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2017年6月27日 (火)

小林麻央さんの訃報に接して考える

小林麻央さんの訃報には、多くの方が感想を述べています。彼女のブログの内容には私も感動させられることが多々ありました。ご冥福をお祈りいたします。

しかし、ニュースに接していて少なからず違和感を感じたことも事実です。

『2016年に麻央さんを「世界に影響を与える『100人の女性』」の1人に選出していた英国公共放送のBBCは、闘病生活を発信し続けた麻央さんのブログを「草分け的な存在」と伝えた』と報じ、また『日本では、がんについて表立って話をするのは珍しいことだが、小林さんが既成概念を破って闘病中の経験や思いをブログでつづり始めた。小林さんのブログはがんと闘う人だけでなく多くの人を元気づけた』とも書いています。

これは日本のブログの現状に対して、あまりにも無知としかいいようがありません。乳がんに限らず、多くの患者がブログで発信しており、麻央さんのブログよりももっとすばらしいブログはたくさんあります。膵臓がんでも「既成概念を破って闘病中の経験や思いをブログでつづり始めた」患者はたくさんいます。

有名人だからと、特別扱いは止めてほしいものです。ま、視聴率が稼げるからとの判断なのでしょうが。

前川氏のインタビューが突然、小林麻央さんの訃報に切り替えられたこともおかしい判断ですね。どの放送局に回しても、みな同じ麻央さんの訃報ばかり。どちらが大事な問題なのかと、放送局の判断には首をかしげざるを得ません。

彼女の訃報に便乗して「だからがん検診を受けましょうね」との記事もあります。最初の健診でしこりと判断したのが、誤診ではないかと、担当医の名前まで公表しているTwitterもあります。

がん検診は擬陽性率や偽陰性率が高く、100%完全な健診などありません。がん検診に対して、日本で行われたランダム化比較試験は一つもないのです。つまり、科学的に実証されたエビデンスはありません。

2016年1月6日にBMJ(英国医師会誌)に発表された論文「なぜ、がん健診は『命を救う』ことを証明できなかったのかーそして我々は何をすべきか」では、がん検診が命を救うという確たる証拠はない、と述べています。

たとえば、最も効果が確実とされている大腸がん検診(便潜血検査)では、4つの臨床試験を統合した研究で、大腸がんの死亡率が16%低下することが示されている。その一方で、がんだけでなく、あらゆる要因による死亡を含めた「総死亡率」が低下することは証明できていない。

なぜ大腸がん死亡率が減っても、総死亡率は減らないのか。論文の著者らによると、過剰診断によって「ニセがん」(命を奪わない病変)が見つかり、無用な検査や治療を受け、命を縮めてしまう人がいるからだという。

放射線や抗がん剤による治療は強烈な副作用など、体への負担が大きい。つまり、がん検診のメリットを、過剰診断にともなうデメリット(害)が、打ち消してしまうのだ。

欧米では、死亡率低下効果が明らかと思われてきた乳がんのマンモグラフィー検診(乳房のX線検査)でさえ、近年、死亡率低下効果が見られないという報告が相次いでいる。

さらに2012年に米国オレゴン健康科学大学の研究者らが発表した論文では、過去30年のデータを検証した結果、検診で発見された乳がんの3分の1が過剰診断だったことが報告された。

驚くことにこの論文によると、米国ではこれまでに130万人が「無用な治療を受けた」と推計されているのだ。こうした結果を受けて、スイスでは医療委員会が乳がん検診の廃止を勧告している。

前立腺がん検診についても、死亡率低下効果よりも過剰診断によるデメリットが大きいことから、米国や英国など欧米各国は推奨していない。このように、いまや海外では、がん検診の有効性自体が疑問視され始めている。(週刊ポスト2017年3月17日号)

国立がん研究センターの「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン 2013年度版」では40歳以上の女性にマンモグラフィーを勧めているが、根拠となった海外の臨床試験では、最近では40歳代の健診には疑問がつき始めています。

それに、健診の効果も芳しくない。50歳以上に限ってさえも、20170627001 乳がんによる死亡数を、5人から4人へと、1人減らすことができる(0.1%)が、全てのがんによる死亡数は同じである。つまり乳がん検診は総死亡率の減少にはつながらない。一方で乳がんではないのに乳がんと診断されて、部分切除や全摘をされる患者は100人(10%)いる。

これががん検診のランダム化比較試験による科学的な結論です。(日本では行われていない)

朝日新聞も「ピンクリボン運動」を持ち上げるのは止めにしたらどうか。

膵臓がんでも、”血液一滴で高い検出率”等とニュースで持ち上げているが、仮にその検査の感度を90%とし、ひいき目に見て偽陽性率が50%ほどとすると、膵臓がんの罹患率が約3.4%だから、1000人のうち膵臓がんが34人います。その90%=31人は膵臓がんが早期に見つかる(3人は見逃し)が、残り966人の50%=483人が膵臓がんではないのに膵臓がんの恐れと判定され、CT検査で余計な被ばくとお金がかかり、はっきりするまでは精神的な苦痛を受けることになります。

この”すばらしい”検査の結果で「膵臓がんの疑いあり」と判定されて、実際に膵臓がんである人の割合は、実に31÷500=6.2% 、16人に1人しかいないのです。16人に1人で助かればいいではないか、という意見もあるでしょうが、そう単純ではない。膵臓がんでは亡かった15人は、ムダな検査によって、細胞診やCT検査、あるいは手術までされて寿命を縮めることになる。総死亡率を減らせるかどうかで健診の効果は評価されるべきですが、それには何十年もの歳月と莫大なお金がかかるのです。

確かに膵臓がんの早期発見の技術は確立して欲しいし、研究者らの努力は尊敬しますが、マスコミは検出率だけでなく擬陽性率や実際の効果も、数字で説明してほしいものです。


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