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2012年8月

2012年8月31日 (金)

第4のがん治療法への期待、CU制度の構築を

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がんペプチドワクチン療法 第4のがん治療法への期待 (第4のがん治療法への期待 第 1集) 以前に紹介した『がんペプチドワクチン療法 第4のがん治療法への期待 (第4のがん治療法への期待 第 1集) 』を購入しました。中村祐輔先生は、「監修に当たって」に次のように書かれています。

医学は科学として冷徹に客観的に評価することが重要ですが、医療現場では、科学という物差しでは単純に計りきれない患者さんや家族の思いを受け止める血の通った対応を求められます。臨床研究や臨床試験(治験)は科学としての価値観が高く求められる一方、医療現場でそれが実施される過程で、現場の医師は目の前の患者さんに対する「情」と「科学」の狭間で苦悩することが少なからずあります。この本は、患者さんの生きる希望を受け止めつつ、科学的にペプチドワクチン療法を評価しようと必死にもがいている研究者や医師が、がんペプチドワクチン療法という新しい希望を科学的に理解していただくために企画したものです。(「監修に当たって」より)

このような意義と共に、膵臓がんに関してはこのブログでも何度か書いていますが、その他のがんに関するがんペプチドワクチンの情報はなかなか目にすることが少ないのです。この本は、下記のパイプラインで開発中の、各種がんのペプチドワクチンに関するリファレンスブックとして使えそうです。

Pipe_2 「はじめに」には、「米国では免疫療法そのものを否定する医師は不勉強な医師であるとの評価が一般的」だと書かれています。日本では「免疫療法」の名のもので、効果も疑問な高額な治療法が蔓延しているのが医者が毛嫌いする一因でしょう。

膵臓がんについては、第3相試験まで行なったが、残念ながらプラセボ群に比較して生存期間の延長が認められなかったエルパモチドについて、現在様々な角度から分析中だと書かれています。詳細な分析結果が公表されることを期待しています。

また、現在第2相試験を実施しているワクチン(OCV-101のことか)については、抗がん剤を併用しない単独投与にもかかわらず、腫瘍が縮小した患者もいるようです。

その他のがんに関しても最新の情報が専門用語は極力使わないで分かりやすく書かれています。

第3章では、がんペプチドワクチンの研究を実施している国内50施設のCaptivation Networkについても詳しく書かれています。また、このネットワークから発展した医師主導治験として、膵がんに関する2つの臨床試験が始まっていることも述べています。こちらもネット上などではなかなか知ることのできない情報です。

●主な内容
第1章 がんペプチドワクチン治療
 がんペプチドワクチン療法とは? 中村祐輔(シカゴ大学)
第2章 がん症例とペプチドワクチン治療
 胃がんに対するペプチドワクチン治療  藤原義之(大阪府立成人病センター)
 大腸がんに対するペプチドワクチン治療 奥野清隆・杉浦史哲(近畿大学)
 肺がんに対するペプチドワクチン療法  醍醐弥太郎(滋賀医科大学)
 肝臓がんにおけるペプチドワクチン療法 澤田 雄・中面哲也(国立がん研究センター東病院)
 乳がんに対するペプチドワクチン療法 藤田知之・藤森 実(東京医科大学茨城医療センター)
 膵臓がんに対するペプチドワクチン療法 山上裕機・宮澤基樹(和歌山県立医科大学)
 膀胱がんに対するペプチドワクチン治療 小原 航・藤岡知昭(岩手医科大学)
 食道がんに対するペプチドワクチン療法 河野浩二(シンガポール大学)
第3章 がんペプチドワクチンの研究  
 がんペプチドワクチン療法臨床研究ネットワーク 小原 航(岩手医科大学)
 がん治療用ペプチドワクチンガイダンスについて 山口佳之(日本バイオセラピィ学会)
 特別配慮使用の治験薬の入手可能性 ロバート.J.テンプ(FDA)


コンパッショネート・ユース制度

がんペプチドワクチンは現在臨床試験が勧められている薬剤であり、その条件に合った患者しか臨床試験には参加できません。また、この臨床試験の結果が出て薬剤として承認されるまでにはさらに5~10年はかかると思われます。

現在、生死の瀬戸際にいる患者はそれまで待っていることはできません。どうすればよいのか。そこで、この本では「コンパッショネート・ユース制度(CU制度)」というものを紹介して、「これが使えるようにしたい」と展望を示しています。

米製薬メーカー日本支社の協力を得て米国のCU制度を利用し、薬剤の無償提供を受けて日本の患者を治療している病院もあるそうです。

ただ、この本では具体的にどうするという提案ではなく、米国FDAの「特別配慮使用の治験薬の入手可能性」という文書の翻訳版を載せているだけです。

Compassionate Use、人道的使用

基本的に生命に関わる疾患や身体障害を引き起こすおそれのある疾患を有する患者の救済を目的として、代替療法がない等の 限定的状況において未承認薬の使用を認める制度。アメリカ、ヨーロッパ(EU)などではすでに導入されており、日本では現在、実施のための検討が行われている。導入に際しては、現行の治験制度との兼ね合い、対象となる医薬品や患者の選定、未承認薬提供者の限定(製造販売業者、医師、その他)、未承認薬の安定供給の確保、安全性の確保(副作用報告の責務、副作用被害救済制度、感染症被害救済制度の対象の是非などを含む)などが課題となっている。

日本で承認されていない薬を安全に使う -コンパッショネート使用制度 CU制度に関しては『日本で承認されていない薬を安全に使う -コンパッショネート使用制度』がこの問題について詳細に論じています。それによれば、日本においても、限られた治療域ではありますが、人道的供給が提供された例があります。

  1. 熱帯病治療薬
  2. エイズ治療薬
  3. ハンセン病治療薬:サリドマイドを国がドイツから入手して供与

現状では、厚生労働省が2010年4月に「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」の最終提言においてCU構築を提言しています。しかし、その後この提言に関する動きはないようです。

CU制度が導入されても、薬剤費を全額患者負担とするならば、抗がん剤が高額ながん患者は恩恵には浴せません。

2007年7月の、厚生労働省の「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」は、「製薬企業の承認申請のために実施される治験とは異なり、提供される未承認薬は患者の治療のために提供されるものなので、その治療にかかる費用負担を製薬企業に求めるのは適当ではない」としています。しかし、ドイツでは無償で提供することを製薬企業に義務づけているのです。

コンパッショネート・ユース制度はドラッグラグ・未承認薬問題の本質的な解決策にはなりません。 ドラッグラグ・未承認薬問題をこれ以上悪化させなくするかもしれませんが、改善する要因にもなりません。 CU制度の対象となる治療法は全て保険で使えるようにすることこそが本当に必要な解決策でしょう。

患者会などを通じて、コンパッショネート・ユース制度の早期構築を求めるとともに、患者負担を考慮して保険適用をすることを政府・厚生労働省に求めていくべきだろうと思います。

すべての希望する患者が、がんペプチドワクチンを受けられる日が早く来ることを願っています。そのためにできることがあれば実行する所存です。

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2012年8月28日 (火)

映画「あなたへ」を観て

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映画「あなたへ」を観た。

刑務所の指導技官 倉島(高倉健)のもとにある日、血液のがんである悪性リンパ腫で急死した妻洋子(田中裕子)から2枚の絵手紙がとどく。1枚にはスズメの絵と共に、故郷の海に散骨して欲しいと書かれていた。もう一枚は、故郷長崎県平戸の郵便局留めで投函するのだと遺言代理人が言う。10日間のうちにその手紙を受け取らねばならない。

洋子は毎年刑務所の慰問に来て、童謡を歌っていた童謡歌手であった。しばらく姿を見せなかった洋子が久しぶりに慰問に来たその日、倉島は洋子に「しばらく来られなかったので心配していました」と話しかけ、帰りのバス停まで見送って外に出る。洋子は「実は、慰問はただ一人に受刑者の方のためでした。みなさんを騙してすみませんでした」と謝罪する。その受刑者は2年前に刑務所内で病死していた。”彼”に届いていた絵手紙にはスズメの絵が描かれていた。「内縁関係の女性から届いていた」ようですと、同僚から説明を受ける。受刑者の”彼”は、規則を犯してスズメに餌付けをしていたのだった。”彼”の人物像も、”彼”と洋子の関係についても、映画はこれ以上は何も語らない。

倉島は10日の期限にもう一枚を受け取るためにキャンピングカーに改造したバンで旅に出る。途中で大型のキャンピングカーに乗った杉野(ビートたけし)と知り合った。杉野はもと高校教師で、彼も妻を亡くしている。杉野は、

         このみちをたどるほかない草のふかくも

と山頭火の句を口にし、句集『草木搭』を倉島に贈呈しながらいう。『放浪と旅の違いは、帰るところがあるかないかです。』

山頭火の句が随所で紹介されている。

         分け入っても分け入っても青い山

この句などは、まだ無名だった風景写真家の大御所、竹内敏信さんが山頭火の句に添えた写真と共に初めて見たものだった。

        ひとりとなれば仰がるゝ空の青さかな

杉野の好きな句だ。その杉野は、実は車上荒らしをしながら全国を旅している窃盗犯だった。山頭火のように、彼もまた妻子と故郷を捨てたのだろうか。映画はこれ以上何も語らない。

山頭火とともに、洋子が歌う宮沢賢治が作詞作曲した「星めぐりの歌」も重要な役割を果たしている。洋子が慰問で歌った「星めぐりの歌」(映画では「星の歌」となっていた)、和田山の竹田城址で歌った「星めぐりの歌」。

「星めぐりの歌」はヨナ抜き長音階といわれる五音音階で、非常に親しみやすい旋律です。賢治の「双子の星」に歌詞が紹介され、「銀河鉄道の夜」にも登場します。

竹田城址の頂上でのコンサートはみごとだった。倉島は洋子の歌を聴くためにそこまでやってきた。洋子は「もう歌うのを止めようと思います」という。竹田城址はまさに「天空のラピュタ」だ。霧が雲海のように見えて、まるでマチュピチュのようである。

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この写真はこちら「明日の地球」というサイトの写真へのリンクです。ほかにもすばらしいショットが紹介されています。

イカめしの実演販売で全国を回っている田宮(草薙剛)も、強引だが憎めない性格の影に、なにやら問題を抱えていそうだ。よった田宮がぽろっと白状したのは、妻が男を作っているらしい。しかし、怖くてそれを表沙汰にすることができない、と。田宮の年上の部下である南原伸一(佐藤浩市)は謎の人物だ。どことなく物腰がおどおどしている。

南原が倉島に「もしも散骨の船で困ったら、この人に相談して」と差し出した手書きの船頭の名前と住所。案の定、台風の前ということもあって、誰も船を出してくれない。そこに若いカップル、奈緒子(綾瀬はるか)と卓也(三浦貴太)が奮闘して、卓也のじいさん大浦吾郎(大滝秀治)の船を出してもらえることになった。

南原の手書きの文字を見た港の大衆食堂の女主人で奈緒子の母濱崎多恵子(余貴美子)は、7年前に時化で遭難したはずの夫の筆跡だと悟った。夫は生きている。しかし、夫の生命保険で借金を返し、食堂に改築した多恵子は、それを公にはできない。多恵子は倉島に、二人の胃結婚衣装合わせの写真を、「散骨の時一緒に海に流して欲しい」と託す。多恵子は倉島に、

『夫婦やけんて、相手のことが、全部は分かりはしまへん。それで良いんと違いますか。』

あなたへ (幻冬舎文庫) と言うのだった。倉島は、港の古い富永写真館のショーウインドーに飾られた色あせた写真、13歳の洋子がマイクの前で歌っている写真を見つける。13歳の洋子がこの島を出たわけを、映画は語らない。しかし、運命によって島を出た洋子が、自分の過去を問いもせず、一途に大切にしてくれる倉島と奇跡のように出会い、そして奇跡のようにこの島に帰ってきた。

そして、局留めのもう一枚の絵手紙には、一羽のスズメの絵と「さようなら」のひと言だけが書かれていた。

幸せだったけど、死んだもののことは忘れて、あなたは新しい一步を歩いて欲しい。これが洋子の伝えたかったメッセージではないだろうか。洋子の骨を手に救って海に流すとき、青い海に沈んでゆく白い骨粒を、カメラはまるでそれを銀河のように映し出していた。『銀河鉄道の夜』でも、ジョバンニとカンパネルラは死によって別れたのでしたね。

がん患者の私はこう考えた・・・

洋子はリンパ腫で死ぬんだ。しかし「頑張りました、でもダメでした」の、お涙頂戴の闘病記でないから良いのだ。

二人に一人ががんになる時代とは、夫婦のどちらかががんになる可能性が最も大きいということだ。がんになり、どちらかが先にこの世からいなくなる。だから、考えておくべきなんだよ。先立つときには何を伝えるのか。先立たれたときにはどう生きていくのか。洋子は倉島に「新しい一步を歩んで欲しい」と伝えたかった。散骨するのは、墓は造らずに私のことは早く忘れて欲しいということだろう。いつまでも思い出してもらってはかなわない。自分もそういう覚悟だ。

これまでもブログで知り合った幾人かの方を見送った。今でも末期がんで貴重な時間を過ごしている方がたくさんいるだろう。その患者が旅立つまで介護し、その後は独りで歩かねばならない伴侶もまたたくさんいるだろう。それがありふれた普通の出来事なんだよと。

だからこの映画は、団塊の世代の男と女への応援歌でもある。明るい未来を信じて頑張ってきた団塊の世代だが、3.11後にふと気付いたら、日本はおかしげな国になっていた。しかしまた独りで歩き出そう。倉島が門司の岸壁を独りで歩くラストシーンはそう告げている。

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2012年8月26日 (日)

(続)無敵のカクテル

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「ごまふわわ」は大きな酒屋を探しても置いていないので、現時点で入手できない。代わりにゴマ焼酎「紅乙女」を買ってみました。このカクテルをいろいろな組み合わせで飲んだ感想です。

  • 焼酎+豆乳+粉末茶+ウコン
    この「オールインワン」はダメです。重すぎて胃にも悪い気がします。実際にこれを飲んだら下痢をしてしまった。焼酎とウコンが多すぎたのかもしれない。
  • 焼酎+豆乳:焼酎が多すぎなければまあまあの味です。
  • 豆乳+粉末茶:さっぱりして飲みやすい。
  • 豆乳+ウコン:不思議な味。でも続けるには勇気が要りそう。
  • 焼酎+ウコン:これは「ウコンの力」をいつ飲むかという問題に変換できるわけだが、同時に飲んだからといって余分な効果があるはずもない。
  • 豆乳+粉末茶+ウコン:お茶とウコンの量を少なめにすれば、常用しても良い味。

深蒸し茶は、粉末にして今でも一日に5杯ほどは飲んでいるので、これをすべて焼酎カクテルで置き換えるとしたら、昼間から酔っ払っていなくてはならない。また、豆乳もウコンも摂りすぎになるだろう。

結局、深蒸し粉末茶は現状通りに飲むとして、その時の気分で好きなカクテルを造るのがいちばんだという結論になった。単品で、その素材のうまさを味わいながら飲んだ方が、体にも良いはずである。

原種ウコンが一番多くターメリックを含んでいるが、工業製品ではないから常に同じ含有率にはならない。ウコンの品質に関しては、2年前に調査したものをこちらの記事に書いてあります。

たくさん摂れば良いものでもないということ。胃袋にも物理的制約がある。

<味覚は個人的要素が多いから、あくまでも私の個人的感想です。>

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2012年8月25日 (土)

SVN-2B単独投与の第1相臨床試験

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Twitterに書いたのですが、重要な情報だと思うのでブログにも再掲します。ほかの抗がん剤を使用しないで、このワクチン単独だというのがよい。抗がん剤と併用では免疫力が低下してしまう。エルパモチドもGEMと併用でなければ効果が確認できたかもしれない。

24日付の北海道新聞の記事です。

消化器がん 進行抑制 札医大、ワクチン開発 副作用軽く製剤化期待
(08/24 09:22)

 放射線や抗がん剤治療で効果が思わしくない大腸など消化器系のがんの進行を食い止めるワクチンを、札幌医科大の佐藤昇志(のりゆき)教授(病理学)らの研究グループが開発し、実用化に向けた臨床試験を8月末から始める。がん細胞を攻撃するリンパ球を活性化させるワクチンで、これまでの研究では副作用が軽く、1~3割の患者で効果が確認されたという。

 研究グループは、大半のがん細胞が持つタンパク質「サバイビン」が分解されてできる「サバイビン2B」がリンパ球の標的となることを発見。消化器系などのがん患者約100人にサバイビン2Bをワクチンとして投与したところ、標的を与えられたことでリンパ球が増殖、活性化し、1~3割の症例でがんを縮小させたり、増大を抑えたりした。

 消化器の一つである膵臓(すいぞう)に末期がんを患い、余命半年以内とされた患者が、この治療法で6年以上存命している症例もあるという。一方で、発熱などを伴うことはあるものの、重篤な副作用はなかった。

 臨床試験は、厚生労働省の難病やがんなどの治療法の実用化研究事業として実施される。<北海道新聞8月24日朝刊掲載>

これに該当すると思われる臨床試験情報が、UMINの「UMIN000008611」だと思われます。現在「募集前」となっています。

  • 試験名:有効な治療法のない進行消化器がんに対するサバイビン2B(SVN-2B)単独投与の有効性と安全性に関する単施設非盲検無作為化並行群間比較試験
  • 対象疾患:進行消化器がん
  • 選択基準
    (1) 組織学的に消化器癌と確定診断された患者。
    (2) 腫瘍細胞にサバイビン蛋白質の発現が確認された患者。
    (3) 以下1)かつ2)、または1)かつ3)のいずれかの基準に該当する患者。
        1) 根治手術が不可能である(遠隔転移例、再発例)患者。
        2) 標準化学療法が確立されていない場合の初回投与例の患者。
        3) 標準化学療法不応例、不耐容例の患者。
    (4) 前観察期のCTまたはMRIで測定可能評価病変がある患者。
    (5) HLA遺伝子型がHLA-A*2402である患者。
             以下は省略。
  • 問い合わせ窓口:北海道公立大学法人 札幌医科大学
    病理学第一講座 鳥越 俊彦  電話 011-611-2111

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2012年8月21日 (火)

がんに効く、無敵のカクテル

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連続して恐縮ですが、シュレベールの『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』からの話題です。

シュレベールが本気で「がんを成長させる三大要因を、なんの副作用もなく抑制してくれる」と絶賛している、最強にして無敵のカクテルをつくって、試飲してみました。

これが「無敵の抗がんカクテル」の材料。ウコン(クルクミン)、緑茶(深蒸し茶)、大豆の3種類の材料です。

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これらの効用を『がんに効く生活』から要約すると、

  • 緑茶:緑茶、特に深蒸し茶に多く含まれるカテキンの一種、エピガロカテキンガラート(EGCG)はがん細胞が隣接組織へ侵入する働きを抑制し、がん細胞に影響を補給する血管新生を抑制する。EGCGは各細胞の表面にある受容体(レセプター)をふさぐことによって、がん細胞が炎症性因子を介して送ってくる信号に応えることをできなくし、その結果、隣接組織への侵入も、腫瘍の成長に必要な血管の新生もできなくなる。この効果は、緑茶と大豆の"ファイトケミカル"を組み合わせることで、より際立ったものとなる。
  • 大豆:大豆の各種イソフラボン、なかでもゲニステイン、ダンゼイン、グリシテインなどは、分子構造が女性ホルモンのエストロゲンとよく似ているために”植物エストロゲン”と呼ばれている。しかし、植物エストロゲンは女性ホルモンのエストロゲンに比べて100倍も生物学的活性が低い。この結果、血中に含まれる大豆の植物エストロゲンは、エストロゲンによる過剰刺激を抑えることによって、エストロゲン依存性のあらゆる腫瘍の成長を抑えることができる。ゲニステインは男性ホルモンによく似ているため、男性に対しても同じ防護機能が働くものと期待される。
    大豆のイソフラボンにも血管新生を抑制する働きがある。
  • ウコン(ターメリック):ターメリックの根の黄色の粉末ほど強力な抗炎症作用がある食物成分はほかにはない。がんは成長するために炎症性因子を利用しているが、そのなかでも有名なNFカッパ-Bの作用を抑制できるかどうかが、がん患者の”生死を分ける問題”である。ターメリックの抗炎症作用を引き起こす主な成分はクルクミンであり、クルクミンが直接NFカッパ-Bの活動を妨害しているようである。また、クルクミンには血管新生を抑制する作用と、がん細胞の自殺=アポトーシスを誘引する働きもある。
    ただし、ターメリックは腸壁からはほとんど吸収されない。しかし少量の黒コショウと一緒に摂取すると、吸収率が2000倍になる。

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大豆製品、特に豆腐と納豆は日常的に摂っている。好物でもある。しかし、豆乳は昔にブームになったときに飲んでは見たが、その臭いが好きになれなかった。しかし最近では、製造方法の改善によって大豆臭さがなく、旨み成分を追加した調製豆乳もあって「豆乳ブーム」が再来していると、先日の東京新聞の特集記事に載っていた。

緑茶(深蒸し茶)はお茶ミルで粉末にして、毎日のように5杯以上飲んでいます。ターメリックはオリーブ油と混ぜて全粒パンに塗っている。それぞれに単独で充分摂ってはいるのだが、「無敵のカクテル」にも興味がある。

以下の材料を用意して、粉末茶とターメリック、黒コショウ<これがポイント !!>に少量の熱湯を注いで混ぜる。 緑茶が混ざりにくい。それに豆乳をゆっくりと入れていく。氷を浮かべてできあがりである。

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飲んでみた感想は!!

豆乳の好き嫌いで評価は分かれると思う。今回は紀文の調製豆乳を使ってみたが、想像していた以上に飲みやすかった。しかし、粉末茶が少し多かったかもしれない。一気に飲み干したが、後味も悪くはない。次は無調整豆乳で試してみようか。

焼酎をこれで割ったらどうだろうか。「焼酎ベースの無敵抗がんカクテル」で商標登録ができるかもしれない。麦焼酎が良いか、芋か蕎麦か。ほろ酔い気分になれて、がんにも効果があって、糖質はないから体にも良い。良いことばかりではないか。飲酒後に「ウコンの力」を飲む必要もないし。

      飲んべえの悩みは尽きない。

Gomafuwawa と思ってネット検索していたら、宝酒造から「ごまふわわ」という白ごま焼酎が販売されていて「豆乳割りがお勧め」と宣伝していた。香りが良いらしい。今度買ってみるか。お勧めの飲み方は、「ごまふわわ」と豆乳は1:3がよいらしい。少量の蜂蜜、若しくはきな粉も推奨している。きな粉が良いのなら粉末茶もウコンもあうに違いない。

焼酎の豆乳割りのレシピも、ウコン割りの缶酎ハイもあるようですね。抗がん作用を謳ったものは私の「焼酎ベースの無敵抗がんカクテル」別名「焼酎の無敵豆乳割り」が本邦初となる・・・・か。焼酎のお茶割り、焼酎の豆乳割り、焼酎のウコン割りを一つにしたら、最強の抗がん割りに変身した!! 。

材料は次のリンクから、Amazonでも購入が可能です。

源宗園 楽天市場店の深蒸し茶が、苦みの中にも甘みがあり、コストパフォーマンスも優れています。巴富士・錦富士が私の定番です。

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2012年8月19日 (日)

トランス脂肪酸はがんの栄養

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生物は傷ついた組織を修復する能力を持っている。その中心メカニズムが”炎症作用”である。ところが、がんはこの修復メカニズムを利用していることが分かっている。がん細胞は自らの成長を支えるために、炎症を引き起こそうとする。胃癌におけるピロリ菌のように、慢性的な炎症状態ががんの直接的な原因となっているがんも多い。がんは、サイトカインなどの炎症性因子を放出し、免疫システムを乗っ取ることによって自ら増殖し、体内に蔓延していく。

がんの進行において、炎症が重要な役割を果たしているのだから、がんの治療や予防において、体の炎症をコントロールすることが非常に大切である。

がんの初期状態である微小腫瘍は、栄養を得るための新しい血管網をつくらないかぎり、危険ながんへと成長することはない。血管新生を抑制する因子を投与されたマウスは腫瘍が成長することはなかった。そして、製薬企業が血管新生抑制作用を持った分子標的薬(アバスチンなど)を開発している。あるいは中村祐輔教授らのがんペプチドワクチンの中のエルパモチド(OTS102)やOCV-101も新生血管抑制を狙ったがんワクチンであった。

がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」 しかし、アバスチンの効果も限定的であり、エルパモチドは、臨床試験の結果、膵癌に対する有効性を確認できなかったことは既報の通りである。

がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』でシュレベールは次のように述べている。

それでもやはり、血管新生の抑制は、あらゆるがんの治療において重大な鍵となる。私たちは、奇跡的な薬剤の誕生を待つまでもなく、血管新生に対して強力な効果を発揮し、副作用がまったくなく、従来の治療法と問題なく併用できる以下のふたつの自然な治療法を手に入れることができる。

  1. 特別な栄養摂取法(最近では自然の抗血管新生食品として、市販のキノコや緑茶やいくつかのスパイスと食用ハーブなどがあげられている)
  2. 新しい血管成長の直接的な原因である炎症を抑えるものすべて

として、効果のある食物について詳細に書いている。一方で、「がんを育てる食物」として、

  • 精白糖などの精製糖
  • 精白小麦粉、精白米
  • 植物油(大豆油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、トランス脂肪酸)

を「がんを成長させる栄養源」だとしている。

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスが重要であり、中でもオメガ3の脂肪酸(EPA、DHA)の重要性は良くいわれる通りである。なかでもトランス脂肪酸は「食べるプラスチック」と言われるほどで、栄養分もないのに、炎症作用だけは引き起こしてしまう。

日本ではトランス脂肪酸に関しては規制がないこともあり、ほとんどのがん患者が無頓着であるように見える。トランス脂肪酸については、マクドナルドのフライドポテトが3年間放置しても腐らなかったとか、ゴキブリさせも食わなかったとかの話題も紹介されている。『がんに効く生活』でも「牛や鶏のためのジャンクフード」「バターよりもはるかに危険なマーガリン」などとの節で詳しく論じられている。何度も紹介しているが、シュレベールのこの本をじっくりと読んで、実行し、継続することを勧めたい。玄米菜食、ファイトケミカルを摂ることも大切だが、精製糖、マーガリン、ショートニングなどのトランス脂肪酸を避けることも、がんを育てない体内環境をつくるためには、重要です。

こころの免疫学 (新潮選書) 藤田紘一郎『こころの免疫学 (新潮選書)』にも、最近の研究を引用しながら、トランス脂肪酸とがんの関係が書かれている。

  • トランス脂肪酸を多く摂取していると、細胞膜がうまく機能できなくなり、糖鎖の働きが悪くなる。その結果、免疫力が低下してしまうのだ。同時に発生する活性酸素が、さらに免疫力を低下させると考えられる。
  • 免疫能が低下すると、アレルギー性疾患やうつなどの「心の病」が増える。

などと指摘している。こころの病にも糖質制限食が効果的だとか、こころの健康は、食生活全体から見直すべきとか示唆に富む内容である。

一杯200円のコーヒーに好きなだけついてくる「コーヒーフレッシュ」には牛乳は一滴も入っていなくて、サラダ油を主成分としたトランス脂肪酸の塊である。コーヒーが膵臓がんのリスクを下げると言われても、トランス脂肪酸を入れては逆効果だろう。

セブン・イレブンが「トランス脂肪酸の低減」に取り組んでいるようです。

農林水産省の「トランス脂肪酸の関する情報」:日本はいかに遅れているかがよく分かります。

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2012年8月17日 (金)

Twitterと連携してみたら・・

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朝はモーツアルトにコーヒーが似合うはずだったが、深蒸し茶をミルで挽いて飲み始めてからは、コーヒーとは縁遠くなった。「朝バッハ」という言葉がOTTAVAでも流れているから、バッハも朝に似合う。でも今日はオーボエが聞きたくて、アルビノーニのオーボエ協奏曲集をかけながらインスタントコーヒーを淹れてみた。久方ぶりのコーヒーもまたいい。バッハに影響を与えたといわれているファッシュの「2本のオーボエのための協奏曲変ロ長調」も良い香りがする。

わたし、ガンです ある精神科医の耐病記 (文春新書) 新しい試みとして、Twitterで本の気に入った箇所を断片的に紹介してからブログで記事にするとどうなるだろうかと挑戦。直腸癌で亡くなった頼藤和寛氏の『わたし、ガンです ある精神科医の耐病記 (文春新書)』を取り上げてみた。

  • ①『わたし、ガンです ある精神科医の耐病記』実際、抗ガン剤の副作用のために死亡するガン患者は相当数に登るはずなのである。ただ書類上、死因として副作用蓄積といった記載はされない(ただのガン死とされる)から、統計に登ってこないだけなのだ。
  • ②『わたし、ガンです ある精神科医の耐病記』本来、ガン治療の効果というのはQOLと生存期間の積で評価されるべきものである。この質と量をかけ算した積が大きくならなければ意味がないわけで、片方がゼロに近づくようなら積も少なくなってしまう。
  • ③『わたし、ガンです ある精神科医の耐病記』我が国のガン予防12か条や米国お勧めのデザイナーフーズその他、疫学的に裏付けられている「ガンにならない食品・生活習慣」を完全に守ることは並大抵ではない。仮にそれらを徹底できたとしても、
  • ④『わたし、ガンです ある精神科医の耐病記』:まるでその人の人生は単に「ガンにならないためだけに捧げられた一生」みたいなものになってしまう。これは実につまらない一生である。それほどまでしてもガンになる確率をゼロにすることはできない。
  • ⑤『わたし、ガンです ある精神科医の耐病記』:そもそも最大のリスクファクターは「加齢」なのである。つまり「生きていることは、健康に悪い」のである。ほどほどの投資として、免疫力を高め活性酸素を抑制し体質を改善するくらいで良いのである。
  • ⑥『わたし、ガンです』:二言目には「早期発見、早期治療」が叫ばれるが、あれは医療界から発せられる需要喚起のためのコマーシャル・メッセージと心得ておく方がよい。治せない病気なら「早期発見」したところで「早期不愉快」でしかない。
  • ⑦『わたし、ガンです』近藤理論に対して『確かにガンには「どうしようもないガン」と「がんもどき」があるのだが、その中間に「現段階の技術でもどうにかできそうなガン、つまり運が良ければ完治し、悪くても長持ちさせられるガン」が結構ある』
  • ⑧『わたし、ガンです』ガンの末期であっても「希望を持って」「前向きに」「明るく」生きるのが正しい、みたいな約束事が行き渡っている。万策尽きた人間を前にして「元気を出して頑張りましょう」などと平気で脳天気なことが言えるのは、
  • ⑨『わたし、ガンです』当事者でないか、あるいは妄想的な宗教の信者ぐらいのものである。仏教徒なら仏になって六道輪廻から解脱し涅槃に入ればこんな結構なことはないはずなのに、死ぬのをいやがる。極楽往生が信じられない信徒ほど熱心に念仏を唱える。

頼藤氏は、この本が完成した直後に亡くなるのだが、死を覚悟した元外科医で精神科医の信条がペーソスを持って語られる。抗ガン剤も1クールで副作用の激しさに「抗がん剤で殺されるなら、がんで死んだ方がまし」と止めてしまう。潔い死に様だと、手本にしたいくらいだ。うまく手本にできるかどうかは、私はまだ死んだことがないから分からないが、「ガンにならないためだけに捧げた一生」なんてつまらないというのは、わたしの気持ちにぴったりだ。

「生きていることは、健康に悪い」至言である。

Twitterで思いつきを書いておいて、後でブログでというのも、結構気楽に書けるものだと確認した。

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2012年8月13日 (月)

OCV-C01 中間報告

夕立の後

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オンコセラピー・サイエンス株式会社が、8月13日、がんペプチドワクチン OCV-C01に対する第Ⅲ相臨床試験(臨床試験名;COMPETE-PC Study)の中間報告を発表しました。

これを見ると、中間報告で安全性を確認し、その後順次40施設まで増やすという計画のようです。今後続々と試験施設が増えていくはずです。

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がんペプチドワクチンの新しい書籍

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DP2 Merrill F2.8 1/125秒 ISO400


がんペプチドワクチン療法 第4のがん治療法への期待 市民のためのがんペプチドワクチンの会から、『がんペプチドワクチン療法 第4のがん治療法への期待』(1,470円、8/27予定)が発刊されます。がんペプチドワクチンに関する書籍は何冊か出ていますが、高かった。また、日進月歩の医療の世界ですから、最新の情報も気になります。膵臓がん以外のがんに関しての情報も少なかった。膵臓がん対するOTS-102(エルパモチド)は「有意に効果があると証明できず」に残念な結果でしたが、その研究内容も知りたいところです。(この本に書かれているとは限りませんが・・・)

【著者紹介】
監修:中村祐輔(なかむらゆうすけ)
1977年大阪大学医学部卒業。2010年より国立がん研究センター研究所所長を経て、内閣官房医療イノベーション推進室長。2012年よりシカゴ大学医学部内科・外科教授、個別化医療センター副センター長。

【主な目次】
第1章  がんペプチドワクチン治療  中村祐輔(シカゴ大学)
第2章  がん症例とがんペプチドワクチン治療
1 胃がん: 藤原義之(大阪府立成人病センター)
2 大腸がん :奥野清隆・杉浦史哲(近畿大学)
3 肺がん:醍醐弥太郎(滋賀医科大学)
4 肝臓がん:澤田 雄・中面哲也(国立がん研究センター東病院)
5 乳がん:藤田知之・藤森 実(東京医科大学茨城医療センター)
6 すい臓がん:山上裕機・宮澤基樹(和歌山県立医科大学)
7 膀胱がん:小原 航・藤岡知昭(岩手医科大学)
8 食道がん:河野浩二(シンガポール大学)
第3章 がんペプチドワクチンの研究  (小原 航・山口佳之・ロバート.J.テンプル)


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DP2 Merrill F4.5 1/125秒 ISO200

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2012年8月12日 (日)

のんびり夏休み

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大森のダイシン百貨店が新装開店し、名称も「オオモリノモリ」とおしゃれに。金澤翔子さんの揮毫も行われたようで、イベントは知らなかったが、ご覧のようなすばらしい作品が展示されていました。

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翔子さんについては「小さき花」で紹介したことがあります。ダウン症の彼女の力強い作品を観ると、人間の能力・才能ってなんだろう、幸せって何なのだろうと考えさせられます。

『私はがんで死にたい』には、多くのがん患者を看取ってきた小野寺時夫さんが、がん患者の死に顔にも特徴があると書いています。心残りで怖いような死に顔をしている人には、末期がん治療中に、夫が愛人を作ってしまって見舞にも来なかったとか。地位も金もあり、これまですべてを思い通りにしてきた人が、がんは金があっても治るわけではない現実を最後まで受け入れられなかった経営者などがいたといいます。幼い子どもを残して旅立たなければならない母親などもそうでした。

キリスト教文化圏の欧米では、末期がんだからとパニックになる患者は見たことがないとも書いています。ホンのつかの間、この世に生を受けている身だから、死は神様の思し召しという死生観をっているからでしょう。

日本人だって、鴨長明、良寛、吉田兼好などそうした文化はあったはずなのですが、日本の良き文化はどこに行ってしまったのでしょうか。いやいや、福島原発事故後の対応をみていると、方丈記に書かれている福原遷都を思い出します。突然の遷都、政治はいつの時代も弱者を犠牲にするのです。野田総理の言葉を聞いていると、確かに日本語でしゃべっているのですが、私にはその論理がどうしても理解できない。彼はアンドロメダ星雲人のような、我々には想像できない思考回路の持ち主なのだろう。


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2012年8月10日 (金)

エネルギー・環境に関するパブコメを出そう

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DP2 Merrill F4.5 1/160秒 ISO200


エネルギー・環境に関するパブリックコメントの締切は、8月12日18:00です。政府もこのようなサイトを作って宣伝しています。

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FAXや郵送でもできますが、ネット上から送信するのが簡単です。

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3つのシナリオを提起してますが、「報道ステーション」でも報じたとおり、15%シナリオは「脱原発のシナリオ」ではありません。

ところで、今日の『報ステ』で特筆すべきは、集会とは別の、2030年の原発依存率についての意見聴取会の報道で、「15%」案は「脱原発ではない」ばかりではなく、「40年廃炉、稼働率70%」を前提とした場合、2基の原発新設が必要になる案だとはっきり報じたことだ。このこと自体は当たり前だとずっと前から思っていたが、これを指摘したマスコミ報道に接したのは初めてだ。

「40年廃炉の原則で達成できる数字」と喧伝されてきた「15%」案だが、それは原発稼働率80%を前提とした場合の話であって、現実には2008年度の原発稼働率は60.0%、09年度は65.7%、10年度は67.3%だった。つまり、『報ステ』が言った「稼働率70%」でさえ、過大な見積もりであって(なぜなら、今後既存の原発はどんどん老朽化していく。そんな老朽原発の稼働率が今後上がると仮定することは全く理にかなっていないからである)、現実には「40年廃炉」の原則を崩すか、新規原発を3基以上に増やすかのどちらかが必要となる。「15%」は、れっきとした「原発維持」の選択肢なのである。ましてや、「20~25%」案に至っては「原発推進」の選択肢以外のなにものでもない。

唯一の選択肢は『2030年原発ゼロシナリオ」を選択しますが、即刻廃炉』しかありません。私のパブコメは、下記のとおり送信しました。

【概要】
原発事故が起きれば、一電力企業はもちろん、国家・政府でも責任はとれません。「2030年原発ゼロシナリオ」を選択しますが、再稼働をしている原発も含めて、即刻廃炉にするべきです。

【意見】
原発は、一度事故を起こせば、故郷も生活も、人々の人生設計もすべて破壊します。そして、一企業ではとうてい補償は不可能です。国家でさえも補償ができないとすれば、そうした政策はとるべきではありません。原発が安全でコスト面も有利だという企業家がいるのなら、原発を買い取って「無限責任保険」を掛けた上で、稼働させてください。

世界でもっとも地震の多いこの国で、当然津波の過去何度も襲っています。「想定外」では済まされません。想定できないのではなく、想定する能力がないのです。それは、命よりも経済が大事だと思っているからです。

原発の発電コストは、事故の賠償を含めなくても安くはありません。これは「原子力のコスト(岩波新書)」などで立証されています。したがって、経済性から原発を選択することはできません。

一般庶民が耐用消費財を買うときは、イニシャルコストだけではなく、ランニングコストも計算します。当然原発もそうすべきですが、廃炉費用、使用済み核燃料の処理費用及び10万年間の保管費用を含めてランニングコストを計算すれば、原発を選択肢とすることはあり得ません。どれほど確率が低くても、原発事故が起きたときの万が一のリスクは、とうてい受入れることができないことは、福島の現状を見れば明らかです。

この猛暑でも電気は余っています。電気が足りないは嘘だと明らかになりました。リスクを負ってまで原発を稼働させる必要はないのです。少なくとも、ピークの電力さえ下げれば良いのです。フランスのように国民が一ヶ月のバカンスをとれば良いでしょう。過労死するような働き過ぎを、この際反省する良い機会ではないでしょうか。

2012年8月 9日 (木)

私はがんで死にたい

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DP2 Merrill F5.6 1/60秒 ISO200


この4冊の本に共通しているのは、①医者が書いた本、②死ぬときはがんに限ると考えている、③しかも、できるならば在宅死が良いと、④しかし、医療に頼りすぎるな、ということでしょうか。

中村先生の『大往生したけりゃ・・・』は以前に、ここで紹介しました。長尾先生はアピタルに『町医者だから言いたい!』を連載中だから、本は買わずとも(買ってやったほうが喜ぶだろうが)言いたいことはそちらで読めば良いでしょう。なので、小野寺先生の『私はがんで死にたい』について。

私はがんで死にたい―ホスピス医が決めている最期 消化器がんの外科治療を40年、もちろん膵臓がんの手術もたくさんやった。そんな小野寺さんが、ホスピス医としての体験から、手術をしないで長生きしている人は意外に多い、と言います。抗がん剤の有効性は非常に低いのに、どんながんにも積極的に使う。効果を確かめもせずに、次から次へと抗がん剤を変えて治療を続ける。こんな現状を批判しています。

ぼろぼろになるまで抗がん剤を投与されて、ホスピスに来て抗がん剤を中止し、そのおかげで食欲が出てくると、前の医者に宣告された余命をはるかに超えて生きる患者が絶えません。

3.11以後、科学・技術が進歩しても「人間の力の及ばないことがあるのだ」というあたりまえのことが、現実を突きつけられることにより深刻に認識されるようになったのでしょう。医療にしても、膵癌にようにあっという間に末期となり、命の限界を宣告される現状は、たとえがんペプチドワクチンが使えるようになっても変わらないと思われます。

小野寺先生の遺言書でもあり、次のような章立てになっています。

  • 高度進行がんになったら手術は受けません。
  • 抗がん剤治療も受けません。
  • 体力がある間に、自分のやりたいことをします。
    がんと戦いすぎてはいけない。死を迎える態度よりも、元気なときの生き方こそ大事
  • 在宅死がいちばんだが・・・
  • 入院するならホスピスに
  • 痛みなどの苦痛は十分にとってもらいます
  • 食べられなくなっても点滴輸液は受けません。
    日本で最初に中心静脈栄養を始めた小野寺先生だが、末期がんには不要なことが多いと警鐘を鳴らしています。もちろん胃ろうなんてとんでもない。
  • 寝たきりになったら「鎮静」をしてください。安楽死ということですが、難しいでしょうかね。
  • 臨終が近づくときは、そっとしておいてもらいたい。

がん患者でしかも認知症という患者が増えているそうです。こんな状態にはなりたくないですね。「百まで生きて、がんで死ぬ」が私の目標ですが、その時の死に方も遺言を残しておかねばなりません。

死に際してもいろいろな人がいます。頸椎も固定された苦痛な末期なのに、いつも穏やかで医者は看護師に感謝の言葉をかけるクリスチャンの患者もいれば、死を受け入れることができず、気功を取り入れている病院(帯津三敬病院かも!)に転院して、最後はパニック状態で亡くなった患者、あるいは小学生の我が子を2週間も学校を休ませて臨終までつきあわせた母親。

死に方も、その人の人格です。

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2012年8月 5日 (日)

三渓園:早朝観蓮会に行ってきた

横浜三渓園で「早朝の観蓮会」が最終日だというので、でかけた。観蓮会期間中の土日は6時開園である。4時半起きで5時10分出発、大黒ふ頭経由の一般道を走って、5時45分に三渓園駐車場に到着。すでに10台ほどの車と、正門には入場待ちの5人ほどのカメラ愛好家がいました。蓮の花は7時頃から開き始めて、9時頃には閉じてしまうという。どうせありふれた写真になるだろうが、ま、気晴らしにでもなればいいさ。

運動不足のがん患者には、写真を趣味にすることを勧める。写真は現場に行かなければ撮れないからである。結構な運動になる。散歩写真も良い。いつもと違う道を歩きたくなる。

とりあえず、三重塔をバックにした定番のショット。塔がぼけているが、三脚がないのでこれ以上絞れない。

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正門を入ってすぐ右手が蓮池。陽が高いせいなのか、6時にもう開いている花が多いようです。約2時間の撮影中に、だんだんと開いてくるようでした。

今日はカメラは2台。蓮は池の中だからDP2 Merrillではとどかない。α-900にF2.8 70-200のズームを付けて撮影。

蓮ばかりですが、下の画像をクリックして、スライドショーで一挙に37枚。すべてα-900での手持ち撮影。

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●SIGMA DP2 Merrill の写真は下の4枚。そのうちに気に入ったものをブログに。

三渓園の蓮池全景。やはり凄い解像度です。甍の一枚一枚が分かる。

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2012年8月 2日 (木)

『科学』8月号 学校給食は10Bq/kg以下に

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DP2 Merrill F5.0 1/80秒 ISO100 C-PL使用

ずっと変化のなかった体重が、62kgから64.5kgに、2.5kgも増加した。原因は? 暑いからビール(糖質ゼロの「濃い味」)と焼酎のロックを毎晩飲んで、ウォーキングは控えているのだから増えてあたりまえか。これ以上はダメだ。ズボンがあわなくなる。


科学 2012年 08月号 [雑誌] 岩波『科学』8月号に注目すべき論文が載っている。「米・小麦・牛乳の放射能汚染と学校給食ーすべての子どもを守るための具体的提言」と題した、茨城大学の中川尚子、蓮井誠一郎、原口弥生の3氏による論考である。

学校給食での米・小麦・牛乳は放射性セシウムが10Bq/kg未満のもの、2013年度からは5Bq/kg未満のできる限り低いものを使用すべきである。

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これがこの論考から導かれた結論であり、提案である。彼らの論点を順次追ってみると、

  1. カリウム40の体重1kg当りの密度は大人も子どもも変わらず、60Bq/kgである。
  2. このカリウム40の値を一応の目安として採用する
  3. カリウムとセシウムの体内挙動はほぼ同じである。
  4. したがって、1BqのK-40と1Bqの放射性セシウム(Cs-134+137)は、細胞に同程度の影響を与える。

としたうえで、あるモデル家族が1日に摂取する食材の、1kgあたり10Bqの放射性セシウムが含まれていたとして、体内の放射能濃度(Bq/kg)を計算している。それを下に示す。

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年齢ごとの生物学的半減期は明らかにしていないが、計算の結果概ね20Bq/kgを超える体内汚染濃度の平衡値となる。そしてこの「20Bq/kg」はベラルーシのBELRAD研究所でも、現地での経験から割り出した値として「子ども20Bq/kg、大人50Bq/kg」を安全判断の基準としているという。

バンダジェフスキーは、解剖した臓器からの測定値として、

突然死した患者の部検標本を検査したところ、99%に心筋異常が存在し、心筋にはおよそ26Bq/kgのセシウム-137が取り込まれていることが分かった、としている。

これらも含めて、私の下記の記事で既に触れたことである。

  1. セシウム137の体内放射能(4)
    実効半減期がD(日)の成人で、0日目のセシウム137の体内放射能をA0(Bq)とし、毎日 a(Bq)を継続的に摂取した場合を考える。n日目の体内放射能値は、その日の摂取量 a...
  2. セシウム137の体内放射能(3)
    子どもの場合は?子どもは大人と比べて、実効半減期が短いから内部被曝は小さいと説明されている。
  3. セシウム137の体内放射能(2)
    食品の新基準値厚生労働省の「食品中の放射性物質に係る新たな基準値について」によれば、新基準値
  4. セシウム137の体内放射能(1)
    4月からの「食品中の放射性物質に係る新たな基準値」が施行されて2ヶ月が経とうとしている。

私の計算は、体内のセシウム137の総量について求めたものであり、中川尚子氏らの論考は、体重1Kgあたりの「放射性セシウム」という違いはあるが、言わんとするところは同じである。

子どもの給食の主要な食品、米・小麦・牛乳の3つの食品による放射性セシウムの汚染度を10Bq/kg以下にすれば、仮にたまたま汚染度の高い食品(100Bq/日)を摂取しても、短期間で平衡値に戻ることができるのである。

実際上は、子どもの食べる食品は「検出限界以下」のものでなくてはならない。

なお、著者らは「やっかいな放射能と向き合う」というサイトを立ち上げており、その中に今回の論考に関する、より詳細な資料が公開されている。

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