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2013年10月

2013年10月31日 (木)

事故が大きければ、政府は決して真実を知らせない(2)

原発事故と科学的方法 (岩波科学ライブラリー) 『原発事故と科学的方法』は、牧野淳一郎さんの労作です。福島原発が事故を起こした3.11後、正確には記憶していませんが、私は牧野さんのWeb日記(リンク先は2011年3月の日記)に度々アクセスしていました。

私の当時のブログをふりかえってみると、3月14日に は「3号機はプルサーマルだ。現状では危険ではないが、格納容器が破損しないように、万全の対応を祈るしかない。」と書き、『大事故は常に「想定外」の偶 然が積み重なって起きるものであり、今回の事故そのものがいくつもの「想定外」の連続ではないのか。起きる可能性のあるものは、必ず起きるのである。』と 書いています。

翌日の15日には『政府は、妊婦と乳幼児を直ちに避難させよ!』のタイトルで、『原発事故…その時、あなたは!』より東京に風が吹くという仮定での最悪のシミュレーション図を載せています。これは熊取六人衆と言われた中のひとり、瀬尾健さんが生前に計算したものでした。最悪の場合には東日本には人が住めなくなる、というシミュレーション結果です。

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翌16日には「妊婦、子供は直ちに、なるべく遠くに疎開すべきである。首都圏にいる春休み中の学生は帰省した方が良い」と呼びかけたのです。18日のブログでは、SPEEDIの存在を知っていた私は、その情報がなぜ出てこないのか? とやきもきして書いています。まさか政府が意図的に隠しているとは思っていませんでした。

牧野さんも、3.11直後から日記に記していますが、原子力に関する専門的知識がなくても高等学校の基礎物理程度の知識があれば、今回の事故の規模を見積もることができたと言います。そして、3月16日の段階でチェルノブイリと同等のレベル7の事故であろうと推測しています。

平成18年衆議院での共産党の吉井英勝議員は質問趣意書で、原発の全電源喪失事故の可能性について質問したのに対して、政府は「我が国において、必要な電源が確保できずに冷却機能が失われた辞令はない。したがって、そうしたことを想定した評価は行っていない」という主旨の答弁を行っています。

しかし、牧野さんが指摘するように、原子力安全基盤機構(JNES)は『地震時レベル2PSAの解析(BWR)』の報告書において、全電源喪失事故による炉心損傷をシミュレーションしているのです。

TBU(電源喪失)の事象では、地震によって電源喪失になり、高圧注水系による原子炉注水に失敗する。そのため炉心冷却手段が確保できず、約1.7時間後に燃料落下開始、約3.6時間後に原子炉圧力容器破損、約6.9時間後に格納容器の過圧破損となる結果が得られた。

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ここでも「ウソ」の答弁をしているのです。福島第一原発では、それほど高くない津波でも冷却機能喪失が起きることが分かっていました。そして短時間でメルトダウンに至り、大量の放射性物質が環境に放出されることもシミュレーションで分かっていました。実際に事故が起きたときも、SPEEDIによって飯舘村方向が汚染されることも分かっていたが、住民に知らせることはしなかった。

事故の規模を小さく見せよう、事故の影響も小さく見せたいというバイアスが絶えず働いているのです。では他の原発の安全性についても、そうしたバイアスが働いているはずではないか、事故の影響、放射線による人体への影響に関しても、政府や福島県の発表をそのまま信じることは、これまでの経験からすると非常に危ないことなのです。

原発事故については、過小評価が続いた歴史でした。原発が事故を起こす確率は、ヤンキースタジアムに隕石が落ちる確率程度だという過小評価から始まって、スリーマイル島事故では原子炉炉の形式が違うから、チェルノブイリ原発の事故が起きても、旧ソ連の黒鉛炉で管理もずさんだったからで、日本では起きるはずがないとされてきました。

起きる可能性のあるものは、必ず起きるのです。『原発ホワイトアウト』のように、テロもあり得るし、NHKスペシャル「原発テロ」で放映されたように、送電線鉄塔が爆破され、それが豪雪と重なれば・・・・。何が起きるか、全てに対応することは不可能でしょう。

被ばくの影響についても、チェルノブイリに関するUNSCEAR 2000レポートが言っているのは、

  • 汚染地域ではさまざまな病気が増えている。
  • しかし、広島・長崎の調査結果と比較したら多すぎる
  • だから、これは被曝による影響ではなく、ストレス・喫煙・飲酒などによるものだ

科学的思考とはまったく相容れないものです。福島原発事故による被ばくの影響に関して、UNSCEARがレポートを準備していますが、おなじ考え方がベースになっているのです。

北海道がんセンター名誉院長の西尾正道先生の最新のレポート『低線量放射線被ばく―福島の子どもの甲状腺を含む健康影響について」(2)』には、チェルノブイリでの小児甲状腺がん以外の深刻な病気について分析されています。

政府や専門家の評価が過小評価になりがちだとしたら、我々はどのように考えれば良いか。牧野さんは工学で使われている「安全率」の考え方をすれば良いと提案しています。飛行機でも自動車でも、設計荷重に全てが耐えられるわけではありません。ぎりぎりに設計しておけば、何かあったときに壊れる。したがって、3倍とかの安全率を掛けて作るのです。当然コストは掛かります。

100mSvの被曝で癌による死亡が5%増加するのなら、安全率を10として、10mSvでもこどもは数%のがんが増えると考えておくのです。食べ物も、政府が言う100Bq/kgの基準値に対して、安全率を10として、10Bq/kgを考えて判断するのです。

すでにこの国の全土が汚染されているのですから、放射能がゼロの食べ物はありません。10Bq/kgや10mSvが大きいか小さいかは、それぞれの人の価値判断によるしかありませんが、専門家の主張が極端に異なる現在、内部被曝について明確な科学的合意がない状態では、安全率を掛けて判断することが、賢明な行動につながるはずだと思います。

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2013年10月28日 (月)

事故が大きければ、政府は決して真実を知らせない(1)

原発関係の本を3冊。

原発ホワイトアウト 『原発ホワイトアウト』は、現職のキャリア官僚が若杉冽のペンネームで書いた小説であるが、その内容は現職の官僚でなければ書けないリアルな内容である。リアルであるが故に小説という形式で書かざるを得なかったと著者も述べている。タイトルからは真保裕一の『ホワイトアウト』を想起させるが、真保裕一の場合はテロリストがダムを襲うのであり、こちらは北朝鮮のテロリストが新崎原発(架空の原発、柏崎刈羽原発がモデル)への送電線鉄塔を爆破するという設定です。

福島第一の事故の後、政府が脱原発線源をしたにもかかわらず、電事連、経済産業省などの官僚は原発の再稼働を既定の路線としていた。そして民主党が大敗して自民党政府となるや、そのいとがあからさまに表に出てくる。電事連の常務理事は、これからの課題として、

  1. 再稼働(追加工事の猶予の期間、新崎県知事対策)
  2. 電力システム改革の阻止(発送電一貫体制、原発の堅持)
  3. 世論対策(料金値上げの容認)

を手帳に記すのだった。電事連の豊富な資金(任意団体だから会計検査院を恐れる必要がない)を使って、落選議員の関連会社顧問への再就職などの手を着々と打ってくる。新崎県知事の賄賂の疑惑を報道させ、検察庁長官を動かして逮捕させる。元女性アナウンサーが原子力規制庁の役人を籠絡させて、盗聴した件を突き止めて逮捕させる。これなどは特定秘密保護法が施行されたら、一般市民も簡単に逮捕されるのだという将来を暗示しているかのようです。

知事逮捕後の業務を引き継いだ副知事は原発の再稼働を容認し、ある豪雪の日に、テロリストが送電線鉄塔を爆破して、原発はメルトダウンになる。市民は逃げ惑うが道路は渋滞、高速道路は事故で身動きが取れない。そして・・・・・。

福島原発事故は、起きてしまったものはしかたがない。これからはより安全に原発を稼働させることが必要だ。そうでなければ、日本の経済が成り立たない。というのが彼らの論理だが、その底には、自分の今の立場、経済的にも社会的にも優遇された立場を捨てることなど思いも付かないという本音が見えます。

福島原発事故 県民健康管理調査の闇 (岩波新書)『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』も、福島県知事や官僚、山下俊一らの「科学者」が、放射線による被曝の影響は無視できるほど小さい、との「結論ありき」で、 3.11後をどのように対応してきたのかが、徹底した調査報道で如実に示されている。毎日新聞に連載された記事をまとめたものであるが、福島県民健康調査 の正規の委員会の前に「秘密会」を毎回開いて、見つかった甲状腺がんが被曝と関係ないかことをどのように説明するか、その結論ありきで、その対応の方法だ けを議論していたというスクープでした。

ここでも、被ばくはたいしたことはない、との結論にあわせて「科学的」にどのように説明するかが、彼らの最大の関心事であったことが分かります。(つづく)

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2013年10月26日 (土)

癌治療学会でFOLFIRINOXの中間解析

10月24日より開催されている第51回日本癌治療学会総会において、FOLFIRINOXのフェースⅡ試験の中間解析が、国立がん研究センター東病院の池田公史氏から発表されたと、「がんナビ」に載っています。

遠隔転移を有する膵癌の1次治療としてのFOLFIRINOX療法は、海外のACCORD II試験の結果と同様、日本人患者においても有効であることが国内フェーズ2試験の中間解析で示された。骨髄抑制に関連する有害事象が高頻度で認められたが管理可能であり、適切な症例選択や治療計画の調整によりFOLFIRINOX療法は転移性膵癌の1次治療になりうることが示唆された。

欧米で行われたフェーズ3のACCORD II試験で、遠隔転移を有する膵癌(MPC)に対する1次治療としてFOLFIRINOX療法(オキサリプラチン+l-LV+CTP-11+5-FU)がゲムシタビン(GEM) 単独療法に比べて全生存期間(OS)(11.1カ月対6.8カ月)および無増悪生存期間(PFS)(6.4カ月対3.3カ月)を有意に改善することが報告され、現在、転移性膵癌の1次治療として推奨されている。

(本試験での)患者の選択基準は、腺癌または腺扁平上皮癌で、年齢は20-75歳、ECOG PSが0-1、測定可能な遠隔転移を有する(RECIST ver.1.0)こととし、36例の患者背景は、男性24人/女性12人、年齢中央値は61.5歳、PSは0が21例/1が15例、有効性では、完全奏効(CR)/部分奏効(PR)/安定(SD)/進行(PD)がそれぞれ0例/14例/11例/10例だった。RR は38.9%(95%信頼区間:23.1-56.5)、病勢コントロール率(DCR)は69.4%(95%信頼区間:51.9-83.7)。

OS中央値は10.7カ月(同:6.9-13.2)、1年生存率は41.5%(同:24.5-56.8)で、海外のACCORD II試験の結果とほぼ同様とみられた。

全36例中35例が治療を中止した。理由は、増悪27例、有害事象7例、被験者拒否/その他が1例だった。また、後治療のレジメンは、33例のうち28例がGEMを含む治療を受けていた。

以上のことから池田氏は、「日本におけるFOLFIRINOX療法は化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌(MPC)に対し、ACCORD II試験と同様の治療効果を示しており、ACCORD II 試験に比べて骨髄抑制に関連する重篤有害事象が高頻度に認められたが、本試験の登録基準を満たすMPC患者に対しては1次治療になり得る」と結んだ。

FOLFIRINOXを一次治療として行うのは、他の抗がん剤で弱った患者には使いにくいからでしょう。その後なら、ゲムシタビン、TS-1と抗がん剤を変えて治療を継続し、延命効果が期待できる。FOLFIRINOXは、PS0か1の患者でないと強力な副作用には耐えられない。「本試験の登録基準を満たすMPC患者に対しては」というのが要注意です。

完全奏功例が1例もないこと、36例中35例が途中で治療を中断しています。その理由として有害事象(副作用)があげられていることも気になります。ゲムシタビンを越える抗がん剤がFOLFIRINOX、アブラキサンと増えることは歓迎ですが、再発の恐れを抱えた膵臓がん患者としては、「もっと効果のある薬が欲しい」が本音です。





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2013年10月25日 (金)

アブラキサンの第3相試験:FDA

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雨の谷川岳の登山道にて


昨年12月に開催された、パンキャン主催の「膵がん勉強会 X'mas スペシャル 2012」において、杏林大学・古瀬純司先生が「FOLFIRINOXもまもなく国内での安全性確認の臨床試験が終わり、近々承認されるでしょう。アブラキサンも既に国内での臨床試験が始まっています。」と講演されましたが、それから1年が経とうとしています。ドラッグラグ解消が進んでいると厚生労働省は言うのですが、返って悪くなっているのではないかという気もします。

FOLFIRINOXは近々、転移性膵癌への保険適用になりそうです。しかし、あの地獄を見るような副作用では、対象となる患者は、身体状態の良い、若くて元気な患者、PS0(無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発症前と同様に振舞える)、PS1(軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働、座業はできる。例えば軽い家事、事務など)の患者に限られるのでしょう。つまり、膵臓がんのステージⅣbで、腫瘍が遠隔転移しているが、外見上は正常な人と同じ患者が対象となるはずです。そしてFOLFIRINOXの投与を受けたとたんに重症患者になってしまうのでしょう。

FDAは9月に、転移性膵癌の第3相試験「MPACT」の結果を受け、ゲムシタビンとの併用でアブラキサンを転移性膵癌治療薬の第一選択薬として承認しました。MPACT試験の結果はASCO2013でも発表されていますが、査読済み論文としてニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン10月16日号オンライン版に掲載されています。

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アブラキサンとゲムシタビンの併用療法を受けた患者はゲムシタビンの単剤療法を受けた患者と比べ、全生存期間で統計的に有意な改善を示すことが実証されました。(中央値が8.5カ月対6.7カ月、HR 0.72、p<0.0001)

アブラキサンとゲムシタビンの併用療法を受けた患者ほど(61%)、ゲムシタビン単独の患者と比べ(44%)、CA19-9の少なくとも20%低減を達成しました(p<0.0001)。治療開始8週までにCA19-9の20%低減を達成した患者における生存期間のランドマーク解析では、アブラキサンとゲムシタビンの併用療法を受けCA19-9反応を示した患者が、ゲムシタビン単独の患者と比べ、生存期間の有意な改善を示しました。(それぞれ13.2カ月と9.4カ月)(p<0.0001)

ASCO 2010では、アブラキサンとゲムシタビンの併用療法に結果、ダウンステージして手術が可能になった患者が23%いたと発表されたのですが、今回の試験結果ではそれらしき患者に触れていません。3年後には全員亡くなっています。

日本において保険で使える膵臓がんの薬はゲムシタビン、TS-1、タルセバの3種類ですが、タルセバとFOLFIRINOXは使える患者が制限されます。アブラキサンの早期承認が待たれるところです。

27日(日)にパンキャンの主催の『すい臓がん啓発パープルリボンセミナー2013 in 東京』でもこうした最新の話題が紹介されるのでしょう。

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2013年10月24日 (木)

谷川岳・照葉峡で紅葉撮り 混浴露天風呂にへぎ蕎麦

22日に谷川岳・照葉峡に行ってきた。例によって午前1時に出発。台風27号の影響が心配だったが、天気予報では一日曇りの予想です。21日は谷川岳の天神平も快晴だったらしい。4時半にロープウェーの駐車場に着くころにはぽつりぽつりと雨が降ってきた。

6時半、霧雨の中をレインコートを着て一の倉沢まで登り始める。マイカー規制で通行止めの道を、1時間かけて徒歩で一の倉沢に到着。

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紅葉は見頃なのだが、雲が垂れ込めて谷川岳はまったく見えない。

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雲の合間から太陽が見えることを期待して1時間ほど粘ってみたが、これから更に雨が本降りになるというので、あきらめて下山。午後からの予定だった照葉峡に向かう。

ところが、藤原湖を望む峠を越えると、青空も見えるではないか。峠を一つ超えるとまったく天気が違う。

関東の奥入瀬と言われる照葉峡には、すでに沢山のカメラマンが撮影していた。

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藤原郷の山道で、墓地を守るように艶やかに色づいたにみごとな大木があった。モミジか楓なのか分からないが。DP2M2740

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2013年10月23日 (水)

糖質制限食とこむら返り

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昨日の撮影旅行。みなかみ町の裏見の滝。紅葉も見頃でした。


6年前、こむら返り、酷い喉の渇きが起きたのが膵臓がんを見つけるきっかけだったのですが、最近またこむら返りが頻繁に起きるようになりました。サンダルに足を入れようとしただけでこむら返りが起きることもあります。先日などは夜半過ぎに両足のふくらはぎから足の指が同時に痙攣し、痛みで目が覚めて七顛八倒していました。これしきの痛みで七顛八倒していたのでは、膵臓がん末期の痛みに耐えられるのかと、余計なことも考えながら、揉んでみたり反り返った指を反対向きに押さえてみたりとしているうちに、何とか収まりました。

糖質制限をしているおかげで血糖値は良くコントロールされていて、決して高いわけではなく、原因がよく分かりません。地元の病院の先生に相談しても、膵臓の働きとは関係ないだろうとのことで、よく効く漢方薬があるからと芍薬甘草湯を処方されました。調べてみると、この漢方は、こむら返りには驚くほど効くようですね。

さらにネット上で調べてみると、「糖質制限食とこむら返り」という江部先生のブログを見つけました。「糖質制限食だと肉や魚介類や野菜・海藻などおかずを沢山摂るので、ビタミン・ミネラル不足は起こらない。そして糖質制限食実践中の患者さんで、いままでこむら返りの訴えは、ほとんどない」しかし、江部先生のブログへのコメントでは、厳格な糖質制限食をしている患者で、ときおり酷いこむら返りに悩まされている人もいるようです。

厳格な糖質制限食で、野菜や魚をあまり食べない人に多いようですが、私の場合は野菜も肉も魚も摂るプチ糖質制限食ですから、あてはまらないように思います。また、マルチビタミンをのみ始めたら、こむら返りがぴたりと起こらなくなったというコメントもありましたが、マルチビタミンなら私は以前から摂っています。

結局未だに原因が特定できませんが、加齢によって寝返りが少なくなることも原因だとも言います。これまでは下着だけで寝ていたのを、下半身が冷えないようにトレーナーを着て寝るようにし、芍薬甘草等の効果もあったのか、それ以後は起こらなくなりました。昨日は谷川岳と照葉峡への強行軍で、結構勾配のきつい登りもあり、裏見の滝への急峻な階段もあったのですが、こむら返りは起きずに済みました。

とりあえずは野菜の量を増やして海藻類も加えながらようすを見ることにします。

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2013年10月20日 (日)

加島祥造さんのように生きるのは難しい

「この爺さん、そんじょそこらの爺じゃない」で始まる加島祥造さんのETV特集を観ました。「死は怖くないですか?」「なんでそんなこと聞くのよ。心配するなんか、くだらないことだよ」
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これまで何回か加島さんのテレビを観てきたが、今回の番組では「老子」も「タオ」もひと言も登場しなかった。著作でもあまり触れることのなかった加島さんの挫折の人生、国立大学の教官として、また翻訳家として成功しながらも、本来の自分とは違うという葛藤の末に、職も家族も放り投げてしまう、そんな一見わがままとも見られる行動の裏に何があったのか。

世間的には無責任と非難されるような彼の人生だ。高校生の息子さんと奥さんを見捨てて、自分の心の命じるままに生きた人だ。そのために奥さんはひどい精神的状況になったという。その奥さんを支えたのは高校生の息子さんだった。

胃を三分の一も切ったというのだから、うつ病に近かったのかもしれない。加島さんとしてはこれ以外の方法は見つけられなかったのだろうが、私にはできそうもないなぁ。姜尚中さんとの対談も伊那谷の風景に溶け込んでいた。彼も息子さんを自殺でなくしているという。
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加島さんとの対談をきっかけに、東大を退職する。そして「これまでと違う人生を歩んでみたい」。「生きることは、幸せを見つけることではない」とぽつりと言う。

しかし、加島さんの生き方、何か違うなぁ。社会のしがらみを断ち切り、隠遁生活をするのが老子のタオなのか。違うような気がする。巧くは言えないが、原発のことも世の中のできごとにも目をふさいでいるだけで良いのだろうか。老子は決してそのようには言っていないのではないだろうか。人は決して独りでは生きられないのだから。

私も65歳、これまでとは違う生きた方をしてみようとは思うが、加島さんのような「だた、自分のために」という生き方は無理だね。できない。

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2013年10月18日 (金)

がんの放置療法

東京新聞・中日新聞の17日付記事で『「自ら考え、決める」貫く がん患者の記録映画 各地で上映』が掲載されています。乳癌患者の渡辺容子さんは主治医だった近藤誠医師の考えに共感し、積極的な治療をしないという「がん放置療法」を選んだのでした。彼女の死までのドキュメンタリー映画です。

渡辺容子さんには『乳がん 後悔しない治療──よりよく生きるための選択』『「乳がんです」と言われたら、あわてて切ってはいけない!』の著作もあります。近藤理論に従えば、彼女のがんは「本物のがん」だったということになるのでしょうか。しかし彼女の場合、初期のうちに切除しておけば完治した可能性もあります。近藤氏は「本物のがんは、発見された初期のうちにすでに転移している」と主張するのですが、放置したがために転移したのかもしれません。

近藤理論は「がんは遺伝子の病気」であり、がんの性質はずっと変わらないと言います。しかし、これは近年の研究とも相容れない主張です。がんは成長の過程で耐えず遺伝子の変異を繰り返していることが分かっているのです。どんどん悪質になっていきます。本物のがんなのか、がんもどきなのかは転移するまで分からないという近藤理論は「後出しじゃんけん」です。6年たっても転移していない私の膵臓がんは「がんもどき」だとでも言うのでしょうか。手術する必要はなかったのでしょうか。そうしていれば、多分今頃は生きていないでしょう。

記事では、渡辺さんとは対照的に、積極的な治療を選んだ子宮肉腫の患者を紹介していますが、より悪性度の高い子宮筋腫と比較するのは適当ではないでしょう。同じ乳がん患者で、治療をした患者と無治療で放置した患者を多数集めて比較しないかぎり、近藤理論の正当性は主張できないはずです。

念のために付け加えておきますが、私は渡辺容子さんの選択が間違いだと主張するのではありません。彼女自身が考えて決断したことですから、それに対して誰も非難する権利などありません。ただ、同じ17日付のヨミドクターの記事『「医者に殺されない47の心得」反響から』には、4月から近藤誠氏が開設したセカンドオピニオン外来には、1100人が相談に来ていると書かれています。この本や渡辺容子さんの映画を見て、治るはずのがんを放置する患者が増えやしないかと心配です。

近藤先生、慶応病院を定年退職されて「近藤誠がん研究所」を開設したのですね。セカンドオピニオン外来専門のようです。それにしても30分で税込31,500円は高すぎないですか。私も2回セカンドオピニオンを受けましたが、植松先生のUASオンコロジーセンター、梅澤先生ともに30分で21,000円でした。近藤先生のサイトには、がん研などと同じ相場だと書かれていまし、貴重な専門的知識が3万円で得られるなら安いという考えもありますが、近藤先生にセカンドオピニオンを受けても結果は「放置した方が良い」という結論しかもらえないのでしょう。3万円も払ってセカンドオピニオンを受ける価値があるのかどうか疑問です。

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2013年10月16日 (水)

ETV特集で加島祥造さん

ETV特集が10月19日(土)23:00から加島祥造さんを取り上げます。タイトルは『ひとりだ でも淋(さび)しくはない~詩人・加島祥造 90歳~』

このブログでも加島祥造さんの老子訳を何度か取り上げていますが、私が加島祥造さんを知ったのは、中野孝次のいくつかのエッセーを通してでした。そして彼の老子の自由訳を読み、引き込まれてしまいました。難解な老子が、寺田寅彦の言葉を借りれば「まるで背広にオーバー姿で電車の中でひょつくり隣合って独逸語で話しかけられたよう」に、すとんと腑に落ちたのでした。

晩年に陥った恋に破れて信州の伊那谷に居を構えて『晩晴館』と命名しています。新聞もテレビもない暮しです。伊那谷にタオを見、足るを知り、あれこれと求めない。くよくよせずに自然と遊び、まぁこんなものかと今の自分に満足すれば、人生が生き生きとしてくるのです。膵臓がんを告知されてもあたふたせず、やるべきことをやったら、その結果を受け入れる。死ぬのは当たり前の現象だから、大騒ぎするほどのことではない、こうした考えに幾分でも近寄ることができたのは、加島祥造さんのおかげです。

膵臓がんの告知を受けてから手術までの間、「拾った命だから、のんびり生きる」でこんなことを書いています。

(2000年の直腸癌の手術から)こうしてもう手術後6年になる。5年経てば一応ガンは完治だといわれているから、安心してよいだろう。昨日アフラックの医療保険にも堂々と加入手続きができた。

命拾いしたのはこれで二度目ということになる。二十歳のころ交通事故で奇跡的に一命をとりとめたことがある。そのときは『せっかく拾った命だから、立派な人生を送ろう』と決意したものだ。これまでの人生はその決意に恥じないものだったと自分では思っている。 そして五十歳でガンになり、また命を拾った。

そしてこう思った。『せっかく拾った命だから、のんびり生きよう』と。

本当は私も、新聞もテレビもインターネットもない暮しをしたいものだと思うのですが、無理かなぁ。

  1. がん患者と老子
    いたものだ。老子の漢文は難解ですが、幸い加島祥造の現代語訳を知ることができ、加島訳の老子は私の胸にすとんと落ちました。このブログでも何度も紹介してきました。老...
  2. 治らなくても「敗北」ではない
    。そんな彼女が、もう最後だと思ったときの加島祥造との対談があります。その対談で、 ...
  3. ひとり茶
    と香りがあれば、がん患者としては満足だ。加島祥造の『ひとり』に「ひとり茶について」の一節がある。加島はそれなりの茶道具を持っているようだが、毎朝の”ひとり茶”...
  4. 小さき花
    の個展も開いています。その金澤翔子さんが加島祥造さんと出会って生まれた『小さき花』を読みました。その躍動するような書には、書に関する知識の全くない私でも感動し...
  5. 『哲学者とオオカミ』がん患者&生&死
    うよりも「オオカミ」である。ここはやはり加島祥造の「タオ-老子」を持ってこなければならないだろう。美しいと汚いは、別々にあるんじゃあない。美しいものは、汚いも...
  6. 静けさに帰る
    グに、老子の『道徳経』第16章「帰根」を加島祥造さんの自由訳・自由詩で紹介しましたが、老子のいくつかの章をテーマにして写真展に出したことがあります。第3章、1...
  7. 玄米菜食始めました
    章「帰根」もおなじことを言っていますね。加島祥造さんの訳した自由詩だとこうなります。静けさに帰る(第16章)虚(うつろ)とは受け容れる能力を言うんだ。目に見え...
  8. 彼岸花と道元の死生観
    するな。嫌うなと断言するのである。そして加島祥造は「求めない」の詩文集の冒頭に、 あらゆる生物は求めている。命全体で求めている。一茎の草でもね。でも花を咲かせ...
  9. 「求めない」 加島祥造、老子、セネカ
    『求めない』 加島祥造加島 祥造 小学館  2007-06-29売り上げランキング : 4045おすすめ平均  ...
  10. 加島祥造のタオ-老子
    といわれる書物だった。その中に中野孝次や加島祥造のものが何冊かあった。3年ほど前に中野孝次が亡くなったとき、写真支部の会報にこのような文章を書いた。7 月16...
  11. 拾った命だから、のんびり生きる
    ってたかの知れた社会なんだ。      加島祥造「タオにつながる」より。二度も命拾いをしたうえに、命を大切に生きる=タオに生きる ことまで教えられたんだから、...

伊那谷の老子 (朝日文庫) 伊那谷の老子 (朝日文庫)
加島 祥造

老子までの道―六十歳からの自己発見 (朝日文庫) タオ―老子 (ちくま文庫) 『求めない』 加島祥造 老子と暮らす 知恵の森文庫 わたしが人生について語るなら

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2013年10月11日 (金)

道元の「生死」観:『正法眼蔵』がおもしろい(2)

道元を逆輸入する ネルケ無方氏がこの「現成公案」を一度英語にしてから現代語訳した本が出版されている。『道元を逆輸入する』。なるほど、英語訳するためには道元の言わんとするところをしっかりと掴んでいなければできない。そして英訳から現代語訳に直すことで、曖昧だったところが明確になる。

しるべし、薪は薪の法位に住して、さきありのちあり。前後ありといえども、前後裁断せり。灰は灰の法位にありて、のちありさきあり。

You should know that firewood is just this thing called firewood, with its own "before" and "after". There is a "before" and "after" but "before" and "after" are separate. Ash is just this thing called ash, with its own "after" and "before".

<よく知りなさい。薪は、ただ薪と呼ばれるそのものだ。そのものには、そのものの《前》と《後》がついている。《前》があリ《後》があるが、その《前》と《後》は切リ離されている。灰も、ただ灰と呼ばれるそのもの。そのものには、《前》と《後》がついている>

「法位」を"just this thing"と訳しています。「ちょうど、このこと」とフリーな訳です。これを理解するためには、私たちの時間観、時間は過去から、現在、未来に一直線に連続して進むという考えを見直さねばなりません。そんなことはないだろう、と思うかもしれませんが、一般相対性理論でも、大きな重力のあるところでは時間はゆっくりと進むことが明らかになっているのです。もちろん道元が相対性理論を知っているはずはありません。薪には前も後もあるが、それは私たちの脳が「連続している」と感じているだけであり、実際には、いまこの一瞬、時間が止まってそのものがただ独立しているというのです。

かのたき木、はひとなりぬるのち、さらに薪とならざるがごとく、人のしぬるのち、さらに生とならず。

Just as that firewood, after it has become ash, shall not return to being firewood, you shall not be born again after you die.

<薪は、灰になった後、再び灰に戻らないと同じように、あなたも死んだ後、再び生まれることはない>

これは当たり前のことです。しかし、次の一節はなかなか腑に落ちない。

しかあるを、生の死になるといはざるは、仏法のさだまれるならひなり。このゆえに不生といふ。死の生にならざる、法輪のさだまれる仏転なり。このゆえに不滅といふ。

If you awaken to the state of things you do not say that "life becomes death". You say,"Unborn". When you awaken to the activity that spins around things,you realize that death does not become life. You say, rather "Imperishable".

<あなたが事々のありように目覚めているなら、「生は死になる」などと言わない。「生まれていない」と言う。あなたが事々を回転させるその働きに目覚めたとき、死は生にならないと気づく。むしろ、「消滅しえない」と言う>

生は生の法位にあり、死は死の法位にあって独立し断絶しているのだから、時間の前後関係はない。だから生が死になるのではなく、死の状態は「まだ生まれていない」状態である。ロウソクが燃えながら徐々に消えていくとき、そこには「生」と「死」が同時に存在している。だから「死は生にならない」とはいえ、「生」は「死」とともにあるのだから「消滅しえない」のである。

生は来(らい)にあらず、生は去(こ)にあらず。生は現(げん)にあらず、生は成(じょう)にあらざるなり。しかあれども、生は全機現なり、死は全機現なり。しるべし、自己に無量の法あるなかに、生あり、死あるなり。(「正法眼蔵」「全機」)

Life does not come, life does not go. Life is not complete, nor will it be completed. Still, life is a manifestation of the whole dynamism, and death is a manifestation of the whole dynamism. You should know that among the uncountable features of yourself, there is life, and there is death.

<命が来るわけでも、去るわけでもない。完成されたわけでも、これから完成されるわけでもない。それでも、命は全体の働きの現れであり、死もその全体の働きの現れだ。よく知りなさい、あなたを構成している数えられない要素の中には、生もあれば死もある>

ネルケ無方氏は「全機現」を「manifestation of the whole dynamism」と訳して、さらに「全体の働きの現れ」と日本語にしている。

私はこれを次のように解釈してみた。

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2013年10月 7日 (月)

道元の「生死」観:『正法眼蔵』がおもしろい

道元の『正法眼蔵』は難解だ。石井恭二や増谷文雄の訳を読んでもなんだか分かったようで、よく分からない。

諸法の仏法なる時節、すなわち迷悟あり修行あり、生あり死あり、諸仏あり衆生あり。万法ともにわれにあらざる時節、まどひなくさとりなく、諸仏なく衆生なく、生なく滅なし。仏道もとより豊倹より跳出せるゆゑに、生滅あり、迷悟あり、生仏あり。しかもかくのごとくなりといへども、花は愛惜にちり、草は棄嫌におふるのみなり。

「もろもろのことどもを仏法にあてていうとき、迷悟があり、修行があり、生があり死があり、諸仏があり修行がある。よろずのことどものいまだ我にかかわらぬ時には、迷いもなく悟りもなく、諸仏もなく衆生もなく、生もなく滅もない。」と、このように置き換えられても、道元の言わんとするところが伝わってこない。私が理解できないだけなのかもしれないが。

道元断章―『正法眼蔵』と現代 むしろ学者でない人の書いたもののほうが、胸にすとんと落ちてくる。古書でしか手に入らないが、中野孝次の『道元断章―『正法眼蔵』と現代』が良い。有名な「現成公案」の薪と灰の章がある。

たき木、はひとなる、さらにかへりてたき木となるべきにあらず。しかあるを、灰はのち、薪はさきと見取すべからず。しるべし、薪は薪の法位に住して、さきありのちあり。前後ありといえども、前後裁断せり。灰は灰の法位にありて、のちありさきあり。
かのたき木、はひとなりぬるのち、さらに薪とならざるがごとく、人のしぬるのち、さらに生とならず。しかあるを、生の死になるといはざるは、仏法のさだまれるならひなり。このゆえに不生といふ。死の生にならざる、法輪のさだまれる仏転なり。このゆえに不滅といふ。生も一時のくらいなり、死も一時のくらいなり。たとへば、冬と春とのごとし。冬の春となるとおもわず、春の夏となるといはぬなり。(現成公案)

中野孝次は「道元は、わたしの時間観念、因果観念、生死観念を根底からくつがえし、ぶっ壊してしまうような、おそろしいことを言っているのである」と驚愕する。薪の時は薪があるだけ、灰の時は灰があるだけ、過去と未来という関係ではないのだ。死んだ後に生になることは決してない。生が死になるとも言わない。生は生で完結しており、死は死で完結している。

「全機」の章ではまたこのように言う。

現成これ生なり、生これ現成なり、その現成のとき、生の全現成にあらずといふことなし、死の全現成にあらずといふことなし。この機関、よく生ならしめ、よく死ならしむ。この機関の現成する正当恁麼時(しょうとういんもじ)、かならずしも大にあらず、かならずしも小にあらず。遍界にあらず、局量(こくりょう)にあらず。長遠(ちょうおん)にあらず、短促にあらず。いまの生はこの機関にあり、この機関はいまの生にあり。生は来(らい)にあらず、生は去(こ)にあらず。生は現(げん)にあらず、生は成にあらざるなり。しかあれども、生は全機現なり、死は全機現なり。しるべし、自己に無量の法あるなかに、生あり、死あるなり。

生も死も、全宇宙のすべての要素が相互に関連し、ダイナミックに運動する中での、「私の生であり、死である」というふうに解釈した。ここには仏教の、死んだ後に極楽浄土に生まれ変わるとか、永遠の輪廻転生という考えは見られない。全宇宙の存在が、「今ここに」ある瞬間に、相互に作用し合い、生として現成し、死として現成しているのだ。だから、生が死になるのではなく、全宇宙のダイナミックな働き(全機現)としての生であり死であるからして、生の前後はあるが、前後は裁断しており、死の前後も裁断しているのである。生と死だけに因果関係があるのではない。

がんになれば誰しも死を意識する。道元を読むも良し。良寛もいい。老子だって2500年読まれている。自分なりの生と死のとらえ方を考えてみるのも良い。

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2013年10月 3日 (木)

四万十のゲリラ医者

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岩間四万十茶屋から見た岩間沈下橋


先週四万十に行った折りに、立ち寄ったところが2カ所ある。

大野内科は、赤鉄橋の橋のたもと、トンボ公園に向かう途中にあった。(両方の看板が見えます)

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ここの院長をしている小笠原望先生は、アピタルで『診療所の窓辺から』というエッセイを書いている、ご自身では「四万十のゲリラ医者」と自認している先生です。地域の在宅医療に24時間どこでも駆けつける、神出鬼没な有り様を「ゲリラ医者」を称したのでしょう。

いのちの仕舞い―四万十のゲリラ医者走る! いくつかの著作もあり、『いのちの仕舞い―四万十のゲリラ医者走る!』の表紙は夕焼けに映える赤鉄橋が使われている。アピタルのエッセイにはこんな言葉があった。

何がおこっても、それを受け止めて柔軟に対応してゆく。臨床で鍛えられたことは、親が病気をした時にも、思春期の子どもたちへの対応にも役に立った。びっくりすることが起こっても、腹は据わっていた。
四万十川には沈下橋がある。台風の大増水の時には、水の中に隠れて台風の過ぎるのを静かに待っている。

沈下橋のように、ぐっと堪えていれば、物事はまた好転することもあるのだ。小笠原先生は川柳もよくします。

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2013031400006_1 【今月のことば】全長196キロの四万十川。河口に近い堤防を訪問診療を終えて走るとき、上流の山々が夕焼けで赤く染まっています。夕焼けを見ながら、超高齢者の毎日、精いっぱいのぎりぎりのいのちを思います。いのちを支える介護する家族の顔も浮かんできます。そして、大河の中には何億のいのちが生まれ、そして死のあることも感じつつ……。

もう1カ所は幸徳秋水の墓。同じく高知出身の中江兆民に師事した思想家であり、後に無政府主義に傾倒していった。捏造された大逆事件(明治43年)で死刑判決を受け、他の死刑囚12人とともに、判決後わずか1週間後の明治44年1月24日、刑が執行された。

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右上の塀の向こうに白い壁が見えるが、高知地方検察庁中村支部の建物である。その隣には裁判所もある。明治政府に殺された秋水の墓の隣が、国家権力を代表する検察庁という取り合わせも皮肉な話である。先の太平洋戦争のころは、秋水の墓参りに来る人間を、特高が検察庁の窓から撮影していた、と地元の方が話してくれた。

いま「秘密保全法(案)」が取りざたされている。女優の藤原紀香さんもブログで、その内容に危惧を表明していた。国家が戦争をやりたがる時は、税金が上がり国民の批判を封じようとするのは、古今東西世の常である。秋水の墓に手を合わせながら、辺見庸が言う「個として戦端を開け」を反芻していた。時代を逆行させてはならない。

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2013年10月 2日 (水)

13/9月 ツイートのまとめ


キノシタ @Oncle1316 
『ジエンド・オブ・イルネス』過剰なビタミンCはがんを育てる:をブログにアップしました。がんをコントロールするのに、がんを理解する必要はない。腫瘍はビタミンCが大好物なのでビタミンCを過剰摂取すると、がんに餌を与えることになりかねない。 http://pancreatic.cocolog-nifty.com/oncle/2013/09/post-ba4b.html

 
キノシタ @Oncle1316 
28歳、余命半年の癌を「退院したら風俗店に行こう」を目標に克服。頭を隠すため帽子をかぶって裸になった彼に、風俗嬢が「がんなんでしょ」元看護師の彼女も子宮癌摘出し7年後も元気。「だからあなたも元気になれる」号泣した彼は奇跡のように回復 http://www.news-postseven.com/archives/20130929_213455.html

キノシタ @Oncle1316 
重粒子線治療費を銀行から融資を受けた金利6%を佐賀県が助勢する:国保保険料の未納者も多いのに、300万円を返済できる患者に金利を助成する必要があるのか? 国保料引き下げが先ではないか。「先進医療」とは、まだエビデンスのない医療だ。 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saga/news/20130927-OYT8T01259.htm 

キノシタ @Oncle1316 
降圧剤不正:不当利益「算定を」:野球や相撲で「八百長」をすれば「業界」から永久追放でしょ。ノ社は捏造した論文を利用して不正に得た健康保険からの収入は全額返還するのが当たり前だが、刑事告発して「医薬業界」から永久追放すべきです。 http://mainichi.jp/select/news/20130927k0000m040134000c.html 

キノシタ @Oncle1316 
「エピジェネティック療法で86%の患者に完全寛解!」これはビックリするような治療成績です。しかも95%の患者がステージ4だというのだから。エピジェネティック療法は非常に有望は分野だと思う。http://pancreatic.cocolog-nifty.com/oncle/2013/01/1-c170.html http://www.cancerit.jp/23355.html 

東京都立図書館 @tm_library  
「膵がん」について都立中央図書館1階医療・健康情報コーナーで11月6日(水)まで健康・医療情報トピックスをミニ展示中です。 #医療 #健康 詳細はFacebookでご覧ください。 https://www.facebook.com/tmlibrary#!/photo.php?fbid=707257442622411&set=p.707257442622411&type=1 

神戸タイムズ @KOBE_TIMES  
血液1滴で膵臓がん診断 神戸大など成功 - 神戸新聞 http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201309/0006363369.shtml 

キノシタ @Oncle1316 
癌または癌治療の副作用によってうつ病になりやすい。うつは全生存および無病期間に対して悪影響を及ぼすことが分かった。行動的介入を行うことで癌患者の生存を延ばすことが示された。 http://www.cancerit.jp/23654.html 

キノシタ @Oncle1316 
日本人のビタミンD摂取量は、諸外国に比べて少ない。乳幼児のビタミンD欠乏性くる病。 http://sankei.jp.msn.com/life/news/130924/bdy13092411300003-n1.htm 


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2013年10月 1日 (火)

明日の風さん、永眠される

明日の風さん、今はゆっくりとおやすみください。あなたの膵臓がんとの闘い、そして最後の最後までご自身の病状をブログに綴られ、なお前に進もうとするあなたの闘病姿勢に、どれほどたくさんの患者が励まされたことでしょう。

思い起こせば、私が「明日の風」というブログを拝見し始めた時は、スキルス性胃がんで闘病中のお父上が書かれておりました。「かわもと文庫」の「終末期をどう生きるか」は、河本さんの真摯な人柄が伝わってまいりました。

その闘病記を『65歳のがん治療日記―余命半年。それでも私は幸せだった』として出版されたご子息が、なんと42歳で、私と同じステージⅢではあるが手術不能の膵臓がん!

運命のいたずらに唖然としたものでした。しかし、その運命に抗して、膵臓がんに毅然と立ち向かい闘われました。その様子を逐一ブログに更新されて、膵臓がん患者と共有しようとされました。最後まで希望を失わず、闘病の様子を綴りつづけたのは、中島梓の『転移』をも凌駕するものでした。最期はまさにお父上の書かれた「終末期をどう生きるか」を実践された生き様でした。

今はゆっくりとおやすみください。

そして、たくさんの勇気をいただき、ありがとうございました。(合掌)

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