niftyが25周年記念に昔のパソコン通信を体験できるコーナー「Welcome to Nifty-Serve」を設けています。これは懐かしい。この文字がぱらぱらと表示される速度感もそっくりですね。2400ボーレートくらいでしょうか。

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パソコン通信と言っても今の若い世代には「それ何?」と言われるでしょうが、あの当時は見知らぬ人と繋がることに興奮したものです。私が最初に使ったのは音響カプラと言われる電話の受話器にかぶせて接続するタイプでした。ピーーガーーと音がしてしばらくすると、画面に文字が一つ一つと、数えることができるくらいの速度で表示されました。300ボーレートでしたね。パソコンも確かNECの9801VMあたりでしょうか。

フォーラム、オフラインミーティング、シスオペなど懐かしい言葉です。私は、あるフォーラムのサブシスオペをやっていました。いろいろな異業種の方と面識を得て、多いに刺激されたことを鮮明に記憶しています。電話代を節約するために自動巡回ソフトを使ったり、未読メールにわくわくしたり、データライブラリから資料をダウンロードしたりと、考えてみれば今でもやっていることは同じです。

チェルノブイリの原発事故も同じく25年前です。ずいぶん昔のできごとという気もしますが、しかしセシウム137の半減期30年にはまだ5年もあります。減衰してもまだ56%も残っている計算です。汚染地域に住み続けいている600万人の人がこの放射能からの被ばくを受け続けているのです。影響を受ける人の数はまだ増えるはずです。

しかし、官邸のホームページには「チェルノブイリ事故との比較」と題する長瀧重信 長崎大学名誉教授と佐々木康人(社)日本アイソトープ協会 常務理事の声明が載っています。要するに、レベル7となったが、チェルノブイリとは違うのだ。何が何でも福島の事故を小さく見せたいからとの思惑で、チェルノブイリ事故の影響を数字で上げてあります。一例を挙げれば、

  • チェルノブイリでは、134名の急性放射線傷害が確認され、3週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない。

「放射線被ばくとの関係は認められない」! こんなことがよく言えるものです。上の数字は、これまでに確認された急性障害による直接の死者ですが、IEAEでさえも公式見解として、晩発的影響による死者も含めると推定4000人、WHOは推定9000人としている。5年後の1991年には旧ソヴィエト連邦が崩壊したのですから、その後のトレースがされていないことは世界の常識でしょう。また、6年後に公になった当時の秘密議事録では多数の放射線急性障害と思われる重症患者がいたと記載されているが、それらの患者が突然に消えたことになっている。(「暴かれたチェルノブイリ秘密議事録」)

IAEA非公開会議で、ソ連側の事故処理責任者ヴァシリー・レガソフは、当時放射線医学の根拠とされていた唯一のサンプル調査であった広島原爆での結果から、4万人ががんで死亡するという推計を発表した。しかし、広島での原爆から試算した理論上の数字に過ぎないとして、会議では4,000人と結論され、IAEAの公式見解となっており、2005年にも同じ数字が公式発表された。ゴルバチョフは、レガソフに、IAEAにすべてを報告するように命じていたが彼が会場で行った説明は非常に細部まで踏み込んでおり、会場の全員にショックを与えたと回想している。(Wikipediaより

福島も進行中ですが、チェルノブイリだって”まだ進行中”でしょう。このように問題のあると指摘されている数字をもっともらしく官邸のホームページに載せるとは。この感覚が子供の被ばく線量を20mSv/年まで容認しようとする姿勢になるのでしょう。20mSv/年は放射線業務従事者の許容線量ですよ。個人用被ばく線量測定器を装着し、電離放射線健康診断を毎年受診して、その結果と被ばく線量は永久保存しなければならないと法律で決められている線量なのです。18歳未満は放射線業務従事者にはなれません。

こんな声明を出す神経が分からない。これでは政府の言うことをますます信用できないし、住民の健康を考えているとも思えない。補償するという口約束も守られることはないに違いないと、絶望感でいっぱいです。

2011年4月15日 (金)

お茶ミルにはまっている

中部大学の武田邦彦氏ですが、どうも風見鶏風な論調が目に付きます。参考になる内容があるかと思えば、とんでもないとんちんかんな説明だったりです。福島県の放射線アドバイザーとなった長崎大学の山下俊一氏もまた変な人物。3月21日の講演会の書き下ろしを読んで、目玉がひっくり返りました。

放射線は何故怖いかというと、エネルギーだからですよ。紫外線で火傷をする人もいますね。紫外線、みなさん一生懸命、女性の方は特にお化粧のメイキングや紫外線防護に気を遣われます。ただ単に日焼けであけではなくて、欧米ではこれが皮膚がんの原因になるからです。じゃあ、太陽でみんなガンになる?ならないですよ。放射線は紫外線と異なってエネルギーですから、身体に当たるとそれが細胞の遺伝子を壊すということで怖がります。だから、ガンの治療に使うということにもなります。

紫外線だって光子エネルギーであり、電離放射線もエネルギーなんですが。放射線をがんの治療に使うと言った口先が乾かないうちにこんなことも言います。

大人は二十歳を過ぎると放射線の感受性は殆どありません。もう限りなくゼロです。大人は放射線に対して感受性が殆どないということをまず覚えてください。

つまり、二十歳すぎたら放射線治療は効果がないということ? それともがん細胞だけに選択的に放射線感受性がある?

放射線の影響は、実はニコニコ笑ってる人には来ません。クヨクヨしてる人に来ます。これは明確な動物実験でわかっています。酒飲みの方が幸か不幸か、放射線の影響少ないんですね。

こんな人物が原子力安全委員会の委員を務めているのですから、そりゃおかしな対応になりますわね。怪しげなのは斑目春樹委員長だけではなかったようです。

原発・放射線の問題とがん治療とは共通性がたくさんあります。どちらも統計的にしか危険性・治療効果が分からない。人それぞれに感受性が違う。

しばらくがんに関することを書かなかったので、今日はお茶の話です。1月に紹介した、ためしてガッテンで放送された掛川の深蒸し茶ですが、私もそれ以前から粉末茶を愛用していました。スーパーのお茶売り場で買ったものを飲んでいたのですが、あの番組を見て試しに深蒸し茶に変えたのです。そしてお茶ミルも購入して挽き立ての粉末茶を入れてみたところ、これが感激するほどおいしいのです。今では毎日5杯ほどゴリゴリとセラミックの臼で挽いた深蒸し茶を飲んでいます。

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お茶ミルは京セラのこの製品が一番です。電動式は必要ありません。同じスタイルで背の低い製品もありますが、京セラの方がより細かい粉末になるようです。

同じ掛川の深蒸し茶でも産地によってまったくと言って良いほど味も香りも違います。「深蒸し茶」のラベルがあっても100%深蒸し茶ではないものもあるようです。なるべく葉っぱの小さいものがお茶ミルには良いと近所のお茶屋でアドバイスされました。今飲んでいるのは大森の老舗のお茶屋で勧められたもので、まったりとした飲み心地に深い香りがあり、飲んでしばらくするとほのかな甘みが喉の奥から鼻まで上がってきます。良い蕎麦を食ったときの味覚とそっくりです。

コーヒーが値上がりしそうだし、これからは深蒸し茶一筋にします。がんにも効く可能性もありそうだし、なによりもおいしい。

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2011年4月12日 (火)

しきい値モデルは少数派

原子力保安院が福島第一のレベルをチェルノブイリ並みのレベル7に引き上げた。私から見れば遅すぎたという感じがする。放出された放射能は放射性ヨウ素に換算して37万~63万テラBqだという。チェルノブイリの1割だとの推測も報じられていた。しかしチェルノブイリは終わったが、福島原発はこれからだらだらと放射能を出し続けることになる。「最悪のシナリオ」である水蒸気爆発がまだ起きていない(起きないことを祈っている)状態でのレベル7である。この現実をしっかりと胸に刻んでおく必要があるだろう。この先何が起きようともレベル8はないのだ。

政府は、年間の被ばく線量が20mSv以上の地域を「計画避難地域」と指定した。あの旧ソ連のチェルノブイリでさえ5mSv以上を強制避難区域としたのだが、それに比べるとあまりにも住民の命を軽んじてはいないか。「絶対安全」だと言われてきた原子炉が爆発し、「直ちに影響が出るものではない」との言葉を信じていたら「逃げろ!」と言う。住民が「安全なのか危険なのかはっきりしてくれ」という気持ちは当然だ。

政府が20mSv以上は「逃げろ!」と言うのだから、「200mSv以下の放射線量では、発がんリスクの増加は確認されていない」というような「専門家」の解説は影が薄くなってきた。低線量被ばくと発がんの関係は、実際にははっきりと結論が出ている問題ではないのであるが、彼らはあたかも科学的事実であるかのようにマスコミで解説してきた。広島・長崎の被爆者のデータからだというが、苛酷な状況下を生き残った”じょうぶな”人たちのデータである。身体的に弱い人たちは、直後に急性放射線障害などで死亡している。このように、データには常にバイアスがつきまとうのである。

下の図は、低線量被ばくとリスクの代表的なモデルを示している。マスコミで専門家と称する者たちが提唱していたのが「しきい値モデル」であり、ICRPが採用しているのが「直線モデル」である。「2相モデル」は直線と二次曲線の合成した形をしている。つまり、低線量のある領域にリスクのピークがあるというモデルである。このモデルは欧州放射線リスク委員会(ECRR)の2003年報告で提唱したものである。さらにウランやストロンチウムによる内部被ばくはICRPの評価よりも300~1000倍危険であると主張している。

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また、電離放射線の生物学的影響に関する米国アカデミー委員会のBIERⅦと言われる、低線量被ばく健康リスク評価委員会の総括報告第7報では、この15年間の疫学報告および生物学的知見に基づき、直線モデルを強く支持し、発がんリスクとして1Svあたり約0.1という値を推奨している。ちなみにICRPは0.05としているが、その根拠は乏しい。(半分に値切ったという批判がある)また、被爆二世に放射線による遺伝的影響はないとされてきたが、マウスやその他の動物実験では放射線被ばくによる卵子や精子の突然変異が子孫に伝わっていくというたくさんの証拠があり、人間で検出できないのは単にサンプル数が少ないだけだとも言っている。

2005年にBritish Medical Journal誌に、 世界各国約40万人の原子力産業労働者を対象とする疫学調査結果が発表された(Cardis et.al, BMJ 331 77(2005) PubMedに収録)が、この論文は、世界15 カ国で行われてきた原子力産業労働者の疫学調査をひとつにまとめて解析したものである。平均個人被曝量19.4mSvの集団において、 観察期間中24,158件の死亡があり、そのうち(白血病を除く)ガン死 6,519 件、白血病死 196 件であった。(白血病を除く)ガン死の過剰相対リスクは1Sv当り0.97(95%信頼区間:0.14~1.97)と統計的に有意であった。 白血病については1Sv当り1.93(同:<0~8.47)と有意ではなかった。

過剰相対リスクは1Sv当り0.97とは、国民の30%ががんによる死である日本では、10mSvを被ばくすれば、がんの死亡率は30.3 %、100mSvの被ばくでは33%になります。人口1,000万人が平均して10mSvの被ばくをしたとすれば、0.3%つまり3万人が過剰にがんになって死亡することになります。

ICRPのモデルでは、1mSvの被ばくで10000人に1人が毎年がんで死ぬことになる。20mSv以上は避難指示ということは、それ以下は避難しなくても良い、つまり被ばくを「がまんしなさい」ということですが、毎年20mSvの被ばくと続けると、仮に100歳まで生きると仮定すれば、5人に1人が余分にがんで死ぬ。半分は他の原因でがんになるのだから、それを加えれば10人の中でがんで死ぬ人が5人から7人に増えるということになる。これが無視できるほど小さいと言うのは、命を預かる医師の言葉ではない。

低線量被ばくに関するモデルはさまざまにあるが、その中でも直線モデルがもっとも信頼できるとされており、しきい値モデルはもはや少数意見だと言っても良い。少なくとも科学的な専門家であろうとするならば、「100mSv以下は影響がないと私は考えるが、別のこうした仮説・モデルもある」と言うべきであろう。

こうした疫学的問題は、結論はなかなか出ないものだ。したがって我々としてはより危険だという学説を重視して”最悪に備え”、しかし、”必要以上に怖れない”という付き合い方をするべきだと思う。個人のレベルではリスクは小さくても、政治家・専門家は集団全体のリスクを考えて対応すべきである。同じリスク値でも、個人における対応と、集団のリスクに責任を負うべき政治家・官僚、専門家の対応は違うべきだというのが、リスク管理の基本ではないのか。こんなことも理解できないのなら、テレビに出て持論をしゃべるのは控えたほうが利口だ。

さて、以上は主に外部被ばくに関する話である。現状の福島の問題は、現場で復旧に命をかけている作業員をのぞけば、内部被ばくによる晩発的影響(発がんリスク)である。内部被ばくに関してはICRPも軽視しており、その影響を小さく見積もっているとの批判がある。しかし長くなるので、以下に内部被ばくに関する記事を紹介するにとどめておく。

マスコミに出たがる「専門家」というものを私は信用しない。彼らの言ってきたことが毎日ひっくり返されているのが現在の東日本大震災であり福島原発事故である。放射線には関しては、「むだな被ばくは極力しない」という基本を忘れてはならない。安全な被ばく線量はないのだから。

2011年4月10日 (日)

仮住まいの身で龍を飼っていた

昨日の福島原発1号機のタービン建屋の地下に貯まった汚染水のデータは、経済産業省・原子力保安院のページにありました。『(別添)福島第一原子力発電所1号機タービン建屋地下の溜まり水の測定結果について(PDF形式:20KB)』

東大の早野隆五教授は、原子炉内には中性子はあるのだから、塩素38は当然作られている。だから再臨界は起きていないとツイターで書いています。しかし、この考察は、昨日のブログで紹介したような計算を検証しての発言だとは思えない。また、「海水を真水に変えたから今後は問題ない」とは、問題の意味をまったく理解していない。塩素38は大量の中性子が絶え間なく出ていることのセンサーであって、塩素38そのものが問題なのではないのだが。

NHK教育テレビのETV特集「原発災害の地にて」で、玄侑宗久さんと吉岡忍さんが対談していました。三春に在住している玄侑さんは、「政府・東電は、生のデータを迅速に出すべきだ。データの解釈は世界中に専門家がいるのだから」と言っていました。また、我々はこの地球に「仮住まい」をしている身。それなのに「龍」を飼うことをしてしまった、とも言っていましたね。もちろん「龍」とは原発のこと。水も食べ物も、エネルギーも自然からの恩恵を受けて我々は生かされている。もう少し慎ましく生きていった方が良いのではないかと思います。「欲あれば 万事窮す」とは、今日の日本人にもっともよくあてはまるようです。

私たちは電気をふんだんに使い、快適な生活をエンジョイする代償として、リスクを引き受けたはずです。安全だという神話を信じ、原発推進を是とする政府や議員を選んだのも私たちです。だから、私たち大人は福島の野菜を食べなければならない。汚染した魚も水を飲むべきです。特に東京に住んでいる者は、リスクを福島や柏崎に押しつけてきたのですからなおさらです。原発の恩恵だけを享受してそのリスクは負わないというのでは、「仮住まい」の人間としては身勝手すぎるでしょう。夏の電力不足の対策として柏崎の原発を稼働させようという主張がありますが、新潟県民から見れば論外です。野菜も魚もいやだというのなら、夏の猛暑を冷房なしで過ごすことくらいは耐えるべきでしょう。

横浜市在住の金子さんが「みまもりファームの栽培日記」で福島の放射能汚染を分析しています。一市民でさえこれほどの分析ができるのです。保安院・気象庁・東電は何をやっているのでしょうか。

2011年4月 9日 (土)

再臨界は起きるか?

気もそぞろで、落ち着かない毎日が続いている。がんの告知を受けたときでさえ、こんな気分にはならなかった。もちろん、地震・大津波、そして収束する気配のない福島第一原発が原因だ。

今一番の心配は、1号機で再臨界が起きることがあるのかということ。

東京電力は23日、東電福島第一原発の原子炉建屋の約1・5キロ・メートル西にある正門付近で、これまでに2回だけ計測されたとしていた中性子線が、12~14日に計13回検出されていた、と発表した。
観測データの計算ミスで見落としていたという。
(2011年3月23日13時10分  読売新聞)

これらの報道を受けて、IAEAがオーストリア、ウィーンで30日に開いた記者会見で、福島第1原発が「再臨界」の可能性もあるとみて分析作業を進めていることを明らかにしたと、ブルームバーグ日本語版は2011年3月30日付記事で伝えた。(こちらに関連記事

1号機は燃料棒が70%損傷していると、東電も認めている。すでにジルコニウムは溶けていて「棒」の形をしていないと思われる。燃料ペレットがむき出しになり、一部は圧力容器の底に落ちているのかもしれない。となると、再臨界の可能性が高くなる。

3月25日に東電が公表したというデータに、塩素38(Cl-38)という核種が含まれている。(情報源はこちら)これは本当に驚愕すべきデータだ。
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緊急冷却のために注入した海水に含まれている塩分(NaCl)が、原子炉内の中性子によって放射化されて生成したものであり、半減期は37分である。燃料の核反応による核反応生成物から中性子が出されているのだから、塩素38が生成されても不思議ではないが、その量が多すぎる。こんなに大量の塩素38が生成されるには、核燃料が「再臨界」していると考えないと説明がつかない、ということを式を使って計算しているのが、この図のあるサイトである。

このサイトの日本語訳(数式などを除いた一部)はこちら
全文掲載が転送条件なので、その一部を紹介することができない。リンク先を開いてください。

再臨界については京大原子炉実験所の小出裕章助教も、大阪MBS毎日放送のラジオ番組で指摘している。(こちらにまとめられている)

小出)はい、それ(塩素38)が検出されたことになっていて、それは「再臨界」が起きているということにしないと説明がつかないのです。ただ、測定の誤りということは、 これまで東電と政府の発表はそれはもう山ほどありましたから、測定の誤りの可能性もまだあると思いますが、その塩素38という核種はちょっと変わった放射 性核種ですが、それが出すガンマー線ていう放射線を出すのですが、間違えて検出することは私はないと思うんです。だから、もし東京電力の発表が正しい、分 析が間違っていないのだとすると、「再臨界」になっているのではないかなと、思うようになりました。

塩素38の半減期は37分だから、1号機からの漏洩水を続けて分析すれば、再臨界が起きているかどうか、分かる。しかし、東電は一度のデータ公開しかしていない。危険でサンプル採取ができないのかもしれないが、何としてでも測定しているはずである。東電は「大丈夫」とか「安定している」などの解釈はいらないから、生のデータを出すべきだ。

再臨界が起きたとしても、チェルノブイリのように爆発することはない。武田邦彦さん(中部大学)のサイトでは、

もっとも危険なのは、「圧力容器内の核爆発」で、これを止めるには「ホウ素の投入」が必要です。ですから、「ホウ素」という文字が出てきたら、逃げる準備が必要です.

と説明されているが、これは正しくない。再臨界を防止するにはホウ素の注入は有効です。武田氏の原発関係の説明は、多くが有益な情報ではあるが、中にはとんでもない誤解が含まれているので注意が必要だ。再臨界=核爆発ではない。

チェルノブイリのような爆発(圧力容器が宙に浮き上がったという)はないが、解けた燃料が再臨界を繰り返し”ぶつぶつ”と沸騰した状態が続くと、スリーマイル島原発事故のように圧力容器の底が溶けていく。最終的には大きな穴があく可能性がある。水蒸気爆発の起きることも考えなければならない。

このような綱渡り状態を1年以上も続けなければならないが、その間に何らかのトラブルあるいは大きな余震が来て破局的に事態が進展する、こんな予想は、宝くじに当たる確率よりよほど高いはずだ。最悪のシナリオを考えて準備をしておくことだ。

2011年4月 1日 (金)

自称「専門家」は放射線防護の基本原則を語らない

20110401152738361_0001 テレビ・新聞などのメディアで「専門家」と称する方が、放射線被ばくによる「健康被害はない」「発がんのリスクはない」と繰り返し主張しています。放射線に関する専門家であるなら、科学的事実に基づいて話すべきですが、彼らからは科学的思考が抜け落ちて、とにもかくにも住民に「安心」を与えるのが目的のように見えます。

未曾有の事故が起きた今だからこそ、放射線防護の基本原則をしっかりと確認し、その原則に立ち返るべき時なのです。国際放射線防護委員会(ICRP)が定めた基本原則の要点を書いてみます。なるべく専門用語を使わないようにしますが、そのために厳密さが犠牲になることをお断わりしておきます。

1.放射線の人体への影響

放射線の人体への影響は、急性障害つまり、最悪の場合は短い期間に死亡するという影響(確定的影響)と、後々になって発がんするリスクが高くなる(確率的影響)の二つに分けて考える。

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JCOの事故で中性子線を浴びて亡くなられたのは確定的影響ですが、この場合にはある線量(しきい値)以下なら影響(死亡すること)がない。
発がんリスク、つまり確率的影響にはしきい値がない(と考えようというのがICRPの前提)、発生したときの重傷度は浴びた放射線量にはよらない。

確率的影響を容認できるレベル以下に管理すれば、確定的影響はおのずと管理することができる。つまり、発がんリスクを一定レベルの管理すれば、急性の影響は管理できるから、問題にしなくて良いということです。

いま福島原発の事故で問題になっているのは、原発構内にいる作業員の方々は「確定的影響」を避けること、つまり即死するような放射線は浴びてはいけないのであり、周辺の住民は、内部被ばくによる将来の発がんリスク(確率的影響)がどうなるのかということです。

少ない線量の被ばくに発がんリスクがあるかどうか、専門家の意見が一致しているわけではありません。しかし、意見が一致していないからこそ、「どんなに少ない線量でも、影響はゼロではない」と仮定することを放射線防護体系の基本的考え方としよう、それが国際的な合意であったはずなのです。放射線施設に入る前の「入門教育」では、この内容をしつこく教育してきたはずではないですか。ところがメディアに登場する「専門家」は、自らも信じ、しゃべってきたこの前提をあっさりと投げ捨てています。「ある線量以下なら影響はない」という彼らの主張は、確定的影響と確率的影響を故意に混同しているのか、あるいは確率的影響についての主張であるなら、何の科学手根拠もありません。

2.正味の利益がなければ、被ばくは正当化されない

どんなに少ない被ばく線量でも、影響(発がんリスク)はゼロではないと考えるのであるから、被ばくを容認するためには次の条件を満たさなければなりません。ICRPは1977年勧告(publication26)において、放射線防護の基本的考え方を次のように書いています。1990年勧告(publication60)、2007年勧告(publication103)でも、この考えは基本的に変更されていません。

  1. 行為の正当化
    放射線被ばくを伴ういかなる行為も、その導入が正味でプラスの便益を生むのでなければ採用してはならない
  2. 防護の最適化(ALARAの原則)
    社会的・経済的要因を考慮にいれながら合理的に達成できる限り低く(As Low As Reasonably Achievable;ALARA)」被ばく線量を制限すること。
  3. 個人の線量限度を超えてはならない
    職業人:100mSv/5年、ただし50mSv/年を超えないこと
                                 (年間死亡リスク=1/10,000)
    公衆:   1mSv/年      (年間死亡リスク=1/1,000)
  4. 線量限度は「容認不可の最低値であり、危険と安全の境界値ではない

また、医療被ばく、自然放射線による被ばくは防護体系の対象外となっています。

「行為の正当化」とは、被ばくによる利益がないのなら、被ばくは容認すべきではないということ。医療被ばくは、病気の診断・治療の利益があるので一律に制限することは適切ではないのであり、例えばがん治療のための被ばくは患者が被ばくで死亡するのでないかぎりは容認されるわけです。CTの何回分だから心配ないとかの主張は、この点に照らして明らかに無知からの発言です。医療被ばくと比較する時点でその専門家のいうことは胡散臭いと断じてまちがいない。(好意的に解釈してもですが)

東京都の水道水から要素131が検出されたとき、「専門家」は「この程度なら心配ない。十分に安全だ」と言っていたが、「行為の正当化」に照らせばこの考え方はナンセンスであり、悪意に満ちています。この水でミルクを作り飲まされる乳児には、どんな利益もない。他方でリスクはゼロではない。汚染されていない水が手に入るのであれば、それでミルクを作ることこそが正当な行為です。これがアフリカなどの飢餓地域なら話は違ってきます。餓死するよりはヨウ素131で汚染されたミルクを飲ませることのほうが、正味での利益になるからです。「正味での利益になるかぎりにおいて」という原則を無視した主張が多すぎるということです。

国立がん研究センターの嘉山理事長がまた出しゃばってきて、「1mSvは喫煙と同じ」と記者会見したようです。1mSvは公衆の被ばく限度ですよ。公衆の中には妊婦も乳児もいる。乳幼児がタバコを吸うのか? 「200mSv以下なら発がんの関係は確認できない」とも言っているが、一度の被ばくによる「確定的影響」と、発がんリスクの「確率的影響」を故意に混同した発言です。それとも無知からの発言かもしれない。たぶんICRP勧告などは読んだこともないのであろう。伊丹純・放射線治療科長は「福島第1原発から放出されている放射性物質の量は、1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発事故よりも少ない」とも言っているが、東電自身が、放出された放射能量については、計器が故障したから把握できていないと言っているのです。放出量が分からないからSPEEDIによるシミュレーションができないです。国立がん研究センターは東電以上の情報収集能力があるとでも言うのだろうか。

いわゆる「専門家」の主張が、ICRPの防護原則に照らせば如何にでたらめであるか、よく分かるというものです。

3.安全な被ばく線量は存在しない

と考えよう、というのがICRPとそれを承認しているわが国、世界のコンセンサスです。もちろん科学的には異論もあります。広島・長崎の被爆者の被ばく線量評価にもいろいろな議論がある。しかし、ICRPの合意を元に法体系も放射線防護も構築してきたのです。未曾有の大惨事だからとしてその原則を投げ捨てることは契約違反です。

原発の事業所境界で1mSv/年というのは、我々公衆は原発のおかげで快適な生活をエンジョイしている。社会全体も恩恵を受けているはずだ。その代償として年間で1/10000程度の発がんリスクは「我慢しましょう」ということなのです。放射線業務従事者は、一般の安全だと思われる職業と同程度の発がんによる死亡リスク、年間1/1000程度は「容認してください」ということなのです。線量限度とは、この容認不可の限度です。タクシーの運転手なら労災死亡事故は更に多いですよということなのだ。線量限度の意味は、これ以下なら「安全で健康に影響はない」とは違います。いわば「がまん線量」なのです。

国際放射線防護委員会(ICRP)は、原発事故などが起きた後に周辺に住む人の年間被曝(ひばく)限度量は、2007年の勧告に基づき、1~20ミリシーベルトの範囲が妥当とする声明を発表した。日本の現在の基準は、一律に1ミリシーベルト。福島第一原発事故の影響が収まっても、放射能汚染は続く可能性があると指摘し、汚染地域の住民が移住しなくてもいいよう、日本政府に配慮を求めた形だ。

07年の勧告では、一般の人が年間浴びてもいい放射線量を三つの範囲で設定。緊急時は20~100ミリシーベルト、緊急事故後の復旧時は1~20ミリシーベルト、平常時は1ミリシーベルト以下とした。
今回の声明はこの勧告を紹介したもので、原発事故の影響を受けた地域に住民が住み続ける場合は、1~20ミリシーベルトの範囲内で検討するという考え方を紹介した。この地域も、長期的には1ミリシーベルト以下にすることが目標だとした。
ICRPは通常、各国の個別事例については言及しない。しかし今回は、「日本で起きた悲劇的な出来事に、深くお悔やみ申し上げます」と述べる異例の内容となった。

ICRPのこの声明も、住民が移住することによる不利益と被ばくのリスクを考慮すれば、20mSvとすることが正当化される場合もある、というふうに解釈すべきであって、安全な基準だという意味ではないのです。あくまでも住民が被ばくによる発がんリスクを正しく知らされて、なおかつ、ここに住み続けたいという合意ができたときにのみ適用されるべき値なのです。

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