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2014年4月

2014年4月30日 (水)

出張中です

今週は月曜から金曜までずっと出張です。宿の食事はいいのですが、どういうわけか風邪をひきました。みんなが「暑くて寝られない」と言っているのに私だけが寒くて毛布を引っ張り出して寝ましたが、案の定翌日から鼻水、咳。

糖尿病薬の副作用の下痢に加えて風邪による下痢。トイレに頻繁に往復しています。寝るときには紙おむつが欠かせない (^Д^)。

大部良くなりましたが、現場を走り回ったりの作業はきつかった。

あるAndroidアプリを開発する必要が出てきたので、来週からはEclipseでJavaと格闘です。別の開発依頼も受けてしまって、こちらはC++。頭が痛い。ま、ボケ防止にはなりそうですが。

しばらくはブログの間隔が開くかもしれません。

2014年4月27日 (日)

福聚寺の枝垂れ桜。アミターバ

アミターバ―無量光明 (新潮文庫) 玄侑宗久さんの代表作『アミターバ 無量光明 (新潮文庫)』は、がん患者としてはぜひとも読んでおきたい本です。「アミターバ」とは「阿弥陀如来」の梵語表記。玄侑さん自身がこの本を次のように評しています。

死の瞬間、私は発光体になって輝く世界に入った。そして……。 死を恐れるすべての人のための究極の物語。 末期ガンに侵された母。死の影を間近に感じつつも努めて明るく振舞おうとする母を、献身的に看病する娘小夜子と夫の僧慈雲。 魂は不滅なのか。 はたして、人間の魂はどこに向かうのか。 死の瞬間、そしてその後の世界を描く、究極の生の物語。 「アミターバ。つまり無量の光。あるいはアミターユス。阿弥陀さんですよ。いいですかお母さん、極楽浄土ってのは、なにか私らには計り知れない存在の意志や思いが実現してる場所らしいんですよ。それを疑わないことです」ガンで闘病する、僧慈雲の義母の最期の三ヵ月、死の瞬間とその後を圧倒的な迫力で描いています。本書によって死の恐怖や悲しみから癒される読者が多い事でしょう。

死が近づくにつれて、意識があの世に逝ったり還ってきたりするのです。そしてトンネルの向こうにまばゆい光が現れて、その光の中に入っていくことに無量の喜びを感じるようになる。「死」とは忌み嫌うものではなく、むしろ此の世に呼び戻されることが苦痛と感じるほどの幸福感に満たされた状態なのです。

慈雲さんの義母ががんになった主人公ですが、あるときエネルギーの話をするのです。慈雲さん、僧侶でありながら物理学にも詳しいらしい。「原子」や「クオーク」、はてはこの自然界の究極の単位は「ひも」であると、超ひも理論まで持ち出してきます。宇宙の総エネルギーは一定だから、人が死ぬ瞬間にからだの1gが全部エネルギーに変わったとしたら、「10の14乗ジュール」という熱エネルギーになる。25メートルプールの529杯分が瞬時に沸騰する熱量である。ま、これはアインシュタインの有名な式 E=mC2 から導かれるのですが、この膨大なエネルギーの大部分は使われずに残って、それが阿弥陀如来という力に集約され、アミターバという浄土、無量光明土を現出させているのではないか、と。

人は死んでも宇宙の全エネルギーは一定であり、存在の仕方を変えるだけのことだというのでしょう。もともと何もない「無」からわたしたちは突然「生」を受けたのであり、それがまた別のエネルギーに変わってこの宇宙のどこかに存在するのです。死んでも何も無くなりはしないのです。

ながながとなりましたが、滝桜のあとは、その玄侑さんが住職を務める福聚寺(ふくじゅうじ)の枝垂れ桜を見物に三春町内へ。ここからは写真だけにしましょう。

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撮影旅行に欠かしたことがないのが蕎麦屋。この日は三春の「そば遊膳 たむら屋」。田舎蕎麦のように黒い二八蕎麦でそば粉は北海道のものを使っているそうだ。福島も蕎麦の産地なのにどうしてか? もちろん放射能を心配してのことだろう。野菜天ざるを頼んだが、めっぽうコシのある美味しい蕎麦でした。食べログの評価は低いですが、蕎麦通の私は推薦します。

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持参した個人線量計は最大値が記録できる機種ですが、この日の最大値は 0.327μSv/h でした。年間1mSv以下になるためには0.23μSv/hですから0.1ほど高い値です。

まだ所々にホットスポットが残っているのです。

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2014年4月26日 (土)

三春、霧の滝桜

22日に三春の滝桜を撮りに行ってきました。いつも通り、午前1時に出発。あいにく小雨が降っていましたが、予報では曇りのち晴れになっていることを期待して300キロを走りました。午前5時に現地に到着。すでにたくさんの、50人以上のカメラマンが三脚を構えています。

ご覧の通りのみごとな姿を見せてくれました。満開です。

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ところが、日の出とともに徐々に霧が出てきました。普通は日の出とともに霧が上がるのですが。しかし、霧の滝桜はめったにないチャンスです。

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幻想的な雰囲気に、霧中でシャッターを切りました。(「夢中」が「霧中」に誤変換されたが、これも愛嬌)

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この位置からの構図は、霧がなければ後の民家が映り込んで、雰囲気が出ません。霧のおかげで印象的なショットになりました。

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ひとつモノクロで仕上げてみました。墨絵のような滝桜です。あえて逆光で太陽を入れてみましたが、さながら月夜のように見えます。モノクロフィルムの粒状性を再現するためにGrainを少しかけています。

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このあとは、三春町内に移動して、玄侑宗久さんが住職を務めている臨済宗妙心寺派の福聚寺などを散策。福聚寺の枝垂れ桜もみごとでしたが、この次に。

「三春」の名の由来は、一般的に「梅・桃・桜の花が一度に咲き、三つの春が同時に来るから三春と呼ばれるようになった」と言われています。しかし、現在の三春の気候で、こうした状況に逢えるのはまれなことらしいです。さすがにこの時期に梅は無理で、この写真↓も梅の代わりに水仙です。

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よく歩いたなぁ。これでエピジェネティクス効果で遺伝子が活性化され、免疫力も相当アップされたに違いありません。何よりも楽しかった。これが一番。

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パンキャン:サバイバーストーリー

パンキャン・ジャパンの公式ホームページに、私のサバイバーストーリーをアップデートされたものが掲載されました。2013年4月に一度掲載されたものは、膵臓がんの発見から闘病の初期のことを書いたのですが、今回はより字数も増やしてがんとの闘いで思うことなどを書いてみました。

大切だと思うことを次の3点にまとめています。

  1. 第一に心の平安を保つこと。心の有り様はがんに大きく影響します。プラシーボ効果があるということは、心が身体に大きく影響することの証しです。そして自分なりの「死生観」を持つこと。「死」に怯えているとネシーボ効果(プラシーボ効果の反対)で悪影響を被ります。
  2. 次が、適切な運動。運動の効果には多くのエビデンスがあります。とにかく「歩け、歩け」です。 (昨日のブログにも書いたとおりです)
  3. そして食事と栄養。がんと戦うには体力が必要です。必要な栄養素を過不足なく摂り標準体重を維持するよう努めること。サプリメントや極端な食事療法、ジュース療法などはエビデンスの有無をよく考える必要があります。 食事療法などの「もの」に頼るのは、優先順位としては低いのです。しかし、これが一番だと考えているがん患者が多いです。

掲載日付は原稿を渡した昨年の時点になっていますが、オープンになったのは昨日でした。ご覧いただければ幸いです。

サバイバーストーリー:アップデート

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2014年4月25日 (金)

がんと運動:アピタル夜間学校

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アピタル夜間学校の「がんと運動」のビデオがYouTubeにアップされています。気にはなっていたのですが、実際の講義のときには見ることができませんでした。

夜間学校『もっと知ってほしい がんと運動のこと

がん患者なら誰しも「特効薬」がありはしないかと探すのですが、そんなもの、あるはずがありません。なかには「○○水」などというがんに効く水もあり、ブログでもその効果を信じている方もいるようです。そんなものを探すよりも、毎日適当な運動をする方がよほど効果があります。

講義でも「一部のがんでは、運動をすることで死亡や再発リスクを減らすことが示されている」と述べていますが、エビデンスとして示すことができたのが一部のがんであり、その他のがんでは試験をするまでに至っていないだけのことです。つまり、多のがんでも運動によって死亡や再発リスクを減らすことができると考えて、ほぼまちがいはないでしょう。

たとえば乳がんでは、週に1時間程度のウォーキングで全死亡リスクが40%減り、再発リスクが25%減るとされています。この程度の短い軽い運動ですらこうした効果があるのです。
Imageyositakapc4 大腸癌においても、運動と全死亡リスク、無病生存期間に大きな効果があるのです。
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METsとは運動量の単位ですが、18METs・時間/週がウォーキング5~6時間に相当します。毎日1時間程度歩くことで、死亡率も再発率も大きく下がるのです。

講義では「運動は免疫を不活化(活性化)する」のが効果の原因だと述べています。より最近の研究では、運動が直接遺伝子に影響をするというものもあります。

 運動はなぜ健康に良いのか。それは、運動することによってミトコンドリアのエネルギー産生や代謝関連の遺伝子が活性化され、糖尿病にかかりにくい体質になるためだということが知られている。しかし、それらの遺伝子がどのように活性化されるのか、これまでよく分かっていなかった。

スウェーデン・カロリンスカ大学のRomain Barres氏らは、運動後数時間以内に遺伝子のプロモーター領域(転写因子が結合する遺伝子の上流領域)のDNAメチル化が低下し、遺伝子が活性化される可能性を明らかにし、Cell Metab(2012; 15: 405-411)に発表した。分化した細胞では安定していると思われていたゲノムのメチル化が、運動によって意外にもダイナミックな制御を受けることが明らかとなった。

運動で特定遺伝子の脱メチル化・発現が一過性に上昇

Barres氏らは、定期的な運動をしていない健康な20歳代半ばの男女から、運動強度を変えた運動の前後で大腿筋を採取し、ゲノムのメチル化度を調べたところ、エネルギー代謝に関連するいくつかの遺伝子(PGC-1α、PDK4、PPAR-δ)のプロモーター領域が、運動後その運動量に依存して脱メチル化されていることを見いだした。

一方で、エネルギー代謝とは直接関係のない、筋肉特異的な転写調節因子遺伝子(MYOD1)やハウスキーピング遺伝子(GAPDH)などでは、そのメチル化度に変化はなかった。  通常、プロモーター領域のDNA脱メチル化は遺伝子の活性化を導くことから、それら遺伝子の発現量を調べたところ、確かに脱メチル化と同時、もしくはその数時間後には上昇していることが分かった。また、この脱メチル化は一過性のものであり、運動直後に脱メチル化された場合、その3時間後には元のレベルに戻る遺伝子が多かった。

現状では、運動がどのようなメカニズムで特定の遺伝子の脱メチル化を引き起こすのかは明らかになっていないが、少なくとも運動に伴って分泌されるホルモンや神経伝達物質などの外来のシグナルによって引き起こされるのではないことは示された。  

まだまだメカニズム的には未解明な点も多いが、少なくとも運動という環境刺激によってエネルギー代謝関連遺伝子の特異的脱メチル化というエピジェネティックな変化が直接的に誘導され、それが当該遺伝子の活性化と相関し、健康的な体質維持につながるという図式は確かのようだ。

「ともかく、歩け、歩け」ですよ。私も術後の早い時期から病院の廊下を歩いていました。点滴棒を担いで階段を上っていて看護師に叱られてけど、無理をしない範囲で積極的に歩くことです。がんに効くサプリメントや○○水などは、その後でじっくり考えて対応すれば良いのです。(効果は期待できないけど)

中程度の運動で、30分の運動を週に3回以上。取りあえずこの程度からはじめてみませんか。

運動と同様に「心の平安」も多いに効果があるはずですが、これはエビデンスとして示すことは難しいでしょうね。

  • 食事と運動は、がんの治療にも効果がある
    増加していた。運動に関しては、1週間に3MET時間(軽いウォーキングなら1時間)以下の運動しかしない人に比べ、18MET時間(同6時間)以上運動する人は、再...
  • がんと食事(2)
    5~25を維持して肥満を避ける。第3条 運動は1日1時間の早歩きと、1週間に合計1時間の強度の運動を行ない、体を動かす習慣を維持する。第4条 野菜・果物を...
  • 肥満とがん&糖質制限食
    基金による報告書の第2版は、食物・栄養・運動とがん予防に関する世界の叡智を集めたものである。がん体験者の食事に関しても、ここで推奨されていることが、現在最...

結局、がんの特効薬は「ごく当たり前の健康法」を継続して実行することです。

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2014年4月23日 (水)

がんの名医は疑ってかかれ

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日帰りで三春の滝桜に行ってきました。霧が出て幻想的でした。取りあえずの一枚。あとは次回に。


『週刊朝日』5月2日号の記事には衝撃を受けた。千葉県がんセンターで腹腔鏡下切除術を受けた患者3人が、術後まもなく死亡し、病院は医療事故調査委員会を設置して調査し、報告書を作成していたというもの。

  • 70歳代の女性:2011年10月にステージⅣaの膵臓がんと診断。その後化学療法を受け(たぶん腫瘍が縮小したので)手術することに同意。2012年9月25日に腹腔鏡下膵体尾部切除術をするが、手術中に血管から出血し、開腹手術に移行したが、改善せずに死亡。
  • 50歳代の男性:ステージⅣaの膵臓がん患者。2013年1月22日に腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術を行なうが、8時間15分の大手術後容体が急変、再手術を開始したところ、腸からの出血が確認された。翌日血圧が低下。再々手術を試みるが死亡した。
  • 80歳代の男性:2014年2月腹腔鏡下胆嚢切除術をしたが、2週間後に死亡。但し、病院側は「医療過誤ではない」と結論づけている。

15859 腹腔鏡を用いた膵臓がの手術で保険適用が認められているのは、良性または悪性度の低い”初期の”「腹腔鏡下膵体尾部切除術」だけです。それ以外は先進医療となり、保険適用されません。保険適用されていないのは、膵癌の腹腔鏡下手術は危険度が高く、通常の開腹手術と比較した治療成績も定まっていないからです。

1例目は確かに膵体尾部切除術ですが、ステージⅣaと末期の膵癌です。2例目は開腹手術でも、もっとも難易度の高いものの一つといわれる膵頭十二指腸切除術です。しかも同じくステージⅣa。これを腹腔鏡下で手術をするとは、「仮に死んだとしてもいいや」との思惑で手術に踏み切った「未必の故意」殺人に等しいと言われてもしかたがないでしょう。

週刊朝日の記事は、混合診療を不正請求したことが大きな問題として扱っていますが、そんなことよりも患者の生きる希望を奪ったことこそが大問題でしょう。1例目の女性患者の場合、私と同じ膵体尾部切除術でした。ステージⅣで手術不能と診断された膵臓がん患者にとっては、抗がん剤で腫瘍が縮小し、手術が可能となることが、完治するための残された唯一の希望なのです。通常の開腹手術をしていれば、5年生存し、完治すらしたかもしれません。不必要でやるべきではない腹腔鏡下手術を行なって患者の命と希望を奪ってしまったのです。

日本膵臓学会でも「末期の膵臓がんの腹腔鏡下手術は難しく、学会でもコンセンサスは得られていない。通情はやりませんね。」と言います。名古屋大学大学院腫瘍外科学のサイトにもこのように書かれています。

しかしながら、腹腔鏡下膵切除術は開腹膵切除術と異なり、現時点では限られた施設でしか施行することができません。当教室は、腹腔鏡下膵切除術を積極的に導入している施設です。腹腔鏡下膵切除術の対象となる疾患は、膵良性腫瘍、膵良悪性境界腫瘍、膵内分泌腫瘍、などで膵臓癌は対象となりません。

この医師は、日本における膵臓がん腹腔鏡手術の権威であり、日本肝胆膵外科学会の高度技能指導医に指定され、たくさんの論文も書いている医師である。その地位を維持するために次々と論文を書く必要があったのだろう。あるいは自分のことを「ゴッド・ハンド」だと錯覚していたのかもしれない。病院の緊急対策会議では、遺族から訴訟が起こされて混合診療を隠した不正請求が公になると、医療費の返還を求められることが問題だとの議論に終始している。患者への説明などは眼中にない。患者の貴い命を奪ったことも議論の対象にはなっていない。この病院にしてこの医師である。

患者は可能な限り情報を集めて、自分の判断材料を持つようにすべきだ。「先生に全てお任せします」は本当に危ない。論文をたくさん書く医者や名医や権威という評判には眉に唾を付けた方が良い。その道の権威だとて、たいしたことないと、3.11後は十分に学んだはずです。

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2014年4月21日 (月)

小保方論文よりひどいデータのごまかし

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先日の鯉のぼりと同じ場所です。ひたち海浜公園内の里の家。


久しぶりの原発関連の記事です。

Image_002 18日に公表された内閣府原子力被災者生活支援チームの報告書は、何が何でも20ミリシーベルト以下になるようにと計算された、恣意的なデータ改ざん報告書です。小保方論文やバルサルタンを発端とする臨床試験、医師治験のデータ改ざんよりもひどい。

そもそもの発端が、空間線量から計算した被ばく量よりもガラスバッジで計測した方が3割程度小さくなる。早期帰還を進めている政府としては、これは好都合ということで始めたのだが、意に反して思惑通りの結果にならなかった。

で、これまで屋外作業は8時間で計算していたものを、農業と林業では6時間としている。これで25%低く計算。

新型の個人線量計を導入したというが、GM式でもシンチレーション式でもない半導体式の、精度の悪い測定器を使っています。Ourplanet.TVのサイトに千代田テクノルの技術者にインタビューした動画がアップされています。

今後の避難指示解除を向け、住民帰還の切り札として、住民に配布されたのは、これまでにない新しい線量計だ。従来のガラスバッジとは異なり、電子線量計をベースとした個人線量計で、製品名を「D-シャトル」という。開発したのは、ガラスバッジの生産で高いシェアを誇る千代田テクノルと産業技術総合研究所。電池が1年以上持ち、振動にも強い上、個人が自宅で、1日の線量と着用して以降の積算線量を確認できる。更に、専用のソフトウエアを使用すると、1日ごと、1時間ごとの線量を表示し、データベース化できる。

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バックグラウンド(自然放射線)の影響はどうするのかというと、環境全体が放射能に汚染されているのですから、バックグラウンドは3.11以前の自然放射線量を用いるとしています。でも、福島全体の広大な地域で、バックグラウンドも変化していたはずですが、一律の値を使うということですね。ここでも誤差が出てきます。

もっと問題なのは、バラスバッチもD-シャトルも胸部に着けて計測するのです。通常の放射線業務従事者であれば、放射線源は体の前方にあるわけで、胸部に着けていればほぼ正しい計測が可能でしょう。余談ですが、現場では被ばく線量を少なく見せるために、線源に対して背中を向けるということを良くやるのです。これは背中から入射した放射線が、人体で遮へいされてガラスバッチに届く線量は小さくなることを逆用するのです。

しかし、福島では360度の全方向から放射線がやってきます。下からも屋内であれば上からも。当然後ろから来た放射線は体で遮へいされて届きます。胸部の厚みを仮に25センチメートルとすると、セシウム137の水(人体はほぼ水だと考える)に対する半価層は12.1センチメートルですから、個人線量計に届く放射線量は24%、約4分の1に減っているのです。

屋外作業時間を減らし、背面からの放射線遮へいを無視し、こんな誤魔化しをしてさえも、飯舘村の居住制限区域で林業従事者は17ミリシーベルトになっています。実際の被ばく線量は20ミリシーベルトを越える可能性が大きいでしょう。

あと、測定結果が実効線量なのか実用量(1㎝線量当量)なのかも曖昧ですが、いずれにしろ、20ミリシーベルト以下にするためにいろいろとごまかしている報告書です。結論ありきで、20を越えなくするために昨年9月に実施した結果を半年後まで出せなかった、というのが本当ではないでしょうか。

20mSvなんてとんでもない値ですが、5.5mSvであっても幼児・子供、妊婦はもちろん、成人であっても住むべきではない場所です。しかし、20mSv以下は「安全だ」。勝手に避難して帰還しないのだから補償を打ち切る、と言われたらやむを得ずに帰還するしかなくなるのです。新たな「安全神話」がまかり通ろうとしています。

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2014年4月18日 (金)

生前葬コンサート 小椋佳

Img_2 小椋佳が「生前葬コンサート」を計画しているという情報が昨年からあった。(2013/2/2付 東京新聞)

4月5日に先行予約で2枚のチケットを手に入れた。4日間の連続コンサートも初めてなら、会場が小椋佳がはじめて公に姿を見せたNHKホールだというのもいい。どの日にするかと迷ったが、生前葬というからには還暦の記念に作った『未熟の晩鐘』に収められている「落日、燃え」や「山河」のある日が良かろうと考え、まだ曲構成が発表されていなかったが、たぶん最終日に違いなかろうと9月15日にした。正解だった。

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小椋佳はこのコンサートについて、次のように語っている。

僕は白州次郎同様「葬式無用 戒名不用」と考えていますが、家内は常識人なので、僕が死んだら きっと人並みの通夜や告別式をやるつもりでしょう。僕としてはそんな煩わしいことを家族に押し 付けるのは本意ではないので、僕が生きているうちに済ませてしまおうと思いました。

小椋佳 生前葬コンサート このコンサートで歌う100曲の生まれた経緯やエピソードを綴った初めてのエッセー『小椋佳 生前葬コンサート』も昨年に上梓されている。

私も同様に、死んだら葬式も戒名も要らないし、骨は散骨するか樹木葬でいいと思っている。小椋佳や「風のガーデン」の主人公、膵臓がんで亡くなる白鳥貞美のように生前葬等という大げさなことも不要だが、死ぬ前には何人かの友に会って、さよならが言えればいい。死んだあとのことは残った遺族が決めればいいのだが、できれば本人の意思も尊重して欲しいものだ。死んだらお終い。霊魂もあの世も輪廻も信じてはいないのだから。リビング・ウィルも書き始めはしたが、一向にに筆が進まない。

未熟の晩鐘 生まれて、生きて、親しい誰かのために何かをなし終えて、そして土に還るだけ。私の体を造るために少しの時間借りている、超新星の爆発によってできた炭素や水素や鉄などの原子を、元の持ち主に返すだけのこと。

生前葬を終わったら、もうコンサート活動はしないのだろうか? ま、化けて出てくるということもあるか。

『山河』はこんな曲です。

人は皆 山河に生まれ、抱かれ、挑み、
人は皆 山河を信じ、和み、愛す、

そこに 生命をつなぎ、生命を刻む
そして 終いには 山河に還る。

顧みて、恥じることない 足跡を山に 残したろうか
永遠の 水面の光 増す夢を 河に浮かべたろうか
愛する人の瞳に 愛する人の瞳に
俺の山河は美しいかと。美しいかと。

~~~~~

ふと想う、悔いひとつなく悦びの山を 築けたろうか
くしゃくしゃに嬉し泣きする かげりない河を抱けたろうか
愛する人の瞳に 愛する人の瞳に
俺の山河は美しいかと。

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小椋佳と道元
にかけて「人生最後のアルバム」を出し、「生前葬コンサート」を予定しているというもの。『辞世の心構え 「死は突然に」』と題した記事で、57歳で胃癌を、昨年は劇...

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2014年4月17日 (木)

最近やたらと膵癌が多いね

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鯉のぼりと桜は、東京ではなかなか見られません。


新しく膵臓がんが見つかってブログ村の住人になる方もいれば、再発、転移でそれでもがんばっている方もいる最近です。4月なのに五月晴れの外の世界とはミスマッチで気が滅入ります。ハードな出張から昨日帰ってきて少し疲れ気味でもあるからかなぁ。

めげていてもしかたがないから、きれいな写真でもアップしました。鯉のぼりも同病の皆さんも、がんばっていますね。

Twitterでも書いていますが、日本膵臓学会のHPに「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン 2013」がアップされています。PDFで全文読むことができます。以前は金原書店の高価な本を買わざるを得なかったことから比べたら、アクセスしやすくなりました。

Android版などは昨年12月に一足先に公開されています。こちら

今夜もチェロのレッスン日、午後から少しさらって、例によってそじ坊で蕎麦と焼酎で一杯やってからレッスンです。

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2014年4月13日 (日)

ひたち海浜公園の水仙とネモフィラ

茨城県ひたちなか市にある国営ひたち海浜公園に行ってきました。百万本の水仙が見頃だということだったのですが、残念ながら入口の看板には「見頃(後半)」と書かれてあり、半分くらいは見頃を過ぎていました。水仙にもたくさんの種類があるのですね。とても名前は覚えきれませんでした。

お昼は、那珂湊港のおさかな市場で海鮮丼を食べました。さすがに美味しかった。国道245号から駐車場までの道路が1キロにわたって渋滞していましたが、我がカーナビは裏道を誘導して第二入口にドンピシャ。まったく並ばずにすみ申し訳ないような気持ちです。休日はいつもひどい渋滞です。

3.11の直後、放射能プルームがこの付近を通過し、ひたちなか市は目立って放射線量の高い場所だったのですが、今は落ち着いているようです。地上から1mで0.2μSv/h以下にはなっています(サーベイメータを持っていきました)。それでも3.11以前よりは遙かに高い。以下は2011年4月6日の読売新聞記事他です。

福島第一原子力発電所の事故により、関東各地に降った放射性物質「セシウム137」の5日朝までの検出総量が、茨城県ひたちなか市で1平方メートル当たり2万6399ベクレル(Bq)、東京都新宿区では同6615ベクレルに上ることが文部科学省の調査でわかった。
ひたちなか市の総量は、チェルノブイリ原発事故後にドイツなどで検出された降下量の国土平均値を超えた。

文科省による汚染度の調査データはものすごい値を示しています。3月21日の測定結果は茨城ひたちなか市で最高値を示し、沃素とセシウム合わせて 97,000MBq(Mは百万)。これをキュリー数に直すと9.7Ci(1Ci は3.7掛ける10の10乗Bq)。何とチェルノブイリ事故時の炉心周辺の最高汚染度の10分の1程度の値になっています。

まるで何ごともなかったかのように、原発の再稼働へ突き進もうとしている日本。熱しやすく冷めやすい民族なのでしょうか。

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見晴らしの丘一面に絨毯を敷き詰めたように咲いているネモフィラ。まるで海原のようでした。

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チューリップは一番元気が良かった。赤に弱いFoveonセンサーの欠点がもろに出るのが、日に照らされた赤い花です。赤が飽和してしまいます。これでも初代Foveonよりはましになったのですが。

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明日はまた茨城行き。こんどは仕事で出張です。

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2014年4月12日 (土)

パスワードの管理

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もう散ってしまったけど。どこのユルキャラ?いえ、パチンコ店の宣伝です。


前回のOpenSSLのHeartbleed問題。flickr.com では対策完了のようですね。こちらにチェック用のサイトが開設されています。気になるドメインを入力すれば、対策済みかどうかがチェックできます。
Imageyositakapc062 flickr.comは「All good」「unaffected」で影響なしと出ました。やれやれ。で、上に写真をアップしました。

2年間気付かずに放置されていたのですから、パスワードが盗まれている可能性を考えて、少なくとも銀行とカード、ショッピング関係のパスワードは変更した方が良いです。もっとも、私の口座を覗いてもたいした残高がないので、危険を冒してまで盗ろうとはしないと思いますが。

パスワードは使い回しをしない。特にIDがGmailの場合に、パスワードを使い回すと非常に危険ですからね。それと、銀行などはパスワードを定期的に変更するようにと、親切な通知が来ますが、これは効果があるのでしょうか。1ヵ月に一度変更するとして、パスワードが盗まれて1ヵ月は放置するわけですから、効果があるとは思えません。度々変更したからといって、セキュリティが高くなるわけではないのです。

それよりは、大文字、小文字のアルファベットと数字の組み合わせで10文字以上を使う。これだと組み合わせの数は、26+26+10=62から10個を選ぶ順列となるので、約4000・・・000と、4の後にゼロが17個つく数になります。40京(けい)です。今世間を騒がしている理化学研究所に、2012年に設置されたスーパーコンピュータの名前が京(けい)でした。余談ですが。

これなら総当たりで1秒間に1回ログインしようとしても、全て試すのには127億年かかる計算になります。これに@、¥、#、&などの記号を1個入れておくだけで、宇宙の寿命以上の時間がかかることになります。

短いパスワードを設定して頻繁に変えるよりも、こちらの方が合理的です。頻繁に変えていると、忘れてしまう危険があります。今回はそのパスワードが盗まれる可能性があるから変えるのですが。

ネット上にはパスワード解析用の辞書も出回っているのですから、覚えやすいからと、意味のある単語は使わない方が無難です。

Windows XPを使い続けてウイルスに感染すると、こうした難解なパスワードを設定していても無駄です。そのまま、まるごと持って行かれてしまいますから。

たくさんのIDと長いパスワードを管理しきれない!?

無料のID ManagerLastPassを使うのはどうでしょうか。他にも良いものがあるかもしれませんが、私はこれらを使っています。

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2014年4月11日 (金)

史上最大のバグ:OpenSSL

flickrにアップしてある写真をいくつかブログに使いたいのですが、今flickrにログインするのは危険すぎるので、問題が解決したらアップします。

というのは、

Windows XPのサポート終了に合わせるかのように、インターネットの歴史上最大のバグが見つかっています。OpenSSLの脆弱性問題です。XPのサポート終了も大事な問題ですが、それ以上の大きな影響の可能性があるにもかかわらず、一般のマスコミでは、まだほとんど報道されていません。ま、報道されてもユーザーとして対処できる方法はほとんどないのですが。

OpenSSLとはなんじゃいな? ということは、こちらのページなどを見ていただくなり、Googleで検索するとして、こちらに脆弱性を抱えたサイトの一覧があります。
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この14番目にflickrがありますね。 「vulnerable」は”脆弱性”があるという意味です。

セキュリティの専門家Bruce Schneier氏(Co3社CTO兼EFF理事兼ハーバード大フェロー)は「壊滅的。10段階評価で考えると、これは11レベル」と青筋立てて叫んでいます。

とのことですが、私は昨夜のうちに次の対策を行いました。
対象のサイトが、not vulnerableまたは no SSLであることを確認して

  • ネットショッピングに利用しているAmazon、楽天のパスワードを変更
  • Google(Gmail)のパスワードを変更して、2段階認証とする。
  • カード会社のサイトにログインするときのパスワードを変更
  • 銀行ネットバンキングの暗証番号とパスワードを変更
  • 念のため、ID・パスワード管理に使っているLastpassのマスターパスワードを変更

対策が終わっていないflickrのパスワードをいま変更すると、逆に盗まれる恐れがあるので、flickr側の対策が終わるまではログインしない。(flickrにはgoogleアカウントでサインインしているので、flickr経由でGoogleのパスワードが盗まれると、Gmailで送受信したメールの内容が流出してしまう。)

このブログにアップされている写真をflickrで閲覧するだけなら、まったく安全です。念のため。

他のサイトも、徐々にパスワードの再設定をしよう。

インターネットは便利で手放せないが、こうしたリスクがある。100%安全な対策は存在しないが、あとはカードの利用明細を念入りにチェックすることかなぁ。

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2014年4月 9日 (水)

ミクロの大冒険

録画を取ってあったNHKスペシャル『人体 ミクロの大冒険』をやっと観終わりました。CGをふんだんに使った興味深い内容でした。1回目。遺伝子は受精の瞬間に決まるが、細胞は周囲の環境を察知しながら働かせる遺伝子を選択しているのであり、これはまさにエピジェネティクスの考え方です。2回目はシステムとしての人体内で情報伝達をになっているホルモンの役割でした。3回目の最後が特に印象に残りました。「老い」とは、「死」とはどういうことなのか。なぜヒトはがんになるのか。それを免疫系の反乱として解明します。

「老化」とは「免疫細胞の暴走」として理解することができます。T細胞をはじめとする免疫細胞が本来の働きをしなくなるのです。
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免疫システムの司令塔であるT細胞が判断能力を失い、マクロファージは正常な細胞を攻撃し、異物を攻撃するはずの炎症性サイトカインの不必要な放出が、動脈硬化や糖尿病の原因だったのです。
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これらの老化に伴うとされてきた多くの病気の共通の原因として「免疫系の反乱」があると分かってきたのです。

では、どうして免疫細胞の司令塔であるT細胞はなぜ判断能力を失って暴走するのか。骨髄で作られたT細胞は、胸腺という小さな組織に送られて、そこで司令官となるための教育を受けます。「非自己」である異物や微生物を正しく識別して、「自己」である正常な細胞は攻撃しないための教育です。そして卒業試験に合格するのはわずか5%です。95%は役立たずとして破壊されるのです。非常にムダの多い仕組みですが、こうして免疫システムが正しく働くようになっているのです。

ところが、この胸腺は思春期を過ぎると退縮してほとんどなくなるのです。
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その結果、20歳ごろから後は、新しいT細胞はほとんど作られなります。T細胞は非常に寿命の長い細胞ですが、それでも70歳ごろになると、正常な判断力を持ったT細胞は非常に少なくなるのです。
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こうして老化が進むのです。さまざまな病気に罹りやすくなります。しかし、私たちは残ったT細胞でやりくりしていくしかないのです。

希望はあります。山中教授の発見したiPS細胞を使うと人為的に新しいT細胞を大量に作ることができるのです。将来的には成人病、生活習慣病と言われるほとんどの病気が、たったひとつの方法、人工T細胞を補充することで治療が可能になるかもしれません。

現状でも、運動をすることで免疫力を高めることができるのです。わずか5分の強い運動だけでも、免疫細胞が活発に動くことが分かっています。これは筋肉から分泌される物質が免疫細胞を活発化させるためです。
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2014年4月 5日 (土)

膵臓がん医療セミナー がん研有明病院

がん研有明病院とパンキャンジャパンが共催する『難治性がん医療セミナー・膵臓がん編 がん研有明病院スペシャル〜進化のビジョン2020〜』が開催されます。

「今膵臓がんの治療法に新しい風が吹き始めています」ということで、私の主治医でもある齋浦明夫先生も講師になっています。

2014年5月24日(土)12:30開場, がん研有明病院 吉田富三記念講堂

事前登録制ですので、上記のリンク先から登録が必要です。

目黒川の桜

昨日は午後から目黒川の桜見物に行ってきた。すでに葉桜になりつつあるが、平日だというのにたくさんの人でした。桜の撮影は難しい。誰が撮っても同じような写真になる。

しかし、あの無粋な赤い提灯は何とかならんものかなぁ。

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花びらも風に舞っているが、川面を流れる花筏というには、まだ少ない。

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おもしろくないので、ショーウインドウに映った桜を集めてみました。

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2014年4月 4日 (金)

がんの治療は、がんを忘れるため

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そろそろ桜も終わりか。


Sho(がん治療の虚実)先生のブログ「何のためのがん治療か理解していますか」の記事が良い。是非一読をお勧めします。

再発・転移したがんは、基本的に完治することはない。ならば、なぜ治療をするのか。一般的な答えは「少しでも延命効果があるから」「がんによる苦痛をやわらげるため」ということであろう。なかには抗がん剤で完治するものと勘違いしている患者もいる。宝くじに当たる程度の確率で完治する例もあるから、それを期待している場合もあるだろう。その結果は逆に寿命を縮めたり、副作用でよれよれになって、がんと闘っているのか副作用と闘っているのか、分からない状態になってくる。

今効いている抗がん剤も、いずれは効かなくなる。目の前に命の終わりが見えてきて動揺する。いわば与えられた「ロスタイム」である。そのロスタイムがどのくらいあるのかは、誰にも分からない。いずれは終わりの時が来る。死と闘って勝った人間は一人としていない。だから、ロスタイムを、命の終わりを迎えるための準備期間と考えてはどうか。死に対する恐怖におののいて生きるのはいかにも勿体ない。毎朝目覚めたときに、今日一日の人生を貰ったと考えれば良い。

一日一生 (朝日新書) ステージⅣの頭頸がんで余命1~2ヵ月と言われ、二度の千日回峰行を満行した天台宗大阿闍梨 酒井雄哉さんも『一日一生』でこう述べている。

今日一日歩いた草履を脱ぐ。明日は新しい草履を履く。今日の自分はもう今日でおしまい。明日はまた再生される。

だから、「一日が一生」と考える。「一日」を中心にやっていくと、今日一日全力を尽くして明日を迎えようと思える。一日一善だっていい。一日、一日と思って生きることが大事なのと違うかな。

たとえば、今日のメインイベントを考えてみる。小さなことで良い。近くへ桜吹雪を見に行く。味噌汁のだしに凝ってみる。好きな曲を大音響で堪能する。妻の買い物のを代わってやる。何だって良いから、今日一日、これがやりたいというイベントを考えて実行する。他人からえらく見られたいとか、世間に名を残そうとか、そのような馬鹿なことは考えない。自分の人生の時間を、自分が納得できるできごとで過ごすこと。どうしてもがんのことが頭を離れないのなら、(多くの人がそうだと思うが)それは一番最後に考えるようにすれば良い。どうすれば死なずに済むかなんて、考えたって無駄。答えなどあるはずがないと分かっているのだから。だから、治らないがんを治療する目的は、がんを忘れるためだとSyo先生も言われる。

このブログのタイトルにも『がんとは闘え。死とは闘うな! しかし、がんとの闘いだけに捧げた人生なんて、つまらない。「今ここに」ある自分を生きる。』と書いてある。

どうすればもう少し生き長らえるのかということは、今日の一日を自分らしく大切に生きることと同じでしょ。なぜなら人生とは時間だから。命を一日長くすることと、今日の一日をありがたく、有意義に過ごすことは同等なのです。そして、明日、元気で目覚められたのなら、また新しい一生を貰ったと考える。

   散る桜 残る桜も 散る桜  良寛

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2014年4月 3日 (木)

不整脈は無理に治さない方が良い

不整脈が治まらないので、心電図を取ってもらいました。伊豆の旅行でも意識レベルが低下していたのか、交差点で信号を見落として危ない思いをしたのです。

膵癌の手術のときにも不整脈が問題になって、手術に耐えられるかどうか、外科と内科の先生が検討してくれたのでした。結果的に手術はOKとなったのでしたが、後で先生が曰く。「メスをお腹の上にあてがったとたんに、あなたの不整脈はぴたっと止まったよ」と笑っていました。麻酔が効いていても深層レベルの意識はあるのかもしれませんね。メスの冷たさにビックリして不整脈が止まったのでしょうか。

心電図の結果は、心室性期外収縮。若いころからの持病ですから、この病名には親近感があるのですが、悪化していないかどうかが心配でした。心電図を見ても教科書に載るような不整脈が出ていました。「先生、結構出ているけど、規則正しい不整脈ですね。言葉の矛盾だけど」。

先生の診断も「まぁ、気になるようなら薬を出しますが、むかしは不整脈を抑える治療が推奨されたのですが、最近はむしろ、無理に治療しない方が良いといわれています。薬で抑えても別の心筋梗塞などで死期を早めることが分かってきたのです」とのこと。「分かりました。それでは治療はしません」で、おしまい。

糖尿病や高血圧の治療と同じですね。血糖値や血圧を厳格に管理しても、それが寿命の延長にはつながらない。むしろ副作用で早死にすることが多い。不整脈も同じことのようです。薬嫌いの私にはありがたいエビデンスです。

ストレス、ないはずだけどなぁ。

ストレスを溜めない。睡眠を十分に取って規則正しい生活をする。食べ過ぎない、太りすぎない。これってがんの治療も同じですね。

要するに、あたりまえの生活をすることが、全ての病気に対する一番効果的な治療法です。『9割の病気は自分で治せる』という本があったような気が・・。

さあて、これから焼酎と蕎麦を食ってチェロのレッスンだ。前回からエルガーの「愛の挨拶」。エルガーはジャクリーヌ・デュ・プレの十八番である「チェロ協奏曲」が有名ですが、愛妻家のエルガーが結婚記念日に妻のために作曲したのがこの曲。こんな曲です。新倉瞳さんのチェロ、いいですね。

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2014年4月 1日 (火)

14/3月ツイートのまとめ

キノシタ @Oncle1316 
膵臓がんのため46歳で他界したパウシュ教授の「最後の講義」が文庫本に。 http://www.sinkan.jp/news/index_4388.html 「人生を終えるときに後悔するのは、自分がやってきたことではない、やらなかったことです」 https://twitter.com/Oncle1316/status/439663744965021696/photo/1 

上 昌広 @KamiMasahiro  
降圧剤:京大臨床試験 論文と武田の宣伝引用異なるグラフ - 毎日新聞 http://mainichi.jp/select/news/20140228k0000m040099000c.html 驚きました。ただ、「京大病院の広報は「現在のところ調査する予定はない」」と言っているそうです。

s_matashiro @glasscatfish  
膵臓に作用するインクレチンを元にした糖尿病薬が膵炎やすい臓がんの原因となるという論文や報道に対するFDAとEMAの見解。今のところ動物実験・臨床試験ともにそうした証拠はないがリスクとしては注意 NEJM http://maint.nejm.org 

海外癌医療情報リファレンス @cancer_ref  
多様な消化器癌治療に対する発展ーシンポジウムハイライト/ASCOプレスリリース #gan #がん #cancer http://www.cancerit.jp/25891.html 

廣田晃一 @khir0ta  
オウバクがすい臓がんの治療に有効かも:世界の最新健康・栄養ニュース http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=43541&-lay=lay&-Find キハダの樹皮であるオウバクは、日本でもおなじみの生薬であり苦味健胃整腸薬として現在も使われているが、すい臓がんにも有効ではないかという研究が発表された。

キノシタ @Oncle1316 
ASCO GI プレスリリーズ:転移性膵腺癌の治療として抗癌ワクチンCRS-207が、GVAX Pancreasに加えて投与された。これは免疫療法を受けた転移を有する膵臓癌患者の全生存率の向上を示す初めてのランダム化試験である。 http://www.cancerit.jp/25891.html 

キノシタ @Oncle1316 
追い出すために! RT @Katsumata_Nori オンコロジストのやってはいけないこと、言ってはいけないこと。その四 断定的な余命告知 「あなたの余命は○ヶ月です」 これは、有名がん病院の著名な医師でもこのように言っているのが現状。患者さんを早く追い出したくて言うらしい。

勝俣範之 @Katsumata_Nori  
RT @オンコロジストのやってはいけないこと、言ってはいけないこと。その三 どうしようもなくなってから、緩和ケアの話をすること。積極的治療が行き詰ってきてから、「治療が難しい、ホスピスをすすめます」と言うこと。

勝俣範之 @Katsumata_Nori  
オンコロジストのやってはいけないこと、言ってはいけないこと。その二 もう治療法はありません、ここでやることはありませんと言うこと。極めつけは、当院での治療は終了しました、ということ。明日からは、「絶対こないでほしい、来ても診ません」、というがん専門病院もあるそうな。

キノシタ @Oncle1316 
膵腺癌術後補助化学療法は早く始めるほうがいいか? 結論=早期開始に効果はなかった。 急いで抗がん剤をやっても余命は変わらない。私の主治医も以前からそう言っていた。それが試験で確認された。 http://www.medicalonline.jp/news.php?t=review&m=oncology&date=201403&file=20140304-JCO-32-504-G.csv 

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