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2012年4月

2012年4月27日 (金)

ECRR2010年勧告の概要・和訳完成

放射線被ばくによる健康影響とリスク評価 ECRR(欧州放射線リスク委員会)2010年勧告の翻訳は、こちらの美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会にアップされているが、このほど山内和也氏の監修の元、書籍としても出版された。ただ、専門用語も多く一般に理解することが難しいとの指摘もあり、勧告の概要を矢ヶ崎克馬氏の解説・監訳でQ&A方式で翻訳し直したものが公表された。

市民版ECRR2010勧告の概要―矢ヶ崎克馬解説・監訳

26日の毎日新聞福井版には、福井県チェルノブイリ調査団の視察報告として「調査団によると、現場周辺では毎時数マイクロシーベルトの高い放射線量を記録。1歳未満の乳児のがん罹患(りかん)率は現在も高く、出産を避ける女性が増えたため子どもの数が激減しているという。」と報道されている。また、同じく広島版には、飯舘村・川俣町の調査をした広島原爆被爆者援護事業団・鎌田七男理事長の話として、

当時4~77歳の15人に、何を食べたかや、事故後にどのような建物で過ごしたかなどを聞き取りし、尿を測定した。事故後54日までの外部被ばくの積算線量の平均は、大人が8・4ミリシーベルト、子どもが5・1ミリシーベルト。尿から放射性ヨウ素が検出されたのは5人、キノコや自家製野菜を食べた人だ。呼吸を通して空気中から取り込んだなら全員から出るはずだから、特に食べ物から入ったと言える。セシウムは微量だが全員から検出された。

とある。国民全員が多かれ少なかれ内部被ばくに曝されている。しかし、あいかわらず政府や御用学者らは内部被ばくを過小に評価して、影響を無視しようとしている。こうしたとき、その理論的根拠となっているICRP勧告の非科学性、欺瞞性を明らかにし、多くの市民に知識を共有することは重要な課題である。「配信にあたって」から一部を抜粋する。

放射線防護にかんする政府の諸施策の矛盾点、電力会社やマスコミの虚偽や虚構を見抜くためにも、このECRRの考え方とリスクモデルを、「市民の立場に立った放射線防護の基本」として理解することが非常に大切だと考えます。

昨年7月来日したECRRのクリス・バズビー博士は、羽田で次のように述べていました。
『先ず最初に知ってほしいのは、ICRPの基準は役に立たないということです。内部被曝によるガン発症数について誤った予測をだすでしょう。ICRPのモデルは1952年に作られました。DNAが発見されたのは、翌1953年です。

ICRPは、原子爆弾による健康への影響を調べるために設立されました。第二次世界大戦後、大量の核兵器が作られプルトニウムやウランなど、自然界にはないものを世界中に撒き散らしました。このためICRPは、すぐ対策を考えなければなりませんでした。そこで彼らは、物理学に基づいたアプローチをとりました。物理学者は、数学的方程式を使ってシンプルな形にまとめるのが得意です。しかし、人間について方程式で解くのは複雑すぎます。

せっかくだから、解説本文から(5)-質問⑦を取り上げて、御用学者らの見解と比較してみよう。

5、本委員会は、放射線被曝の放射線源について考察する。新たな同位体の被曝影響を自然放射線による被曝と比較して規格化する試みには注意するよう勧告する。新たな同位体の被曝とは、ストロンチウム90 やプルトニウム239 のような人工核種による内部被曝だけではなく、核種のマイクロメートルの範囲への凝集(ホットパーティクル)も含まれており、これらはすべて人工核種(プルトニウムなど)および自然核種の形態変化したもの(劣化ウランなど)で構成されている。こうした(註:自然放射能との)比較が、現在は「吸収線量」というICRPの考え方を根拠として行われている。この ICRP の吸収線量概念は、細胞レベルの傷害をもたらす結果を厳密に評価してはいないのである。放射線による外部被曝と内部被曝との比較についても、細胞レベルでの影響が量的に全く異なる(註:内部被曝の線量が桁違いに大きい)可能性があるため、リスクを過小評価する結果を招くと考えられる。

質問⑦:自然放射線と比較してはならないと言っているようですが、ここでは何を勧告しているのですか?ホットパーティクルや吸収線量というコトバも分からないのですが?

矢ヶ崎:自然放射線の線源は、決して多くの放射性原子が集合して放射性微粒子になっている点線源ではありません。例えば、放射性カリウム原子は、自然状態では決して微粒子を構成せず、カリウム原子1 万個を集めるとその中の1 個だけが放射性原子なのです。放射性原子が同じ場所にかたまっていることは決してないのです。
  これは、いわゆる人工放射性原子の状態とは全く異なります。原子炉でつくられる放射性原子や劣化ウラン弾でつくられる酸化物エアロゾールは、ほとんどが微粒子を形成しています。 従って、自然放射性原子(K40 等)から放射される放射線は、他の自然放射性原子(K40 等)から放出される放射線が打撃した同じ場所を、打撃するようなことは無いのです。
  この場合の被曝状況は臓器全体で平均化したものとさほど変わりはないのです。ICRP で算出する方式によって推算が可能なのです。ところが人工の放射性核種はほとんどが集合体(微粒子)を形成し、この微粒子(点線源)から継続して密集した放射線が放出され、この微粒子の周囲には大変高い被曝領域(電離あるいは分子切断が密集している)状態が出現します。散漫な被曝を行う場合とは危険度が全く異なるのです。ICRP では、吸収線量は臓器ごとの単位(あるいは全身)というマクロな単位で、その中に放射線が与えたエネルギーの量だけを計算し、それをその質量で割る(シーベルト単位で与えられる)ものです。繰り返しになりますが、ICRP では局所(ベータ線の場合は半径1センチメートル程度の球内)のリスクは推定できない(無視する)のです。

中川恵一准教授のteam nakagawaのホームページや日本核医学会のサイトでも、人体には常に4000Bqほどのカリウム40があり、自然放射線による内部被ばくの3分の1を占めており、これによる年間の内部被ばくは0.17mSvである。それに比較して食品による内部被ばくは問題にするほどではない、などと主張している。

本当か? カリウム40と比較することは科学的なのか?

4000Bqのカリウム40とは、人体内にはカリウム40の放射性原子が1.6×10^20個存在するということで、人体はおおよそ60兆個(6.0×10^13)の細胞でできているから、細胞1個あたり263万個の放射性カリウム原子がある。すごい数のように見える。しかし、細胞の寿命を平均して30日(260万秒)とすると、1秒で崩壊するカリウム原子が4000個であるので、260万×4000=100億回の崩壊が起きる。

つまり、60兆個の細胞のうち、その寿命の間にカリウム40からの放射線を受ける確率は100億÷60兆=0.00018=0.018%なのである。カリウム40からのベータ線をたまたま受けて細胞のDNAが切断されたとしても、短時間に同じ細胞に次のベータ線が照射されることはほとんどない。二重鎖切断も起きないからDNAは修復される。

一方でハットパーティクルといわれる100ミクロン程度の放射性物質(仮にストロンチウム90としておく)にはやはり100億個ほどの放射性原子が存在する。その放射能が仮に1Bqだとしても、毎秒毎秒1回のベータ線が照射され、それがごく近傍の細胞だけを攻撃する。細胞の寿命ないでは100億回の攻撃を受けるのである。DNAが切断されて、修復する暇もなく次のベータ線が飛んでくる。違いは明かだろう。全身にほぼ均等に分布しているカリウム40と、食物や呼気から吸収された”放射能の塊”を、シーベルトという単位で同じ値になるからといって、同じ影響であるはずがない。

ICRPが臓器全体で平均化することで内部被ばくを小さく見せかけている、というのはこういうことだ。

内部被ばくを考える市民研究会」のサイトには、他にも多くの参考資料があるので、これもあわせて活用されたい。

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2012年4月26日 (木)

真宗大谷派 再稼働反対、全原発の廃炉を求める見解

真宗大谷派(東本願寺)が4月23日、「原子力発電所の再稼働に対する真宗大谷派の見解」を出している。

原子力発電所の再稼働に対する真宗大谷派の見解

原子力発電所の再稼動に対して、真宗大谷派では4月23日、解放運動推進本部長名による宗派の見解を発表しました。

    -すべての原子力発電所の運転停止と廃炉を求めます-

  真宗大谷派は、昨年末、政府に対して「原子力発電に依存しない社会の実現を目指す」要望書を提出いたしております。あらためて、生きとし生けるもののいのちを脅かすことなく、さらに未来を生きる子どもたちのためにも、一刻も早く原子力発電に依存しない社会の実現を目指すことを求めます。

これまで、大地震にいつ襲われるとも知れない狭い日本の国土に54基もの原子力発電所を作り、電力供給を原子力に依存する生活を私たちは営んで来ました。

原子力発電所は、小さな事故であっても、放射線による被曝によって、取り返しのつかない事態となり、すべてのいのちを奪ってしまう危険性があることを、東京電力福島第一原子力発電所事故で学びました。

原子力発電所の稼働は、原発作業員の被ばく労働に支えられる社会を生み出し、ひとたび放射能に侵されればその地域や国土の風評被害を含め、そこに住む人々までも排除してしまうような「差別社会」を助長します。更に言えば現状の科学では、この地球上で原子力発電所で生じる放射能とは共生することはできず、むしろいのちの根源を奪うものと認識しています。

さらに、このたびの事故により原子力を利用する限り、現在のみならず未来のいのちをも脅かす放射線被曝を避け得ないことが明らかになりました。

私たちは、すべてのいのちを摂めとって捨てない仏の本願を仰いで生きんとする念仏者として、仏智によって照らし出される無明の闇と、事故の厳しい現実から目をそらしてはならないと思っています。

すべての原発の運転停止と廃炉を通して、原子力に依存しない、共に生きあえる社会の実現に向けた取り組みがなされる歩みを進めてまいりたいと意を決しております。

    2012年4月23日

                                 真宗大谷派解放運動推進本部長 林 治

2012021001 真宗大谷派(本山、東本願寺)住職の有志らは9日、「原発反対」を訴えて京都市下京区の東本願寺から東山区の大谷祖廟までデモ行進しました。親鸞聖人の教えを通して社会問題を考える「ナムナム大集会実行委員会」の主催で、関係者150人が集まりました。

真宗大谷派では、昨年6月に脱原発を求める決議案が提案されたが、「単に誰かを悪者にするだけでいいのか」「宗教者としての反省が欠けている」などの声が上がり、否決された。その後調整が行なわれ、昨年政府に対して要望書を提出。今年2月27日の臨時宗議会において全会一致で「すべての原発の運転停止と廃炉を通して、原子力発電に依存しない社会の実現を求める決議」が採択され、翌28日には臨時参議会において「原子力発電に依存しない社会の実現を求める決議」が採択されている。そして今回の原発の再稼働に対する見解となったものです。

有力な檀家の中には原発推進論者も多いことが想像されるが、論議を尽くして宗教者としての立場と使命を明らかにしたことを評価したい。

宗教者、科学者、哲学者、文学者、法曹と言われる人たちは、未曾有の建国以来の危機に対して、この事態を招いた原因についても自らの思想と過去の活動を通して、責任はなかったのかと問いかけるべきであろう。そして、今後の我々のの行く末がどうあるべきなのかを指し示す責任があると思う。

1986年4月26日、26年前の今日、チェルノブイリ事故が起きた。

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2012年4月24日 (火)

未承認抗癌剤を2段階で保険適用-来年4月から

23日付の日経新聞会員ページに次の記事が載っている。

抗がん剤に保険適用拡大 臨床研究も促す  (厚労省)

Image_150_3 厚生労働省は来年4月にも、抗がん剤を保険適用外のがんに使った場合でも、保険診療との併用(事実上の混合診療)を広く認める方針だ。抗がん剤は保険が適用できるがんの種類が決まっており、ほかのがんに使えば、治療費も全額自己負担になるのが原則だが、保険適用の範囲を広げる。実用化が進んでいる肺がんの薬を卵巣がんなどにも使いやすくし、治療の機会を広げる。

抗がん剤は欧米の製薬会社を中心に研究・開発が進んでおり、欧米人に多い肺がんや大腸がんなどの新しい治療薬は比較的早く開発される。一方、日本では薬の実用化までの規制が強く、日本人に多い胃がんや卵巣がんへの応用研究が進みにくいとして、日本のがん患者団体などが規制緩和を強く求めていた。

抗がん剤の保険適用の拡大は2段階で進める。

まず、保険適用外の抗がん剤の使用を医療機関が国立がん研究センターに申請し、審査を受ける。先進医療の一つとして認定されれば、診察、検査など一般診療部分に保険が適用される。

さらに、その抗がん剤を使った治療の効果が確認されれば、厚労省による正式な薬事承認に先駆けて、抗がん剤の費用も含めて保険適用の対象とする。承認と保険適用を切り離した米国のコンペンディウムという制度を参考にしている。

現行制度では、保険診療と、保険適用外の自由診療の併用は原則禁止されている。

例外として、厚労省が薬の安全性を確認する薬事承認に向けた治験であれば、保険対象のがん以外への抗がん剤の使用も保険診療との併用が以前から認められている。だが、基準が厳しく実施する製薬会社の費用負担が重いため、実際に対象となる薬は限られていた。これが日本で抗がん剤の応用研究が進みにくい一因との指摘がある。

 そこで厚労省はもう一つの例外である先進医療の枠組みを使って抗がん剤の保険併用を広く認め、応用のための臨床研究を促すことにした。先進医療は厚労省が将来の保険適用を判断するために認める医療で、治験に比べて費用負担が小さい利点がある。

厚労省が保険併用を広く認めるのは、国際的な抗がん剤の開発競争に対応する狙いもある。抗がん剤の研究・開発を進めにくいとして、日本から撤退する海外製薬会社が相次いでいる。抗がん剤などの医薬品の輸入超過は年間1兆円を超え、貿易赤字の原因にもなっている。がんセンターを中心に抗がん剤の研究を促し、日本をアジア向けの研究・開発拠点に位置付けたい考えだ。

保険併用の拡大には、医療サービスの格差が広がり公的保険制度が揺らぐとして、日本医師会などに慎重論がある。厚労省は先端のがん治療の分野での一部の医療機関に限った取り組みにすることで、理解が得られるとみている。

海外で効果が確認されているが、日本ではまだ臨床試験ができず未承認の抗がん剤を使いやすくして、いわゆるドラッグ・ラグを解決しようとする試みだ。

自由診療との併用(混合診療)を事実上認めることになる。しかし、代替療法に対して混合診療を認めるというわけではなく、効果が確認されるまでは一般診療部分を、効果が確認されたら抗がん剤も保険適用にするのであるから、やみくもに混合診療を認めるのとはわけが違う。第一段階では抗がん剤費用は患者の負担となるであろうが、効果が確認されていない以上、それはやむを得ないだろう。

医療機関がどれほど積極的に取り組むかは未知数だが、ドラッグ・ラグ解消へ向けて一歩前進と評価したい。

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時間治療とメラトニン

昨日のNHKクローズアップ現代「”からだの時計”が暮らしを変える」で時間治療(クロノテラピー)が取り上げられた。肝臓に転移した腫瘍が、抗がん剤を投与する時間を変えただけで、驚異的に縮小した例が紹介されていた。
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クロノテラピーに関しては、がんサポート情報センターに「副作用を抑えるがんのクロノテラピー(時間治療)夜間に抗がん剤投与の治療が進行大腸がんや卵巣がんに効果」との特集記事がある。

Image_158 人体を構成する60兆個の細胞には、それぞれに”時間遺伝子”と言われる遺伝子があり、親時計(松果体)の指令による体内時計によって細胞分裂の周期を調整している。

正常細胞が分裂・増殖する日内リズムも体内時計に基づき、朝から昼に向かって活発化し、夕方から夜にかけて低下し、真夜中にもっとも沈静化する。一方、がん細胞の分裂・増殖リズムは一定しないが、真夜中、寝ているときは盛んになり、昼間は低下することのほうが多い。この時間のずれを上手に利用すれば、正常細胞への毒性を極力抑え、抗がん剤の投与量を増やしてがん細胞により大きなダメージを与えることができる。

Image_173 正常細胞の分裂が活発でない時間帯に抗がん剤を投与するので副作用も少ない。したがって、よりたいりょうのこうがんざいを投与できる。肝臓癌患者の例では通常の1.5倍の抗がん剤を投与しても「髪の毛も抜かなかった」とインタビューに答えていた。

Image_160リウマチの場合も同様に、21時頃の就寝前に薬を投与すれば、リウマチの原因物質が増加するタイミングに合わせて大きな効果を得られる。

クロノテラピーは、平岩正樹医師の著書『抗癌剤―知らずに亡くなる年間30万人 (祥伝社新書 (001)) 』や『がん―医者ができること 患者にしかできないこと』でも紹介されていて、平岩正樹医師は実際にクロノポンプを使って患者を治療していた。

Image_176 このクロノポンプ、番組でもフランスでは携帯型のクロノポンプを使って自宅で夜間に抗がん剤を投与するのが普及していると紹介されていた。先のがんサポート情報センターの記事には「日本では承認すらされていない」と書かれている。のっぽ先生のブログ「積極的精神で生きる」には2010年にこのことが紹介されている。

番組では「ある種のホルモン」と言っていたが、メラトニンを服用することで体内時計の乱れを整え、免疫を高める実験を紹介していた。

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メラトニンはこのブログでも初期から紹介してきたし、私はずっと服用している。メラトニンを2mgを2ヶ月間服用しただけで、NK細胞の量が240%に劇的に増加したとの研究や、マクロファージの殺傷能力を高めたり、ヘルパーT細胞のレセプターと真っ先に結合し、ヘルパーT細胞がIL-4因子を増産、これが骨髄幹細胞を刺激して白血球が量産される。

番組に出演していた九州大学の大戸茂弘先生(相当あがっていたが)の記事「時間治療-その発想の核心へ」がこちらにある。

多くの薬剤で投与時刻によって血中濃度などが変わる、あるいは白血球の数値が夜間には日中の倍近くに高まる、といったことは、すでにエビデンスのある“事実”です。
また時計遺伝子の変容が、メタボリックシンドロームや発癌のリスクを高める。

Image_178_2 メラトニンは体内時計と免疫の療法に重要な役割を果たしているらしいのである。「らしい」と書いたのは、クロノテラピーと同様に製薬企業が積極的に臨床試験を行わないから、確かなエビデンスが乏しいのである。フランスではクロノポンプを 使うことで医療費も抑制できると言っていた。しかし、日本の厚生労働省にとっては、医療費の抑制は「患者の負担を増やすこと」が唯一の解決策であり、製薬企業の利益にならないクロノテラピーの研究などは眼中になさそうである。フランス国立保険医学研究所のフランシス・レヴィ博士は「自宅治療ですから入院も必要なく、経費も少なくて済む。副作用がないので余分な経費もかからない。経済的なメリットが大きい」と言っていた。

メラトニンに関心があれば、右上の検索ボックスから検索してください。このブログでもたくさん取り上げているので、きっと必要な情報が見つかるでしょう。

奇跡のホルモン、メラトニン、 驚異のメラトニン 抗癌剤―知らずに亡くなる年間30万人 (祥伝社新書 (001)) メラトニン研究の最近の進歩

2012年4月23日 (月)

高遠の小彼岸桜

土日で信州高遠城址公園の小彼岸桜を見物してきた。十年前に一度行ったが、その時は早すぎて枝ばかりの木を見ただけ。今年は15日が見頃と予想が出ていたが、この日はチェロの合同レッスンのため「花吹雪が見れたら幸運か」と覚悟して21日に設定。ところがこの寒さで開花が遅れて、当日は5~7分咲という幸運に恵まれた。

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早朝の4時に出発。道中は順調で8時に到着したが、既に近場の駐車場は満車で入れず、少し離れた川岸に誘導された。城址公園全体が桜色に染まっていた。

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遠くに見える中央アルプスの頂はまだ雪をかぶっている。この日の駒ヶ岳千畳敷カールでは4メートルの積雪があるとロープウェーのサイトに書かれていた。

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昼食は行者蕎麦の元祖と言われている「梅庵」へ。全国からそば通が通うという噂にひかれて行ったが、こんな山奥に本当にあるのか?というほど農道を奥へ奥へと走り、やっと見つけたときはほっとした。田舎の普通の農家の佇まい。翌日の奈良井宿の写真と会わせて、次回に。

二度と生きて見ることはないと覚悟していた高遠の桜を観ることができて、本当に幸運。次は淡墨桜だ。

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2012年4月17日 (火)

ニューズウィーク:免疫が切り拓く「がん治療」最前線

本日付のニューズウィーク日本語版に『免疫が切り拓く「がん治療」最前線』の特集が載っています。

免疫力が弱ってからでは、がんワクチンの効果は出にくい。抗がん剤をやり尽くした後でがんワクチンを投与するのではなく、初期のうちに投与すべきであると。しかし、こうした方法を承認しないのが日本の厚生労働省です。科学的(ごく常識宛期に判断できるレベルだが)な根拠よりも「前例」の方が大事だと考えている官僚的発想が、がん患者の希望を奪っている。

 ニュージャージー州ジャクソンに住む広告会社の元幹部ハーバート・ウィリアムズも、免疫機能が弱っていない段階で免疫治療に出合って命拾いした1人だ。彼は10年3月に膵臓癌の手術を受けたが、摘出すれば命に関わる場所に癌があることが分かり、摘出できなかった。幸運だったのは、ウィリアムズに癌以外の大きな疾患がなく、免疫機能を損なう癌治療を受けた経験がなかったこと。ニュージャージー癌研究所で癌ワクチンの臨床治験を行う医師エリザベス・ポプリンは、ウィリアムズに「あなたのような患者を探していた」と語った。

 早速、癌ワクチンの投与を受けると9カ月後の検査で癌は完全に消滅。ほかにも、手術が不可能な膵臓癌患者5人のうち3人の症状が安定している。「膵臓癌は全身に転移しやすいが、誰ひとり転移はなかった。驚くべき結果だ」とポプリンは言う。

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2012年4月16日 (月)

西尾正道先生の新著

がんセンター院長が語る 放射線健康障害の真実 先日の千葉徳州会病院でのがんペプチドワクチン講演会においてもご本人が宣伝していましたが、北海道がんセンター院長の西尾正道先生の新著がまもなく発売です。旬報社のサイトに著作の「はじめに」を引用した記事があり、すばらしい内容なのでここにその一部を紹介します。

 東京在住の知人から、「ある会社の社長が本社を大阪に移す」と言い出しているので風評被害を収めてほしいとの電話を受け、少ない情報のなかで、「緊急被曝の事態への対応は冷静に」という原稿を書き、3月14日にインターネット上で「MRIC by 医療ガバナンス学会」のメールマガジンVol.64に掲載した。当然にもまともな原発事故対応がおこなわれるであろうという前提で書いたものである。日本の緊急被曝医療対策は、1999年9月に発生した東海村JCO臨界事故の教訓を踏まえて、2000年6月に「原子力災害対策特別措置法」が施行され、多額の予算の投入により、事故時の初期対応の迅速化、国と都道府県および市町村の連携確保など、防災対策の強化・充実が図られてきたはずであった。
 しかし現実は犯罪的ともいえる杜撰でデタラメな対応と、情報の隠蔽がおこなわれた。確かに全国でおこなわれてきた緊急時被曝医療の対応についての会議や訓練はアリバイ工作的におこなわれてきたにすぎないことを考えれば、当然かもしれない。
 3日後に自衛隊がヘリコプターで注水作戦を開始した。自衛隊ヘリが被曝を避けるために遮蔽板をつけているのを見た時点で、放射線防護のイロハも理解していない人間が指揮していることがわかり、放射線の健康被害について発言せざるをえなくなった。

自衛隊ヘリの散水を見たときには、私もあっけにとられました。「こりゃダメだ。あほなことをやっている」と。しかしマスコミもネットでも賞賛の声が多かったですね。

私もこのブログで、3.11の直後から「今後は内部被ばくが問題だ」と書き続けてきました。当時はまだマスコミでも内部被ばくには関心が薄く、外部被ばく線量だけで「影響はない」として、私のような主張をする者を「不安を煽る」「風評被害を広げる」という始末でした。

健康被害にかんする情報は、風評被害を防ぐという大義名分があるとしても、あまりにも原子力政策を推進する立場で修飾されたICRP(国際放射線防護委員会)の情報のみが流布されている。こうしたフィルターのかかった情報が一般市民向けにわかりやすく書かれた本となり出版されているが、内部被曝の危険性等を論じた書籍は少なく、また難解なものが多い。

放射線防護の専門家と称している人たちは、ICRPの報告書を読んで教えている人が多く、実感として放射線の怖さを知っているわけではない。政治経済的な思惑で修飾された知識ではなく、放射線を扱っている現場の実感から放射線の問題を市民にわかりやすく知らせる必要性を感じ、本書を出版することとした。

御用学者の中で、線量計が振り切れる恐怖を実感した者などいないだろうと思う。まだ発売前ですが、内容に期待しています。注文しました。

今後の長く続く内部被ばくとの闘いは、突き詰めれば「がん予防」です。それは例えば『がんに効く生活』に書かれているような生活に変えることです。豊かすぎる食生活や不規則で運動不足の生活を見直して、精神的に豊かな生き方に転換する契機になるでしょう。それが「原発に頼らない生活」につながっていくはずです。

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2012年4月14日 (土)

十割蕎麦「ふくろう」本当の蕎麦を食ってきた

雨の中、幸手市の権現堂堤へ行ってきた。雨に濡れた桜の花びらも風情があるが、昼食の蕎麦が絶品だった。幸手市役所近くにある「十割蕎麦 ふくろう」。天ざるをたのんだが、しばらくすると店主が「これから蕎麦を打ちます」。「えっ これから?」と思っていたら打ち立てを出すのがこの店のこだわりだという。

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打ち立ての蕎麦は、蕎麦特有の香りがする。久しぶりの「これが蕎麦だ!」という蕎麦を食った。天麩羅も新井農園の有機栽培野菜を、揚げたてを奥さんが一品すつはこんでくる。油も高級品なのかこれもよい。

会津山都町産のそば粉を使った十割蕎麦。店内はジャズが流れている。酒も豊富にそろえているし、食材も良いものだけを使ってこだわりが徹底している感じの店である。『十四代』が全種類あって、いつでも楽しめるのもすごい。

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良い店に出会って幸せな気分でした。

さて目的の桜。結構寒かったので見物人もまばら。雨も時折横殴りに吹き付けるので、撮影もままならないが、雨の桜でなければ撮れないカットを狙ってみた。

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チェロと桜

連日チェロアンサンブルの練習で2時間ほど弾いている。アンサンブルの3曲の他に、通常のレッスン曲があり、その「パッフェルベルのカノン」もやっている。32部音符の連続にはまだ指が追いついていかないので、テンポを遅くしている。そのうちに元のテンポで弾けるようになるだろう。

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桜が花吹雪である。近所で撮ったものをいくつかアップ。今日は6時出発で幸手市の権現堂堤の桜祭りに車で行く。冷たい雨だが、それもまた良し。権現堂堤には2009年に行っているので二度目となる。こちら

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満開の桜の下で太極拳をやっていた。この人たちは雨が降らなければ毎朝会う顔おなじみだ。いつもは4,5人だが今日は二人だけ。がん患者かもしれないが、聞くのも野暮だ。

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そして来週21日からは高遠の小彼岸桜を撮りに、2白3日の温泉旅行。どちらがメインかわからないが、私は桜、妻は温泉というところだろう。ここも10年前に行っているが、その年は開花が遅れ、ほとんど蕾だった。今年はまだ開花していないので、運が良ければ満開の小彼岸桜にお目にかかれそうだ。

それでは、これから権現堂堤に出発です。

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2012年4月13日 (金)

がんワクチン 規制当局との攻防

本日3件目の記事です。

市民のためのがん治療の会に、東京大学教授・医科学研究所附属病院長の今井浩三氏の短いコメントが載っています。

がんペプチドワクチン全国ネットワーク共同研究進捗報告会に出席して』のなかで今井氏が、

会の報告で、特に興味深かったのは、食道がんの手術後にワクチンを投与する方法である。まだ例数が少ないが、効果がみられる可能性がある。肺がん、膵がん、小児がんでも、国の規制当局との攻防が生々しく報告された。

と述べているのが興味を引きます。先日の中村祐輔教授の、シカゴ赴任前の講演でも同じような話をされていました。中村教授は憤懣やるかたないという話しぶりで、「このままでは日本の医療はダメになる」と強調していました。攻防の具体的な内容まではわかりませんが、福島原発事故での厚生労働省の対応ぶりを見ていても、さもありなんと感じます。政府や行政を動かすには患者の行動が大事、国民の行動が大切です。役人・政治家は、一人のデモの後には1000人、1万人のおなじ考えの国民がいる、一通の抗議・要請の後には10万人の後ろ盾があると、敏感に感じるものです。

最後のセッションでは、まずメディアから、アンケート調査に基づいた興味ある報告(NHK報道局科学文化部記者の薮内潤也氏)があった。医療者側と患者の「最後までがんと闘う」意識に違いがあること、すなわち、医療者は20%程度のみ最後まで闘うと考えるのに、患者側は約80%の方が、そう思っていることのずれについて、指摘があった。このようなことも、十分なコミュニケーションが不足していることから、生じている可能性がある。

 続いて、市民団体から見たがん治療というタイトルで、「市民のためのがんペプチドワクチンの会設立準備室」の代表・會田昭一郎氏からのお話があった。がんワクチンのようなまだ医薬品として認可されていないものを、できるだけ早く規制当局に認めていただくには、患者団体のお力が大変重要であることを実感した。私も大学病院を預かるものとして、市民、メディア、医療者が頻繁に情報交換し、みんなの力で、正当なお薬を早く世に出す重要性を再確認させていただいた。

 総じて、熱気にあふれる会であり、この会が、「日の丸印のがんワクチン」をつくり出すことを確信することができ、応援団として嬉しく思うとともに、さらになすべきことの決意を固めることができた。

 皆様、ともに頑張りましょう

がんワクチンは従来の抗がん剤とは違った臨床研究デザインで行なう必要があると、FDAは2009年に「企業向けガイダンス-がん治療用ワクチンのための臨床学的考察」を出していますが、日本の規制当局、それに従属している「御用学者」(中村教授もこの言葉を使っていた)は、従来通りの研究デザインに固執しているのだと思われます。

それではいつまで経っても新しい薬はがん患者に届きません。臨床試験を簡略化せよと主張しているのではありません。新しい時代には新しい仕組みが必要なのです。あくまでも「効果のある薬を、早く、公平に」届けることです。裁判闘争をしている一部の患者のように「混合診療」を認めるべきだとは考えていません。崩壊しかかっている国民皆保険制度を立て直し、患者の立場に立った薬事行政を求めます。

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フクイチ4号機 綱渡り

原子力安全保安院の緊急情報に4号機の冷却が止まったと書かれている。

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熱交換器ユニットとはいわゆるラジエーターのような物だ。細管がたくさん集まっている。当然腐食しやすい部分だ。地震でダメージも受けているのだろう。

昨夜の茨城県沖のM5.5の地震では、フクイチの震度は3。大丈夫か。大きく評判になった4月11日の東京新聞の見開き大特集「浜岡停止 10日間の攻防」でも詳細が書かれているが、首都圏3000万人が避難する事態となる「最悪のシナリオ」では、もっとも現実的危険とされていたのが、福島原発4号機の使用済み核燃料プールだった。今現在でもその危険性は続いている。

グンダーセン氏は、4号機の使用済み核燃料プールはM7の地震で破壊されるかもしれない。「3つの破局シナリオ 崩壊するか、ピサの斜塔のように横倒しするか、プールのみの破壊になるか、それは分からない」と。

しかし、冷却機能が故障したとは穏やかではない。3000万人の生命がかかっている。しかし大手のマスコミ・一般紙はまったく報じない。

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それでも「再稼働と消費税に命を賭けている」野田総理。関電は電気が20%足りなくなるといっているが、12日付の共同電によれば、足りないのは夏場の58時間だけだという。

関電、今夏の電力不足は58時間 
2012年4月12日 02時00分

 関西電力の全原発停止が続いた場合、電力需要が昨夏並みだと、今夏に電力が足りなくなるのは計58時間で全体の2・8%となり、ほとんどの時間は電力不足を回避できる可能性があることが関電の公表データから11日、分かった。

 関電は供給力不足のため、大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働が欠かせないと強調している。今回は、供給力と昨夏実績の単純比較だが、需要が大きくなる時間帯の対策ができれば、再稼働を急がなくて済む可能性があり、短時間のピーク時対応が最重要課題と言えそうだ。
(共同)

これも小出裕章さんや広瀬隆氏らが以前から述べていたことだ。電気は足りるし、地域的に足りないとしても周波数変換できる容量を増やして融通し合えば良い。実際には真夏の3日間程度の昼間数時間が足りない可能性があるだけである。ならばその時間帯でさらに節電をすれば良いではないか。

原発を再稼働してまで高校野球を見る必要はないだろう。昼間の数時間、テレビの電波を止めれば良い。この時間帯は、再放送とかどうせろくな番組しかやっていないのだから、電波を止めれば否応なく節電になる。工場を止めるよりもよほど効果的なはずだ。

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「驚き!がんワクチン治療最前線」 今日放映

今日からNHKで新しく始まる番組「情報LIVE ただイマ!」でがんワクチンが取り上げられます。最初の番組が、がんワクチンということですから、いかに多くのがん患者の期待を集めている話題であるか。千葉徳州会病院では「一時募集を停止しています」とアナウンスされていますが、たくさんの患者が殺到したのでしょう。それにしても、実施医療機関を公表しない方針なのでしょうか? 公表したとたんに電話が鳴り止まないという事態を予想すれば、躊躇する気持ちも分からないではありません。

■新番組『情報LIVE ただイマ!』(NHK総合テレビ)
4月13日(金)22:00~22:48<生放送>

このたび、4月13日から始まるNHKの新番組『情報LIVE ただイマ!』(NHK総合テレビ・毎週金曜22時~)。メインキャスターは、お笑いトリオ・ネプチューンの原田泰造!原田とコンビを組むのはNHKを代表する実力派、伊東敏恵アナウンサー。「ニュースウォッチ9」の元キャスターでもあり、現在は広島放送局勤務で広島の朝の顔として親しまれている。

 同番組は、東日本大震災以降、不安や閉塞感が広がり生きづらいと感じる今の日本を、10年後を楽しみに待てる次の日本へと導く「未来志向」の情報番組として生放送でお届け。
 様々な専門分野で活躍するコメンテーター集団「Team未来の頭脳」の“多様”な視点とともに「新しい日本の見取り図」を提案する情報番組!

 第1回目の放送(4月13日)ではがんワクチンの治療最前線を取り上げる。抗がん剤に見られる副作用など身体への負担が少なく、月に数回通院して注射をするだけ、「夢の治療法」と呼ばれる、がんワクチン。腫瘍縮小や再発防止など、成果が続々と報告されている。4月には、すい臓がんに対する新たな大規模治験も始まる予定だ。しかし、日本は基礎研究で世界のトップを走ってきたにも関わらず、実用化ではアメリカに先を越されている。その現状を報告する。

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2012年4月 9日 (月)

糖尿病薬が膵癌に効果あり。NK細胞の培養の成功

しばらくがん関係の記事を書いていないので、ニュースを2件。

糖尿病治療薬、がんに有用の可能性
米国から報告相次ぐ

米国がん研究協会(AACR)は3月末、糖尿病治療薬「メトホルミン」(商品名「メトグルコ」など)のさまざまながんへの有用性を示す5つの研究成果のリリースを、同時に発表した。糖尿病とがんに密接な関連があることはよく知られており、メトホルミンを使うことで糖尿病患者のがん発症が抑制されるという研究結果は、主に大腸がんを中心に報告されてきた(関連記事)。しかし、今回発表された5件の研究は動物実験などが含まれているものの、膵臓がん、前立腺がん、肝臓がん、口腔(こうくう)がん、メラノーマ(悪性黒色腫)と、いずれも種類の異なるがんに関するものだ。

糖尿病合併膵臓がん患者の2年生存率が倍増

膵臓がんは治療後の経過があまり良くないがんの1つで、糖尿病患者の発症率は糖尿病でない人に比べ高いとされる。

米MDアンダーソンがんセンターのDonghui Li氏らは、302人の糖尿病合併膵臓がん患者を対象とした研究を実施した。その結果、メトホルミンを使用していない患者(185人)の検討開始時点から2年間の生存率が15.4%だったのに対し、メトホルミンを使用している患者(117人)では30.1%と、約2倍高かったという。

同氏らは、メトホルミン使用により32%の死亡リスク低下が得られたと評価。この低下効果は、すでに転移巣のある場合を除くすべての病期で見られた。今後、膵臓がん治療の補助療法としての検討を始める意向を示している。

すい臓ですから、血糖値、インスリンと関わりがあります。糖質制限食も抗がん作用の可能性があると、江部先生も書いておられるし、もう少し研究が進めば有り難いです。

タカラBIO、NK細胞療法の臨床研究を開始

[東京 9日 ロイター] タカラバイオ(4974.T: 株価, ニュース, レポート)は9日、ナチュラルキラー(NK)細胞療法の臨床研究を京都府立医科大学で16日から開始する、と発表した。培養NK細胞を繰りかえし投与し、その安全性について、有害事象の種類や程度、頻度などを評価する。

NK細胞は、末梢血中に10─20%の割合で存在するリンパ球の一種。ウイルスによる感染やがん細胞に対する初期防御機構としての働きを担うが、加齢やストレスなどでNK細胞の活性が低下することが知られており、高齢化に伴うがん発症の原因の1つとされている。

タカラバイオは、同社開発の新規NK細胞拡大培養法で、NK細胞を約90%という高純度で大量に調製することができるほか、この調製されたNK細胞は、様々ながん細胞株に対して細胞傷害活性を示すことや、マウスを用いた動物実験で腫瘍の縮小や転移抑制作用があることを確認しているという。

NK細胞を培養とは凄い研究です。タカラバイオのサイトに詳細があります。白血球の中でも一番扱いにくい細胞です。巷のNK細胞療法がなかなかうまくいかないのもそのためですが、タカラバイオに頑張って欲しいものです。ただ、症例数は9例と少ないです。

ナチュラルキラー細胞療法の臨床研究を京都府立医科大学で開始

タカラバイオ株式会社と京都府立医科大学がん免疫細胞制御学講座とは、共同でナチュラルキラー(NK)細胞療法の臨床研究を4月16日より開始します。

当社が開発した新規NK細胞拡大培養法(*)では、レトロネクチンR拡大培養法で培養したT細胞がNK細胞増殖のために利用されており、NK細胞を約90%という高純度で大量に調製することができます。当社は、この新規拡大培養法を用いて調製されたNK細胞が、様々ながん細胞株に対して細胞傷害活性を示すこと、さらにはマウスを用いた動物実験によって腫瘍の縮小及び転移抑制作用を示すことを確認しています。

現在、当社の技術支援のもと、百万遍クリニック(京都市)、たけだ診療所(京都市)、藍野病院(茨木市)の3か所で、ナイーブT細胞を用いたレトロネクチンR誘導Tリンパ球療法(RetroNectinR induced T cell Therapy; RIT)の有償治療が行われています。RITは獲得免疫を利用した治療法ですが、もう1つの重要な免疫機構である自然免疫を担うNK細胞を用いたがん免疫細胞療法を確立すべく、今般の臨床研究が開始されます。今後、患者の状態に応じた治療法の提供や、ナイーブT細胞とNK細胞による併用療法、NK細胞と抗体医薬の併用療法等のより効果的な治療法の開発を行っていきたいと考えています。

* : 第23回日本バイオセラピィ学会学術集会総会で発表(平成22年12月9日ニュースリリース済)

【臨床研究概要】
目的:培養NK細胞を反復投与し、その安全性について、有害事象の種類、程度、頻度を評価することを主目的とする。
エンドポイント:・主要エンドポイント:培養NK細胞の反復輸注の安全性
                      ・副次的エンドポイント:腫瘍縮小効果
対象   :標準治療不応性の消化器癌症例
治療    :採取された血液からNK細胞を多く含む細胞を調製し、経静脈的に投与する。
投与間隔は1週間で、3回投与を行う。
予定症例数 : 9例
実施期間    : 平成24年4月16日 ~ 平成26年3月 31日
実施責任者 : 京都府立医科大学がん免疫細胞制御学講座
                       准教授 古倉 聡
臨床研究に関する問合わせ先:京都府立医科大学消化器内科学講座/がん免疫細胞制御学講座
Tel: 075-251-5519

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2012年4月 8日 (日)

「MEGAQUAKE」 見れば原発再稼働は気違い沙汰とわかる

NHKスペシャルで、3.11の前にに放送された「MEGAQUAKE」の再放送と、第2弾となる「MEGAQUAKE Ⅱ」を放送している。このブログの2010年10月に「がんと自己組織化臨界現象」と題して何度か紹介している。別に3.11を予感して書いたわけではないが、結果的に大地震はいつ起きてもおかしくないことを、複雑系の視点から紹介したものだった。地震にはグーテンベルク・リヒター則というべき乗則が成り立ち、自己相似的である。そしてそうした現象の場合は、

ある範囲では、世界のどこの地震でも同じようなべき乗則(グーテンベルク・リヒター則)が成り立っています。そして「べき乗則」が成り立っていれば、今取り扱っている現象には「一般的」や「典型的」「異常な」とか「例外的」という言葉は通用しないということです。

今度大地震で原発が爆発しても「想定外」という言い訳は通用しない。

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地震のエネルギーはべき乗則に従うので、その分布はスケール普遍的になる。大地震が小さな地震と違う原因で起こると示唆するものは、何も存在しない、ということです。したがって地震予知は不可能であり、地震予知学は”似非科学”であるといっても良いでしょう。淡路島の地下でわずかな岩石が崩壊したとき、「地震は、自分がどれほど大きくなるか知ることはできなかった。まさか核爆弾100個の規模になるとは」。

東北地方太平洋沖地震も、最初は小ひとつの小さなアスペリティが動き、それが次々と他のアスペリティと連動してあのM9.0の大地震になったのです。
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がんと自己組織化臨界現象(2)」で紹介した砂山ゲームにおける雪崩の発生する現象と同じことが起きたのです。

宮城県沖には地震の空白地帯があり、ここには「巨大なアスペリティ」が存在するかもしれないと、2010年の「MEGAQUAKE」で一部の学者が発表していたのです。しかし、3.11の大地震を予測できなかった。
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東北地方太平洋沖地震の表面波が地球の裏側まで達して、多くの誘発地震が発生したことも明らかになった。あたりまえだが、地球は連続しているのであり、次にどこでどれくらいの大きさの地震が発生するかは、複雑系現象であるから「原理的に」予測できない。砂山ゲームで、小さな雪崩の連続が、いつ大きな雪崩を誘発するかは分からない。しかし、大崩壊を起こす可能性、臨界状態に達して大きなひずみエネルギーを蓄えたアスペリティが存在することは確実である。いつ起きるか分からないが、近い将来に必ず大地震が日本を襲う。南海トラフかもしれないし北海道沖かもしれない。
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こんな時期に、あのドジョウ総理は原発の再稼働をしようという。私には気が狂っているとしか思えない。それともこの日本を一度消してしまって、新しい国を造ろうということか。

北海道沖のアスペリティで大地震が起きれば、六ヶ所村の再処理工場はひとたまりもない。福島原発の比ではない放射能で、地球の北半球は全滅するだろう。南海トラフは中央構造線の真上に建っている伊方原発を襲うだろう。浜岡原発には21mの津波が押し寄せ、使用済み核燃料が爆発するかもしれない。

いやいや、震度7の地震に耐えられる建物は存在しない。原発だって同じことである。腫瘍設備ですら600ガル以上には耐えられない設計である。3.11では宮城県で重さ200kgのドラム缶が宙に浮いた。つまり、垂直方向に980ガル以上の加速度が掛かり、重力加速度9.8m/s2に打ち勝ってドラム缶が宙に浮いたのである。こんな揺れに原発の配管が耐えられるはずがない。
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確かに日本の地震学者は、阪神・淡路大震災後一所懸命に研究してきた。しかし3.11を予測できなかった。いま南海トラフの連動地震が言われている。しかし、まだわれわれは地球のない日をほんの少し知っただけである。3.11後、日本列島は大きくゆがんでしまって、ひずみを蓄えている。
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         原発の再稼働は、この国を滅ぼす暴挙

北朝鮮のミサイル(人工衛星)よりも、今は4号機のプールが世界中の関心事なんだよ。

再稼働には ウナギのように 素早く動く ドジョウかな

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2012年4月 4日 (水)

東大話法と中川恵一

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語― 「東大話法」に関する反響が未だに続いていますね。安冨歩さんの「東大話法」に関する興味深い記事がいくつかありました。

■毎日新聞:特集ワイド「東大話法のトリック 」(リンク切れ)

「東大話法」って何? という人はこちらが手っ取り早いでしょう。『学識豊かで、丁寧で、語り口もスマート……なのに、何かがおかしい。「原子力ムラ」の人たちを取材してきて、そう感じていた。』との書き出しですが、毎日新聞の記者なら自分の新聞の中川恵一氏の連載を読んで、そのようには感じなかったのでしょうか? 中川恵一氏についていはこの後で安冨氏の分析を紹介します。「東大話法のトリック.pdf」

東洋文化研究所のインタビュー
こちらは安冨さんの所属する組織のサイト。安冨さんの研究というか思想の発展過程を要領よくまとめています。最後は親鸞まで登場します。いやいや、結局この未曾有の時代をわたっていくのには仏教思想が必要だということかも。

大企業などの組織は、まさに人間を型にはめるシステムで、ものすごい力で、人々を同じ方向に走らせます。疑問の余地なんかなくなるし、思考できなくなる。そうやって「魂の植民地化」が起きていく現場を目の当たりにして、嫌になって、会社をやめました。

景気の過熱とかパニックとは何なのだろうと考えました。こういったものはすべて「暴走」が引き起こすものだと思っていますが、人間はどういったときに、どのように暴走するのかとか、どうしたら暴走から抜け出せるのかを考えるのに、経済学は役に立たなかったんです。そもそも経済学が扱っているのは均衡なんです。人間の本質ってそんなものじゃないと思うんですが。

「暴走」を扱う方法はないかって考えていろいろ勉強したら、非線形科学に出会いました。例えば、対流というのは、分子の暴走なんですよ。コンピューターの出現によって、そういった現象が研究できるようになって生まれた学問ですね。それを10年ぐらいやったんですが、その結果分かったのは、非線形科学で表現できるのは、人間の暴走プロセスだけで、まともに生きている人はその対象にはならないということ。

マイケル・ポラニーの「創発」という概念があって、簡単に言えば、これまでなかったものが出現するとか、新しいアイデアがわくとか、そういうことです。創発のような、今までなかったものが出てくるプロセスを非線形科学で描けると元来は期待していたんですが、できないことに気づきました。人間を含む生命には記述を受け付けない暗黙の次元があって、それが我々を生かしているし、世界を成り立たせているし、進化とか発展をもたらしていると考えるようになりました。

その記述し得ない範囲のダイナミクスについて記述しようとしたり考えようとしても仕方がないですよね。じゃあ何を考えたらいいかというと、そういう創発性が生じなくなる理由を考えればいいというのが私の提案です。創発を阻害するものとは、具体的には、人間を型にはめるとか、生命や生態系の動きを止めることです。「命」は記述できなくとも、「命を破壊するもの」は記述できる範囲に入っていると私は信じます。それをどうやって記述して、説明して、どうやって取り除いたらいいかという風に、学問を考え直したらいいだろうと。これを私は「合理的な神秘主義」と呼んでいます。

親鸞は、「弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、ひとえに親鸞一人がためなりけり」と言います。阿弥陀の本願があり、ブッダの教えがあり、インドや中国の偉いお坊さんの教えがあり、そして法然上人から今私が受け取ったこの教えをつらつら考えてみるに、これは親鸞ただ一人のためにある、なんて言うんです。これはなんとありがたいことかって。それしかないと思うんですよね、知識というのは。オーダーメイドなんですよ。

■現代ビジネス『現役の東大教授(安冨歩氏)が明かす 平気で人を騙す「東大の先生たち、この気持ち悪い感じ」

同じ東大の中川恵一准教授ももちろん達者な「東大話法」を使います。

また、東京大学医学部附属病院の中川恵一准教授は、事故後にインターネット記事でこう書いています。
「100mを超えると直線的にがん死亡リスクは上昇しますが、100mSv以下で、がんが増えるかどうかは過去のデータからはなんとも言えません。それでも、安全のため、100mSv以下でも、直線的にがんが増えると仮定しているのが今の考え方です。
 仮に、現在の福島市のように、毎時1μSvの場所にずっといたとしても、身体に影響が出始める100mSvに達するには11年以上の月日が必要です」

 この文章には、東大話法特有の矛盾が生じています。最初に「100mSv以下でも、直線的にがんが増えると仮定」しておきながら、次の段落では「身体に影響が出始める100mSvに達するには11年以上の月日が必要」と、話を逆転させているからです。

 なぜかというと、仮定のほうは「今の考え方」、つまり「線形閾値なし仮説」という放射線防護業界の標準的な考え方なので、正面切って批判するのは、彼の「立場」からするとまずいからです。そこで一応、「私は線形閾値なし仮説を認めています」と断ったうえで、今度はクルリと立場を変えて、いきなり11年間は安全という「線形閾値あり仮説」に飛び移っている。これは「自分の信念ではなく、立場に合わせた思考を採用する」東大話法で話をしているからです。
 また、このケースは「どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々に話す」という法則にも該当しています。

Image_000 中川氏はまた「放射線被ばくを心配しすぎることによるストレスの方が影響が大きい」と、これも「3.都合の悪いことは無視し、都合の良いことだけを返事する。」「5.どんなにいいかげんでつじつまが合わないことでも自信満々で話す」東大話法を毎日新聞に連載しています。これについては福島大学放射線副読本研究会の『放射線と被ばくの問題を考えるための副読本』が的確に反論しています。

■リスクを見つめ,今を大切に生きることが,人生を豊かにする
⇒東京大学医学部附属病院准教授の中川恵一氏が、福島第一原発の事故後に、新聞紙面や著書において、このような見解を述べています。中川氏は、自身の医師としての経験から、「がんになって人生が深まったと語る人が多い」ことを理由に、この見解を導いています。

人が死期を宣告され、残された時間が判明した場合は、このように考える場合もあるでしょう。しかし、その場合は、死期が確定したという意味で、既に「リスク」ではありません。リスクの認知は、その不確かさという特性から、人の心の不安を増大させることはあっても、豊かにすることはまずないのではないでしょうか。少なくとも、今福島で放射能汚染に苦しんでいる人々に対して、「人生が豊かになっただろ」などと言うことは、あってはならないことです。

■年間100mSvの放射線被ばくによるがん死亡者の増加割合は0.5%だから、たいしたことない
0.5%は確率でいうと1000分の5です。福島第一原発の事故後に引き上げられた年間20mSvの被ばくの場合は、8ページで述べた閾値なし線形モデルで考えると1000分の1程度です。この確率の意味を考えましょう。

福島県の人口約200万人で単純に考えれば、1000分の1は2000人に相当します。このような千人規模の命を奪うかもしれない確率を「たいしたことない」と言えるでしょうか。また、今回の大地震と津波は1000年に一度の規模とされています。その1000分の1の確率を想定の外において対策を行わずに事故を招いた人々に、1000分の1を軽視するようにアドバイスされるいわれはないでしょう。

そもそも、確率が高かろうが低かろうが、実際に被ばくしている人に対して「許容せよ」と強要できるような倫理は成立するか、正義に敵っているか、そこから議論する必要があります。

■放射能のことを心配し過ぎる方が、健康によくない
文部科学省が2011年に公表した「放射能を正しく理解するために~教育現場の皆様へ~」などで、同様のことが述べられています。確かに、人間の精神的な状態は身体的な健康状態とも関連しますが、ここでは、「このような見解が、原発事故の加害者と被害者、どちら側に建つことになるか」という点について考えましょう。被害者のことを慮っての発言のように見えますが、本当にそうでしょうか。

このような見解は、放射線の被ばくによる健康影響の原因を、被ばくした人の心の不安、つまり「被害者側」に帰着させます。そこには、「加害者の責任を見えにくくし、被害者へ転嫁する」という、倫理的な問題があります。例えば、次のような状況を考えてみましょう。あなたが傷害事件の被害者になってしまったとします。障害の程度は軽微で、「直ちに健康に影響が出るレベルではない」ものでしたが、再び同じような事件に遭うかもしれないことを不安に思っています。そのとき、友人が、「傷害事件を心配し過ぎる方が健康によくない。日本では、がんなどで死亡する人の方が多いんだから、自分の健康管理の方をしっかりすべきだ」とアドバイスしたとします。あなたはその友人のことをどのように思うでしょうか。

誰が不安の原因を作りだしたのか、誰が責任を負うべきなのか、その最も重要なことを忘れて発言することがあれば、その言葉は被害者をさらに傷つけ、逆に加害者を助けることになりかねません。本当に被害者のことを想うのであれば、行うべき言動は、「あなたが被害者として不安を抱くのは当然のことです。加害者の行為を防ぎ、責任をとらせる対策を出来るだけやろう」と声をかけることではないでしょうか。

この副読本、日本人はみんな読むべきです。(4月末に改訂版が出る予定です。)

最後に安冨歩さんの言葉。

いま、原発の再稼働だとか、ヨルダンに輸出だとかいったおかしなことが、もっともらしい東大話法で唱えられています。これを抑えられなければ、もう原発も東大話法支配も止めようがない。でも逆に、ここで「怖い」、「嫌だ」というような思いをストレートに言葉にできる人が増えれば、逆転は始まると思うのです。実際、その兆しも出始めています。
 そういう人たちが政治家に選ばれて、大きな権限を持てるようになれば、国は変わる。いまがその最後のチャンスだと、私は思っています。

この未曾有の災難に機能すべき政治が機能していない。これを何とかしなければ日本の未来はないと気付づいて(その兆しは現れていますが)変えることができたなら、この厄難にも意味があったと言えるでしょう。

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2012年4月 3日 (火)

プロベンジの臨床試験に疑惑?

自家ワクチンのセルメディスンニュースに「樹状細胞ワクチンProvengeは本当に効くのか、という論争が始まった」との記事がアップされています。

プロベンジ(Provengi)は、512人を対象にした臨床試験で、進行した前立腺がん患者の生存日数を4か月あまり延ばす効果が認められたとして、2010年4月に世界初の治療目的がんワクチンとしてFDAが承認したものです。こちらの記事こちらなど。

プロベンジの有効性は、ランダム化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験にてホルモン治療抵抗性転移性前立腺癌患者512人を対象に評価された。同試験での全生存期間は4.1カ月延長、生存期間の中央値は、プロベンジ投与患者で25.8カ月、プロベンジ非投与患者で21.7カ月であった。
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FDA承認ワクチン、実力は? 2010年4月、前立腺がん治療用ワクチン「プロベンジ」(一般名シプリューセル‐T)が、FDA(米国食品医薬品局)により認可されました。臨床試験では、無症状または症状の少ない前立腺がんで、ホルモン療法(2011年9月号参照)が効かなくなった患者さんの生存期間を4カ月以上延長しています。仕組みとしては樹状細胞ワクチンに似ていますが、使う白血球が樹状細胞に特定されません。▽これは、がんワクチン療法の承認第1号で、画期的と言えます。ただ、一般的にFDAの承認を得るには時間のかかる臨床試験が必要。その間にがん免疫療法は大きく進歩し、プロベンジも既に最新がんワクチンとは言えません。開発期間が延びたことで開発費も莫大になり、回収のためか、価格は3回投与で800万円以上と高額なのも悩ましいところです。

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ロイター通信の3月30日の記事「Insight:New doubts about prostate-cancer vaccine Provenge(真相:前立腺がんワクチンプロベンジに関する新しい疑惑)」によれば、訓練を受けた科学者であり、ヘッジファンドのアナリストのマリー・ヒューバーは、得意の統計学を駆使して「プロベンジには疑惑がある」と言います。

彼女は次のような点を問題にしています。

  • FDA承認時のデータでは、生存期間の中央値は、プロベンジ投与患者で25.8カ月、プロベンジ非投与患者で21.7カ月であった。
  • しかし、65歳未満群ではプラシーボ群で28ヵ月、プロベンジ群で29ヵ月
  • 65歳以上群では、プラシーボ群で17.3ヵ月、プロベンジ群で23ヵ月

こうした違いが生じた原因は、65歳以上のプラシーボ群には低温保存した白血球の12%しか戻していなくて、通常の前立腺癌患者よりも寿命が短くなっており、そのためにプロベンジに効果があるように見えるのだと主張しているのです。

プロベンジには原発腫瘍も転移した腫瘍も縮小することが確認されていません。この臨床試験の延命効果によってFDAより承認されたのですが、それに疑問符が付いているのです。コペンハーゲン大学のピーター・アイバーセンは、65歳を境にして、このような生存期間が異なることはないと言っています。プラセボとして戻された血液によって患者を傷つけた可能性があるのだと。

米国における臨床試験や論文のデータ改ざんは良くある話で、NEJM(The New England Journal of Medicine)の元編集長マーシャ・エンジェルの『ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実』ではその手口が詳細に曝露されていました。製薬企業にとっては、承認されるかどうかは死活問題ですから。日本でも同じようなことで、悪意はなくても、効果がなかったという論文を発表されることが少ないようです。高田明和氏の『誰も知らないサプリメントの真実 (朝日新書)』ではそうした内情も書かれています。

効果がなかったと報道されたエルパモチド(OTS102)の臨床試験結果は是非とも発表して欲しいものです。たくさんの膵臓がん患者が期待していたワクチンです。単に新聞発表で「効果がなかった」では納得できません。下の和歌山県立医大における臨床試験結果では生存期間中央値に明らかに差があります。第3相試験ではどうして否定されたのか。詳細な説明が求められるはずです。

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プロベンジでのニュースのように、なんらかのバイアスが隠れていたのでしょうか。

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2012年4月 2日 (月)

食品の新規制値

4月1日から食品の新規制値が施行されました。一部の食品を除いて100Bq/kgとなります。正確には、放射性セシウム(Cs-134+Cs-137)による食品からの被ばくに対する年間の許容線量を1mSvとなるように新規制値(Bq/kg)を算出したものです。ですから、放射性セシウム以外の核種による被ばくも外部被ばくも考慮されていない数字です。(詳細は「食品中の放射性物質の新たな基準値について」を参照)

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マスコミなどでは「暫定規制値に比べて相当厳しくなった」との論調が主ですが、しかし考えて欲しい。3.11以前は食品の放射線量は0.05Bq/kgのオーダーであったのだから、2000倍に汚染された食物を食べなければならないのです。

この新規制値は「現存被ばく状況」における基準であり、「計画被ばく状況」におけるものではないとしています。原発が順調に稼働しているときの「計画被ばく」ではなく、事故が起きてしかたがないから設けた「現存被ばく状況」だということですが、放射線審議会の議事録を読んでみても、厚生労働省の担当官も委員たちも混乱している様子が分かります。放射線審議会の議事録と参考資料で、121回から126回のものが該当します。その中から121回の部分を抜き出してみると

【下委員】  資料第121-3-2号の8ページについて、「(2)緊急事態における措置」と「(3)適用時期」の説明があった。今回の諮問事項は、いわゆる通常時に適用する基準であるのか。
【尾川(厚生労働省)】  そうである。
【下委員】  そうすると、これまでの暫定規制値は一体どのような位置づけであったのか。それは、緊急時に相当するものと考えてよいのか。
【尾川(厚生労働省)】  そのように考えている。
【下委員】  法律が緊急時を想定していなかったために暫定規制値が出たと思うが、ここで言っている改正というのは、従前は通常時において放射性物質の考慮がなかったから今回の改正で放射性物質を新たに考慮するという解釈で良いか。
【尾川(厚生労働省)】  これまで無かったものを新たに定めるということである。
【下委員】  現行の暫定規制値というのは一体どのような位置づけなのか、そこが明快になっていない状況で、このような議論はできるのか。
【甲斐委員】  下委員の質問に対する回答に、「通常時」という回答があった。しかしながら、今の説明は明らかに現在の事故後の対応のための考え方である。これは緊急事後の対応であり、放射線防護分野では現存被ばく状況としているが、これは事故後の復旧に向けた対応がベースになっているものである。
 従来の暫定基準は、モニタリングのための基準であったので事故時の基準であったわけであり、事故時の目安だった。そういう意味では、万が一今般の事故以外の事故が発生した場合には、そういったものが全く無効になるのか。
【森口(厚生労働省)】  報告書の中にも記述されているが、今般の事故の対応を受け、事故後1年目以後における管理のために策定された食品の規制値である。例えば別の事故が起きて、違う汚染が起こったということになれば、管理対象とすべき核種からもう一度考え直さないといけないと思う。
【甲斐委員】  その場合、今後の事故に対応する場合に、これまでの暫定基準が有効というわけではなくて、ゼロから考え直すということか。
【森口(厚生労働省)】  また暫定規制値に戻すこともあると思うが、原子力安全委員会が現在の飲食物摂取制限の指標を今後どうしていくのかといった点について、正確に把握していない。
【丹羽会長】  今回の状況は、放射線防護の考え方で言う現存被ばく状況であり、計画被ばく状況ではないという認識で良いか。
【森口(厚生労働省)】  現存被ばく状況であり、計画被ばく状況ではない。

事務方の担当官が「通常時」と言ったかと思うと、別の担当官(森口)が「現存被ばく状況」だと言い直しています。しかも、新たに事故が起きれば見直して、国民には際限なく被ばくしてもらうという考えのようですが、もう一度事故が起きれば「暫定規制値」などと言うよりも、日本は”おしまい”です。丹羽会長のマスコミに対する八つ当たりもおもしろい。

内部被曝をシーベルトで表して、がんのリスクを計算することには、科学的根拠は乏しいのです。石炭ストーブで暖をとるときに受け取るエネルギーと、その石炭を口に入れて受け取るエネルギーが同じだといっても、人体に対するダメージは決定的に違います。指に20ミリの裂傷を負って血がどくどくと流れ出しているとき、20本の指で平均すれば傷の長さは2mmだというバカな計算は誰もしません。しかしICRPが内部被曝において放射線から受けたエネルギーを臓器の重さで平均化しているのは、まさにこのばかげたことをやっているのです。

100Bq/kgの食品で1mSvという彼らの説明を信用してはいけません。内部被曝ではシーベルトはまやかしであり、無意味です。

実際にはICRP勧告に基づいて施行された「平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)」の別表第一の核種ごとの第3欄「経口摂取した場合の実効線量係数(mSv/Bq)」に従って計算するのですが、Cs-137では1.3×10^-5であり、Cs-134では1.9×10^-5を更に臓器の重さで割って平均する。このような数値を、アルファ線やベータ線のように細胞のごく近くにしかエネルギーを与えない放射線に適用しても意味がないのです。

ICRPの許容線量の基本原則は次のように変遷しています。

  • 1954年:可能な限り低く(TO THE LOWEST REVEL AS POSSIBLE)
  • 1956年:実現可能な限り低く(AS LOW AS PRACTICABLE)
  • 1965年:「経済的、社会的考慮を計算に入れ」現実的に達成できる範囲で低く(AS LOW AS READILY ACHIEVABLE)
  • 1973年:合理的に達成できる範囲で低く(AS LOW AS REASONABLY ACHIEVABLE)

初期には被ばくをできるだけ避けるという、ICRPとしての本来の役割を果たそうという原則でしたが、ご覧のように後退の一途です。この次は「可能な限り安上がりに」となる以外にはないでしょう。現実に、原発はその方向でやってきて事故を起こしたのです。

リスク・ベネフィット論を導入してこのような変遷してきたのですが、福島原発事故が示しているように、利益を受ける者と被害を受ける人とは別なのだから、リスク・ベネフィット論は破綻しているのです。

すべての食品にベクレル表示をして、消費者が自分の価値観で選択できるようにするべきでしょう。子どもたちには検出限界以下の食べ物を与えるべきです。

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2012年4月 1日 (日)

安全な未来の原発「みろく」開発中

今日の東京新聞「こちら特報部」を読みながら、はて? 半減期が56億7000万年と、ちょうど弥勒菩薩が人々を救うために現れるという時間に一致する「カワン」という人工放射性元素はあったっけ? 聞いたことがないなぁ。ネットで検索してしまいました。

確か『原子力開発の光と影―核開発者からの証言』で、カール・モーガン博士は液体金属高速増殖炉よりは安全な「溶融塩熱中性子増殖炉」の開発を主張していたと書かれていた。それと同じ原理で、より安全な「低速増殖炉」があっても不思議ではない。

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最後のコラム「デスクメモ」を読んで、「してやられた!!」

今日はエープリルフールだというのをすっかり忘れていました。東京新聞もあじなことをするものです。下段に、すべてフィクションだと書いてありました。「努力発電」のところで、なんか少し変だなぁとは感じたのですが・・・。

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まいった、まいった。しかし、いかにもありそうな話です。むしろ今起きていること、東電や保安院の対応の方が「4月バカ」らしく見えるのは悲劇か、喜劇か。

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