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2017年8月

2017年8月31日 (木)

持続血糖測定器(CGM) FreeStyleリブレが保険適用に

アボットジャパン社からは、FreeStyle リブレプロが発売され、2016年12月1日に保険適用になっていますが、患者が測定値を確認できない機種でした。

今日、血糖値管理をしていただいている先生の診察の際の話題で、9月1日から、新機種のFreeStyle リブレが保険適用になりそうだということです。
この新製品は、2週間の持続血糖測定のモニタリング期間中に、患者本人が随時、非観血的に血糖値を測定できるというもの。

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製品情報(アボットジャパン社

従来品に比べて廉価です。なんと価格は本体もセンサーも7,000円(税別)くらい。センサーは2週間の使い捨てです。保険適用になればそれぞれ2,300円程度になりそうですね。

本来は来年4月の保険適用の予定だったらしいのですが、厚生労働省の医療機器の認可は一度拒否されると二度とできないそうで、それやこれやで企業戦略として9月の承認に踏み切ったのだとか。その辺の事情がよく分かりませんが、早いのはありがたい。ただ、保険点数だとか、細部が詰め切れていない様子です。

先生曰く「糖尿病治療の常識がひっくりかえる可能性を秘めた測定器です」と。つまり、これまでのカロリー制限食が食後の高血糖を防げず、失明する患者、下肢を切断する患者がいっこうに減る様子がないわけです。HbA1cを頼りにして糖尿病管理をしてきたのですが、HbA1c値が良くても食後の高血糖があれば合併症は防げません、この測定器で測れば、患者が見て、医師の治療法の善し悪しが白日のものになります。

カロリー制限食から糖質制限食へ。糖尿病治療のパラダイムシフトが加速するに違いありません。

膵臓がん患者にとっても、血糖値管理は重要です。インスリンを打っている方も多いでしょうが、インスリンは必要最小限にしておくことが大事です。なぜならインスリンはがん細胞を増殖させる働きがあるからです。また、多すぎて低血糖を起こすと即、命に関わります。

私の主治医は、膵頭部しか残っていない私の年齢も考慮して、

  • 朝の空腹時血糖値は100以下にしない
  • 食後の血糖値は180~200に。そのためには食後に運動を取り入れる
  • これに近づくように、インスリンは自分で増減しなさい
  • 筋肉を増やしなさい

との指導です。食後の高血糖はインスリンに頼るのではなく、糖質を控えたり、食後の運動でコントロールしろということです。筋肉量が増えると血糖値の上昇が抑えられます。

私もこの方針に賛同しています。食事療法→運動療法→最後に薬物療法です。

HbA1cは6.1%なのですが、食後血糖値のピークが1時間後なのか2時間後なのか、未だに判然としません。次回の診察時にはFreeStyleリブレが使えると、この疑問も解決します。

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ブログのタイトルを変えました。

完治したのだから、「サバイバーへの挑戦」でもないだろうと、ブログのタイトルを変更しました。

良寛さんの辞世の句、

  散る桜  残る桜も  散る桜

から拝借して、生き残ったのは「たまたま」だから、余生はロスタイムと考え、のんびりと過ごします。

ブログを閉めようかとも考えましたが、2000ページもの記事を捨てるのも勿体ないし、『すい臓がんカフェ』は続けるので、やはりこのブログは残しておきます。

タイトルは、

  • 負けてたまるか!膵臓がん闘病記
  • 膵臓がんサバイバーへの挑戦
  • 残る桜も 散る桜

と変遷してきましたが、その時々の私の想いが凝縮されています。

古い記事を掘り起こして、再考してアップすることも予定しています。

がんの話題は少なくなりますが、お気に召したらお付き合いください。

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2017年8月29日 (火)

「ケトン食でがんが消える」は本当か?

ケトン食が何かと話題です。古川健司氏の『ケトン食ががんを消す』以来、がん患者にも関心を持たれている方がいます。

江部 康二 : 高雄病院理事長が東洋経済オンラインにて、『話題の「ケトン食でがんが消える」は本当か』とインタビューに答えています。

  • 動物のがん細胞を入れたシャーレにケトン体を投与すると、がんが縮む
  • 患者さんに糖質制限食を指導したところ、がんの存在を示すマーカーの値が下がった
  • ケトン食や糖質制限食で血糖を減らしてケトン体を増やせばインスリンをあまり出さずに済むため、抑制効果があるのかもしれない
  • がんの末期ではインスリンが異常に出ている可能性がある
  • 大阪大学では現在、糖質制限食のがん抑制効果について積極的な研究が行われています
  • 肺がんの末期であるⅣ期の患者さん5人にケトン食治療を行ったところ、2人が寛解(症状が落ち着き安定)
  • 医学雑誌『ネイチャー・メディスン』に「ケトン体が炎症を抑制する」という論文が発表されました
  • 現在のところ、ケトン体にはたしてがん治療の効果が本当にあるかどうか、まだ結論は出ていません。しかし、その可能性には大きな期待が寄せられている状況なのです。

希望は持ちつつ、過大な期待はしない~ということでしょう。

脂肪質が多いケトン食は、私には続けられそうにないなぁ。

2011年8月からアイオワ大学とNIH(米国国立衛生研究所)が共同で、肺がんとすい臓がんに対するケトン食の効果を確かめる臨床試験を開始しました。残念ながらこの研究は、症例が集まらなかったのとコンプライアンスが悪かったということで2017年7月に終了となりました。

この研究、対象が膵臓がんだということで期待していたのですが、残念です。

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2017年8月28日 (月)

原宿 スーパーよさこい

久しぶりにカメラを担いでお出かけ。一昨年にも行った原宿のスーパーよさこい。
しかし、今年は奇抜な衣装や振り付けのチームがなく、絵になるものは撮れなかった。

9200歩、早歩き:44分、総消費カロリー:2430kcal
暑さもあったのか、歩きすぎてこむら返りが起きた。

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土佐の女は飲んべえだから、一升酒を一息で飲む。

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四万十川の青のりの入った「青のりうどん」。コシがあって青のりの香りと相まって美味。

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原宿通りから横丁の路地を入ると、よさこいの雰囲気からがらりと変わる「〇〇通り」

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2017年8月27日 (日)

第3回がん撲滅サミット 岡田直美医師、光免疫療法の小林久隆氏が講演

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第3回がん撲滅サミットが11月にパシフィコ横浜で開催されます。昨年は一部の患者団体、医師から執拗な妨害があり、混乱したことが記憶に新しいです。

主催者団体の代表顧問の中見利男氏が開催に当たって次のようなインタビューに応じています。
第3回がん撲滅サミット提唱者に聞く~戦うべきはがんであり、患者同士や医師同士ではない~

中見 昨年はお騒がせしたことについては反省しております。しかし昨年、登壇予定だった二人の医師の方は確かにクリニックと名がついておりますが、我々の紹介したかった治療法は少量抗がん剤治療と動注塞栓術でした。この二つの治療法を二人の先生は保険適用第一で進めておられたので、ほかに治療法がないという人でエビデンスの確立はできていないものの、どうしても他の選択肢が欲しいという方々のためにご紹介する予定でした。ある患者団体の代表の方が声を上げたのですが、これについてはメディアはすい臓がんなどの重い症状を抱える他の患者団体や直接該当する二人の医師の方にも取材をされるのだろうと考えておりました。本来それがジャーナリズムだと思うのですが、私自身その後の対応に走り回っていたので、積極的に説明に回れなかったことが唯一残念です。中には業務妨害に匹敵する行為を行った医師の方々もおられましたが、事を荒立てるのではなくまずは大会を実施することを私自身、優先したのです。もっとも私自身に患者さんのお役に立てればと思う気持ちが強かったことと、あらゆる意味で勉強不足があったのだと思います。

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今回はがん研有明病院が主催者に名を連ねています。三好立先生らの再登板を期待していたのですが、実現しないようです。そのかわり、ブラックジャックを目指す医師『このまま死んでる場合じゃない』の著者 岡田直美医師が公開セカンドオピニオンに登壇します。

是非ともお話を聞きたいものですね。そうそう、次回10月の『すい臓がんカフェ』には、もう一人の共著者である善本孝香さんが講演をしてくださいます。

岡田医師は著作で次のように述べて、エビデンス史上主義者を批判しています。

動注なら動注の論文をたくさん集めて、統計解析した論文。これをメタアナリシスと言いますが、これが、もっともエビデンスレベルが高い、信頼度が高いものとされています。論文の筆者が動注をしたことがあろうとなかろうと関係ないのです。一見客観性はあるように見えますが、机上の空論というか、何か腑に落ちないのです。

いくら私が再発・転移した患者さんを治したからと言って、「それは単なるケースレポートでしょう」「エビデンスというにしては弱い」と一蹴されてしまうのです。これまでの治った患者さんのすべてについて分析し結果を論文にしても、それは後向き試験(過去のデータをまとめたもの)で、客観性に乏しいと、高く評価されることはありません。

〝個人〟がどんなにたくさんの患者さんを治したとしても、治療をしたことがない「論文屋さん」に勝つことは不可能なのです。

この説明は動注だけでなく、低用量抗がん剤治療についても言えることですね。現場の医療者は論文屋さんと論文屋さんの受け売りをする医師には勝てっこないのです。

「アメリカのがん撲滅戦略と光免疫療法最前線」と題して、小林久隆氏(NIH(米国国立衛生研究所)/NCI(米国国立がん研究所)主任研究員)の講演もあります。

こちらもまだエビデンスに乏しい治療法ですが、まさか昨年のように妨害はしないだろうね。

第3回がん撲滅サミットは、今回からは事前申込み制です。すでに残り少なくなっているようです。参加を考えている方は早めの申込みを。

申込先はこちらです。

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マットレス交換 Airyが気持ちいい

がん患者にとって、快適な睡眠はとても大切です。

睡眠が不足すると、体温、血圧などのリズムを調整している体内時計が乱れが、がんや糖尿病などの疾患のリスクに関係しているようです。そして新しい研究によると、睡眠のリズムの乱れが遺伝子の発現パターンを変え、タンパク質の合成メカニズムを壊してしまうそうです。

各被験者の遺伝子全て(ゲノム、全遺伝情報)を対象とした解析を行ったところ、被験者が「睡眠ホルモン」であるメラトニンの分泌に従って眠っている場合には、1502もの転写産物(全遺伝子の6.4%にあたる1396遺伝子を解析)が、概日リズムに沿った遺伝子発現と分類されました。
メラトニンは脈拍や体温、血圧などを低下させ、体に睡眠の準備ができたことを認識させて自然な眠りに導きます。朝目覚めて太陽の光を浴びると分泌が止まり、目覚めてから14~16時間くらい経つと体内時計からの指令で再び分泌されます。規則正しく十分な睡眠時間を確保していれば、いつもの就床時間の1~2時間前から分泌され始める計算です。

一方、乱れた睡眠リズムの下では、血中の概日リズムに基づく転写産物は、ヒトの通常時の6.4%から1.0%まで、6分の1に減少しました。それだけ睡眠リズムの乱れは時計遺伝子の発現への影響が大きいのです。

睡眠の乱れによって遺伝子が正しく発現しなくなれば、必要なタンパク質が必要なときに作られず、体を弱らせ、老化や病気に結びつくことは容易に想像がつきます。こんな体内環境なら、がん細胞も喜んで勢いを増すに違いありませんね。

久留米大学がんワクチンセンター長の伊東恭悟先生の著書『がんを生きよう―あなたのT細胞が治療の主役です』にはこう書かれています。

睡眠と免疫には深い関係がある。免疫細胞は一日に800億個が死滅して、新しく再生される。そのためには、ほどほどに食べて夜8時間は電気を消してヨコになることで、T細胞やB細胞が増える。

2009年のブログ『快適寝具「パシーマ」』でこんなことを書いています。

寝るときにはパシーマとサニセーフという寝具を使っている。これは三層構造になったシーツのような布で、添加物の全くない脱脂綿とガーゼで作られている。中野孝次が『閑のある生き方』の中で紹介しているのが前々から気になっていて、最近買って使ってみたが、これが本当に気持ちが良い。

買ったのは洗足池の近くにある「こうえつ庵」という焼き物の店。どうして焼き物の店に寝具があるのだろうと電話で確認してから出かけた。応対していただいたのは質素な風情の麗人。この店の主人が使ってみて気に入ったので、店に置くようになったということでした。

これは『一念八十年「綿」にかけた男』の著者、梯禮一郎氏が考案した寝具で、中野孝次の『清貧の思想』を読んだ氏が、「『清貧の思想』を寝具にすると、こういうものになるんじゃないですか」と送ってきたのだという。純粋で無垢、混じり気がなく、見てくれに気を遣っていない。確かに『清貧の思想』だ。「よき老年は長持ちする本物だけを伴侶とし、数は少なくとも、日々使って楽しい日常を送ることこそふさわしいと思う」と書いている。この寝具で素っ裸で寝るのがいちばん良いと『はだか快眠健康法』という本まで書いている。さすがにはだかで寝るには少し躊躇して、パジャマのズボンだけにしているが、肌触りも快適で目覚めもすっきりする。

実は、敷布のサニセーフは2014年に買い換えたが、このときのパシーマは8年後の今でも使っている。端っこは少しぼろぼろになってきたが、現役である。本当に丈夫で長持ち、「よき老年は長持ちする本物だけを伴侶とし、数は少なくとも、日々使って楽しい日常を送ることこそふさわしいと思う」である。

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2017年8月26日 (土)

良寛のこんな詩

寝る前、まどろんでいると、

ふと、良寛のこんな詩が思い浮かんできた。

騰々(とうとう) 天真に任す
囊中(のうちゅう) 三升の米
炉辺 一束の薪
誰か問わん 迷悟の跡
何ぞ知らん 名利の塵
夜雨 草庵の裡
雙脚(そうきゃく) 等閑(とうかん)に伸ばす

立身出世など考えもせずに、ただ万事なるがままにして生きてきたが、今こうしてひとり雨音を聞きながら炉辺で冷え切った足を伸ばして暖を取ることが できることが至福の喜びだ。頭陀袋には乞食をしてもらってきた三升の米があり、暖を取る一束の薪がある。これ以上何が必要であろうか。

良寛のように飢餓の境で生きた真似はとてもできはしないが、名誉だの地位だの肩書きなど、競争や成果や他人の評価を気にして生きることが如何につまらないことかと思う。 今こうして痛みも悩みもなく、少し疲れた足を伸ばす気持ちよさをただ感じている。

中野孝次の『風の良寛』にこの歌が紹介されている。

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2017年8月21日 (月)

今日の一冊(78)『65歳からは検診・薬をやめるに限る!』

名郷直樹医師の本は、何度も紹介しています。彼の主張が私の考えに良く合うからです。

長生きするのは善なのか?

スパコン「京」の開発予算の審議で、蓮舫さんは「2番ではダメなんですか?」と言ったが、世界一の長寿国になっても「1番でもダメ」なようで、まだ健康第一だとやっています。これじゃおかしくないですか?

「健康第一」は間違っている (筑摩選書) ということを書いているのが名郷直樹医師の『「健康第一」は間違っている』なのです。タイトルだけをみると「医療否定本」のようですが、名郷医師は『EBM実践ワークブック』などの医師向けの著作もあり、EBMに基づく医療を先進的に行ってきた方です。

世の中が「健康第一」「長生き第一」「医療は万能」にぶれすぎているから、真逆の考えをあえて打ち出そうというのです。

今回紹介する著作『65歳からは検診・薬をやめるに限る!』も同じ趣旨ですが、高齢者の治療に焦点を絞って書かれています。

老人に「いつまでも元気で長生き」を強制している社会の風潮があるのではないか。人間に寿命があり、医療や薬では老化は防げないのだから、「いつまでも」は無理だと誰もが分かっている。しかし、寝たきりで家族に迷惑をかけたくないから、無理に運動し、塩分を控え、甘いものも我慢している。どこか少し調子が悪いといっては病院で薬を出してもらって安心する。

子どもが独立して、定年を迎えたら「健康第一」はやめて「今の時間を楽しむ」、高血圧や血糖値なんぞは気にしないで「おいしいものを食べる」のが得策だ。

薬を飲んだからといって、長生きできるわけではない、むしろ副作用で寿命を縮めることもある。65歳を過ぎたらがん検診もしない方が良い。早く見つけたからといって長生きできるとは限らないし、抗がん剤の副作用で返って余命が短くなる。

「ピンピンコロリ」が理想だというが、がんで死ぬのは「ピンピンコロリ」に近いのじゃないだろうか。ある日気づいたら膵臓がんの末期だった、というのは高齢者にとっては「ピンピンコロリ」の理想的な最期かもしれない。苦しいのは最期の数日からせいぜい1ヶ月程度だし、膵臓がんでも最期の日までほとんど痛みのない人もいる。

80歳になろうかという末期がんの親を、あちらこちらの病院や先進医療にと奔走している家族や子どももいる。熱意や愛情は充分に理解できるのだが、それは果たして高齢者の親にとって幸せなことなんだろうか。本人の意思を尊重してのことなのだろうかとしばしば思う。実は「息子が、もっと長生きしてと熱心に勧めるから、仕方なく抗がん剤を打っている」という患者は意外と多いのだ。

先の『すい臓がんカフェ』にもそうした方がいて、私は「もちろんあなたの価値観次第ですが、無理に治療をすることもないのでは。それよりも今の時間を有意義に過ごすことを考えては」と話した。その方は「なんだか気持ちが吹っ切れました」と納得した様子で、次回のカフェにも参加してくれました。

私は主治医に「再発転移したら積極的な治療はしません」と何度も宣言してきた。膵臓がんが見つかった当初のブログにも「人は何かの原因で死ぬ。がんで死ぬのは悪い何かではないよな」と書いたものだ。その覚悟で生きてきて「たまたま」生き残っただけの話し。

「いつまでも元気で長生き」なんぞと、不可能な夢はもうそろそろ捨てても良いのではなかろうか。そんなことに悩むより、人は老いるのが当然。がんにも病気にもなる。老いたら子どもや介護保険の世話になれば良い。ぼけや徘徊も老いがなせるものと達観し、ぼけた老人が人権を尊重されて余生を送れる、そうした社会にする方向に力を尽くせば良い。超高齢社会を迎える日本は、高齢者が幸せに死を迎える社会になれるかどうかのテストケースだろうと思う。

高齢者は検診もしない、がんになっても治療をしないも1つの選択肢です。もちろん積極的に治療法を探して挑戦するのも、その方の価値観次第で、決して悪いわけではない。

高齢にがん患者の親をもっている方には「目から鱗」かもしれません。

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2017年8月17日 (木)

ゲノム・シークエンス

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先の記事「プレシジョン・メディシンのまとめ」の続きです。

前回の記事を書いたあと、遺伝子解析に関して調べてみたが、どうにも納得できない点がいくつかある。

ひとつには、遺伝子解析の費用の問題。SCRUM-Japanでは患者の自己負担はないが、他の北海道大学病院や京都大学病院の場合、検査費用が50万円~100万円以上となっている。

イルミナ社の最新式次世代シーケンサーを使えば、全ゲノムシークエンスでも10万円以下である。

遺伝子検査には、大きく分けて

  1. パネルシークエンス(特定の遺伝子を検査)
  2. 全エクソンシークエンス(タンパク質のコーディング領域(エクソン領域)を網羅的にシーケンス・変異解析を行う)
  3. 全ゲノムシークエンス

とあるが、国立がん研究センターなどが進めているのは1.のパネルシークエンスであり、せいぜい数百の遺伝子異常を見つけられるだけである。

厚生労働省では、国内の医療従事者や研究者による「がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会」を立ち上げ、がんゲノム情報を用いて、医薬品の適応拡大やがんの診断・治療、新薬の研究開発など、より有効・安全な個別化医療の提供体制(がんゲノム医療推進コンソーシアム)の構築を目指すとしています。

計画では、100種類以上の遺伝子変異を一度に調べられる検査機器を、優先的に薬事承認して開発を後押しし、医療現場での検査を早期に可能にする。

また、がんゲノム医療推進コンソーシアムでは、

  • 「遺伝子パネル検査(がん等に関する遺伝子を複数同時に測定する検査)」を早期に承認し、一定の要件を満たす医療機関において保険診療として実施すること
  • 保険外併用療養を活用した全ゲノム解析を実施すること

とされ、全ゲノム解析は費用がかかるから、当面はパネル検査で行こうということらしい。しかし、全エクソンシークエンスでも1人6万円くらい(市販価格は10倍としても60万円)で解析できると言われているから、

NCCオンコパネルは、国立がん研究センターが中心となり開発された遺伝子診断パネルであり、日本人に特徴的な遺伝子変異を適切に診断できるように作られている。 (国立がん研究センタープレスリリースより)

よりは優位なはずである。

北海道大学病院や京都大学病院の「オンコプライム」も、

OncoPrime(オンコプライム)では200を超えるがん関連遺伝子で起こっている遺伝子変異を一度に調べる事ができます。(京都大学医学部付属病院のサイトから)

と、200程度の遺伝子を検査できるだけです。これでは半分以上の遺伝子異常を見逃してしまう恐れがある。

世界は「全ゲノムシークエンス」に舵を切っているのに、日本はガラパゴス化して、全エクソンシークエンスにも及ばないパネルシークエンスに固執しているのか、不可解である。

GI-screenの検体はアメリカに送って、

胃がんや大腸がんのような罹患率の高いがんでも複数の標的分子により1-5%の頻度の小集団に細分化され、希少がんのような小集団となりつつあります。このような背景のなか、がん患者さんに最適な治療薬をいち早く届けるためには、標的分子を正確かつ迅速に同定することです。そのためには標的分子を包括的に同定するマルチプレックス診断薬開発が必要となります。

解析手法としては、米Thermo Fisher Scientific社の次世代シーケンサーをベースとするマルチプレックス診断法「Oncomine Cancer Research Panel(OCP)」を採用する。

とのことだ。マルチプレックス診断とは、1サイクルのアッセイ(検定)手順の間に複数の被検体を解析できるのだが、効率は良いが特定の遺伝子のみの検査には変わりない。

素人考えで間違っているかもしれないが、どうも世界の趨勢に遅れているようで気に掛かる。

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2017年8月16日 (水)

ドメインを変えました

お知らせです。

ココログのURLをNiftyから独自ドメイン「www.pan-can.tokyo」に変えました。
(パンキャン・ジャパンとは関係はありません)

※以前のURL「http://pancreatic.cocolog-nifty.com」でも正常に表示されます。

ドメイン・マッピングというテクニックを使っているので、どちらでも表示されます。

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今日の一冊(77)『免疫栄養ケトン食で がんに勝つレシピ』

『すい臓がんカフェ』でも何人かの方から質問されましたが、ケトン食に挑戦しているがん患者も多いことと思います。

ケトン食については、以前の記事『今日の一冊(61)「ケトン食ががんを消す」』でも取りあげている古川 健司さんの著作『ケトン食ががんを消す』がベストセラーになっています。

ケトン食=スーパー糖質制限食ですが、私自身はずっと糖質制限を続けてきました。その経験からも、私がもし再発・転移してしまった場合には、低用量抗がん剤治療とケトン食を試すことになろうと思います。(どちらもエビデンスはないが、さりとて再発した膵癌に対しては一切のエビデンスはありませんので)

まだ症例研究の段階ですので、過大な期待は禁物ですが、希望の持てる治療法だと受け止めています。しかし、患者が個人で行うには敷居が高いですね。(セミナーがある)

さまざまな代替療法を、根拠を示して紹介しているのも特徴です。

  • 「免疫栄養ケトン食」は短期決戦。3ヶ月以上続けてはいけない
  • EPAには、がん細胞が増殖するために、自ら血管を増やす「血管新生」を抑える働きがあり、転移を起こしにくくしたり、がん細胞のアポトーシス(自然死)を誘導したりする効果があることも確認されました。  ようするに、EPAには、がん細胞の炎症反応(CRP値)を抑制し、悪液質を改善させる力があるだけでなく、がんの進行をブロックする働きもある。
  • 体内の深部にあるすい臓のがんは、固い繊維芽細胞で覆われており、これによってがん細胞への抗がん剤や免疫細胞の侵入がブロックされたりするのです。すい臓がんの治療が難しいとされる理由です。
    しかし、この繊維芽細胞の質を変えることで、すい臓がんと言えども、抗がん剤や免疫細胞の侵入をスムーズにすることが可能になります。たとえば、ハイパーサーミア(局所温熱療法。後述)には、すい臓がん細胞周辺の繊維芽細胞同士の結合を緩めて隙間を生じさせる働きがあります。
  • ゲルソン療法(その亜流が済陽高穂らの食事療法)に限って言えば、抗がん剤がまだ開発されていない戦前に産声を上げたものです。
  • ニンジンニュースは糖質が多く含まれている。ケトン食とは真逆です。(ニンジンジュースとケトン食を併用するのは愚かな試みですね)
  • 現在のゲルソン療法でも、抗がん剤治療後のすい臓がんの患者さんには、ゲルソン療法そのものを中止しています。
    (私も何度も記事で注意しているが、いまだに済陽式を信じている患者がいる)
  • がんができたら肉を食いなさい。
  • ビタミンDは一日5000IU以上が必要。
  • 私の患者の中には、TS-1との併用ですい臓がんの進行がほぼストップしている患者が数人います。
  • 牛蒡子のサプリメントとリポトール(スタチン製剤)を勧めた余命1ヶ月と宣告されたすい臓がん患者では、腹水が消え、2年経った現在でも元気です

のようなことが書かれています。

話しが脱線しますが、一日にニンジンを3本以上摂ると、βカロチンを取り過ぎて、肺がんのリスクが高くなります。がん情報サービスには、

1980年代に入って開始された、βーカロテンによるがんの化学予防の効果を検証する無作為化比較試験については、これまでに少なくとも4つの結果が示されています。いずれも2〜3万人を対象とし、5〜10年に及ぶ研究が行われました(表2) 。まず中国で行われた試験で、β-カロテン、セレニウム、ビタミンE投与群で、胃がんリスクが21%低くなりました。しかし、それ以外は期待していた結果が得られず、逆に高用量のβ-カロテン(20〜30mg)を投与した喫煙者で、肺がんリスクが20〜30%高くなることが明らかになりました。

と書かれています。ニンジン3本で20mg以上のβカロテンを含むのですから、済陽高穂のニンジンジュース療法は危険でしょう。それにニンジンには糖質が多く含まれているので、インスリンの少ない膵臓がん患者には逆効果です。

さて、本題です。

今回古川さんの監修により、麻生れいみさんが『免疫栄養ケトン食で がんに勝つレシピ』を上梓されました。

【内容紹介】
ガン細胞の主な栄養源は、炭水化物から合成されるブドウ糖。
「炭水化物摂取→ガン細胞の増加」という流れを断ち切るためには、ブドウ糖に代わるエネルギー「ケトン体」を体内で産生し、がんに負けない体をつくる必要がある。
数多くのヒット作を持ち、自身の経験を基にした糖質オフレシピの第一人者である著者が、臨床の現場で数多くの成果を上げ、学会からも注目を浴びているがん治療のエキスパートとタッグを組んだ、がん治療サポートのためのレシピ集。
「ケトン体」を効果的に産生でき、家庭でも手軽に再現でき、さらにおいしいレシピを60品紹介。
食の楽しみをあきらめないで、がんに負けない体を作る!

ケトン食に関心がある方には気になる一冊でしょう。

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2017年8月15日 (火)

NHKの戦争特集がいいね

NHKスペシャルの戦争特集が秀逸だね。籾井勝人がいなくなって、本来のNHKが戻ってきた。

「731部隊の真実~エリート医学者と人体実験~」
ハバロフスク裁判での録音テープを良く発掘した。731部隊の人体実験は虚構だという説は完全に否定された。

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京都大学や東京大学から優秀な医学者がなぜ731部隊に赴任し、人体実験までやったのか。軍部からの豊富な資金を受け、金に目がくらんでのことだった。

731部隊の責任者は、実験データをアメリカに渡すことと引き替えに、戦争責任を免れ、ミドリ十字などで職を得て戦後の医学界に君臨した。獣医学部の100部隊にも少し触れていたが、日本の医学界はこれらの戦争責任を真摯に反省してはいない。

加計学園が今治市に新設しようとしている獣医学部の施設内にウイルスを扱う設備を作ると言われているが、オーバーラップする。

自衛隊が民間企業や大学との産軍共同研究を進めている。餌の研究予算に群がる研究者らの姿が731部隊と重なる。人倫に反しても研究費が欲しい学者はいつの世にも絶えないのかもしれない。学術会議の煮え切らない姿勢にも暗澹たる気にさせる。

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昨夜放映された 「樺太地上戦~終戦後7日間の悲劇~」
戦争が終わったのに、なぜ7日間も戦闘が続いたのか。浅田次郎は『終わらざる夏』で、千島列島北東端の占守島での同じ闘いを描いている。→「雨の休日

取材で、最前線に立たされた少年兵、地獄の逃避行で命を落とした幼い子供や母親、ロシア兵の上陸におびえる女性たちや家族の集団自決も起きたことも明らかになる。

今日15日は「インパール作戦」を取りあげる。私の父もインパール作戦の生き残りだと聞いている。「白骨街道」を行進する体験を何度か聞かされた。

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2017年8月13日 (日)

第7回『すい臓がんカフェ』終わりました

第7回『すい臓がんカフェ』にご参加の皆さん、残暑厳しい中、お疲れさまでした。

同じがんで集う仲間から役立つ情報を得て、「希望」を持ち帰ることができたでしょうか。

6割の方が初参加でしたが、治療への戦略を確認し、再検討する糧になったでしょうか。

同じ膵臓がん患者ならではの、貴重な情報交換、話しができたことと思います。

押川先生も、ご多忙の中参加してくださり、丁寧な助言をいただいたと、多くの参加者から感謝の言葉をいただいています。ありがとうございました。

押川先生が参加されての感想を書かれています。

2017年8月13日膵がんカフェに参加

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次回は、10月29日(日)に同じ会場、同じ時間に開催します。

受付のご案内は、9月下旬頃にこのブログとハマリョウさんのブログでお知らせいたしますが、現時点では10月7日(土)20:00~を予定しております。

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2017年8月12日 (土)

プレシジョン・メディシンのまとめ

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今の話題はプレシジョン・メディシンでしょう。ざっくりとまとめてみます。

膵臓がんで「もう効く抗がん剤はありません」と言われた時、まだ諦めるのは早いです。京都大学医学部付属病院におけるプレシジョン・メディシンでは、膵がんで、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の原因遺伝子であるBRCA2遺伝子に変異が見つかった人については、BRCA2遺伝子変異のあるがんに効くとされるプラチナ系の抗がん剤オキサリプラチンとS-1を投与したところ、肝転移が消え、病状が安定している方がいます。

プレシジョン・メディシン⑥ 京都大学医学部附属病院などで進む「オンコプライム」を用いた遺伝子診断・治療とは

これまでも「個別化医療(Personalized Medicine)」という考えはありました。この10年ほどで急激に発達した遺伝子解析技術を使って、個々の患者の遺伝子の特徴や患者の状態に応じた治療法のことですが、費用が高額になり、裕福な患者しかうけられません。全ての患者に個別化医療を提供することは、医療財政的にも不可能です。

それに対して「高精度医療( Precision Medicine )」は、2015年にオバマ前大統領が一般教書演説で取りあげて話題になりましたが、 がん患者を特定の患者集団として分類し、その集団ごとの治療法と予防についても対応していくものです。個別化医療ほどには費用がかからないといわれています。

SCRUM-Japan
日本でも、2015年2月から、全国200以上の医療機関と15の製薬会社が参加し、臨床試験の大規模プロジェクト「遺伝子スクリーニングネットワーク SCRUM-Japan(スクラム・ジャパン)」が行われています(実施期間は、2017年3月までの予定だったが、4月に新たに製薬会社1社が加わり、2年の延長が決定)。

SCRUM-Japanは、2013年に開始した希少肺がんの遺伝子スクリーニングネットワーク「LC-SCRUM-Japan」と、翌14年に開始した大腸がんの遺伝子スクリーニングネットワーク「GI-SCREEN」が統合してできた、日本初の産学連携全国がんゲノムスクリーニングプロジェクトです。「SCRUM-Japanについて

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愛車の車検

マイカーの9年目の車検を受けてきた。

膵がんの術後10年目、ということは、術後1年目に新車に買い換えた車。当時のことを振りかえると、田舎の墓を元気なうちにと墓終いして東京に移し、最期に備える一方で、なんとはなく死ぬ気はしなかったので新車に買い換えたのだった。

まだ4万キロしか乗ってないので、修理する箇所もなく、エンジンオイルとブレーキオイルを交換しただけ。ブレーキパッドも半分しか摩耗してないのでまだまだ乗れそう。

愛車がポンコツになるか、私が運転免許証を返納するかまでこの車を乗りつぶすつもりだ。先日は自宅近くのよく知った道路を、一方通行を逆に侵入したことがあった。こんなことが度重なると免許証を返納した方が良さそうだけど、せめてあと6年は運転したいなぁ。

最近は遠出もせず、エアコンをかけてアイドリングが多いせいか、近場での運転だけなのでバッテリーの電圧が下がり気味だった。Amazonで充電器を購入。

夏場の高速道路でのトラブルのほとんどは、エアコン使用による過放電だから、4600円で電圧チェック機能のあるこの製品はお買い得だった。

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2017年8月10日 (木)

焼き場に立つ少年

戦争も核兵器も、二度とダメだ! 広島と長崎の平和式典に参列した安倍総理。「あなたはどこの国の総理ですか?」と被爆者から非難される始末。なさけない。

焼き場に立つ少年

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報道写真家 ジョー・オダネル撮影 「焼き場に立つ少年」 (1945年長崎の爆心地にて)

幼い弟の亡きがらを火葬にする順番を、歯を食いしばって待つ様子をとらえた。唇には血がにじんでいる。

長崎ではまだ次から次へと、死体を運ぶ荷車が焼き場に向かっていた。(中略)焼き場に10歳くらいの少年がやってきた。小さな体はやせ細り、ぼろぼろの服を着てはだしだった。
少年の背中には2歳にもならない幼い男の子がくくりつけられていた。その子はまるで眠っているようで、見たところ体のどこにも火傷の跡は見当たらない。
少年は焼き場のふちまで進むとそこで立ち止まる。湧き上がる熱風にも動じない。係員は背中の幼児を下ろし、足元の燃えさかる火の上に乗せた。
まもなく、脂の焼ける音がジュウと私の耳にも届く。炎は勢いよく燃え上がり、立ちつくす少年の顔を赤く染めた。
少年は気を付けの姿勢で、じっと前を見つづけた。一度も焼かれる弟に目を落とすことはない。軍人も顔負けの見事な直立不動の姿勢で彼は弟を見送ったのだ。
私はカメラのファインダーを通して、涙も出ないほどの悲しみに打ちひしがれた顔を見守った。彼は急に回れ右をすると、背筋をぴんと張り、まっすぐ前を見て歩み去った。一度もうしろを振り向かないまま。
あの少年はどこへ行き、どうして生きて行くのだろうか?

この少年、生きていれば90歳くらいでしょうか。どのような人生だったのか。

そして野坂昭如の「火垂るの墓」を思い出します。

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暑い日が続き、まもなく終戦記念日です。

チェロを取りだしてカザルスの「鳥の歌」を弾いてみた。

私は公共の場で長年に亘ってチェロを演奏していません、しかし私はまた演奏する時が来ていることを感じています。El cant dels ocells-『鳥の歌』と言います:私は、カタロニアの民謡のから一つのメロディを演奏しようと思います。鳥たちは空にいるときに歌います、彼らが歌うのは:“Peace, Peace, Peace”(平和、平和、平和)、そして、それはバッハ、ベートーベンそして全ての偉人たちが賞賛し、愛したメロディーになります。 そのうえ、カタルーニャ、わたしの民族の魂の中に生まれるのです。(ホワイトハウスでの演説)

「核兵器の脅威に比べれば他のことは全て第二義的である…
 今こそ人間相互の深い理解と、対立する勢力間に真の和解がもたらされるように行動すべきです」カザルス

ホワイトハウスでの「鳥の歌」演奏

軽々しくは弾けない曲だが、この時期にこそふさわしい。

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2017年8月 9日 (水)

がん免疫療法、週刊現代の記事について

週刊現代が、がん免疫療法の批判記事を第1弾、第2弾と出して話題になっていますね。

第1弾では、免疫細胞療法の最大手、瀬田クリニックグループがやり玉に挙がっています。しかし、週刊現代の2016年2/6号では、免疫チェックポイント阻害剤に関する特集記事の中で、滉志会瀬田クリニックグループ統括院長 後藤重則氏のコメントが掲載されています。

まぁ、売れればなんでもありの週刊誌(読賣にも登場しているが)ですから、深追いすることは止めておきます。

経済的に許されて、本人が効果を実感しているのなら続ければ良いでしょう。私はやらないけど、というのが私の考えです。命には替えられないと、家や財産を売り払ってでもやるべきだどうかは、本人の価値観で決めること。その際には実績やエビデンスをしっかりと見極めるように勧めます。

免疫細胞療法は高額ですが、抗がん剤のような重篤な副作用がないだけまだましです。標準治療と併用している方が多いのでしょうから、何が効いたのかは「分からない」ということになります。

第2弾では高濃度ビタミンC点滴療法も取りあげています。2度のノーベル賞を受賞したポーリング博士が提唱した治療法との触れ込みです。ライナス・ポーリング博士は量子陸学を化学に応用した功績でノーベル化学賞を、地上核実験に対する反対運動の業績で平和賞を受賞しています。1950年代に電気自動車の開発を手がけたという先駆性もある尊敬すべき方ですが、だからといってがん治療に業績があったわけではないのです。ポーリング博士は前立腺癌で亡くなっています。

カナダの研究グループによって、高用量ビタミンCを点滴投与した3人のがん患者が予想よりも長く生存していたことを確認し、第I相臨床試験を予定していると報道され、可能性は示している。これからの研究課題だろう。一方で高用量ビタミンCの点滴投与は腎不全や下痢などの副作用が確認されている。

巷のクリニックでは、高濃度ビタミンC点滴療法を、30gで1万円から3万円の範囲で治療している。ところでビタミンC(アスコルビン酸)注射液の薬価は86円程度ですから、ぼろ儲けですね。

こちらの日経バイオテクの記事「高額薬剤は単価の議論だけでよいのか?」で、1つの新薬が研究開発から臨床試験を経て承認されるまでに、

開発効率のよいスイスNovartis社でも1つの新薬の承認を得るのに50億ドル、米AbbVie社では310億ドル掛かっていた計算になるそうです。

と書かれています。

ざっと5500億円から3兆4000億円ですよ! オリンピックが開催できる金額です。

結局弱小製薬企業では新薬の開発・承認は望めないし、巷のクリニックではぜんぜん手に負えません。ビッグファーマーでも、患者の少ない希少がんの薬は開発したがらないのも当然です。

代替医療には「エビデンスがない」は一件まともな批判ですが、仮に効果がありそうな薬剤でも、二重盲検法による臨床試験なんてできるはずがないのです。

本当にエビデンス史上主義者の「エビデンスがない治療は人体実験だ」は、「どうせ臨床試験などできっこないだろう」との思いで言っているんでしょうな。

今回の週刊現代の記事はまともだし評価できますよ。じゃあ、標準治療で効果がない患者、効く抗がん剤が尽きたがん患者はどうすれば良い? 「緩和も治療です」と腫瘍内科医は言うが、それで納得できる患者はどれだけいる?

がんセンターで「あとは緩和です」と言われて、諦めきれずに〇〇クリニックに行ったら、がんセンターの偉い先生方がたくさん顧問などになっているなんて、喜劇ですか、怪談ですか?

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2017年8月 6日 (日)

今日の一冊(76)『マチネの終わりに』

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久しぶりの「今日の一冊」ですな。昨年から話題の平野啓一郎の恋愛小説『マチネの終わりに』

クラシックギタリスト福田進一が、小説とタイアップして演奏するCDを聞きながら読んだ。

◆小説「マチネの終わりに」概要
天才ギタリストの蒔野聡史と通信社記者の小峰洋子の二人を軸にした恋愛小説。
40代の苦悩、スランプ、PTSD、戦争、生と死、父と子、師弟、嫉妬等、様々なテーマが複雑に絡み合い物語が進んでいく。

ま、恋愛小説はそれとして、平野のクラシック音楽に関する描写力には驚いた。音楽を文字で表現するのは難しい。どうしてもありきたりの、使い古された表現になってしまう。恩田陸の『蜂蜜と遠雷』もピアノ曲の描写がすごいと評判になっているが、この小説だってすばらしい。
バッハの音楽は、神聖ローマ帝国を舞台として1618年から1648年に戦われた「30年戦争」のあとに聴くからその意味がある。ドイツでは戦前の1600万人の人口が戦後は1000万人となった。3分の1の人々が死んだ時代だからこそ、バッハの音楽には、なお希望を見出す力にあふれていると言えよう。音楽にはそんな力がある。

バッハの生きた時代は、どんな時代だったのか、これまであまり関心を持たないでバロックを聴いてきたが、少し知識を持たないとダメだね。

無伴奏チェロ組曲第3番BWV1009より I. プレリュード。チェロで聴くプレリュードとはまったく趣が違う。ギターの方がより軽快というか、きらきらとしている。

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2017年8月 4日 (金)

「Love is Over」の替え歌

「Love is Over」の替え歌だけど、この人、上手いね。

笑いながら、忌野清志郎さんのことを思い出した。

「浪速の歌う巨人 パギやん」という歌手?

カラオケで歌ったらうけるかもね。

組閣後の世論調査で支持率が9%アップしたと言うから、安倍さんにしては、してやったり。世間を騙すのは簡単だよね。

安倍総理、こんなことを考えているんだろう。

支持率が下がったって、北朝鮮のミサイルを持ち出せば簡単に回復できる。残業代ゼロ法案を通して、労働者の所得を上げましょう、という矛盾した約束でも良い。庶民は気づきやしないから。加計学園問題?あれにはもっと深い意味があるんだよ。獣医学部の新設は隠れ蓑で、実際には加計学園の獣医学部の施設内にウイルスを扱う設備を作るんだよ。そもそも日本の獣医学部の歴史は戦争と切っても切れない縁があるんだ。

石井中将の悪名高い731部隊、それと一緒に細菌兵器を開発してきたのが関東軍軍馬防疫廠 (第100部隊、若松部隊)なんだよな。獣医学部は軍馬の育成だけではなく、細菌兵器を開発し「マルタ」と呼ばれる人体実験をやってきたんだ。

731部隊も100部隊も、その中核となった残党は、あのエイズ薬害を起こした「ミドリ十字」に潜り込んだんだよね。会社は解散したが、その流れは田辺三菱製薬株式会社につながっているんだ。

こうした流れを絶やしてはダメなんだよ。なぜなら、これからの日本には核兵器だけではなく、細菌兵器も必要なんだ。だから加計学園を応援しているんだよな。私は。

美しい日本を守るために、戦争に行きましょう。私は行かないけど。

バカな民進党が受け皿になれないから、また支持率が持ち直したね。

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長岡大花火を中継で

長岡の花火を一度は見てみたいが、多分生きている間には叶わないなぁ。で、テレビ中継で。

平原綾香の歌「ジュピター」に合わせて上がる「フェニックス」がいちばん良かった。

堪能。8/15には多摩川で「大田区平和都市宣言記念事業 第30回花火の祭典」にでも行ってみるか。

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2017年8月 3日 (木)

光免疫療法(近赤外線免疫療法)の動画

光免疫療法 (NIR-PIT)について。米国国立がん研究所(NCI)が制作した動画に、JAMT(一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ)が日本語字幕を付けたものがYouTubeにアップされています。(なぜかブロリコのCMが表示されることがあるんで、☒で消してください)

光免疫療法は、米国国立衛生研究所(NIH)の主任研究員である小林久隆らの研究グループが、ネイチャー・メディシン誌上にて、その開発を発表したものです。

ま、おもしろい実験ですが、過去の記事にも書いたとおり、

ところが、がん細胞だけに特異的に結合する抗体というものは存在しません。がん細胞がその表面に抗原と呼ばれるものを出していて、抗原と抗体は鍵の鍵穴のようにぴったりと結合するのです。

しかし、がん細胞にある抗原は、多くの正常細胞にもあります。また、がん細胞は利口なので、この抗原を引っ込めて隠すことができます。

これらがいつまで経っても実用化されないのは、がん細胞だけにくっつく抗体が存在しないからです。

つまり、機序や発想は画期的でも、この研究は上手くいきません。ある程度の効果が認められたとしても、統計的有意差が出るかどうか、疑問です。

オバマ前大統領が絶賛した新しい治療法として、最近の週刊誌にも紹介されているようです。

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2017年8月 2日 (水)

日野原さんのラストメッセージ

クローズアップ現代+で、先日105歳で亡くなられた日野原重明さんの『“死”をどう生きたか 日野原重明 ラストメッセージ』を放映していた。

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『生き方上手』などの著書でで日野原さんは、自らや周囲に対して「死をどう生きるか」という問いを発し続けてきた。

「その最期にね、ありがとうっていう、自分が生を与えられたことに対する感謝をね、いろんな方面にね、自然にこう、声が出るようなことがあればいいと思いますね。だから私は、いよいよ苦しいときにモルヒネなんか、こういろいろするけどね、意識が全くなくなってしまうと感謝の言葉が出ないから、そこまで強いお薬を使わなくても、いま死んでいく自分だっていうことが分かる意識があればね。その時にその人はそういう言葉を心の中にでもね、出すことが出来るっていうように思うわけですよね。

こう語っていた日野原さん。しかし、妻の静子さんが認知症になり、最期のときには「ありがとう」という言葉は聞くことができなかった。「平穏死のすすめ」を説く日野原さんも、実際に妻の最期をどうすべきか、もっと生きて欲しいという気持ちに揺れ動いた。

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Stationtv_x_20170802_135420858_r ご自身の死についても、次男の妻、日野原眞紀さんは回想する。
「やっぱりまだ未知の部分で自分が体験していないから、『そこにはやっぱり不安と怖さがあるよね』っていうようなことを言ったんですよ。人の死をたくさん見てきて、75年も臨床医をやってらしてて、そんな思い、やっぱり怖いっていうのってあるんだなと。」

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あの日野原さんにしてもそうなのだ。死を受け入れるなんて、簡単なことではない。しかし、日野原さんはやはり栄養補給も胃ろうも拒否された。

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亡くな3週間前まで、講演の依頼に応えようとリハビリに励んでいたと言うが、死ぬまで人の役にたちたいという思いなのか、あるいは生への執着なのか。たぶんその両面があったのではないだろうか。

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柳田邦夫さんの次の言葉が印象的だった。

人間の精神性というのはむしろ、定年後とか病気をしてから成熟して、成長するので、しかもそれは死で終わらないで、亡くなったあとも、その人が残した生き方や言葉というのが後を継ぐ人の中で生き続ける。これは今までの日本の人々の考えの中で支配的だった、老いや死を暗く考えるっていう考えを180度変えて、むしろそれはチャレンジする新しい生き方なんだっていうことを日野原先生は身をもって教えてくれた。

がんでも精神的に成熟したと言えるような生き方ができれば理想的だ。

ご冥福をお祈りいたします。

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