« 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »

2011年6月

2011年6月30日 (木)

定期検査 術後4年目 再発・転移なし

今日はがん研での定期検査でした。これで満4年目になります。造影CTと血液検査。主治医の先生がヨーロッパに出張のため代診の若い先生でした。

結果はご覧の通り、血液検査での腫瘍マーカも正常範囲内です。CT画像にも「転移・再発は認められない」と画像診断医のコメントがついていました。今回初めてヘモグロビンA1Cが少し高めです。すい臓がほとんどないのですから不思議ではないのですが、このところずっと正常値だったし、低血糖症を心配して、この1年ばかりはアマリールを処方量の半分に減らして服用してきました。もちろん地元の糖尿病専門委の先生と相談して取った処置です。その影響だと思われます。元の処方量に戻した方が良さそうです。

血液像で好中球の割合が低く、リンパ球が高くなっています。白血球数全体は4600ですが、もともと少ない体質ですから問題はなし。リンパ球が増えるよう努力しているのですから、その割合が高くなるのは成果が出ているということであり、好中球のその分の割を食っているわけです。リンパ球の実数が4600×50%で2300もあるのは頼もしいかぎりです。

Img_0630
腫瘍マーカ値の前回からの推移は、
  CEA:  3.8 → 4.6
  CA19-9:26.6 → 25.7

測定誤差の範囲内の変動でしょう。

「なんとか2年、欲を言えば4年は元気で生きていたい」と思っていたのですが、どうしてこんなにうまくいっているのか。躊躇せずに即刻手術に踏み切ったことがもちろん一番でしょう。しかし手術はできたとはいえ、がん細胞が必ず残っているはずです。そのがん細胞を押さえ込んでいるのは、適度な運動、玄米菜食ベースの食事(魚と少量の肉も)、メラトニン、ビタミンD、緑茶。さらに心の有り様が身体にも相互作用するはずですから、瞑想・サイモントン療法を続けていることも。これらの相互作用による相乗効果で、がんが好む炎症作用を抑え、がんを育てない体内環境ができているのでしょう。複雑系としてのがんに、これらが少しずつ良い方向に作用しているのでしょう。もちろん証明することはできませんが。

これからも「拾った命だから、のんびりと生きる。生かされるままに生きる。」つもりでやっていきます。

目標、目的として意識すべきなのは、治癒する、がんを叩きのめす、生き続けるといったことよりも、完全性を実現する、つまり、円満無欠の人間でいることそのもの。それが正しい。しかも実のところ、人生でめざすだけの価値のある唯一の目的でもある。自分の存在の正当性を証明するために、偉業や奇跡を成し遂げる必要はない。円満な人間でいること”こそ”が、存在の目的なのだ。

これは老子や荘子の言いそうな言葉ですが、神父のマクファーランドが『がんはスピリチュアルな病気 ―がん患者と愛する家族のための心と体の処方箋― 』で述べていることです。

2011年6月29日 (水)

『再発』

再発 がん治療最後の壁 「再発」と言っても、私の膵臓がんが再発したのではありません。もちろん、再発するかどうか、予防するためには何をしたら良いかということが今の大きな関心事ですが、できることはすべてやっているので、あとは天に任すだけ。しかし、がんが再発したときの対処法に的を絞って書かれている本がほとんどない中で、最近出た田中秀一著『再発 がん治療最後の壁』は貴重な情報源になり得ると思います。

がんの再発について、「最新の医療状況をふまえ、基本的な知識から現状と限界までをも真摯につきつめた、待望の総合解説書」との前宣伝ですが、内容はこんな感じです。

1.がん再発とは
   なぜ再発をするのか
   がん再発のメカニズム
2.再発は予防できるのか
   再発のための検診と予防
3.再発がんの治療
   部位別・再発がんの治療
    肺・胃・大腸・小腸・肝臓・食道・乳・子宮・血液ほか
   抗がん剤をどう使うか
   代替医療は効果あるか
4.再発がんの新しい治療法
   体に優しい治療
   新しい薬物医療 分子標的薬
   副作用と対策
   がんワクチン療法
5.緩和ケアの新しい展開
   さまざまな緩和ケア
6.がん再発にどう向きあうか
   四人の「再発」例

著者の田中秀一氏は読売新聞社医療情報部長であり、長期連載「医療ルネサンス」を担当してきた方です。それだけに、がんに関する最新情報をもれなく網羅しています。「がん再発のメカニズム」ではがん幹細胞理論を、女王蜂と働き蜂に例えて、女王蜂の遺伝子をもった働き蜂は「一つのがんの塊であっても、性質の異なる集団としてできあがる。だから、特定のがん細胞を殺す抗がん剤を使っても、性質の異なる別のがん細胞は生き残り、治療が難しいのだ。」と説明する。女王蜂自身が自己複製するだけではなく、働き蜂の中から女王蜂に変化するものも現われる。これを可塑性と言って、正常細胞にはないがん細胞の特質でもある。まことにがん細胞は不死身の生命力を持っているようだ。「これまでの分子標的薬の多くは、がん幹細胞には効いていない」とも指摘している。細胞内の増殖因子に働くシグナルを遮断してがんの増殖を抑えようとしても、がん細胞は別の経路を使って「振り替え輸送」をしてしまう。こうして分子標的薬の攻撃を「ステルス」能力でかわすこともできる。

がんが転移するにはニッチと呼ばれる間質細胞が必要で、転移先のこの細胞がないと転移が成立しないと考えられている。しかしがん細胞は、自分の周りにニッチを作って、ニッチごと転移してしまうこともできる。ほかにも、

  • 大腸がんを除けば、再発予防のための検査には効果がない。国立がん研究センターの勝俣範之医長は、「早期発見、早期治療が大切と言っているのは日本の特殊な状況」だと指摘している。<これって、がんセンターも近藤誠氏の説が正しいと言っているのでは!>
  • 食事や運動習慣など、生活習慣の改善によって、がんの再発が予防できるというデータは乏しい。ただ、心身共に健康な生活を送ることが大切なことは、いうまでもない。バランスのとれた食事や適度な運動をすることは理にかなっている。<この部分は『がんに効く生活』の考え方とは相当違っている。私としては納得することは難しい>
  • 抗がん剤で寿命が延びたように見えるのは「リードタイム・バイアス」の可能性が高い。抗がん剤は、再発したがんにはわずかな延命効果しかない。

など要領よくまとめられている。

「新しい治療法」ではラジオ波治療が好意的に取り上げられている。主として肝臓に転移した場合に有効であり、主な医療機関の治療件数もリストアップされている。がんペプチドワクチンについても紹介されているが、正直私のブログの方が情報量としては多い。

「部位別・再発がんの治療」の章には膵臓がんの説明はない。再発したら完治が望めるような治療法はないからだろう。抗がん剤治療についても、虎の門病院の高野利実医師との対談形式で次のように述べている。

一次治療が効かなくなり、二次治療、三次治療に進むにつれて、期待されるメリットは小さくなり、予測されるデメリットが大きくなります。確かに、使 える抗がん剤の種類はどんどん増えていますが、「使える薬があるから使う」というのは本末転倒です。きちんと、メリットとデメリットを予測し、その抗がん 剤を使うのが自分にとって本当に良いことなのかどうかを慎重に考える必要があります。

末期の膵臓がんならなおさら、ジェムザールの次にTS-1、タルセバにFOLFORINOX、アバスチンなど輸入してでも使うという戦略が、果たして自分のためになるのか、目的は何なのかをよく考えた方が良い。

再発がんは治ることがない。この点ではこの本も、近藤誠氏も、梅澤医師もみんな共通している。がんと闘っているのではなく、副作用と闘っているようでは何のための延命した時間かとなる。本末転倒とはそういう意味だ。

「四人の再発」として上坂冬子さん、筑紫哲也さん、関原健夫さんと、「乳がんと17年、治療しない生き方」と題して、近藤誠氏の元で無治療で過ごしている渡辺容子さんが紹介されている。乳がんのようなおとなしいがんと膵臓がんを同列には考えられないが、このようながんとの付き合い方もある。渡辺さんのブログ「暗川」は、最近では原発の記事で埋められている。

この本、一発逆転のホームランを狙っているがん患者には期待はずれだが、再発後の治療の限界を知り、賢く対処するためになら参考になる。

続きを読む "『再発』" »

2011年6月28日 (火)

『抗がん剤は効く!』

使い方次第で抗がん剤は効く! 梅澤先生の新著『使い方次第で抗がん剤は効く!』を読みました。近藤誠氏の「抗がん剤は効かない」について、標準量では聞かないというのなら、それは同意できる。しかし、患者に合わせた少用量の抗がん剤では、標準治療による生存期間中央値よりも明らかに長生きしている、と主張しています。この点は先生のブログの読者ならすでによく分かっていることです。少用量の抗がん剤での実際の患者の生存期間がどうなのか、知りたかったのはその点です。

一言でいえば、標準治療よりはるかに良いではないか、となります。

国立がん研究センターの乳がん患者(Ⅳ期、再発)のデータでは5年生存割合がともに25%となっています。同じステージの梅澤先生の治療を受けた乳がん患者65名のデータでは、平均生存期間は60.5ヶ月ですから、平均しても5年は生存しています。がんセンターの標準治療では5年後は25%ですから、この違いは明らかだと思います。

一番気になる膵臓がんの25例の成果も紹介されています。こちらは「膵がんの治療成績は、悲惨の一言です」と書かれているように、ほとんどの患者さんがすでに亡くなっています。それでもジェムザールの生存期間中央値6.8ヶ月に比較して、16.5ヶ月という治療成績です。膵臓がん患者からすれば「そんなものか」とがっかりしますが、標準治療よりは副作用も少なく、長生きできるのですから恩恵はあります。『膵がんには「借りてきた猫」は見当たりません。情け無用の猛獣ばかりです。』とは、たくさんの膵臓がん患者を見てきた先生の正直な感想です。覚悟をしています。しかし、中には「完治」の可能性のある患者もいるとも書かれています。少しは希望もありそうです。

このブログでも第Ⅱ層の臨床試験が始まったと紹介しましたが、このFOLFILIONOXについては酷評しています。アウシュビッツ以上の「拷問のような治療」「医者のお遊び」だとの批判です。直腸がん患者で実際に体験した方も「まさに生き地獄でした」と感想を漏らしていたそうです。さもありなんと思います。「膵臓がんの常識を覆した」とか「膵がん患者においては、若くて状態が良ければ副作用の強い強力な治療の方がかえってQOLを改善しやすくかつ従来より延命させるということだ。」との解釈がありますが、”副作用が強力な方がQOLが高い”というのはありえないのではないか。副作用が強いほどQOLは低下するはずです。4.3ヶ月の延命効果をどう考えるか、副作用との兼ね合いですが、患者の価値観によって違うでしょう。

E0156318_20751331
私なら「地獄のような副作用」に耐えて天国に行くよりは、宝物のような時間を過ごしてから地獄に行った方がましだとの先生の言葉に同意します。タルセバもFOLFIRINOXも要らないなぁ。

続きを読む "『抗がん剤は効く!』" »

2011年6月27日 (月)

神川町、群馬フラワーパーク

_dsc1679
旅行記のつづきで、いろいろ書くつもりでしたが、梅澤先生の『使い方次第で抗がん剤は効く』が届いたので急いで読みたい。時間がないので、今回は写真をアップするだけです。

ホタルは平家ホタル。埼玉県のどん詰まり、神川町にある味噌・醤油メーカーのヤマキ御用蔵にある庭園で育てたホタルです。ISO感度5000にして、手持ちのバルブ撮影なのでブレは仕方ないですね。
_dsc1551_2
_dsc1546
_dsc1558
天空のラピュタ? あるいは日本のチロルと言われる「下栗の郷」を連想させます。
_dsc1578
_dsc1597
ぐんまフラワーパーク
_dsc1604
_dsc1613
_dsc1626
_dsc1628
_dsc1647
_dsc1649
_dsc1655
_dsc1665
_dsc1711
_dsc1713
_dsc1732
「宝物のような時間」とは梅澤先生のことばですが、膵臓がんであってもこのような写真も撮ることができるし、うまい蕎麦も食ったし、本当に今が「宝物」のような時間なんですね。

続きを読む "神川町、群馬フラワーパーク" »

2011年6月26日 (日)

アジサイの季節が巡ってきたら1年経った

_dsc1475
アヤメが終わりアジサイの季節になると「これでがんになっ_dsc1501て○周年」と改めて気づかされます。来週にはがん研(癌研からがん研に名称変更したそうです)での定期検査ですが、これで4年目でアジサイに想いを託すのも5回目です。

土日は一泊旅行でした。行き先は昨年末に冬桜を撮りに行く予定が、腸閉塞で緊急入院したためにキャンセルした同じ宿。ホタルの鑑賞会もセットだという案内_dsc1511をいただいたので行くことに決めました。冬桜の宿「神泉」です。

まずは熊谷市にあるアジサイ寺とも言われる「能護寺」へ。今にも降り出しそうな空でしたが、境内にいる間は雨もやんでくれました。天平15年(743年)に行基上人が開山し、後に弘法_dsc1521大師空海が再建されたと伝えられている歴史のあるお寺です。50種類800株のアジサイがあるそうな。

帰り支度をいしていると雨が降り出しました。アジサイには雨がよく似合います。あまりカラッと晴れていても風情がありません。

*****************************

お昼は深谷市にある八ヶ岳蕎麦を石臼で挽き、十割蕎麦を食べさせる「そば遊歩」さんへ。竹藪の中の静かな佇まいの店です。

P1010554
P1010562 粗挽き十割蕎麦を注文しました。これがまたもっちりとした食感で甘みも多くてすばらしい蕎麦でした。このそば粉十割のしかも粗挽き蕎麦は亭主泣かせだと言っていました。それだけにおいしくいただきました。

続・蕎麦屋の午後 駆け出し蕎麦屋の徒然日記」というブログを書かれていますが、かけ出しとは謙遜でしょう。なかなかお目にかかれP1010565ないほどうまい蕎麦でした。かき揚げもパリッとしてこちらも絶品です。とにかく、蕎麦もつゆも水にもこだわった亭主の心意気が伝わってきます。

家族全員でもう一度行きたい蕎麦屋です。

ホタルの夕べは、次回に。

続きを読む "アジサイの季節が巡ってきたら1年経った" »

2011年6月23日 (木)

サプリメントはどう選ぶ。メラトニンはもっと注目されてもよい

  • 現代医学には限界がある
  • 漢方は説明不足
  • 代替医療にはエビデンスがない

     しかし、がん患者には時間がない。エビデンスが揃うまで待っていられない。

これが多くのがん患者に共通した想いではないだろうか。「がんサポート情報センター」に最近つづけていくつかのサプリメントに関する記事が公開された。

  • エビデンスレベルで言えば、ほとんどのサプリメントがグレードC(勧めるだけの根拠が明確でない)となる。グレードBになるためには、複数の無作為化比較試験で有効性が認められる必要があるから、敷居は高い。無作為化比較試験を行なっているのは、アガリクス、AHCC(シイタケ菌糸体)、さめ軟骨であるが、サメ軟骨は試験の結果効果がないことが確認されている。これらはいずれも金沢大学で臨床試験が行なわれてきた。

    エビデンスがないと言うことは、効果がないこととは違う。まだ証明されていないと言うこと。だから、私のサプリメント・代替療法を選ぶ基準は

    1. 重篤な副作用がない
    2. ある程度のエビデンスがある
    3. 高価ではない

    である。1.はあたりまえ、副作用で死んでは元も子もない。2.は少なくともヒトに対するデータで効果があると予想されるもの。この程度にしないと選択するものが無くなる。この中から自分で納得できるものを選ぶ。3. も重要。長く続ける必要があるから、理由もなく高いものは続かない。それに、いかさまなものほど価格を高く設定してある。彼らに言わせると「原価が1000円のものを2000円にすると売れないが、10万円にすると飛ぶように売れる」のだそうだ。患者は高ければ効果があるかのように錯覚するのである。

    私は手術の直後から中断せずにメラトニンを服用しているが、メラトニンについてのこんな記述もある。

    メラトニンは、サプリメントの中では臨床研究も進んでいる。国立健康・栄養研究所のサイトでも、複数の臨床試験があり、「固形がんへの有効性が示唆される」と示されている。たとえば、次のような報告もある。
    転移性の進行非小細胞肺がん100例を対象とした比較試験では、抗がん剤単独投与群の奏効率(がんが縮小した割合)は18パーセント、5年生存率は0パーセントだったのに対し、メラトニン+抗がん剤併用投与群はそれぞれ35パーセント、6パーセントだった。
    「メラトニンは、臨床試験を行っている研究機関が一部に偏っているのが玉に瑕です。ただし、さまざまな研究機関で臨床試験が行われ、確固たる評価を得られれば、抗がんサプリメントとして、世界中で認められる可能性もありますね」
    また、メラトニンは、進行非小細胞肺がん70例を対象とした比較試験でも、悪液質の割合を有意に低下させた。
    福田さんによれば、がん治療にメラトニンを活用する場合、1日20ミリグラムを服用するのが普通だと言う。

    02_031_3

    「たとえば、最近では、ビタミンDとカルシウムを併用したところ、がんの発生率が半減したという比較試験の結果も出ています」

    29_1_451jpg_u1248276466 メラトニンは体内で作られる物質であるから、有効性を証明しても特許がとれない。製薬企業が臨床試験をすることはあり得ないから、公的な機関が試験をするしかない。積極的に効果を確認して欲しいと期待している。<このブログでのメラトニンに関する記事

    6月17日に「健康食品の安全性・有効性情報」からの検索方法を紹介したが、その中で膵臓がんに効果があると思われるものを列挙しておいた。ビタミンDについても紹介している。お茶について今回の記事にはないのが残念であるが、メラトニンとビタミンDの重要性はもっと多くのがん患者が注目しても良いサプリメントだ。

    こちらの話題も重要だ。
    がん医療の現場で見直される「口から食べる」大切さ

    がんと闘うのは患者さん自身で、外科手術、抗がん剤、放射線などによる治療はあくまでも、がんとの闘いをサポートする手段に過ぎません。がんを抑え、がんと共存するには何より、その人が体力を保ち続けなければなりません。そのためには食べるということが基本的かつ不可欠の条件です。

    体力を維持するために栄養が十分に含まれていること。とくに転移が発生するなど症状が進行している場合は、血中のアルブミンというたんぱく質や電解質のバランスがいびつになっていることも多いので、その面での配慮も必要です。

    がんと闘うには、免疫力も含めた体力、そして動物性・植物性のタンパク質が必要がです。厳格なゲルソン療法などの食事療法はかえって危険かもしれません。バランスのとれた食生活が何より大事でしょう。

    食事と運動、感情のコントロールががんとの闘いにおいては重要です。シュレベールは『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』で次のように言っている。

    私たちの貴重な白血球を強化できるものはすべて、腫瘍の成長を阻むこともできる、という結論である。要するに、免疫細胞を刺激し、(食事療法、運動、感情のコントロールによって)炎症と闘い、血管新生と闘うことで、がんが増殖できる環境をなくすことができる。従来の薬による治療と平行して、誰でも身体の潜在能力を活性化することができるのだ。そのために支払うべき”代償”は、より意識的でバランスがとれた生活、つまり、より美しい人生を送ることなのである。


    続きを読む "サプリメントはどう選ぶ。メラトニンはもっと注目されてもよい" »

    2011年6月22日 (水)

    放射線による影響はエネルギーによって違う

    福島第一原発の事故による放射線被ばくについて、御用学者らから「医療用被ばくと同程度だから」がんになる確率は無視できる。必要以上に心配してストレスを溜める方が問題だ、などの解説がされている。

    同じ医療関係者でも、北海道がんセンターの西尾正道院長が「医療ガバナンス学会」への投稿で述べているように(1)

    パニックを避けるためにCT撮影では6.9mSvであるなどと比較して語るのは厳密に言えば適切な比較ではない。画像診断や放射線治療では患者に利益をもたらすものであり、また被ばくするのは撮影部位や治療部位だけの局所被ばくであり、当該部位以外の被ばくは極微量な散乱線である。内部被ばくを 伴う放射性物質からの全身被ばくとは全く異なるものであり、線量を比較すること自体が間違いなのである。

    問題を適切に指摘している方もいる。西尾院長はまた、ICRP勧告の枠組みの範囲内であるが、内部被ばくについても一考すべき意見を書かれている。

    そこで、ここでは放射線のエネルギーに注目した別の観点から、外部被ばくについて考察してみる。

    ICRP勧告による(日本の法令はこれにしたがっている)と、被ばく実効線量は、放射線による吸収エネルギーに、放射線の種類によってICRPが定めた「放射線荷重係数」(下の表)をかけて求めることになっている。

    放射線の種類 エネルギー範囲 荷重係数
    X線とガンマ線 全エネルギー 1
    ベータ線(電子) 全エネルギー 1
    アルファ線、重粒子線
    20
    陽子 2MeV以上 5
    中性子 エネルギーに応じて 5~20

    ご覧のように、エックス線もガンマ線も、ストロンチウムなどからのベータ線も、そのエネルギーに関係なく全エネルギー領域で「1」という荷重係数が与えられている。ECRR(欧州放射線リスク委員会)は、すべて「1」などというそんなバカなことはないだろう!と批判しているのである。

    エックス線またはガンマ線は、医療で人体の透過写真を撮ること以外に、鉄などの鋼構造物の検査にも使われている。いわゆる非破壊検査である。そして、検査対象物の透過厚さと比重に応じて適切な放射線エネルギーが選択される。(下の図)

    放射線の種類 エネルギー 適用範囲
    医療用エックス線 50~100keV 人体
    工業用エックス線 100~400keV 鉄30mmまで
    工業用ガンマ線 Ir-192 400keV 鉄50mmまで
                  セシウム137 660keV 鉄80mmまで
                  コバルト60 1170,1330keV 鉄120mmまで

    今回の事故によって放出された、セシウム137、コバルト60も非破壊検査で使われている。(Cs-137は今はほとんど使用されていないが)この表で明らかなように、エックス線・ガンマ線と言っても、そのエネルギーによって透過する厚さがずいぶんと違う。原発の圧力容器のように150mmもある鉄を医療用のエックス線では検査できないし、逆に人間の検査には100keV以上の高エネルギーの放射線を照射しても検査できない。仮にセシウム137の放射線で胸部撮影をすればどのような写真になるか? 次の写真の左は通常の医療用エックス線、右がセシウム137のような高エネルギーによる写真である(実際に撮影したのではなく、こうなるという画像処理を施したものである)

    Image11

    つまり、人体に高エネルギーのガンマ線を照射したら、コントラストのないのっぺりとした画像になり、病変部や腫瘍があっても識別することが困難である。放射線のエネルギーが高いと、骨のように密な組織も筋肉のような軟組織も、透過する放射線量ではその差は小さい。したがってフィルムに届く放射線量に差がないから写真の濃度に差が出ない。つまりコントラストのない写真になる。左の写真で脊髄が白いのは放射線が透過しないからであり、右の写真では脊髄を透過している(被ばくしている)のである。

    医療用エックス線による被ばく線量は通常、皮膚への入射位置でのシーベルト単位で測られるが、ガンマ線による被ばくは全身についての骨髄線量として測定される。例えば医療用エックス線による皮膚線量が0.5mSvであれば、軟組織線量は0.3mSvであり、骨髄線量は0.03mSvとなるであろう。一方でセシウム137などの高エネルギーガンマ線による線量は、骨髄線量でもほぼ同じ0.5mSvである。生物学的エンド・ポイントとして白血病を考えるならば、骨髄の造血組織の被ばく線量が異なることにより、ガンマ線による0.5mSvはエックス線による0.5mSvよりも高いリスクを与えることになる。

    福島の子どもたちにガラスバッジを持たせて被ばく線量を測定する計画が動いている。国立がん研究センターもそのように提案している。内部被ばくを無視しているが、測定しないよりはましであるが、ガラスバッジは一ヶ月胸部に着けて積算線量を測定するものである。結果はさらに半月後に分かるのであるが、それで被ばく線量が多いと知ってもどこで被ばくしたのか分からない。なんだか、被ばく量が多くないことの証明に使う魂胆ではないかと思う。

    外部被ばくだけを考慮しても、子どもたちはセシウムによるガンマ線を浴びているのであって、医療用の低エネルギーエックス線ではない。ガラスバッジの測定結果をもって医療用被ばくと比較することの愚は避けなければならない。

    1980年代にICRP内部では、トリチウムには2、オージェ電子放出体には5の荷重係数を採用すべきであるという議論があったが、原子力産業への配慮から採用されなかった。このようにICRP勧告の中身は、科学的な合意としてでなく、軍事産業・原子力産業へ配慮したなものであることに注意しなければならない。ICRP勧告が言っているから正しいとはならないのである。素人考えでも全エネルギーで同じ「1」は、明らかに不自然で非科学的である。

    東大病院の放射線科医らによる「医療被ばくと比較してたいしたことはない」という主張は、エネルギーが違えば画像の鮮明さが損なわれてレントゲン写真が撮れないという、自らの仕事によって裏切られているのである。

    2011年6月21日 (火)

    あやめ

    潮来のアヤメ祭りの写真です。このところ福島原発一色で写真もろくに撮っていません。

    _dsc1411
    _dsc1404
    _dsc1422

    2011年6月20日 (月)

    梅澤先生の新著、予約受付中

    使い方次第で抗がん剤は効く!現在のガン治療の功罪」の梅澤先生がブログで予告していた新著が、Amazonで予約できるようになりました。6月25日発売予定です。

    使い方次第で抗がん剤は効く!』。近藤誠氏に名指しで批判されていましたから、いずれ反論されるだろうと思っていました。<こちらのブログ

    早速私も予約を入れました。治療成果もまとまってきたので本にしたとも書かれているし、本の内容について今後ブログで補足することもあるというのだから、読んでおかないと話についていかれない。

    2011年6月19日 (日)

    世論は「脱原発」へ

    今朝の東京新聞一面に、全国世論調査の結果が載っていた。「原発、82%が廃炉求める」とある。
    Wshot00241 「直ちにすべて廃炉」するべきと考えている人が9.4%もあるとは、予想外の驚きである。朝日新聞の4月16、17日の調査では「減らす・止める」が41%だったから、ちょうど2倍になっている。同じ朝日新聞の6月11、12日の全国世論調査でも「段階的に減らして将来は止める」が74%となっている。

    原発による電力が80%を占めるフランスでも、77%が「即時または段階的に止める」と答えている。ドイツ・イタリアの国民投票の影響があるのだろうし、もちろんフクシマが与えた衝撃である。

    大手マスメディアの「大本営発表」のような記者クラブからの垂れ流し記事に、日本の国民は騙されないという気概を示した。例えば山下俊一と肥田舜太郎を、斑目春樹と小出裕章を比較して、その話を聞いただけで誰が誠実で、誰が保身のためにウソを言っているかは、国民はバカではないから瞬時に判別がつくのである。

    放射能の半減期は物理的に決まっていて、この宇宙ではどこであれ一定不変である。人間の科学技術でどうにかなるものではない。放射能についてその場限りのつじつまを合わせようが、放射能の不変な半減期が、いずれそのウソを公にする。死語となっていた「御用学者」「死の灰」も復活させた。

    2号機が水素爆発したのは3月15日午前6時10分ごろであるが、枝野官房長官はその日の午前11からの記者会見で、『2号炉の方で「ポン」というような音がしたという事態が生じました。・・・2号炉については上空に穴も開いておりましたので、少なくとも大きな水素の爆発の起こる可能性は低いということを申し上げてまいりました。』と言っていた。「ドカン、バーン」ではなく「ポン」である。ポン菓子でもあるまいに、圧力容器・格納容器に穴があいて「ポン」はないだろう。官邸のホームページに記録が残っているので、彼らが如何に事態を小さく見せようと腐心してきたかが検証できる。歴史に残る一連の”愚かな記録”となるに違いない。

    2011年6月18日 (土)

    東京新聞が”熱い”

    福島原発事故の報道では、朝日・読売などの主要メディアが政府発表を垂れ流すだけの存在になっている。御用学者らの”根拠のない安全宣言”を今でも無批判に報じている。
    その一方で、東京新聞の「こちら特報部」がホットである。京大助教の小出裕章氏や今中哲二氏を特集記事で大きく取り上げたのも東京新聞であった。

    6月16日の「こちら特報部」は、「福島・郡山は今」と題して各地で起きている子供の体調異変を取り上げている。チェルノブイリ事故による小児甲状腺がんの治療にベラルーシで5年半活動した菅谷昭・松本市長は「子どもを集団移転させるべきだ」との考えで、松本市では市営住宅で受け入れている。

    チェルノブイリ事故から25年経ったが30キロ圏内は人が住めない。周辺の子どもは免疫機能の低下が目立つ。松本市ができることは限界がある。子どもの集団移転は国の施策として取り組んでもらいたい。

    ミスター100ミリシーベルトと言われるようになった山下俊一長崎大教授もチェルノブイリの子どもの治療に当たったと言っているが、同じ医者でもこのように違う。

    「脱原発は集団ヒステリー」とは原子力村の本音だろう。そんなごう慢な意識で選別した「情報」を誰が欲し、信じるか。人は、どれほど厳しい現実であれ真実を知り、その上で進む道を選ぶ権利がある。尊厳にかけて。医師として率直な見解を示した菅谷市長に敬意を表したい。(充)

    と、「デスクメモ」欄も、毎回痛快である。

    Img_0001
    Img_0002

    Img

    2011年6月17日 (金)

    食事と運動は、がんの治療にも効果がある

    昨日6月16日、「がんサポート情報センター」に新しい記事がアップされた。『がんサポート』2011年2月号の瀬戸山修 爽秋会クリニカルサイエンス研究所代表へのインタビュー記事である。『エビデンスのある食事 がん治療の効果を高めるためにも食事は重要!』と題して食事と運動の大切さを話されている。その多くはすでにどこかで紹介された内容であり、目新しくはないのだが、いくつか気になることもある。

    大腸がん(結腸がんの3期)で手術を受けた患者さんを対象に、術後補助化学療法の効果を調べた臨床試験である(06年)。「5-FU(一般名フルオロウラシル)+ロイコボリン(ホリナートカルシウム)」群と、「5-FU+ロイコボリン+イリノテカン(商品名カンプト/トポテシン)」群を比較している。

    その結果、イリノテカンを加えても生存期間は延びず、副作用が増加することが明らかになった。この3剤併用療法は進行再発大腸がんの治療では有効だが、術後治療には適していなかったのだ。そしてこの臨床試験が興味深いのは、食事や運動の影響についても調べている点だ。

    食事に関しては、補助化学療法中と6カ月後の食事内容について質問に答えてもらい、その影響を調べている。野菜、果物、鶏肉、魚などの「理想食」と、牛肉、脂肪、精製穀類、デザートなどの「欧米食」を、どのくらい摂取しているかが、生存期間にどう影響するかを調べた。

    結論は、欧米食を多くとるほど生存期間が短くなるというものだった。欧米食を食べる程度で4段階に分けると、最も欧米食が少ない群に比べ、最も欧米食の多い群は、再発のリスクが3.25倍に増加していた。

    運動に関しては、1週間に3MET時間(軽いウォーキングなら1時間)以下の運動しかしない人に比べ、18MET時間(同6時間)以上運動する人は、再発のリスクが45~49パーセント低下していた。

    抗がん剤は、期待するほど大きな効果を発揮しないかもしれません。一方、適切な栄養や運動は、ときに抗がん剤治療に匹敵するほど大きな影響を示すことがあります。がんの患者さんは、そのことをぜひ知っておいてほしいと思いますね。

    まさにその通り。3MET時間/週の運動は、退院後欠かさず行なっている。電車では一駅手前で降りて歩く、散歩に飽きたらカメラを担いで散歩写真を撮るなど、飽きないように工夫をしている。継続しなければ効果がないのだから。

    がん患者は代替医療に「魔法の弾丸」を求めようとするが、近代医学に対しても「魔法の弾丸」を求めようとしているかのようだ。今回のすい臓がんへのタルセバ承認についてもそのような傾向があると思う。たいした効果もないのに、他に治療法が限られているからと承認される。患者は一日千秋の思いで承認を待っているのだが、高価な薬剤費で10日ばかりの延命効果を買うことになる。

    031
    この図を見ると、野菜と果物をたくさん摂って、適当な運動をすることの重要さ分かる。抗がん剤の効果をしのぐこともあるのだ。

    がんの食事について考えるとき、“がんを防ぐ食事” と“がん療養中の患者さんの食事” を分けて考えることが多い。しかし、分ける必要はない、と瀬戸山さんは言う。
    「がんの増殖メカニズムは一緒ですから、がんを防ぐ食事の情報はがんの患者さんにとっても有益な情報になります。それに、がんのサバイバー(がん治療経験者)を対象にした研究は、あまりありませんが、がん予防に関するエビデンスは非常に多いのです。その情報をうまく活用すべきですね」

    がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」 がん予防のエビデンスは、がん患者の治療法にも採用してよいのである。緑茶のEDCGにがん予防効果があるのなら、がん患者は治療効果を期待しても良いのだから、私は毎日飲んでいる。

    がん患者に治って欲しいから何度でも紹介するが、『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』はこれと同じことがさらに詳細に紹介されている。シュレベールは「がんを作らない、育てない、あきらめない」ことが大切であり、そのために必要なことをもらさず書いている。

    瀬戸山氏はサプリメントについては次のように言う。

    βカロテン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、セレニウムといった抗酸化物質のサプリメントについて、分析した結果、いずれのサプリメントもがん予防の効果はなく、βカロテン、ビタミンA、ビタミンEに関しては、投与群の死亡率が高くなるという結果になった。ビタミンCとセレニウムは、死亡率には影響がなかった。

    マルチビタミン、ビタミンC、ビタミンE、葉酸のサプリメントを使用しても、肺がんの発生率は低下しないことがわかった。

    「これらの研究結果を考えると、食事で不足する栄養を補うためのサプリメント利用はいいとしても、がんを防ぐためにサプリメントで栄養を大量摂取することは勧められません。βカロテンを豊富に含む野菜を食べることと、サプリメントで大量のβカロテンを摂取することは同じではないと思われます」

    私マルチビタミンを摂っているのは、がん患者比はビタミンが不足しがちであることと、日本人には圧倒的に不足しているビタミンDの補給が目的である。ビタミンDの抗がん作用については過去に何度も書いている。Dr.ワイルのマルチビタミンは、ビタミンに関するエビデンスが新たになると成分を増減しているので安心できる。また、個人輸入だと国産品よりもコストパフォーマンスにも優れているという理由から、長くこれを買っている。あとはメラトニン5~10mgである。

    サプリメントの膵臓がんに関しての情報を探すのであれば、「健康食品」の安全性・有効性情報に次のようなキーワードでサイト内を検索すれば良い。

    (膵臓 OR すい臓  OR 膵 OR すい) AND (癌 OR ガン OR がん)  site:http://hfnet.nih.go.jp/contents

    その結果をこちらにリンクしておく。サイト内検索のこの方法は、他のサイトでも応用すれば必要な情報を効率よく取得できるだろう。上の検索結果には膵臓がんについての肯定的・否定的情報が含まれている。良く中身を吟味して参考にして欲しい。

    膵臓がんでは、

    • 緑茶(カテキン)
    • 魚油(EPA、DHA)
    • シイタケ
      ーアガリクスよりよほどましー
    • メラトニン
    • ビタミンD:多くても少なすぎてもリスクが高くなる。これについては「米国統合医療ノート」を参照してください。

    に少し期待が持てる。ウコン(クルクミン)については、まだ膵癌の記述は追加されていないようだ。その他は芳しい内容ではない。

    続きを読む "食事と運動は、がんの治療にも効果がある" »

    2011年6月16日 (木)

    緑茶の放射能と抗がん作用、どちらを選ぶ?

    福島第一原発の敷地内や地下水、専用港からストロンチウム90が検出され、福島県内の11カ所の土壌からも微量のストロンチウム90が検出されたと報じられている。ストロンチウム90は、高エネルギーのベータ線を出すがガンマ線をほとんど出さないので、体内に入ってもホールボディカウンターで測定することは難しい。いったん取り込むとほとんど排出されないから、半減期がほぼ同じ(30年)セシウム137が100日程度で半分が排出されるのに比べて、物理的半減期と生物学的半減期が同じ(29年)になる。また、ストロンチウム90は細胞核のDNAの上に乗っかってベータ線を放出するという、非常にやっかいで怖い放射性同位元素である。

    P10206991_2 緑茶のタンニンがこのストロンチウム90の吸収を防止する効果があるとの情報が流れている。どうやら情報もとはこちらのお茶屋らしい。書かれている林栄一著『お茶は妙薬』を探したが、図書館にもなかった。しかし1990年出版の同じ著者の『新・お茶は妙薬』があったので目を通してみた。ところが、先のブログに書かれている「第8章 お茶は放射能吸収を抑制」の全体がないのである。何度もページを繰ってみたがやはりない。新版ではごっそりと削除したのだろう。(『新・お茶は妙薬』の目次)Wshot00240 PubMedで「Green Tea Strontium」のキーワードで検索したが、2件しかヒットしない。本文が見られないので確認できなかったが、静岡大学放射能科学研究施設の塩川孝信教授らしき名前もない。

    ということで、どうやら先の噂は信ぴょう性に乏しい。それらしき研究内容が国内で発表されているのかもしれないが、PubMedにないのであるから、信頼できる論文としては認められない程度の試験ではなかったかと思う。

    【追記】こちらに論文がありました。ラットによる試験ですから、人間にはどうでしょうか?抄訳を載せておきます。PDFファイルで全文が読めます。

    The effect of green tea and related compounds against Sr-90 absorption through the intestine was examined by using Wistar strain rats. It was concluded that green tea acts inhibitorily on the absorption of Sr-90 through the intestine and that the effect is partly due to the astringent action and the reduction of the intestinal movement by green tea.

    閑話休題。

    私は静岡の深蒸し茶をお茶ミルで粉末にして全部飲んでいる。今年の新茶、一番茶であり、今回のセシウム汚染騒動の前に購入したものであるので、どれほどのセシウムで汚染されているのか不明である。お茶に含まれたセシウムを100%飲み干している。そして、ある情報では荒茶で3000~5000Bq/kgのセシウムを含んでいるらしいと言うから、これをもとにして被ばく量(預託実効線量)と生涯のがん死リスクを計算してみる。

    私がお茶ミルで粉末にして飲んでいるお茶が、セシウム137を仮に5000Bq/kg含んでいるとし、飲む量は1ヶ月で100gの袋が2つ空になるから、1年では2.4キログラムである。セシウム137の実効線量係数(Sv/Bq)は、ICRPに従えば1.3×10^-8(Sv/Bq)である。(ここの別表第一第3欄。Sv単位に変換してある)

    預託実効線量=
       5000×2.4×1.3×10^-8=1.56×10^-4(Sv)=0.156(mSv)

    となる。1Svあたりのがん死リスクは5%(0.05)であるので、預託実効線量に0.05をかければ、

    1.56×10^-4×0.05=7.8×10^-6  約0.0008%

    これは、私と同じようにお茶ミルでこのお茶を飲んでいる人が100万人いれば、これから50年間で8人ががんで死ぬだろうというリスクである。ちなみに欧州放射線リスク委員会(ECRR)によるセシウム137の実効線量係数は6.5×10^-8(Sv/Bq)であり、ICRPの5倍の係数を与えている。さらに、ECRRは1Svあたり2倍の0.1のがん死リスクとしているので、80人ががん死する計算になる。ICRPモデルによるリスク計算の10倍になるわけだ。毎年飲み続ければこれが時間差をおいて足し算されていく。

    これは、ジャンボ宝くじに当たる程度の確率だと考えることもできるが、1年間に2.4kgというお茶だからこの程度のリスクになるのであり、人間が生きていくために必要なすべての食品・飲料がこれほどの放射能を含んでいたなら、とうてい容認できるようなリスクではない。

    4月19日に書いたように、緑茶には、特にEGCGを多く含む深蒸し茶には膵臓がんの再発予防の有効性が強く示唆されている。「健康食品の安全性・有効性情報」の「茶」のページを再び引用すると、

    有効性:
    (注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。
    ・経口摂取で有効性が示唆されているのは、1)血中コレステロールおよびトリグリセリドの低下、2)血圧調節、3)下痢の治療、4)認識能の向上、5)パーキンソン病の予防および進行を遅らせること、6)食道がん、胃がん、膵臓がん、大腸がん、膀胱がん、卵巣がんの予防および乳がんの再発予防、7)口内のロイコプラキー(粘膜の角化障害)の治療、8)子宮頚部形成異常

    とある。膵臓がん患者にとっては、50年後はおろか2年後に生きているかどうかが問題なのである。余命の限られているがん患者だから、100万人あたり80人のがんリスクは無視してもよい。それよりも、再発・転移の予防効果が”あるかもしれない”ことの方が重要なのである。

    もちろん、妊婦や児童には勧められない。Cs-137があれば当然Sr-90もある。リスクは2倍以上になる。5月12日に書いたように、ドイツ放射線防護協会はECRRの勧告を取り入れており、Cs-137の含有量を成人では8Bq/kg以下に、幼児青少年では4Bq/kg以下にするように推奨している。日本の500Bq/kgという暫定規制値は、とんでもない高濃度汚染なのです。

    どうして100倍も違うのか。それはICRPが内部被ばくの評価を、近年の科学的知識にしたがって正しく評価していないからだ。ICRPモデルのリスク評価は、外部被ばくも内部被ばくも区別しないで、

    石炭ストーブの前で暖をとっている人に伝わる平均エネルギーと、その赤く焼けた石炭を食べる人に伝わるそれとを分別しない。(ECRR2010年勧告 第3.1節)

    からなのである。

    「3.11後を生きるには内部被ばくを正しく知ることが必要だ」と書いたのは、こういう風な考え方をすることです。私は原発の事故後も、その前と同じように毎日欠かさず6杯以上のお茶を飲み続けている。

    源宗園 楽天市場店の深蒸し茶が、苦みの中にも甘みがあり、コストパフォーマンスも優れています。巴富士・錦富士が私の定番です。

       単品購入ならこちらから

    1. 深蒸し茶 静岡県産 道場六三郎監修 深蒸し煎茶 巴富士
    2. 【お試し用・送料無料】道場六三郎監修 深蒸し煎茶錦富士

    続きを読む "緑茶の放射能と抗がん作用、どちらを選ぶ?" »

    2011年6月14日 (火)

    牛が殺処分されるなら、同じ内部被ばくした福島県民は・・

    復興構想会議の委員である玄侑宗久さんが、6月13日のブログ「雪月花」で、会議へ「緊急動議」(記事中のPDFファイル)を提出したと書いている。

    福島県内の母親7人の母乳から微量のセシウムが検出されたが、北里大学の海野教授は「乳児が飲みつづけても健康への影響は全くない」と語った。母親たちの間には、これを信じてよいのかと疑心暗鬼が広がっている。校庭の表土の問題、児童も20ミリシーベルトまで被ばくしてもよいという文科省の通達などにより、親も子供も被ばくの不安に汲々としている。

    校庭の表土問題を初め、福島県内には今、国の示す安全基準が信じられないという強い思いが蔓延している。
    そしてこのような現象の根底に、じつは 20 キロ圏内の牛の殺処分が深く関わっているのをご承知だろうか。内部被曝しているかもしれないから、生かしておけない、とするなら、内部被曝しているかもしれない人間はどうなのか?

    殊に新たなホット・スポットとして見いだされた地域の人々は、自分の作った野菜を、出荷はしないまでも家族で食べてきた。路上に降った放射性物質を吸い込んだ可能性だって大きい。 大袈裟に言えば、内部被曝の危険性は、牛同様なのである。
    牛に対する判断・処分が正しいとするなら、人間だから殺せないだけで、本当はこの国にいてほしくないのではないか、という論理的帰結になる。

    公の場でいくら「そんなことはない」 「影響はない」と言われても、牛は殺さなくてはならず、殺したら放射性廃棄物として扱われるという事実が、非常に強くその言葉を裏切っているのである。本当に牛を殺す必要があるのかどうか、重ねて伺いたい。なぜ殺す必要があるのか、その答えは、福島県人の扱いにも関わる重大なものだと心してお答えいただきたい。

    玄侑さんの指摘は正鵠を射ている。数年後に子供の白血病が増加し、甲状腺がんが多発し、癌にまで至らなくても甲状腺機能障害でまともな生活ができない、いわゆる「原爆ぶらぶら病」と同じ症状が出ても、彼らはきっとこう言うに違いない。「ICRP勧告に照らせば、この程度の内部被ばくで健康への影響はありません。したがってあなたの症状は放射能とは関係がありません」と。

    分子標的薬はがん細胞のある種のレセプターに作用し、腫瘍血管増殖因子に作用してがんの増殖を抑えるはずだ、という理論にしたがって開発される。しかし、新規の抗がん剤は、例え理論が正しくても、がん患者を対象にした臨床試験で対照群よりも全生存率が良好でなければ薬として承認されない。効果があるかどうかを決めるのは理論ではなく、実際にがん患者に効いたかどうかである。あたりまえのことだ。ところがICRPのモデルを信じている人たち(その中には著名な医療関係者も多い)は、症状のある被ばく者がいても、リスクモデルに会わなければ放射線の影響ではないと言う。疫学調査ではなく理論が優先である。これでは抗がん剤が効かないのは患者の生活態度が悪い、特異体質だろうと言うのと違わないではないか。

    ICRPのリスクモデルは、昨日も書いたようにDNAが発見される前の、吸収エネルギーのみに注目した古い物理学的モデルである。近年の分子生物学の成果も、チェルノブイリの疫学調査もまったく反映していない。ホメオパシーや代替療法には目くじらを立てて批判する人間が、カビの生えたリスクモデルをお題目のごとく信奉しているのだから、滑稽である。事故直後には、内部被ばくと外部被ばくの区別もつかない医者が、放射線の専門家と称してテレビで解説をしていた。

    ICRP1990年と2007年勧告の編集者であるヴァレンティン博士自身が、「ICRP のモデルは内部被ばくに関連した不確実性が(2 桁以上)大きすぎるために、被ばくした集団のリスクを評価することはあまりできなかった」と公の場で述べているのである。「内部被ばくは危険ではない」というエセ専門家を信じてはいけない。

    放射能は牛も人も区別しない。そして牛は放射能恐怖症でストレスになることもないから、「内部被ばくを怖れることでストレスを溜める方がより危険である」という忠告は牛の耳には入らないだろう。人間にとっても的外れな忠告である。

    旧ソ連でさえも、多数の牛をトラックで避難させたし、汚染地域の子供は夏休み期間だけでも避暑地に避難させたのである。日本政府にできないはずがないではないか。

    頭が良い専門家や学者の説明に立ち向かうには、難しい専門用語よりも素朴な疑問の方が勝ることがある。「牛を殺処分するのなら、同じ被ばくをした人間は見殺しにするのか」という今回の疑問のように、庶民の素朴な疑問がバカな専門家を凌駕するのである。

    『王様は裸だ』と言えば良い。

    2011年6月13日 (月)

    3.11後を生きるには「内部被ばく」を正しく知ること

    地震の翌日、3月12日のブログで「やはりメルトダウンか? チェルノブイリ並みになるかも。政府は真相を隠しているに違いない」とか、「海水注入を決断したのはメルトダウンが始まっているからだろう」などと書きましたが、実際はその頃すでにメルトダウンが始まっていた、さらには格納容器の底に燃料が落ちるメルトスルーにまで至ったというのですから、私の「最悪のシナリオ」もむしろ控えめでしかなかったわけです。

    3月15日には「政府は、妊婦と乳幼児を直ちに避難させよ!」と書いて、「あくまでも最大規模の爆発があった場合」の瀬尾健さんが作成した被害想定図を載せておいた。本当に神の配慮か、圧力容器が破壊されるような水蒸気爆発にならなかったのは幸いであったが、原発の過酷事故が起きれば、数時間で行動を決断しなければならないということがよく分かった。チェルノブイリの強制避難区域よりも汚染のひどいところに子供も妊婦も未だにいるのだから、この国の政府は旧ソ連以下だということもよく分かった。

    事故直後の3月12日の記者会見で「炉心溶融の可能性がある」と発言した原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官は更迭された。彼はウソを言ったから更迭されたのではなく、本当のことを言ったから更迭されたのである。なるべく事態を軽く、危険などないかのように言いながら、その実住民が徐々に「深刻な事態」を受け入れることを期待しているように思える。あいまいにしておけば、やがて嵐は過ぎ去って行くという姿勢だ。これってどこかで経験したような、と思ったら、がんの告知と同じだった。「胃に潰瘍がありますから、念のため手術しましょう」と手術して「ちょっと大きめのポリープがあったので、念のため薬(抗がん剤)を入れておきましょう」そのうちに患者も薄々自分が癌だと悟るようになる。

    しかし、今はがんも告知する時代です。それは真実を知ることで患者が病気と正面から立ち向かえるようになる。患者が真実を知らなければ必要な治療もできないからです。今回の福島原発の事故も同じだと思います。私たちはこれからは、内部被ばくを避けることはできません。必要なことは内部被ばくについての真実を知ることです。政府や東電は『放射能は流しても、情報は流さない』気でいるようです。

    村上春樹さんは、カタルーニャ国際賞受賞式スピーチで、広島・長崎で核爆弾による大きな犠牲者を出した日本が、どうして二度目の大きな核による被害を招くことになったのはなぜかと問い、

    何故そんなことになったのか?戦後長いあいだ我々が抱き続けてきた核に対する拒否感は、いったいどこに消えてしまったのでしょう?我々が一貫して求めていた平和で豊かな社会は、何によって損なわれ、歪められてしまったのでしょう?

    理由は簡単です。「効率」です。

    と言い切っています。村上さんが言うように『我々日本人は核に対する「ノー」を叫び続けるべきだった。』のです。たとえ原発が如何に効率のよいシステムであったとしても、いまでは原発が地獄の釜のふたを開けているのです。しかし、それだけではないと私は思います。私たちはあまりにも内部被ばくに関して無知だったことも大きな要因です。

    肥田舜太郎さんは、日本の核兵器廃絶運動の弱点は「内部被ばく」の驚異をリアルに想像することをしなかった(できなかった)からであり、ヒバクシャ自身も内部被ばくに対する知識が乏しいがゆえに被爆体験を正しく伝えることが難しかった、と言っています。ICRPは一貫して内部被ばくを無視するか、過小評価し続けてきました。そうしなければ原発は建設できなかったからであり、核保有国の利益を守ることができなかったからです。福島第一原発の事故後の今でも、政府や御用学者は「内部被ばくによる健康への影響は考えられない」と言い続けています。

    ICRPのリスクモデルは、DNAが発見される前に物理学者らが考案したものが今でも使われています。この間の分子生物学的な知見を反映していません。単に放射線による吸収エネルギーだけを対象にしています。細胞単位での放射線影響でなく、臓器の組織単位でいくらエネルギーを吸収したかという、半世紀前の古くさいモデルなのです。

    御用学者たちが「健康への影響がない」というとき、ICRPのモデルによれば、この程度の被ばく線量では影響が出るはずがない、という思考方法です。疫学調査でがん患者が増加したのなら、ICRPのリスクを再検討する、これが科学的な立場のはずです。ICRPとそれに追随している学者は正反対の思考方法に陥っているのです。欧州放射線リスク委員会(ECRR)は、ICRPのモデルを「内部被曝を適切に評価できない」と批判して設立されました。神戸大学大学院の山内知也教授は次のようにコメントしています。重要な指摘なので一部を省略して掲載します。

    欧州放射線リスク委員会(ECRR)と国際放射線防護委員会(ICRP)との違いは、それぞれの最も新しい勧告であるECRR2010とICRP2007とを読み比べることで理解できるだろう。
     
    最も分かりやすいのがスウェーデン北部で取り組まれたチェルノブイル原発事故後の疫学調査に対する対応において両者の違いが端的に現れている。その疫学調査はマーチン・トンデル氏によるもので、1988年から1996年までの期間に小さな地域コミュニティー毎のガン発症率をセシウムCs-137の汚染の測定レベルとの関係において調べたものであった。

    結果は100 kBq/m^2の汚染当り11%増のガン発症率が検出されている。このレベルの土壌汚染がもたらす年間の被ばく線量は3.4 mSv程度であり、ICRPのいう0.05 /Svというガンのリスク係数では到底説明のつく結果ではなかった。
     
    ICRPではこの論文を検討した形跡が認められない。おそらく、結果に対して被ばく線量が低すぎるという理由で、チェルノブイル原発事故による放射性降下物の影響ではあり得ないと考えていると思われる。すなわち、ICRPの理論によれば低線量被ばく後にある疾患が発症すると、その原因は放射線によるものではないと結論される。
     
    ICRPの被ばくモデルはDNAの構造が理解される前に生み出されたものであるため、そこでは分子レベルでの議論や細胞の応答について議論する余地はない。単位質量当たりに吸収されるエネルギーの計算に終始するのみである。このやり方だとひとつの細胞に時間差で2つの飛跡が影響を与える効果を考慮に入れること、分子レベルでものを考えることが不可能になる。

    ICRPのよって立つところは0.05/Svというリスク係数であり、それは疫学の結果である。その疫学とは広島と長崎に投下された原爆の影響調査であるが、ECRRはその調査が原爆投下から5年以上経ってから開始されていること、研究集団と参照集団の双方が内部被ばくの影響を受けていること、それらの比較から導けるのは1回の急性の高線量の外部被ばくの結果であるが、これを低い線量率の慢性的な内部被ばくに、すなわち異なる形態の被ばく影響の評価に利用することを批判している。
     
    ICRPのメンバーは(例えば、ICRP2007をまとめた当時の議長は)チェルノブイリ原発事故で被ばくによって死んだのは瓦礫の片付けに従事した30名の労働者だけであるとの発言が記録され問題視されている。彼は子供の甲状腺がんについても認めようとしていなかったのだった。
     
    冒頭に述べたスウェーデンの疫学調査は3 kB/m^2以下の汚染地帯が参照集団として選ばれ、最も高い汚染が120 kBq/m^2というレベルであった。これは今の福島県各地の汚染と同等であり、むしろ福島県の方が汚染のレベルは高い。ECRRの科学幹事が盛んに警告を発している根拠のひとつがここにある。過去に同様の汚染地帯で過剰なガン死が統計的に検出されたという経験を人類が持っているからであって、このような研究結果を知らない人にはその警告の真意や彼の気持は伝わりにくいのかも知れない。(一部を省略しています)

    文部科学省が5月6日発表した航空機モニタリング結果の地図をスウェーデンの調査と比較するため再度載せておきます。

    Wshot200259     福島とスウェーデンの汚染を比較すれば

    • スウェーデンの汚染レベル:120kBq/m^2以下
    • 文科省が公表した上の地図では、飯舘村:1000~3000kBq/m^2
    • 福島市、川俣町、二本松市など80km圏内:~300kBq/m^2
    • がんの発生率は10%をはるかに超える割合で増加することになる。

    ICRP勧告が唯一の正しい放射線リスクモデルだという考えでは、内部被ばくの驚異をつかみ取ることはできないのです。村上春樹氏が述べたように、『安らかに眠ってください。過ちは繰り返しませんから』と私たちが三度言わなくてもすむためには、内部被ばくの危険性を、今日の生物学の到達点に沿って科学的に正しく知ることが必要です。

    ICRPのリスクモデルとそれに準拠している日本の放射線関係法体系、それをもとにした御用学者らでは、内部被ばくのリスクを計算することはできません。なぜなら、ICRP2007年勧告が出される前の草稿には次のような文章がありました。

    (50)  臓器器官や組織内に存在する放射性核種から放出された放射線、いわゆる体内放出体について、その器官における吸収線量の分布は放射線の透過力と飛程や臓器・組織内での放射能分布の均質性に依拠する。アルファ粒子や低エネルギーベータ粒子、低エネルギー光子、オージェ電子を放出する放射性核種について、吸収線量の分布は極めて不均一となる。この不均一性は、飛程の短い放射線を放出する放射性核種が臓器・組織の特定の部位に位置した場合、例えば、プルトニウムが骨の表面に沈着したり、ラドン娘核種が気管支の粘膜や皮膜組織についた場合に、特に重要である。そのような場合、臓器で平均化された吸収線量は確率的な損傷を計算するためのよい線量とはならない。それゆえ、平均臓器線量と実効線量の概念を適用することは、そのような場合には批判的に検討される必要があり、時には、実証的で実用的な方法が採用されなければならない。

    しかし最終勧告文ではこの部分は削除されています。彼ら自身が、ICRPモデルでは内部被ばくによるリスクを正確に求められないと言っていたのです。

    ECRR 2010年勧告の翻訳文はこちらにあります。

    2011年6月11日 (土)

    記念すべき6.11

    P1010539

    パープルリボンウォーク2011は、時折激しい雨がふる中で開催されました。参加者は300人くらいでしょうか。医師や看護師・医学生など医療関係者が多いように見受けましたが、膵臓がん患者がどれくらい参加していたのか、わかりません。皇居の中を通る5キロルートは、雨のため結構きつかったです。こうしたウォークがどのような効果があるのか正直言って疑問ですが、マスコミが取材し報道されることで効果があるのでしょう。帰りに新橋駅まで歩いていたら、東電本社前で脱原発のメンバーが集まっていました。その周辺には右翼の街宣車がうろうろしているので、機動隊が東電本社に通じる道路を封鎖していました。

    新宿の「脱原発100万人アクション」はすごい人でした。USTREAMでは全国の集会をネット中継していました。新聞・テレビが政府広報になってしまった今、こうした自由にネットで実況中継ができることが、大きな力になっていますが、一方でマスコミの報道にだけ接している人とでは180度認識が違うようです。

    原発のことになるとシーベルトやベクレルなどの専門用語が出てきて難しいと構える人が多いでしょうね。私もブログも難しく書きすぎかもしれません。でも、今の問題は簡単なんですよ。放射能は人間の力では消すことができません。そして原発は本来なら地下にあって無害なはずのウランを掘り出して核反応させることで、存在しなかった新しい放射能をつくりだす。これが基本です。たかが電気のために住み慣れた故郷に帰れないたくさんの人がいるのです。電力会社は、放射能は流しても情報は流さない、ことが明らかになりました。政府も必要なときに必要な情報を流さないで、被ばくしなくてもよい人を被ばくさせました。今はチェルノブイリより汚染のひどい地域で子供たちが遊んでいます。ICRPの基準は1/10にすべきだと欧州放射線リスク委員会は批判していますが、日本では、緊急時だからとの理由でその甘すぎるICRPの基準すら守られていないのです。

    戦後がん患者が増え続けているのは、食べ物などの生活習慣が欧米化したからだと言われていますが、実は、過去の大気圏内核実験が第一義的な要因だという科学的根拠のある主張もあります。欧州放射線リスク委員会(ECRR)の2003年勧告はその「実行すべき結論」で次のように書いています。

    10. 本委員会は、現在のガンに関する疫学調査は、1959 年から1963 年にかけて世界中で行われた大気圏内核実験による被曝と、核燃料サイクル施設の稼働がもたらした、さらに大量の放射能放出が、ガンや他の健康被害の明確な増加という結果を与えているとの結論に達した。

    自然放射線は被ばく線量制限の対象外ですが、しかしその中に過去の核実験によるセシウムやプロトニウムがあることは、福島原発敷地内で検出されたプルトニウムが核実験によるものと区別して検出されたことでも分かります。それに加えて、福島第一原発からの放射能が土地や海に流されて蓄積される。最後には人間に濃縮されるのは食物連鎖の必然です。体重60キロの人の身体には、4000ベクレルのカリウム40があります。全身にわずか4000Bqですよ。それによる被ばくが食物からの被ばくのほとんどを占めており、年間0.17mSvになります。500ベクレル/kgの暫定規制値がどれほど大きなものか、想像がつきます。

    がん患者をサポートするすばらしい活動をしている団体がたくさんありますが、どうして「将来のがん患者」が増えようとする今の事態に対して、これほどまでに無反応なのでしょうか。少なくとも福島では小児甲状腺がんが増えることは確実であり、セシウム137によって女性の卵巣がん・乳がんも増加するでしょう。一部ではがん患者が10%以上は増えるだろうという予測もあります。これでは少々がん患者のサポートをしたって追っつかないと思うのですが。

    大量の放射能がまき散らされた国土で、がん撲滅のウォークをすることの非条理さに溜息が出ます。

    2011年6月 7日 (火)

    『デタラメ健康科学』代替療法・製薬産業・メディアのウソ

    デタラメ健康科学---代替療法・製薬産業・メディアのウソ 私たちはなぜ騙されるのか、『デタラメ健康科学---代替療法・製薬産業・メディアのウソ』でサプリメント業界と製薬産業の手口は同じだとベン・ゴールドエイカーは言う。著者はイギリスの著名な医師であり、著述家。ガーディアン紙に連載されて大きな反響をよんだコラム「バッド・サイエンス」をまとめたものである。舌鋒鋭くかつ英国人らしい皮肉とウィットに富んだ内容で、難しい内容もすらすらと一晩で読んでしまった。

    サイモン・シンの『代替医療のトリック』と同じように、ホメオパシーに多くを割いているが、それはホメオパシーが「科学的根拠に基づいた医療」とは何かを考える上で「反面教師」になるからである。ホメオパシーを題材にして、効果を確かめるための科学的方法を具体的に説明してくれる。先入観を取り除くための「盲検化」、対象をランダムに振り分ける「無作為化」の必要性を強調する。多くの研究結果を集めて分析する「メタ分析」まで読めば、ホメオパスの誘いに対しても有効に反論できるようになるだろう。そして「心が身体におよぼす影響はじつは思っている以上に大きい」と、プラシーボ効果の「上手な利用法」を説明してくれる。

    「抗酸化物質は本当に身体に良いのか」で栄養評論家をこき下ろし、オメガ3脂肪酸を多く含む「魚油」のサプリメントで子供の知能指数が向上するという教育委員会のばかげた臨床試験を断罪する。そのついでに製薬産業が「今ある病気に"新しい治療薬"を見つけることができないので、すでにある治療薬で対処できる"新しい病気"をつくりだした」例として「社会不安障害」や「女性性機能障害」「夜食症候群」を挙げる。FDA(アメリカ食品医薬品局)と製薬産業の人事交流が頻繁にあることにも触れ「これではいかさまのやり放題だ」と釘を刺す。日本のメディアや医療界も、FDAのお墨付きを無条件で信用する習慣があるが、これではサプリメント業界を笑うことはできないだろう。『ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実』にはFDAと製薬企業の癒着ぶりが克明に紹介されている。

    こうしたサプリメントの宣伝と普及には、科学的知識とは何かが理解できないマスメディアが大きな役割を果たしているのだという。納豆騒動の例を見るまでもなく日本でも同じだ。

    医療の世界で「科学的根拠に基づいた医療」はどのくらいの割合かとの疑問に、著者は「全治療法の13%に十分な根拠があり、21%に効果が期待できる」と驚くような数字を挙げる。別の分析方法によれば「全治療活動の50~80%に根拠があると分かった」と言うが、それにしても高い数値とは言いがたい。今現在「標準治療」だといわれていても、根拠に乏しいものが半分だし、明日にはこの治療法はまちがっていたとして別の治療法が推奨されることになりかねない。これまでもそんな例はたくさんある。

    私たちが「根拠に基づく医薬品を提供しているはず」と思い込んでいる製薬産業にも手厳しい。盲検試験の条件を満たした臨床試験でもさまざまな手口で製薬企業に都合のよいデータをねつ造する方法を紹介している。

    • 当初の計画になかったたくさんの項目を測定する--偶然に効果があるというデータが出ることがある
    • 基準値を操作する--プラセボ群と治療群の健康状態の差を操作する
    • 脱落者を負わない--打ち切り例がたくさんでる
    • 異常値をカットする--都合の悪いデータは棄却検定にかけてアリバイを作っておく
    • 都合の悪い研究結果は公表しない--公表バイアス

    いくつかは近藤誠氏が本で書かれていることと一致している。タルセバの承認時にも都合の悪い試験のグラフは載せなかった。

    なぜ人が騙されるのか? バカなことを信じるのか。それには次のような傾向が関わっている。

    1. 規則性のないところに規則性を見出す
    2. 何もないところに因果関係を見出す--平均への回帰
    3. 仮説に合う情報を重視する
    4. 都合の悪い情報は無視するか軽視する

    たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する まだあるが、興味があれば『たまたま―日常に潜む「偶然」を科学する』と合わせて読んでみれば、より理解が深まると思う。4などは、今回の福島原発事故に際しての東電・保安院のことを言っているのかと思うほどだ。素直に放出された核種を見れば初期の段階でメルトダウンが起きていることは明白だったのである。

    ただ、代替療法については、根拠が明らかでないからだと批判するが、『代替医療のトリック』のように頭ごなしに否定しているわけではない。

    代替療法を頼ったせいで、落とさなくていい命を落とした人は確かにいる。しかし、代替療法を選ぶ人はすべてを分かったうえで、少なくとも薄々承知したうえで選んでいるように思うのだ(ただし栄養療法は別。いかにも科学的根拠に基づいている風を装って世間を意図的に惑わせているから)。これは病人の弱みにつけ込んだ商売というのとは違い、実際はもう少し複雑な気がする。私たちはこういうものが好きなのだ。代替療法には私たちを惹きつける何かがある。これについてはもっと時間をかけて議論する価値がありそうだ。

    ターメリックは身体にまったく吸収されないから効果がないと書かれているが、『がんに効く生活』では「黒胡椒といっしょに摂らないと吸収されない」と説明がある。インドの住民は、黒胡椒と摂ることでターメリックが効果的に吸収されることを、経験的に知っていた。

    日本ではがん患者の「弱みにつけ込んだ」代替療法が盛況だし、弱みにつけ込んだ代替療法業者・医者が多いのだが、健康問題の全体にならこう言えるのかもしれない。著者はイギリス国民保健サービス(NHS:利用者の健康リスクや経済的な支払い能力にかかわらず利用が可能であり、完全に無料である)の常勤医師でもある。わが国の厚生労働省の医療技官やがん研究センターの医者には、こんな本は絶対に書くことはできない。本の帯には、批判された側のメディアがこの本を絶賛していると書かれているが、イギリスの民主主義の成熟度と日本のマスコミのていたらくを、つい比較してしまう。

    続きを読む "『デタラメ健康科学』代替療法・製薬産業・メディアのウソ" »

    2011年6月 5日 (日)

    パープルリボンウォーク2011/脱原発100万人アクション

    6月11日は、このブログの開設4周年になります。そして偶然にもパンキャンの「パープルリボンウォーク2011 in Tokyo」もこの日に開催されます。さらに、3月11日の東日本大震災・福島原発事故からちょうど3ヶ月ということで、全国各地で「6.11脱原発100万人アクション」などの集会・デモが予定されています。

    私は、午前中はパープルリボンウォーク2011」に、午後からはどこかの脱原発集会に参加するつもりです。4年の節目としてどちらにも行ってみたい。いや、行かなければという気持ちです。体力が少し心配ですが・・・なぁに、ゼロ泊三日で渋峠まで撮影に行ったのだから。問題は下痢、このところ下痢の回数が多いのだが、まさか梅雨の時期に紙おむつをして長距離を歩くのは、ちょっと勘弁して欲しい。だから当日までは、あくまでも”参加予定”です。


    来る 6月11日、東京で大規模イベントを開催します!
    午前はウオーク、午後は医療セミナーが経験できる膵臓がんのイベントです。

    Middle_130

    ■「パープルリボンウオーク東京 2011」のご案内
     ~通常は入れない皇居を通ったコースが経験できる!~ 

    今回、東京で初めての「膵臓がん啓発ウォーク パープルリボンウォーク」を東京・日比谷公園で開催いたします。6月11日 日比谷公園を午前9:30にスタートです。
    今回のウォークは、「日ごろは解放されていない『皇居の中』を通って、皇居を1周する5キロコース」と「霞が関~国会議事堂を通る3キロコース」の2コースです。ルートマップはこちら


    6.11 脱原発アクション

    いろいろな団体、個人が自発的、自然発生的に多彩な”脱原発”行動を計画しています。
    エジプトで起きたように、日本でもFacebook・Twitter・インターネットで情報が広まっています。これまでの大衆運動とは趣の異なる現象が起きつつあります。政党色のないのも特徴でしょうか。

    どれに参加しようかと迷うほどのイベント・デモがあります。

    ●「6.11 脱原発100万人アクション
      アクション一覧地図 ←全国のイベントが載っています。

    ●「6.11 新宿・原発やめろ!デモ

    最後は、都内のそれぞれの集会・デモが新宿アルタ前に合流するという、壮大な計画です。

    kizuna311で岩崎宏美さんが歌う「聖母(マドンナ)たちのララバイ」。震災のあとで聴くと涙が止まりません。宏美さんも最後は涙声です。



    続きを読む "パープルリボンウォーク2011/脱原発100万人アクション" »

    2011年6月 4日 (土)

    FOLFIRINOX第Ⅱ相臨床試験が国内で始まる

    昨年のASCO2010で期待の持てる抗がん剤として、 2010年7月2日のブログFOLFIRINOXのことを紹介しましたが、日本でも第Ⅱ相臨床試験が始まっているようです。
    ゲムシタビン(GEM)と比較して生存期間中央値が約2倍に伸びたことで注目されていました。

    臨床試験情報「化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌に対するL-OHP+CPT-11+5-FU/l-LV併用療法(FOLFIRINOX療法)の第II相臨床試験」

    FOLFIRINOXが転移性膵臓がん治療にもたらしたもの
       「がん患者のあきらめない診察室」今村先生の評価
    7月までの募集期間で、10名ほどの臨床試験形式による投与希望者を募集中です。

    ASCO 2010 #4010 Abstract

    New England Journal of Medicine

    ●座談会「#4010 膵癌/Prodige 4-ACCORD 11試験」
      「膵癌=Gemcitabine」の図式を揺るがすpositiveなデータ

    FOLFIRINOX群とGEM群の差が極めて大きいので、非常に驚きました。このデータからいえば、FOLFIRINOX療法が標準治療といえるのではないかと思います。ただし、日本への臨床導入については慎重に検討すべきだと思います。

    演題速報レポート

    4010_2

    E0156318_2075133

    FOLFIRINOXのフランスでの臨床試験(日経メディカル:PDF)

    ●腫瘍内科医のSho先生による「膵がんに対するFOLFIRINOX」連載中

    続きを読む "FOLFIRINOX第Ⅱ相臨床試験が国内で始まる" »

    2011年6月 3日 (金)

    お茶の出荷制限

    「荒茶」についても「生茶葉」と同様に500Bq/kgを超えたものは出荷制限されることになった。乾燥された荒茶では、重量が1/5以下になるために生茶葉では規制値以下であっても、超えることが予想され、農家への影響が多いからだ。

    茨城県鹿嶋市では、学校給食に県産食材を使わないとしていることに対して、農畜産関係者から「風評被害を助長する」との批判が出ている。一方で福島県では地産地消として県産の牛乳などを学校給食に使い続けており、保護者や孫正義ソフトバンク社長などから疑問が出ている。

    ネットで購入している荒畑園からこんなメールが来た。

    荒畑園の荒茶は検査済み!安全です!

    平成23年6月3日
                                                        株式会社 荒畑園
                                                        代表取締役社長 荒畑榮

    弊社の荒茶に関する放射能調査の件

    拝啓、時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。 昨日(6/2)から、新聞やテレビで荒茶の放射能検査も今後実施していき、基準値を超えた場合は出荷停止というような内容で報道されて以来皆様には大変なご心配をお掛けしております。

    弊社の荒茶も、もちろん検査しております。結果的には、基準値500ベクレルに対して220ベクレルでした。基準値以内のため大丈夫です。 また、このお茶を急須に淹れて飲用茶として飲んだ場合でも、基準値200ベクレルに対して検査結果は検出限界以下という数値でした。

    検出限界以下とは、弊社が依頼した検査機関では10ベクレル未満の数値がでないため全く問題ありません。 今後とも変わらぬお引き立てのほどよろしくお願い申し上げます。

    茨城県は数カ所で規制値を超えたことで、全域に出荷制限である。静岡県でも生茶葉で100Bq/kgを超えているところが6カ所あるからその5倍が荒茶から検出されれば全域が出荷制限となりかねない。掛川の深蒸し茶も手に入らないかもしれない。

    生産者と消費者の対立が始まっている。汚染された食物をすべて避けようとすれば、農業漁業が成り立たず、農民所民の生活が崩壊する。何とも解決方法のない事態に向かっている。

    東電と政府の説明では、福島原発から放出された放射能はチェルノブイリの1/10だという。仮にこれを信用するとして、その後も大気中へわずかではあるが放出され続けている。わずかであるとは、初期の爆発時の放出に比べて”わずか”なのであり、法律上も許されない量の放射能が放出され続けている。海水への流出は相変わらず続いており、おおざっぱな見積りでも5月初めにはチェルノブイリの3分の1には達してる。このまま収束しなければ、年内の収束など不可能だと思うから、来年にはチェルノブイリと同等の放出量になるだろう。

    チェルノブイリでは、セシウム137だけでも広島に落とされた原爆の500~800倍の放射能がまき散らされた。それの10分の1なら、広島原爆の50~80発分の放射性セシウムが東北・関東一円にまき散らされ拡散したことになる。内部被ばくの影響が出ないはずがない。

    チェルノブイリでの内部被ばくの驚異は、NHKが何度も再放送している。昨夜(というより今日)3つの番組を再放送していた。

    • BS世界のドキュメンタリー「永遠のチェルノブイリ」
    • BS世界のドキュメンタリー「被曝(ばく)の森はいま」
    • BS世界のドキュメンタリー「見えない敵」

    内部被曝の脅威ちくま新書(541) 放射能について人類はまだ少しの知識しか持っていない。分からないことばかりである。内部被ばくについてはさらにわからないことがたくさんある。そもそも人体への影響の機序が異なる内部被ばく線量を外部被ばくと同じ「シーベルト」で測ることもおかしい。シーベルトは、グレイに放射線の種類によって異なる係数をかけて求めるが、グレイは吸収エネルギーだけに注目した、いわば簡略化された放射線影響モデルである。この違いを無視してシーベルトで内部被ばくを測ることを認めるにしても、結果はほとんど推測の域を出ない値を得るだけである。

    安斎育郎氏のように反原発と思われる専門家でも、内部被ばくについては過小評価している。肥田舜太郎さんの『内部被曝の脅威』と彼の翻訳である『低線量内部被曝の脅威―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録』は、広島の被爆者でもある肥田さんが、内部被曝に関しての海外の研究成果を紹介していて、たぶん唯一説得力のある書籍だと思う。きちんとした疫学調査がされなかったために、広島・長崎もイラクの劣化ウラン弾による子供の死亡も、アメリカの核開発による被ばくも、すべて内部被ばくであるが、「因果関係はない」と切り捨てられている。

    低線量内部被曝の脅威―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録 福島の実家に2日間だけ立ち寄ったのち、別の原発に入った作業員がホールボディカウンタで測ったら、5000cpmという驚くような内部被ばくが判ったと報じられた。そのような作業員が4766人もいたという。福島・茨城・千葉などのお母さんの母乳からヨウ素131も検出されている。原発周辺の住民は、広島の被爆者並みの内部被ばくを受けている可能性がある。

    今はお茶の汚染が騒がれているが、6/1までの2週間で検出された食品は次のようになっている。

    ヒジキ(3300Bq/Kg)、たけのこ(3100Bq/Kg)、原木しいたけ(2700Bq/Kg)、アラメ(2070Bq/Kg)、ヤマメ(990Bq/Kg)、茶(生葉)(810Bq/Kg)、ウグイ(800Bq/Kg)、ウメ(690Bq/Kg)、アユ(638Bq/Kg)、キャベツ(400Bq/Kg)、キタムラサキウニ(391Bq/Kg)、アイナメ(380Bq/Kg)、エゾアワビ(374Bq/Kg)、イワナ(350Bq/Kg)、クロソイ(270Bq/Kg)、ババガレイ(260Bq/Kg)、赤シソ(241Bq/Kg)、マコガレイ(240Bq/Kg)、牛肉(225Bq/Kg)、ワカサギ(210Bq/Kg)、マダラ(178Bq/Kg)、ソラマメ(160Bq/Kg)、イカナゴ稚魚(158Bq/Kg)、ねまがりたけ(144Bq/Kg)、コクチバス(139Bq/Kg)、葉ワサビ(139Bq/Kg)、スズキ(138Bq/Kg)、ほうれんそう(127Bq/Kg)、キツネメバル(114Bq/Kg)、トマト(107Bq/Kg)、オウトウ(96Bq/Kg)、乾燥ワカメ(90Bq/Kg)、カラフトマス(76.68Bq/Kg)、サヤエンドウ(62Bq/Kg)、シラス(60Bq/Kg)、ギンブナ(59Bq/Kg)、ヒラメ(55Bq/Kg)、ミズダコ(51Bq/Kg)、コイ(44Bq/Kg)、白菜(43Bq/Kg)、ヤナギダコ(30Bq/Kg)、マナマコ(28Bq/Kg)、マアナゴ(27Bq/Kg)、ヤナギムシガレイ(25Bq/Kg)、桑(21.5Bq/Kg)、カタクチイワシ(21Bq/Kg)、水菜(19Bq/Kg)、コイ(養殖)(17.8Bq/Kg)、ニラ(17Bq/Kg)、茶(荒茶)(17Bq/Kg)、茶(飲用)(13.9Bq/Kg)、ヤマトシジミ(11Bq/Kg)、ビンナガ(10.1Bq/Kg)、マイワシ(8.8Bq/Kg)、イワガキ(8Bq/Kg)、さくらんぼ(7.9Bq/Kg)、原乳(7Bq/Kg)、豚肉(筋肉)(6.3Bq/Kg)、シリヤケイカ(5.5Bq/Kg)、キュウリ(4.4Bq/Kg)、豚肉(肝臓)(4.1Bq/Kg)、シロサケ(3.95Bq/Kg)、レタス(3.5Bq/Kg)、小松菜(3Bq/Kg)

    空気も水も海も土地も汚染されている。多かれ少なかれすべての作物に汚染が広がってくる。秋になり米の収穫が始まれば、主食の米の汚染が明らかになるはずだ。私たちはもう、放射能から逃れられない「ヒバクシャ」になる。

    空と海にバラまかれた放射性物質は、食物連鎖による生物濃縮を経て、最後は人間に返ってくる。それは科学的に証明されていることだ。政府が意図的に流す『安心デマ』によって、意識を持っていれば防げたはずの内部被ばくを引き起こしてしまうのではないか。

    私はセシウム137を含んだお茶をお茶ミルで挽いて全部飲んでいるから、荒茶の放射能をすべて体内に入れていることになる。それでよい。内部被ばくが無視できるからではない。内部被ばくの驚異を十分に感じつつ、それでも汚染されたお茶を飲むのは、柳澤桂子さんが言うように私にも責任があるからだ。放射能を味わいながら、将来の子供たちをどうすべきか、どのような日本があるべき姿なのかを考えなければなるまいと思っているのだ。緩すぎる暫定規制値を超えた食物は、ラベルに「60歳以上限定」と書いて流通させれば良い。少なくとも40年前に選挙権を持っていた日本人はこの汚染食物を、通常の価格で買って食べなくてはならない。100Bq/kgを超えたものは「40歳から60歳限定」にする。そして未成年と妊婦にはもっとも安全な物を食べさせる。

    原発事故は、生産者と消費者を対立させ、都会と地方を対立させる。「環境に優しいクリーンなエネルギー」と信じた方にも責任があるだろう。われわれは被害者でもあり加害者でもある。最大の加害者の東電幹部が逮捕されないのはなぜだろう。逮捕されないばかりか、容疑者が記者会見を開いている。今回の「管おろし」に関わった議員の何人かは、電力業界から政治資金・パーティ券という形で金を貰っているのだから、魂胆は見え透いている。

    2011年6月 2日 (木)

    タルセバの膵臓がん関連情報まとめ (2)

    FDA承認時のデータ(HTML、PPT)
    2005年11月にアメリカで膵臓がんに適用承認されたときのメーカー申請データなどが閲覧できる。PowerPointがインストールされていない場合、PowerPointviewer(無料)をインストールすれば閲覧が可能。

    Wshot200255
    タルセバ群の生存期間中央値が、前回に載せた図では6.37ヶ月、上の図では6.24ヶ月となっている。これは前回の図が「無作為割り付け時のPS、及び病変の広がりを修正」したため、0.13ヶ月長くなっている。グラフ上の丸印は打ちきり例である。タルセバは平均して9.9日の延命効果があるということになる。半数の患者が6ヶ月で亡くなり、長くても2年弱。これはブラセボ群とて同じである。Journal of Clinical Oncologyのabstractはこちらに。

    ●タルセバの薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録
    タルセバがすい臓がんに適用承認された5月30日の議事録はまだ公開されていないが、こちらにアップされるはずである。公開された時点で書き足すことにする。公開されました。こちらに書き足しました。

    ここでは非小細胞肺がんへの承認時の議事録・審査情報を以下で見てみる。

    【以下、非小細胞肺がんに関するもの】

    ●タルセバの添付文書(医薬品医療機器総合機構
    タルセバの非小細胞肺がんに関する添付文書である。患者が詠んでおくべきは赤いフォントの「警告」欄、「禁忌」「重要な副作用」である。4.5%が間質性肺炎になる。また、グレープフルーツ、セイヨウオトギリソウ、セント・ジョーンズ・ワートなどの代替療法にも注意する。

    医療用医薬品の承認審査情報(医薬品医療機器総合機構)
    非小細胞肺がんについての承認審査情報がこちらから閲覧できる。「医療用医薬品の承認審査情報(検索ページ)」から、「販売名または一般名」に「タルセバ」または「エルロチニブ」を入れて検索すれば良い。専門用語が多くて理解しづらいが、副作用と生存率が分かれば良い。申請資料概要の「表示」ボタンをクリックして「6.臨床に関する概括評価」の「2」をクリックすれば副作用の詳細が表示される。「10.臨床概要」「4」には生存率曲線が載っている。国内臨床試験結果の生存率曲線は下のようになっている。

    Wshot200257
    ●同じ検索結果から「審査報告書」を見る

    124ページもあるPDFファイルだから、必要な箇所だけを探してみる。P.52~53に国内臨床試験の結果があるが、第Ⅱ相試験の論文は公表されていないと書かれている。それで海外で実施された臨床試験を見ると、P.55から第Ⅲ相試験が(9)(10)(11)の3つある。上の図は(9)のものであり、New England Journal Medicine 2005;353:123に掲載されたものだと分かる。

    他の二つ(10)(11)の臨床試験ともに、

    主要評価項目である OSについて、 本薬併用群及び化学療法単独群における MSTは、 各々301日(95%CI [274, 315日])及び 309日(95%CI [282, 343日])であり、化学療法単独群に対して本薬併用群の延長は認められなかった(HR 1.06、p=0.4883、log-rank 検定) 。

    主要評価項目であるOSについて、 本薬併用群及び化学療法群のMSTは各々324日 (95%CI [288, 381日])及び 319日(95%CI [285, 344日])であり、化学療法群に対して本薬併用群の延長は認められなかった(HR 0.995、p=0.9517、log-rank検定) 。

    と書かれているが、これらの図は載っていない。主要評価項目であるOS(全生存期間)のMST(生存期間中央値)に差がない抗がん剤がなぜ承認されるのか? Ⅲ相試験の論文の結果では1:2である。症例数も否定的な論文の方が多い。結果の良いものだけを採用して承認しているのではないかという疑問が残る。

    ●厚生労働省:H19年7月25日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録

    上の私の疑問が審議会ではどう扱われているかを探してみた。

    医薬品医療機器総合機構:海外第III相試験のうち、一つの臨床試験結果からは、標準的な癌化学療法が無効であった患者に本剤を単剤で用いた場合に、プラセボ投与群と比較して全生存期間の延長が認められました。一方、他の二つの海外第III相試験では、標準的な化学療法への本剤の併用が、全生存期間を指標として検討されましたが、いずれの試験結果においても、本剤の上乗せ効果は認められませんでしたので、機構はこの点が明確となるような効能・効果を設定いたしました。

    とだけで、その後の審議でもこれには一切触れていない。「この点が明確となるような効能・効果を設定」とはどういうものか、素人には分からない。あとはEGFRがどうのイレッサとの関連で患者確認カードの扱いがどうのとかの議論である。患者がこの薬剤を必要としており、生存期間の延長という結果が、一つの試験だけでもあるから承認しよう、こういう論理のようだ。

    藤原康弘 国立がんセンター中央病院臨床検査部長は次のように発言しているが、突っ込みが足りない。New England Journal of Medicineのペーパーでは信用できないといっているのだが・・・。

    もう一点は、この審査報告書はNew England Journal of Medicineの公表論文からのデータで、実際にファイナルスタディレポートのような、企業が解析した結果でどのように記載されているのか、不明なところも気になります。というのは、後半、いろいろ審査報告書を見ましたが、QOL評価などもNew England Journal of Medicineのペーパーでは、QOLはポジティブとたしか出ていたと記憶するのですが、興味を持ってFDAの審査報告書の方を見ると、実際に企業がFDAに提出している資料ではQOLの差がなかったり、公表論文と実際のGCP等を踏まえた申請資料との齟齬があって、必ずしも闇雲に公表論文のデータだけを信頼するのも危険なところがあるという印象を持ちました。

    抗がん剤は効かない近藤誠氏のタルセバに関する見解

    これについては近藤誠氏が最近出版した『抗がん剤は効かない』で触れていて、(11)の論文の生存率曲線も載せて比較している。図8-2はこのページで先に載せたものと同じであり、図8-3が(11)の原論文に載せられている図である。(該当箇所をPDFで添付)

    ところで、図8-2の論文と、図8-3の論文は、雑誌掲載時期がほぼ一緒です。試験結果の信頼性から判断すると、後者のほうが超一流雑誌に掲載されるのがふさわしい。それなのになぜ図8-2のような、いかがわしい内容の論文が超一流雑誌に掲載されるのか。ここには、医学界を取りまく深刻な状況があります。「パブリケーション・バイアス」(出版バイアス)の問題です。

    Wshot200258

    こうして自分で調べてみると、近藤氏の指摘の方がより説得力があるように思う。ブログでは近藤氏を批判したり賛同したり、いろいろであるが、彼の主張に全面的賛成であるはずがない。私の判断に照らして、彼が正しいときには正しいと書いているつもりである。

    FDAの図とその下の論文(9)の図を比較してみれば、非小細胞肺がんの場合よりも膵臓がんでは効果がより限定的に思える。図8-3を見れば、初期に亡くなる患者は、返ってタルセバで命を縮めている可能性がある。この図を機構が審査資料に載せれば、もしかすると承認されなかったかもしれない。

    膵臓がんへの国内承認でも「専門の医師の指示の下で使用し、すべてのケースについて経過を調査をすること」を条件に承認してもよいとしたのであるが、要するに承認されたとはいえ、臨床試験が延長されたと考えた方が無難である。膵臓がん患者が保健で使うことができる抗がん剤が増えたことを単純に歓迎すれば良いのかも知れないし、この薬で延命する患者もいるには違いない。しかし、患者が延命効果を実感することはできないだろう。国内審査のデータを待つまでもなく、効果はほとんど期待できないのに高価な抗がん剤だから、昨年12月23日のブログでも書いたように、私はこの抗がん剤を使う気にはなれない。

    治療戦略の参考にしていただき、自分の価値観・人生観に照らして判断していただきたい。

    続きを読む "タルセバの膵臓がん関連情報まとめ (2)" »

    2011年6月 1日 (水)

    タルセバの膵臓がん関連情報まとめ (1)

    エルロチニブ(タルセバ)が承認されることになり、膵癌に適用される抗がん剤は、ゲムシタビン(ジェムザール)、TS-1に次いで始めて分子標的薬が使えるようになった。1月にNHK「福祉ネットワーク」で斉藤あかり(仮名)さんが訴えていたように、膵臓がん患者には二つの薬に耐性ができるとそのあとの治療法がない状態でした。パンキャンが署名活動をして提出したその日に承認されたことになります。4月といわれていたのが遅れたのは東日本大震災のためなのでしょうか。私の考えは次回に書きますが、ともあれ、膵臓がん患者にとっては一つでも選択肢が増えるのは嬉しいことに違いない。

    今後の治療方針を考えるうえで参考になればと、タルセバに関する情報を集めてみました。リンク先を並べますが、重要と思われる記述についてはコピーを載せておきます。

    ●Wikipedia:「エルロチニブ

    エルロチニブ製剤は切除不能又は再発した非小細胞肺癌および膵臓癌に対する治療薬として用いられる。製造元は米国OSIファーマシューティカルズ (OSI Pharmaceuticals Inc.)、販売元は米国ジェネンテック社 (Genentech, Inc.) で、商品名は「タルセバ® (Tarceva®)」。タルセバ®錠は3種類の用量の剤形があり、エルロチニブとして一錠25 mg、100 mg、150 mg(エルロチニブ塩酸塩としてそれぞれ27.3 mg、109.3 mg、163.9 mg)を含有する。

    2004年11月19日米国食品医薬品局 (FDA) は非小細胞肺癌に対する治療薬として本薬剤を認可し[2]、さらに2005年11月2日膵臓癌の治療薬としてゲムシタビンとの併用療法において承認した[3]

    ●Wikipedia:「膵癌

    ゲムシタビンと分子標的治療薬のエルロチニブ(Erlotinib; 商品名タルセバ)の併用療法が、ゲムシタビン単独療法と比較して、統計学的に全生存期間を有意に延長することが示された(PA.3試験[3])。この結果を受け、FDAは2005年に、European Commissionは2007年にエルロチニブを承認した。

    探索的解析ではあるが、上述のPA.3試験において、ゲムシタビンとエルロチニブ併用群で、グレード2以上の発疹が発現した患者では生存期間の延長 傾向が認められている(生存期間中央値は、発疹グレード0の患者が、5.29カ月、グレード2の患者で10.51カ月)。

    ●がんサポート情報センター「第2段階に入った分子標的薬の長所と短所

    Wshot200253

    Wshot200254

    ●がんサポート情報センター「患者のためのがんの薬辞典:タルセバ

    ●がんサポート情報センター「膵がんの最新治療」2005年の情報ですが・・・

    今年のASCOで注目されたのは、既存の抗がん剤に代わって、膵がんだけを目印にしてこれを攻撃する「分子標的治療薬」のタルセバ(一般名エルロチニブ) という薬の登場だった。ジェムザールとタルセバの併用が、ジェムザール単剤に比べて2週間くらいの延命効果があるということが示されている。
    「『では、新しい標準治療はジェムザール+タルセバか?』ということになりますが、ASCOではあまりそれを認める空気はありませんでした。延命効果はわずか2週間くらいしかないし、タルセバ群には重篤な皮疹などの有害事象もあり軽視できない、それにタルセバ自体が非常に高価で、治療がきわめて高額になることなどが問題になったようです」

    ●がんサポート情報センター「膵臓がんの治療Q&A

    分子標的薬のタルセバ(一般名エルロチニブ)は、ファーストライン治療としてジェムザールとの併用で使用された際に延命効果が示されました(日本では膵がんに対して未承認)が、その改善度はわずかで、今回のようなジェムザール無効例に対する効果は認められていません。それ以外の未承認の抗がん剤に関しても、現時点では推奨するだけのエビデンスがありません。

    ●がん情報サービス「国内未承認薬の情報:エルロチニブ

    ここから海外の承認情報にもアクセスできます。

    ●がんナビ「エルロチニブとゲムシタビン併用が膵臓がん患者の生存期間を延長

    ●共同ニュース「膵臓がん患者の延命に効果

    研究結果は、タルセバとジェムシタビンを投与された進行性膵臓がん患者の全体的な生存率に、ジェムシタビンだけを投与された患者に比べ全体で22% (p=0.038)という統計的に意味のある改善があったことを示している。タルセバとジェムシタビンの併用療法を受けたグループでは化学療法だけのグ ループに比べて12カ月時点での生存患者の比率が高かった(23%対17%;p=0.023)。
    病状進行のない生存率もタルセバ治療患者で大幅に改善され た(p=0.004)。

    ●日経メディカルオンライン「ASCO2005 期待はずれの結果にがっかり

    進行期膵臓癌に対する化学療法として、ゲムシタビンとエルロチニブを併用すると、ゲムシタビン単独投与に比べ、1年生存率は17%から24%に増加した。 生存期間の中央値については、併用群が単独群に比べて有意に延長したものの、その差はわずか2週間だった。エルロチニブに関する治験第3相無作為化比較試 験の結果で、5月14日のプレナリ発表で、カナダPrincess Margaret HospitalのMalcolm Moore氏が発表した。コメンテーターのMD Anderson Cancer CenterのJames L. Abbruzzese氏はこの試験結果に対し、「期待はずれの結果に、がっかりした」と辛口の評を添えた。
    Abbruzzese氏は、エルロチニブの治療毒性を考えると、ゲムシタビン単独投与よりも併用投与が優れているとは判断しかねるとし、「この試験結果は、明らかに、現行の標準的治療法を変える根拠にはならない」と締めくくった。

    ●日経メディカルオンライン「日本人の切除不能膵癌にエルロチニブとゲムシタビンの併用が有望な可能性

    有効性については、全生存期間の中央値は9.23カ月、1年生存率は33%、PFSの中央値は3.48カ月であった。測定可能な標的病変が1つ以上あった64人の奏効率は20.3%であった。
     ゲムシタビンは、エルロチニブの薬物動態に影響を与えないことも明らかになっている。エルロチニブの薬物動態に対するゲムシタビンの作用を検討した国内の過去の試験の結果と、今回の試験の結果を比較しても、統計学的な有意差はなかった。
     今回の結果から、進行性膵癌の日本人患者においてエルロチニブとゲムシタビンの併用の全体的な忍容性は良好であることが分かった。この併用が有効性と生存の転帰に寄与する結果が示され、仲地氏は「NCIC PA.3 Studyと一致する結果」と話している。(原文はこちら

    ●海外癌医療情報リファレンス「エルロチニブはゲムシタビンと併用すると膵臓癌の1年間生存率を高める

    標準治療薬のゲムシタビンと併用してエルロチニブ(タルセバ)治療を受けた進行膵臓癌患者は、ゲムシタビンのみの治療を受けた患者と比べて、1年間生存率が少し改善しました。しかし、進行膵臓癌患者すべてに対し、標準治療にエルロチニブを追加するのは時期尚早です。

    ●日経メディカルオンライン「膵臓がんはもっとも大きな変化が期待できる癌です

    ●治療費「ゲムシタビン+エルロチニブ」322,130円/月

    今回の承認で保険適用となったので、上記金額の3割負担となる。

    ●副作用<

    GEMとの併用なら死亡率は2%、イレッサと同様に間質性肺炎その他重篤な副作用

    続きを読む "タルセバの膵臓がん関連情報まとめ (1)" »

    « 2011年5月 | トップページ | 2011年7月 »

    がんの本-リンク

    • がん患者が選んだがんの本

    サイト内検索

    膵臓がんブログ・ランキング

    膵臓癌 お勧めサイト

    アマゾン:商品検索

    がんの本「わたしの一押し」

    サイト内検索
    ココログ最強検索 by 暴想