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2015年11月

2015年11月28日 (土)

お通夜でした

今日は先日膵臓がんで亡くなった旧友のお通夜でした。

68歳、旦那と離婚して女手一つで息子さんを立派に育てられ、さあ、これから余生を楽しもうという矢先の膵臓がんによる急死でした。

少しやつれていましたが、おだやかな死に顔でした。膵臓がん特有の激しい痛みに襲われることもなく、それが救いと言えば救いでした。

初孫の一歳の誕生日が自分と一日違いで、緩和ケアの病院から一時帰宅して誕生日のお祝いをすることができたことを喜んでいました。その翌日から休息に体調が悪化していきました。

姉に送信した最期のメールには、「誰も恨まない、人生も恨まない」と書かれてあったそうです。治らないことを覚悟し、葬儀屋の選択も済ましてあったのです。己の人生のすべてを肯定し、淡々と与えられた余命を生ききった人でした。
一人息子にも大きな面倒をかけることもなく、あっぱれな最期でした。

人はいずれ何かの原因でこの世を去ります。だからがんで死ぬことは決して悪い「何か」ではないと思います。周囲にいつも気配りを欠かさなかった彼女らしい逝き方でした。欲を言えば初孫が小学校へ入学するまでは・・・。との思いは残りますが、それを云えばキリがない。人の力の及ばない領域です。

余命を聞くのが怖いという彼女に、「よりよく生きるために、死について自分なりに整理しておきなさい」と言ったのですが、そんな私のお節介など必要のない、覚悟の座った最期を全うされました。与えられて運命をただ粛々と受けとめて、彼岸の彼方へ旅立っていったのです。

人生の最後の数週間をどう生きるかが、その人の人生の価値を決める。誰かがそう言っていたように思います。

最期まで自分らしさを見失わなければ、がんで死ぬことは、決して怖くはありません。

<合掌>

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2015年11月27日 (金)

今日の一冊(24) 澤田瞳子『若冲』

伊藤若冲は、江戸時代中期の京にて活躍した絵師。若冲と腹違いの妹お志乃、それに義弟の弁蔵を中心に物語は展開する。弁蔵の姉お三輪は、若冲に嫁いだ2年後に自害するのだが、それを障害恨みに思い、若冲の贋作を描くことで恨みを晴らそうとする。生きるとは何か? 憎しみの中からも美しい絵が創作されうるのかを描ききっている。著者の澤田瞳子さんはまだお若いのに、史実を詳細に調査し、登場する庶民の生活を生き生きと描いている。

「若冲」とは『老子道徳教』第45章の「大盈(たいえい)は沖(むな)しきが若く」から採られている。意味は「大いに充実しているものは、空っぽのようにみえる」である。

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この絵では、紫陽花の葉は虫に食われ、枯れかけている。命が終わろうとしている。決してきれいな紫陽花を描いてはいない。仲睦まじげな雌雄の鶏も、雌はなにやら拒絶しているようにも見え、そんな雌の態度に、羽を逆立て片足をあげて怒っている。新しい命を生むための発情期なのか。仲睦まじげな夫婦の間にも緊張感がある。

生命のダイナミクスと多様性、輝いている命とやがて死んでいく命が細部にまで克明に描かれていている。

金子邦彦の『生命とは何か―複雑系生命科学へ』の表紙には若冲の「樹花鳥獣図屏風」の一部が使われている。生命の秘密を、がんも含めて「複雑系」として解き明かそうとする意欲作であった。この本の表紙を飾るにふさわしい画家だろう。

「生の輝きは、絶望の淵の底より仰ぎ見てこそ、最も眩しく映る」

弁蔵が言う。「若冲さんの絵は、美しいがゆえに醜く、醜いがゆえに美しい。そないな人の心によう似てますのや」

そうかもしれないと、思う。

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2015年11月26日 (木)

今日の一冊(23)『がんに負けるな!』

落語家の林家木久扇師匠と日本医科大学名誉教授の吉野槇一氏の共著。といっても林家師匠は冒頭の対談の部分に登場するだけで、吉野教授の「脳内リセット」の話がメインのテーマです。

林家木久扇師匠は、2014年に喉頭がんであることを告白してテレビ番組『笑点』を降板しました。リウマチの専門医である吉野教授は、2008年に肝臓がんになり、3度の再発を乗り越えて、今でも現役で活躍されている方です。

ストレスがあると免疫力が低下する。ストレスをコントロールするためには「脳内リセット」という防御術が有効である、ということを多くの実験を通じて説明されています。

吉野医師は、がんの効果的な治療を行うためには3本の柱があるといいます。

  1. 信頼のできる主治医を持つ。がん専門医とかかりつけの家庭医を
  2. 現代医学による治療をきちんと受けること
  3. 患者ががんという病気と治療法を良く理解し、前向きな気持ちで日常生活を送る

3.のためには、積極的にストレスを解消すること。特に精神的ストレスを取り除き、「頭の中を真っ白な状態にする」=「脳内リセット」ことが効果的だと主張します。

  • 楽しい笑い
  • 泣くこと
  • 深い眠り
  • 没頭すること

により、「脳内リセット」のボタンが押され、神経系・内分泌系・免疫系のバランスが正常になり(ホメオスタシス)、全身の自然治癒力が高まり、少々の精神的ストレスにも強い身体になります。

これを証明するために、日本医科大学附属病院の大講堂に落語の寄席のような舞台を作り、関節リウマチの患者26人、対照群として健康な人たい31人を集め、出囃子も本格的に、前座の林家久蔵さん、続いて林家木久扇師匠の落語が披露されます。寄席の前後に血液検査をして、落語を聞く前と後での、β-エンドルフィン、アドレナリン、ドーパミン、コルチゾール、CD4/CD8比、インターロイキン-6などの数値を比較したのです。

わずか1時間の落語を聞いただけで、患者さん達の炎症を憎悪させるインターロイキン-6が著しく減少し、β-エンドルフィン値が増加、ノルアドレナリン値とドーパミン値が減少したのでした。

こうした実験を3回行い、同様の結果が得られて海外の著名な医学専門雑誌に掲載されました。

楽しく笑っているときに、こうした効果が出るのは、頭が空っぽになっているからではないか、ならば寝ているとき、なにかに没頭しているときも頭が空っぽの状態だから、同じような効果があるだろうとの予測で、全身麻酔状態の患者に同じ実験をしました。

ま、そういう実験の詳細な結果と、「脳内リセット」によって精神的ストレスを小さくすれば、免疫系が活発になり、がんと闘う力が強くなる、という主旨を説明されています。

私も「我が意を得たり」の思いです。治療は専門家に任せるとして、がん患者にできることは、免疫力を上げて自分の自然治癒力を高めることだけです。そのためのもっとも大きな要素は、「心の有り様」「ストレスを溜めない」「ストレスに強い精神力」です。

これらを育てるには、瞑想や座禅、イメージ療法、音楽療法なども有効でしょう。

自分の手術後の生活をふりかえってみても、膵臓がんのことで頭がいっぱいということはなかったですね。まず当時は膵臓がんに関する情報がほとんどなかったので、それを調べてブログに書くことで忙しかった(没頭していた)。睡眠も十分取れていました。メラトニンを服用していたおかげかもしれません。泣くようなことはなかったけど、インターネット落語もよく聞きました。趣味の写真やチェロ演奏にも没頭していましたね。サイモントン療法や瞑想も毎日のようにやりました。おかげで免疫細胞も全力を出してくれたのでしょう。そう思っています。

読んで損のない本で、お勧めです。

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2015年11月24日 (火)

旧友が膵臓がんで亡くなりました。

高校時代、同じ吹奏楽部で1年先輩だったWさんが、今朝、膵臓がんで亡くなりました。

今年の1月に膵頭部に腫瘍が見つかり、既に肝臓に多数転移していました。CT画像では肝臓には大きな正円型の影が数え切れないくらいありました。私も付き添っていった最初の病院の医師はGIST(消化管間質腫瘍)ではないかとの所見でしたが、セカンドオピニオンで、GISTの症例経験豊富な医師の判断で膵腺癌と確定したのです。

ステージⅣbで手術は適用不可。アブラキサンとジェムザールの抗がん剤治療を始めたのが3月でした。しかし、副作用がひどくて、減薬、休薬を繰り返し、腫瘍の縮小効果も見られないのでTS-1に変更しました。

TS-1でも効果がなく、FOLFIRINOXは体力的に無理ということで、緩和ケアを勧められ、平行して漢方外来でがんの漢方療法を受けることになりました。

この間、いくつかの臨床試験へも問い合わせをしましたが、適用とはならず、休眠療法もなども検討したのですが、がん細胞のほうが元気すぎました。

しかし、最期まで膵臓がん特有の激しい痛みに襲われることもありませんでした。腫瘍の位置が膵頭部の下の方にあり、腹腔神経叢からは離れていたからでしょう。無理な抗がん剤も控えたのでQOLを保った時間を持てたこと。これらが救いかもしれません。告知から10か月でした。よく頑張ったと褒めてやります。

がん患者には時間がない。膵臓がん患者には、更にない。

告知を受け、迷ったり、セカンドオピニオンを受けたりしている間に、どんどん時間が経っていく。たくさんの情報に振り回されることもある。最善の治療法をゆっくりと考えるゆとりすらないのが実情です。

膵臓がんの免疫チェックポイント阻害剤などの画期的な治療薬が登場することを、切に願っています。

2015年11月22日 (日)

白鶴からもでていた糖質ゼロの日本酒

出張から帰り、1週間ぶりの更新です。

晩秋の風も冷たくなり、世間は既にクリスマスツリーが飾られています。

こうなると、おでんで熱燗を一杯と、飲んべえは気がはやりますが、膵臓がほとんどない体には血糖値が心配。でも正月に向けて、おせちの友にも日本酒は欠かせません。

ところで、「おでん」の語源を調べてみました。

平安時代末期に中国より豆腐が伝来し、拍子木型に切った豆腐を串刺しにして焼いた料理が生まれた。その形が、田植えの時に田の神を祀り豊作を祈願する田楽の、白い袴をはき一本足の竹馬のような高足に乗って踊る田楽法師に似ているため「田楽」の名になったという。味噌田楽。

「おでん(御田)」は元々、「田楽」を意味する女房言葉である。田楽は室町時代に出現した料理で、種を串刺しにして焼いた「焼き田楽」のほか、種を茹でた「煮込み田楽」があった。江戸時代になって「おでん」は「煮込み田楽」を指すようになり、「田楽」は「焼き田楽」を指すようになった。

昨年までは月桂冠の糖質ゼロ日本酒を買っていましたが、今日スーパーに行くと白鶴からも糖質ゼロの酒がでていました。

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2リットルで998円と、月桂冠の1.8リットルよりも安い。

食後の血糖値を上げるのは糖質だけです。糖質を摂らなければ、急激な食後高血糖、いわゆるグルコース・スパイクは生じないので、糖尿病患者、膵臓がん患者にも優しいお酒です。

買ってきました。今日はこれで「一杯」です。

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2015年11月16日 (月)

study2007さんのご冥福をお祈りいたします。

また一人、がんと果敢に闘い、最期まで自分の命を生ききった方が亡くなりました。

RT @IwanamiKagaku study2007氏が13日(金)にお亡くなりになりました。 ツイッターを通じてお知らせするご依頼にもとづき皆様にご報告いたします。

お亡くなりになる1週間まえの11月6日まで辛い身体を押してツイートで訴えていました。

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がんの最期は、1週間前まで明瞭な意識を保って生きることができるのですね。

そして、最期まで福島の子どもたちの甲状腺がんと、再び同じ事故が起きるかもしれないと原発の再稼働に反対する意志を明らかにしていました。

がんであっても、自分は最期までどう生きるのか、生きたいのかという問いに、彼は一つの優れた実例を指し示してくれたのではないでしょうか。

私のブログ記事でstudy2007さんのことを紹介していました。

  1. study2007さん、末期がんの身で再稼働に満身の怒り
    て検証しようという試みです。私は、著者のstudy2007さんとは2007年からのお付き合いです。とは言っても、ネットのブログ上での知り合いで、実際にお会いしたことはあ...
  2. 今日の一冊(6)『見捨てられた初期被曝』
    て検証しようという試みです。私は、著者のstudy2007さんとは2007年からのお付き合いです。とは言っても、ネットのブログ上での知り合いで、実際にお会いしたことはあ...

study2007さん、ありがとうございました。安らかにおやすみください。あなたの遺志は微力ながら引き継いで参ります。

がんは食事療法だけでは治らない

緩和ケアの専門医で、多くの著作もある大津秀一先生のブログ『医療の一隅と、人の生を照らす』の11月2日付の記事「がんは食事だけでは治らない」に私の記事が肯定的に紹介されていました。

がん患者なら誰しも食事療法が気になるところですが、巷にはたくさんの怪しげな食事療法が氾濫しています。

食事は大切です。
私もよく食事療法について尋ねられます。
しかし根拠のない断言で、結果的にうそをついている悪い人がこの世界にはたくさんいるのが、残念なことです。トム・ハンクスが嘆いた通りです。
ただ他のことにも言えますが、まっとうな主張はしばしば、『これでがんは治る』的な主張に訴える力で負けてしまっているのも一面の現実です。
私の意見だけだとなんですから、がんを患われた方のこのようなご意見もあります。
食事療法について 膵臓がんサバイバーへの挑戦

大津先生の記事や私のブログを参考にしていただけるとよろしいのですが。

  

がんは食事療法では治らない。
  しかし、がんは食事療法をしなければ(たぶん)治らない。

今日から出張です。しばらくブログの更新はできないと思います。

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2015年11月15日 (日)

パリの同時多発「テロ」

パリの「同時多発テロ」で129人の市民が亡くなったという。ISが犯行声明を出している。オランド大統領は「われわれは戦争に直面している」と言ったらしいが、彼の認識はたぶん正しい。

「戦争」ならたくさんの「敵」を殺せば「成果」である。一人を殺せば殺人であるが、「戦争」でたくさんの敵を殺せば英雄である。「テロ」と呼べば「犯罪」であるが「戦争」なら「成果」である。ローター通信は今回の事件を「同時多発攻撃」と報じている。ISは彼らなりの「正義の戦争」で「成果」をあげた。わずか7人の兵士の損耗で敵を130人も殺したのだから「英雄」である。

断っておくが、私はISの「テロ」を認めているわけではない。憎むべき非道である。

しかし、ペンタゴンの冷暖房の効いた部屋で、遠くの戦場上空から送られてくる映像を、ディスプレイの画面で見ながら無人機のミサイルのスイッチを押している「兵士」には、そのミサイルに下で殺されている女、子供を含めた市民の死体を見ることはない。

パリの惨劇は世界中に流されても、アメリカ・フランスの空爆の巻き添えで殺されている市民を大きく報じることはない。欧米の爆撃で身内を殺された者が、率先して自爆テロに参加しているという。彼らにも彼らなりの「正義」がある。アメリカはISやイスラム過激派を壊滅するのが「正義」だという。

「絶対の正義」などないのだから、紛争を武力で解決することを放棄しようというのが、日本国憲法と九条の精神ではなかったのか。

それを投げ捨てて、前のめりにイスラム国への戦闘に参加しようとしている安倍政権では、日本も当然「テロ」の対象となっていくだろう。東京オリンピックは無事に開催できるのだろうか。

憎しみが憎しみを呼び、それに対して過激に応じようとする者が賞賛され支持を受ける。他人の戦争に無理矢理割り込んで行こうとしている。「対テロ戦争」という名の「戦争」に巻き込まれたがっているように見える安倍政権の支持率が上昇する。そうした「目には目を」との風潮を、自分は安全圏にいる(と思っている)多くの国民が疑問を持たずに称えてるようになりつつある。数年前からこのようなことを書いてきたが、ますます自分の予感が当たってくるのが怖い。

テロを完全に防ぐことは「不可能」である。かつてのベトナムでは、南ベトナム解放戦線(いわゆるベトコン)のゲリラ攻撃を、アメリカは「テロ」と呼んだ。そして勝てなかった。テロに対して武力は、昔も現在も無能である。

       現在の日本は、戦争前夜である。

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今日の一冊(22)『医療否定本の嘘』

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今朝NHKニュースでやっていたが、長瀞の「月の石もみじ公園」の紅葉が見頃でライトアップも始まったようです。上の写真は一昨年に行ったときのものです。きれいでした。


腫瘍内科医の勝俣医師が近藤誠氏を批判したものです。近藤氏の初期の業績は賞賛しています。しかし、現在の近藤氏は都合のよい研究だけを、しかも内容を捏造したものを出して自説の都合のよいように解釈していると批判。

ま、このブログを見ている方だ近藤氏に心酔している方はいないだろうから、これ以上は書きません。

興味深かったのは、余命告知に関すること。ある患者さんの話として、いきなり余命を宣告された。「死刑囚にすら刑の執行日は当日になるまで言わないですよ。私は何も悪いことをしていないのに、どうして余命を言うのですか?」

最近の若い医者は、あっけらかんと当人に余命を言いますね。でも私のかかっているがん研の先生は、「余命などアテになりません。結構外れますから」と、患者から訊いても余命は言いません。「膵臓がんでステージⅣなら、早ければ3ヶ月、長くても1年」というのは、本当は生存期間中央値のことです。100人に患者がいて、51人目の患者が亡くなるまでの期間。平均でもない。

実際にはステージⅣでも14年もがんと共存した方もいます。余命なんぞは蹴飛ばして、希望を持って「今日の一日を精いっぱい生きる」ことです。

がんの自然退縮について、

がんの自然退縮は確かにあるようで、これまで世界中で500例以上、年間20人ほどの報告があります。進行がんでも報告がありますし、ほとんどの癌腫で報告されています。
原因はまだ明らかになっていませんが、自然に遺伝子異常が修復されたからではないかという説があります。 (P35)

と書かれています。勝俣医師も2例遭遇しているそうですよ。だれにでも希望はある。私はエピジェネティクス仮説からいって、がんの自然退縮はあたりまえに存在するのだろうと考えています。人の免疫力が総力を挙げると、本当に凄いことが起きてしまう。

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2015年11月11日 (水)

takeshiさんのご冥福をお祈りいたします。

いきなりのステージ4宣告!全身化学療法!
のtakeshiさんが、10月29日夜に様態が急変して23時35分に急逝いたしました、と奥様がブログにアップされています。

takeshiさんのブログは膵臓がんブログ村のランキングに登録されていないので、膵臓がんブロガーの方からのコメントもほとんどなく、ご存じない方も多いかと、ここに紹介した次第です。

お亡くなりになる3日前に、愛犬の写メをアップしていました。突然容体が急変したことがうかがえます。

部屋に戻りベッドに横になると死に対する恐怖心などが出てきました。いつまで生きれるなど本気で怖く現実から逃げたい気持ちにもなりました。癌=死と考える人も沢山いると思うけれど癌が小さくなると生存率が少し高くなると医師たちも考えるみたいです。だから僕も抗ガン剤治療頑張ります。

と書かれていたのに・・・。

膵臓がんの最期は急変する方が多いような気がします。

ご冥福をお祈りいたします。<合掌>

2015年11月10日 (火)

「コンパッショネート・ユース」制度が来年から始まる

先の「血液バイオマーカー」の記事は、今現在膵臓がんの方には恩恵のないニュースですが、こちらのニュースは少しは希望の持てる記事です。

2014年に「15年からコンパッショネート・ユースが始まる」と報道されていたにもかかわらず続報がなかったのですが、今日の読売新聞が次のように報じています。

最先端の薬治験、治療法ない重篤患者受け入れ

 厚生労働省は来年早々にも、有効な治療法のないがんや難病などの重篤な患者らが、未承認薬の治験(臨床試験)に人道的見地から参加できる制度を創設する。
 別の持病があるなど治験対象外の患者でも参加でき、患者の経済的負担も軽くすむ点が特徴だ。患者は最先端の治療薬に回復の望みを懸けることが可能になる。
 同省は年内に関係省令を改正する。新制度の対象は、最終段階の治験が行われている未承認薬。初期段階の治験で、副作用に関する安全性や効果などが一定程度確認されているためだ。
 新制度では、治験の情報を独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」のホームページで原則的に公開させる。現行の治験は、製薬会社と担当医らしか知らないケースも多い。治験情報を入手した患者らは、主治医を通じて参加希望を伝え、主治医が担当医と協議し、製薬会社が治験参加を判断するという流れだ。治験は、未承認薬と偽薬を使って効果を比べるのが一般的だが、人道的治験では偽薬を使わないことを基本とする。

このCU制度は、患者にとってメリットもデメリットもあるのですが、もう治療法はない、といわれた患者には一縷の望みを託すことができます。だた、厚生労働省は薬剤費は自己負担の方向だとのことですが、ドイツのように製薬企業に無償で提供するように求めていくべきでしょう。

治験情報をすべて公開することはありがたい方向です。膵臓がんの治験・臨床試験の情報は下のリンクで見ることができますが、これがすべてではありません。製薬企業と担当医しか知らない治験が相当数あるはずです。噂では膵臓がんに関してもいくつはあるようです。それらを公平にオープンにしてもらいたい。

膵臓がんの治験・臨床試験情報
(この中の第三相試験がCU制度の対象)

CU制度に関して、詳しくは過去記事に書いています。

  1. 膵臓がんにCU制度を導入 15年度から
    択肢を増やせるようにする。これは「日本版コンパッショネートユース」と呼ばれる制度。政府は6月にまとめる成長戦略に混合診療の拡大を盛り込む。この新制度はその柱の一つとなる...
  2. 第4のがん治療法への期待、CU制度の構築を
    手可能性 ロバート.J.テンプ(FDA)コンパッショネート・ユース制度がんペプチドワクチンは現在臨床試験が勧められている薬剤であり、その条件に合った患者しか臨床試験には...

こちらの書籍も参考になります。『日本で承認されていない薬を安全に使う-コンパッショネート使用制度

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膵がん早期診断の血液バイオマーカー

国立がん研究センターがプレスリリースで「膵がん早期診断の血液バイオマーカーを発見」と発表し、ニュースになっています。

国立がん研究センター研究所の本田一文ユニット長らは血液中の特定のたんぱく質を調べ、膵臓がんを早い段階で発見する手法を開発した。従来の血液検査では難しい早期の膵臓がん患者を見つけることができる。検査キットも開発済みで、年内にも1万人規模の検証を始め、実用化を目指す。

研究チームは膵臓がん患者の血液に含まれる物質を調べた。たんぱく質「アポリポプロテインA2アイソフォーム」の濃度ががん進行とともに下がることを突き止めた。

国立がん研究センターの日本語記事を見る限りでは、感度は確かに良いが特異度(膵癌でない人を膵癌でないときちんと判定する能力)がイマイチのような気もする。

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ま、スクリーニングとの位置づけだからそれでも良いか。見逃しがないように「疑わしき」を検出して、CTで精密検査し確定する。それで膵癌の早期発見につながれば嬉しい。

原文のサイエンティフィック・リポーツ(電子版)の記事はこちらです。
Plasma biomarker for detection of early stage pancreatic cancer and risk factors for pancreatic malignancy using antibodies for apolipoprotein-AII isoforms

でも、上の左の図と下の図Eが同じものなのだが、原文の図と比較するとずいぶん印象が違う。

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※IDACP: invasive ductal adenocarcinoma of the pancreas(浸潤性膵管癌)
※ ELISAs:enzyme-linked immunosorbent assays (酵素結合免疫吸着測定法)

図Bの右端の、ELISA apoAII (ELISA apoAII-ATQ/AT) の評価法では、健康人とIDACPが、他の手法よりもより分離されていることが分かる。ステージによらずほぼ同じ程度の感度なのはすばらしい。

しかし、判定レベルをどこに取るかによるけれども、感度を90%としたとき、偽陽性率がだいたい50%ほどになりそう。膵臓がんの罹患率が約3.4%だから、仮に1000人のうち膵臓がんの方が34人いたとして、その90%=31人は膵臓がんが早期に見つかる(3人は見逃し)が、残り966人の50%=483人が膵臓がんではないのに膵臓がんの恐れと判定され、CT検査で余計は被ばくとお金がかかり、はっきりするまでは精神的な苦痛を受けることになります。検査の結果「膵臓がんの疑いあり」と判定されて、実際に膵臓がんの人の割合は、31÷500=6.2% です。

これでは使いづらいよね。まだ研究が始まったばかりだから、これから改善されるのでしょうが。

膵臓がんは早期に発見して手術しないと完治することは難しい。数年以内の実用化だというから、期待しています。


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2015年11月 9日 (月)

今日の一冊(21)『がんを告知されたら読む本』

ブログのテーマを変更しました。これまではココログの既製のものでしたが、バナーの写真も含めて「シンプルに」、一から自作してみました。


ビオセラクリニック院長の谷川啓司医師の本です。ビオセラクリニックは東京女子医科大学病院の関連施設で、活性化リンパ球療法、樹状細胞療法などの免疫細胞療法、局所・全身温熱療法(ハイパーサーミア)を提供している病院です。

標準治療は女子医科大病院で、代替医療はビオセラクリニックでと、同じ患者に対して連携することで、別の法人ですから「混合診療」ではなくなりますね。そのための施設でしょう。「国に政策があれば、民には対策がある」わけだ。

病院の紹介ページにもあるように、

免疫細胞療法を行っている医療機関によっては、他治療と併用しながらでも縮小していることを、あたかも免疫細胞療法の治療効果のごとく宣伝し紹介していることがあります。しかし上に示した通り、免疫細胞療法単独で、新たな転移を抑えるような効果はよくありますが、出来上がったがんを縮小させることは基本的に難しく、縮小は併用している抗がん剤の効果に大きく左右されています。
免疫細胞療法では“がんの縮小なき延命効果”という現象で、また世界的に評価を受け始めているのです。

と、決して免疫細胞療法でがんが治るとは宣伝していません。あくまでも癌と闘う主役は免疫であり、これらの治療法は免疫の働きを助けて「元気で長生きして、できれば本来の寿命を全うするまで生きる」ことが目的だと述べています。手術ができないがんの場合、抗がん剤で完治することはまずありません。延命効果が期待できるだけです。どれだけの時間延命できるかの鍵は、自分の免疫力をどれだけ高く保つことができるのかにかかっているのです。

この本でもその主旨は貫いています。決して樹状細胞療法を一方的に宣伝して勧める本ではありません。(実は読むまではその手の本かと想像していた)とは言っても、自分の信じている治療法にはバイアスがかかるのはある意味仕方がないでしょう。近藤誠氏も手術・抗がん剤は止めろと言いながら、自分が放射線医だったから放射線治療に対してはある程度勧めています。ま、バイアスをさっ引いて読めばよろしい。

読んでなるほどと思ったことがいくつかあります。

一つは、抗がん剤はがん細胞を殺しているのではなく、がん細胞の分裂をじゃまして増殖を抑え、その間に自分の免疫力ががん細胞を退治する手助けをしているのだということです。抗がん剤の耐性ができるまでに、できるだけ免疫をあげて丸剤棒の数を減らすことが、長生きできる鍵です。主役はあくまでも「免疫」なのです。

抗がん剤の効果が無くなったら、治療を止めることで免疫力が上がり、返って長生きできることも多いのです。

代替医療・サプリメントに対する考えも、私のこれまで書いてきたことと共通しています。確実にプラスになるかどうか分からなくても、有害でなく(そして高価でなければ)今やっているの治療に悪影響がないのなら、それを利用するのは患者の権利です。むしろ能動的に前向きな姿勢が患者自身の免疫力を高め、治療の補助をし、がんに対して抑制的に働くはずです。だから、副作用がなく「有害でない」確証があれば可能は範囲で一つでも多く利用すれば良いのです。
(できれば小規模であっても、ヒトに対するエビデンスがある方が望ましいのは言うまでもない。ただ、代替医療だから当然「効果あり」と「効果なし」の研究が混在している)

温熱療法は免疫療法

がん細胞を含んだ部分を暖めると、がん細胞の表面に変化が生じます。「私はがん細胞ですよ」という目印=抗原が表面に現れてくることがあるのです。樹状細胞などの免疫細胞ががん細胞を見つけやすくなるのです。正常組織は機会のスイッチを切るとすぐに元の温度に戻りますが、がん細胞は1~2日ほど温度の高い状態が続きます。その間に免疫細胞が働いて効果が出るものと考えられています。

また、全身温熱療法では血液中のリンパ球がリンパ管の中に移動して、免疫系からの情報を受け取りやすくなります。(実は運動によってもリンパ球が移動して、同じ効果あると言われている)攻撃モードになりやすくなるのです。

温熱療法によって抗原を提示しやすくなったがん細胞を攻撃するのは免疫細胞です。ここでも自分の免疫力を上げることが重要になります。

そのためには第一に、心理的ストレスをなるべくなくし、ポジティブ・シンキングになること。がんのことは考えないことですね。考えないことが難しければ、一番最後に考える。そのためには楽しいこと、やりたいことをたくさん作ることですね。認知症の方は自分ががんであることを忘れてしまっているから、治療成績が良く生存率が高いという研究もあるくらいです。

がんのことは忘れましょう。最悪なのは四六時中がんのことで頭がいっぱいで、「どうしよう、どうしよう」と前向きではない考えに囚われていることです。そういうときには瞑想やマインドフルネスが効果的です。

「治りたがる患者は、治ることは希である。」

ぜひ読みなさいとは言いませんが、免疫療法や温熱療法に興味があれば、手に取ってみることは良いかも。でもビオセラクリニックのサイトに同じようなことが書かれていますから、そちらを読まれるのもいいかもしれません。

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2015年11月 8日 (日)

今日の一冊(20)『代替医療の光と闇』

アメリカの医療費はバカ高い。アメリカでの自己破産の6割はがん患者だという。日本のような国民皆保険制度を作ろうとしたオバマは、「社会主義的だ」との共和党の反対で不十分な改革しかできなかった。そうか、日本は社会主義国なのか。

だから国民の多くが代替医療に関心を持っている。サプリメントの売上も伸びている。しかし、これにも製薬企業のロビー活動によってFDAの規制が及ばないようにされてしまった。『代替医療の光と闇 ― 魔法を信じるかい?』は、こうしたアメリカの代替医療の歴史を豊富なエピソードを交えてわかりやすく解説してくれている。

たくさんの代替医療のグルや広告塔となったセレブが登場する。フリーラジカルが悪玉だという喧伝も、研究の結果一面的だと分かった。ビタミンEとβカロチンを摂っていた患者は、そうでない患者よりも肺がんか心臓病で死亡する割合が高かった。

アスベストに曝露され肺がんのリスクの高い18000人を対象にした臨床研究でも、ビタミンA、βカロチンを摂っていた被験者は摂っていない被験者よりもそれぞれ28%と17%多くがんと心臓病で亡くなった。研究は突然打ち切られた。マルチビタミンを摂っていた男性は、摂っていない男性に比べて前立腺がんで死亡する割合が2倍になっていた。

なぜだろうか? フリーラジカルはまちがいなく細胞を傷つける。そしてフリーラジカルを中和する野菜や果物をたくさん食べる人は健康である。サプリメントではなぜ駄目なのか。フリーラジカルは細菌を殺し、がん細胞を消滅させるためにも必要なのだ。サプリメントで大量の抗酸化物質を摂ると、フリーラジカルのバランスが崩れてしまい、免疫システムが有害な侵入者を殺す能力が減ってしまう。これが「杭酸化物質パラドックス」といわれているものだ。

二つのノーベル賞を受賞し、後に大量のビタミンC療法を提唱していたライナ・ポーリングの妻は胃がんで死亡し、ポーリング自身も前立腺がんで死んだ。

紹介されているいくつかの話題をならべてみる。

  • 国立補完代替医療センター(NCCAM)は、40万6000ドルを使って、コーヒー浣腸では膵臓がんは治療できないとの結論を得た。(でも未だにこれを勧めているエセ医師がいる)
  • NCCAMは、前立腺肥大症のある男性225人を二つにわけ、ノコギリヤシとプラセボを与えたが、二つのグループに尿流量、前立腺の大きさ、QOLに差はなかった。
  • イチョウに認知症の予防効果はなく、セントジョーンズ・ワートにうつ病を治す力はなく、ニンニクにコレステロールを下げる力はなく、関節痛にコンドロイチンとグルコサミンは効かないことがわかった。
  • スミソニアン研究書の記録によれば、サメはまちがいなくがんになり、軟骨のがんにもなる。『サメはがんにならない』本が日本でも売られ、サメ軟骨のサプリが売られているが、そもそもの前提がウソである。仮にサメ軟骨がある種のがんを治療できたとしても、それを食べるということは、胃の中の酸と酵素が軟骨のタンパク質を分解してしまうので効果は期待できない。(だからインスリンは飲まずに注射するのである)
  • 一方でオメガ3脂肪酸、ビタミンD、カルシウム、葉酸は一定の条件の下では摂取することが勧められる。

代替医療の効果はプラセボ以上ではないとしつつも、第11章では「驚くほど強力で過小評価されているブラセボ反応」と題して、その強力さを述べている。ブラセボ効果は思い込みではなく、”実際に”ある身体効果であり、それは脳内で造られるエンドルフィンの発見によって科学となった。

いくつかの研究によって、人間が意識し学習することで免疫反応を抑制したり、逆に強化することができることも判明した。人は花粉のない造花に対しても花粉症の症状を引き起こすことがある。これは免疫反応を”学習”する一例である。

ジョンズ・ホプキンス医科大学の研究では、抑うつ状態にあった新兵はそうでない兵士と比較して、インフルエンザの症状がより長く続き、より重かったことを発見した。”精神状態が病気を決定”したのである。「病は気から」という格言に根拠を与えるものである。

であるのなら、精神状態のありようと、プラセボ反応を利用して自分の免疫反応をコントロールし、強化して病気と闘うことも可能であるはずだ。

だから私は代替療法をやっている患者には、それがいかさま医療であったとしても「あなたが心底から信じているのなら、やってみれば良い」と言っている。

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2015年11月 6日 (金)

ビフィズス菌に免疫チェックポイント阻害薬と同等の効果

本当かなぁ。マウス実験レベルの話でヒトへの効果はこれからだけど、シカゴ大学が "Science" 誌に発表した研究だから、権威はあるだろう。

あの乳酸菌で免疫チェックポイント阻害薬が効くようになる?

「腸内細菌と免疫系が密接に関係していることが近年明らかになっていますが、今回の研究では特定の腸内細菌が免疫系のメラノーマ(皮膚ガンの一種)への反応を増強することが明確に示されました。 メラノーマ以外の多数のガンでも同様であることが期待されます。」

腸内細菌の移植と免疫チェックポイント阻害薬の一種である抗PD-L1抗体の投与とでメラノーマ腫瘍に対する効果を比較したところ、腸内細菌の移植によって、抗PD-L1抗体を投与したときと同程度に免疫系の腫瘍攻撃能力が向上し腫瘍の成長が遅くなりました。
さらに、抗PD-L1抗体の注射と同時に腸内細菌を経口投与すると、増殖したメラノーマ腫瘍がほぼ完全に消滅しました。

JAXマウスとTACマウスとの違いが顕著だったのは3種類の細菌でした。
そして、この3種類の免疫系に対する効果を1種類づつ確認していった結果、腫瘍抑制効果を発揮しているのが乳酸菌の一種であるビフィズス菌であることが判明しました。 ビフィズス菌だけの投与でもJAXマウスの腸内細菌叢全体を移植したときと同程度に腫瘍コントロール能力が向上したのです。

その他の実験では、ビフィズス菌が腸から出ない(おそらく腸内でコロニーを形成する)ことや、辺りをさまよっている樹状細胞(roaming dendritic cells)と作用して免疫応答を引き起こしているようであることが明らかになりました。 樹状細胞は潜在的な脅威の存在を検知してT細胞に伝えます。

ヤクルトでは駄目なのか? 本家のヤクルト研究所が実験していそうなものだけど。1月100万円もの治療費が必要な免疫チェックポイント阻害剤と同等の効果があるのなら、少しくらい高価なビフィズス菌顆粒を買っても良いかとも思う人もいるだろう。

@私のがん攻略法」にもプロバイオティクスに触れているし、過去記事もいくつかあります。

腸は第二の悩といわれるくらいで、免疫系の細胞とも頻繁に情報を交換しています。腸内フローラと免疫系の関係も最近話題の研究です。

ノーベル賞を受賞した大村智教授の薬は、ゴルフ場の土から採取した細菌を応用したものでした。我々はまだまだ細菌の秘めたる能力を知り尽くしているわけではないので、ありふれたビフィズス菌が免疫チェックポイント阻害剤と同じ能力を持っているとしても驚くには当たらないのかもしれない。

プロバイオティクスが新たな段階に突入ということか?

いずれにしろ、がんと戦う主役は自分自身の免疫力だということが、ますます明らかになっています。

ビフィズス菌には重篤な副作用もないだろうし、高価でもないから、”時間のないがん患者”が飲んでみるのも合理的な判断でしょう。延命効果があるかもしれない。

生きて腸まで届くビフィズス菌


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再発させないためにもバランス良い食事を

がんの治療期におけるもっとも大切な栄養目標は、十分なカロリーを取ることです。治療からの回復期には、十分なカロリーと多くの栄養素を適量摂る必要があります。再発がんを予防するためには、きちんとしたデータがない現状では米国対がん協会のガイドラインなどに従うことが合理的です。

乳がんでは肥満、高脂肪食、野菜や果物の少ない食事によって再発の危険性が高くなり、前立腺がんでは飽和脂肪酸の高摂取が再発の危険性を高め、微量栄養素の摂取で低くなることが知られています。これらが参考になるでしょう。

ジュース療法、断食療法、マクロバイオティック療法などの極端な食事は慎重になるべきです。というのは、必須のビタミンやミネラルの中の一つでも欠乏すると、免疫系が弱められる可能性があるからです。免疫系が弱くなると、当然再発の危険性が高くなると考えられます。

果物や野菜に健康的な効果があることは明かですから、バランスのとれた食事にジュースを組み合わせることは、微量栄養素の摂取方法として優れていると言えます。

バランスのとれた食事に十分に対応できないとき、総合ビタミン剤を飲むことは回復を助ける上でも、ビタミンやミネラルを補給して免疫力を低下させないためにも合理的でしょう。

以上、『「がん」になってからの食事と運動―米国対がん協会の最新ガイドライン』より。

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2015年11月 5日 (木)

加工肉・赤肉は発がん作用

世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC)が、ハムやソーセージなどの加工肉を「人に対し発がん性がある」物質に指定したニュースが話題になっています。毎日食べた場合、50グラムごとに大腸がんを患う確率が18%上昇すると結論づけ、「赤肉」については主に大腸がんが多いが、膵臓がんや前立腺がんとの関係性も確認したとされています。

ハムやソーセージを多く食べるドイツなどが反発しています。

今更なぜ騒ぐのかと不思議です。

と言うのは、2007年に、世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による同様の評価報告書「食物・栄養・身体活動とがん予防」が10年ぶりに 改訂され、その中では牛・豚・羊などの赤肉・加工肉について大腸がんのリスクを“確実”に上げるとしているからです。

  1. 肥満 ゴール:BMIは21-23の範囲に。推薦:標準体重の維持。
  2. 運動 推薦:毎日少なくとも30分の運動。
  3. 体重を増やす飲食物 推薦:高エネルギーの食べものや砂糖入り飲料やフルーツジュース、ファーストフードの摂取を制限する。飲料として水や茶や無糖コーヒーが推奨される。
  4. 植物性食品 ゴール:毎日少なくとも600gの野菜や果物と、少なくとも25グラムの食物繊維を摂取するための精白されていない穀物である全粒穀物と豆を食べる。推奨:毎日400g以上の野菜や果物と、全粒穀物と豆を食べる。精白された穀物などを制限する。トランス脂肪酸は心臓病のリスクとなるが、がんへの関与は知られていない。
  5. 動物性食品 赤肉(牛・豚・羊)を制限し、加工肉(ハム、ベーコン、サラミ、燻製肉、熟成肉、塩蔵肉)は避ける。赤肉より、鶏肉や魚が推奨される。ゴール:赤肉は週300g以下に。推奨:赤肉は週500g以下に。乳製品は議論があるため推奨していない。
  6. アルコール 男性は1日2杯、女性は1日1杯まで。
  7. 保存、調理 ゴール:塩分摂取量を1日に5g以下に。推奨:塩辛い食べものを避ける。塩分摂取量を1日に6g以下に。カビのある穀物や豆を避ける。
  8. サプリメント ゴール:サプリメントなしで栄養が満たせる。推奨:がん予防のためにサプリメントに頼らない。
  9. 母乳哺育 6か月、母乳哺育をする。これは母親を主に乳がんから、子供を肥満や病気から守る。
  10. がん治療後 がん治療を行ったなら、栄養、体重、運動について専門家の指導を受ける。

これらの報告(勧告)は婉曲に表現していますが、動物性食品の摂取は極力減らすこと、赤肉(牛・豚・羊)は摂らないこと、摂る場合でも週300g以下にすることを提唱しています。これはキャンベルが『葬られた第二のマクガバン報告』で言っている「1日50g以下」に等しくなります。

人間が食べるものは基本的に「異物」です。それらには多かれ少なかれ「発がん性」があります。一方で、栄養素を取ることでがん以外の他の病気を防ぐことになります。だから、一種類のものを継続的に食べない、バランスよく食べることが大切でしょう。

抗酸化物質をサプリメントなどで取りすぎると返ってがんが増えるという研究もあります。フリーラジカルもある程度は必要なのですね。これも「やり過ぎは良くない」という例でしょう。

レイチェル・カーソンが『沈黙の春』で警鐘を鳴らしたように、近年、これまでに自然界にはなかったような多くの化学物質が環境に放出されています。放射性物質もその一部です。人類全体として、これらの発がん物質を抑制するように考える必要も差し迫っているでしょう。不健康な地球に住んでいて、人類だけが健康になることはあり得ないのです。

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龍王峡からもみじラインへ

スライドショー:龍王峡、もみじライン(17枚)

二日目は、宿から10分の距離にある龍王峡へ。宿はこちらでした。↓

★バイキングの種類が凄い! 最上階にある露天風呂も気持ちが良い。★

このルートは2008年11月に来ていて、ブログにも記事が残っている。「日塩紅葉ライン・那須高原の紅葉

膵臓がんの術後1年半経ったころだった。思い出すのは、下痢になり紙おむつも穿いてなくて、やっとの思いで川治温泉のガソリンスタンドで用を足したこと。感謝しながら、今日このガソリンスタンドの前を通りました。

龍王峡の虹見の滝

虹見の滝

虹見の滝

五十里(いかりこ)

五十里湖

もみじラインの紅葉はちょうど見頃。いろは坂なんかよりもよほど紅葉の名所だと思う。ここの赤は鮮やかなんだよね。

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昼過ぎには塩原温泉郷を経って帰宅へ。めずらしく途中まったく渋滞なしでした。

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2015年11月 4日 (水)

日光輪王寺、鬼怒楯岩大吊り橋

  奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき

古今集の猿丸太夫の作と云われ、小倉百人一首にもおさめられている歌ですね。

日光輪王寺の逍遙園駐車場で鹿に出会いました。牡鹿ではなかったが、「なんで、ここに鹿が?」と一瞬目をこすりました。

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4月の下野新聞に紹介されていましたが、交通事故で親鹿が死に、その後町中で暮らしているらしい。どおりで、人慣れした様子でした。

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本降りの雨の中、日光と鬼怒川に行ってきました。まずは輪王寺逍遙園へ。

スライドショー:日光輪王寺、鬼怒楯岩大吊り橋(25枚)

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鬼怒川温泉の宿へ向かう途中で、「鬼怒楯岩大吊り橋」

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15/10月ツイートのまとめ

バイオマーケットjp @biomarketjp
BioQuick News:MD Andersonがんセンター、エキソソームによる膵がん早期診断で成果 http://biomarket.jp/bioquicknews/index.php?page=detail&bid=589

がんサポート @gansupport
Web更新情報:がん相談 膵臓がん|ステージⅡの膵頭部がん。術前化学療法は有効? | がんサポート http://gansupport.jp/article/qa/pancreas_qa/14375.html @gansupportさんから

がんサポート @gansupport
Web更新情報:がん相談 膵臓がん|ジェムザールの副作用がつらい。今後の治療法は? | がんサポート http://gansupport.jp/article/qa/pancreas_qa/14376.html @gansupportさんから

祭谷一斗 @maturiya_itto
「さまざまな病院でセカンドオピニオンを受け、有名な近藤誠さんにも話を聞いていた」 ええ……知人が正しいなら文藝春秋は大失態だし、『週刊文春』なんてどの面下げてご遺族にインタビューしてたの……。 / “川島なお美さん がん闘病で最後…” http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151001-00010003-jisin-ent

文鳥さん ぶんちょうさん @komatsunotsuma
@reishiva @iwakamiyasumi 【これは酷い】年金積立金(GPIF)が株価暴落で10兆円も減っていた事が判明!7~9月期の運用成績はマイナス9.4兆円の見通し! http://saigaijyouhou.com/blog-entry-8221.html https://twitter.com/komatsunotsuma/status/650663636529053700/photo/1

スウェーデン政治経済情報 @sweden_social
ルンド大学の研究者が、簡単な血液検査でバイオマーカーを観ることで膵臓癌を早期に発見する手法を開発した。早期治療による生存率の向上を期待。スウェーデンでは一日に2人が膵臓癌と診断される。http://sverigesradio.se/sida/artikel.aspx?programid=2054&artikel=6271034

Medエッジ @mededgejp
攻撃する細胞が必要です。 がん攻撃の「T細胞」どう温存するか 燃え尽きを防ぐ「免疫チェックポイント」 ⇒ https://www.mededge.jp/a/canc/19747?src=pc_sn_twt_151006_19747

キノシタ @Oncle1316
これは大変だ!マルチビタミンも駄目かもしれん!⇒抗酸化サプリにがん転移促進作用か、マウス実験 米研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News http://www.afpbb.com/articles/-/3063273 @afpbbcomさんから

キノシタ @Oncle1316
膵臓がんではあまり効果が期待できない、と参加している先生の話。 RT @EnjyuGan サバイビン2B、膵臓がんで治験開始 - 「がん克服 生還への道」から抜粋記事投稿 http://gan-kokufuku.com/enjyu/%E3%82%B5%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%93%E3%83%B32b%E3%80%81%E8%86%B5%E8%87%93%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%A7%E6%B2%BB%E9%A8%93%E9%96%8B%E5%A7%8B/?utm_source=twitter

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2015年11月 1日 (日)

study2007さん、末期がんの身で再稼働に満身の怒り

今日の東京新聞『こちら特報部』の記事をコピー。
余命宣告され、末期がんの大変な状況で、原発再稼働への満身の怒り。

Study2007
今日は時間がないので、旅行から帰ってから追加、修正するかもしれない。

今日の一冊(6)『見捨てられた初期被曝』
て検証しようという試みです。私は、著者のstudy2007さんとは2007年からのお付き合いです。とは言っても、ネットのブログ上での知り合いで、実際にお会いしたことはあ...

hdさんも頑張っています。

20151101_21_49_10

どちらも、負けないで! 応援しています。

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膵臓がんの免疫チェックポイント阻害剤

こちらの記事でも紹介した免疫チェックポイント阻害剤ですが、今日のパープルストライドでも多くの患者さんが期待を持っていることが分かりました。しかし膵臓がんを対象にした薬は開発されているのでしょうか?

膵臓がんに対しては免疫チェックポイント阻害剤は効きにくいというのは、クローズアップ現代でも語られていました。

ただ、研究を進めると、免疫チェックポイント阻害剤には効きやすいがんと効きにくいがんがあることがわかってきた。すい臓がん、前立腺がん、大腸がんなどは一般的に効きにくいという。これらは遺伝子の変異が少ないタイプのがんのため、免疫細胞ががん細胞を正常な細胞と認識してしまい、攻撃しづらいからだと考えられている。

ミスマッチ修復遺伝子に欠陥があると効果が出やすいようです。こんな記事があります。

免疫チェックポイント阻害薬が効く人に一つの特徴、「ミスマッチ修復遺伝子」の欠陥が左右

研究グループは48人のがんを持つ人を3つのグループに分けた。

第1のグループでは13人が進行した大腸がんで、ミスマッチ修復遺伝子に欠陥があった。8人はペンブロリズマブが部分的に効いた。がんの直径が30%収縮したことを意味する。4人は病気の安定した期間を延長させる効果があった。1人は病気が進行した。

第2のグループでは、25人が進行した大腸がんで、ミスマッチ修復遺伝子に欠陥はなかった。25人全員が効かなかった。

第3のグループでは、10人がさまざまながんで、ミスマッチ修復遺伝子に欠陥があった。
4人は膵臓/胆管がん、2人は子宮がん、2人は小さい大腸がん、1人は胃がん、1人は前立腺がんを持った。
1人の子宮がんを持った人は完全に回復して、がんが消失した。5人は部分的に効いた。1人は病気の安定する期間を延長させる効果があった。3人の病気は進行した。

はっきりとは書かれていませんが、第3のグループでは、膵臓がんの4人の患者を含む10人のうち、進行したのは3人ですから、最低でも1人の膵臓がん患者には効果があったと推測できます。少しは期待が持てますね。

すでに世界では85社が148種類の免疫チェックポイント阻害剤を開発すべく、56種の異なる開発ターゲットに対し、463件の開発プロジェクトを走らせているそうです。当然これらの中には膵臓がんを対象とした開発もあるのでしょうね。

現時点で分かっているのは、膵臓がんの免疫チェックポイント阻害剤は、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が臨床試験を開始しているようです。こちらのPDFファイル

海外においては、現在ブリストル・マイヤーズ スクイブ社が腎細胞がん( RCC)、頭頸部がん、血液がん、膠芽腫、大腸がん、 膵臓がん、胃がん、肝細胞がん、トリプルネガティブ乳がん、小細胞肺がん、膀胱がんなどを対象とし た臨床試験を実施中です。一方、日本では、小野薬品が 2014 年 9 月に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として発売しました。また、 RCC、非小細胞肺がん、頭頸部がん、胃がん、食道がん、肝細胞がん、 ホジキンリンパ腫を対象とした臨床試験を実施中です。

小野薬品さん、なんとか日本でも早く臨床試験をやってくれないかなぁ。いろいろと契約上の問題、薬価への経営戦略上の問題がありそうだが。

明日から一泊二日で鬼怒川へ夫婦で温泉旅行、紅葉の旅です。信州と北海道の紅葉には行きましたが、我が奥様にはまだ今年のきれいな紅葉を見せていないので、機嫌を損ねないようにと。でもあいにくの雨の予報ですよね。明後日は晴れてくれると思います。

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パープルストライド2015に行ってきました。

木場公園で開催された『パープルストライド東京2015』に行ってきました。

秋ですね。快晴でぽかぽか陽気です。コスモスもきれいに咲いています。

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紅葉の向こうにスカイツリーもはっきりと見えます。

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会場が見えてきました。もうたくさんの人が集まっている様子です。

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開始時間ぎりぎりになったのは、アヘンチンキは飲んでいったけど、途中でゲリラ便意をもよおして、日本橋駅でトイレに駆け込んだためです。手術の後遺症、いつまで続くんだろう。

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たくさんの参加者、杏林大学のドクターカーもスタンバイです。

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「KNOW IT」「FIGHT IT」「END IT」を一斉に掲げて、「膵臓がんを知ろう」「膵臓癌と闘おう」「膵臓がんを終わらせよう」のパフォーマンスで膵臓がん撲滅を誓います。。

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見頃間近の紅葉の樹の下など、あちこちで情報交換。

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今年はサバイバーのTシャツは水色で参加者のパープルとは違います。美しい女性陣がポーズを取ってくれました。

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ペットも・・・

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この間に亡くなった膵臓がん患者への献花台が設けられています。供えられた白い菊の向こうで歌うのは、母親を膵臓がんで亡くした竹本孝之さんです。

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手術着と白衣を着て歌う、医療系バンド・ハートフルホスピタルのライブには皆乗ってました。女性ボーカルが上手だったなぁ。「血液サラサラ音頭」は笑えます。

Img_6314

サバイバー・テントでは、何人かの方と情報交換しました。患者同士の情報交換って、病院では得られない情報がたくさんあるから、もっとこうした機会が必要ですね。

来年もまた。

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