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2017年9月13日 (水)

がん患者はCT検査を控えるべきか?

最近何人かの方から、腫瘍マーカーが上がってきたので心配で、CT検査を受けたいけど、CT検査をすればがんのリスクが増えのでは・・・という質問を受けました。

このブログの過去の記事を引用しながら、もう一度考えてみます。

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近藤誠氏は「CT検査でがんになる」というレポートや書籍があります。

内容を箇条書きしますと、

  • CTによる被ばく線量はエックス線の200~300倍である
  • 1回のCT照射による被ばく線量(実効線量)は18~29ミリシーベルト(mSv)
    ただし、通常は1回の検査で2、3回は照射する
  • 低線量でも発がんリスクがあるとして、原発労働者には40mSvでも労災認定されている
  • 原発労働者の生涯の累積被ばく線量が20mSvでも発がん死亡数が増加している
  • 広島・長崎の被爆者の経過観察の結果、10~50mSvでも発がんによる死亡数が増加している
  • 欧米では以上のデータを根拠に、医療被ばくの低減に真剣に取り組んでいるが、日本では専門家も患者保護に動こうとしない
  • 最新鋭の多列検出型CTは1スライスあたりの被ばく線量を減少させるはずだったが、装置が急増することによって逆に総被ばく線量は増加している。より詳細で広範囲の撮影が可能になったためである
  • 日本のがんの3.2%は医療被ばくが原因といわれたが、いまではそれは2~3倍になっていると思われる
  • 不必要・不適切なCT検査、「とりあえずCTをやっておきましょう」という検査が多すぎる。医者に知識がないのと病院経営上の理由でムダなCTが行なわれている。
  • 胸部CTによる肺がん検診のくじ引き試験では、寿命延長効果は認められなかった。マンモグラフィによる検診もがんの予防効果はないとの論文がある。

といったところです。「がんもどき」の近藤先生ですが、これらの主張は概ね正しいと言えます。

確かに日本の医療被ばくは多すぎます。人口百万人当たり日本は107台で第1位、第2位のオーストラリア56台の倍になっています。OECDの平均は25台です。
それでも欧米ではすでに数年前からCTによる被ばく線量を問題にしています。

ラジオロジー誌2009年11月号に掲載された、米国放射線防護測定審議会および放射線の影響に関する国際連合科学委員会の発表を元にした研究では、全世界 での画像診断による1人当たりの被曝線量が、過去10~15年で倍増したことが明らかになっている。中でも米国は、他の国と比べて被曝量の増加が多かっ た。
 
さらに他の研究では、1980~2006年の間で、画像診断による被曝量が6倍になり、また過去56年間で、放射線または放射性医薬品を用いた年間の診断回数は、15倍に増加したと推定されている。

米国がん研究所(NCI)の放射線疫学の客員研究者によれば、「CTの使用頻度は劇的に上昇し、安易に使用されるようになっている。CT検査を行う場合、まず、本当に検査が必要であるかどうかを調べた上で検査する必要があるかを検討すべきなのに、今はその基本を忘れて、病気でもない患者にどんどんCT検査を行うようになってきている。また、頻度だけでなく、CTをいつ使用すべきかという検討がなされてこなかったことを反省し、医学界全体として、使用対象を慎重に検討し、検査の利点が有害性を上回る場合にのみ行うべきである」としている。

放射線による発がんのリスクを勧告しているのはICRPです。

ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告は出されるたびにより厳しくなっています。例えば放射線業務従事者の被ばく限度は50mSv/年という時代が長く続いたのですが、 1990年勧告では「いずれの5年間でも100mSvを超えない」ことを定めて、実際上年間20mSvの制限がかかるようになりました。この20mSvという線量は、近藤医師も書かれているように1回のCT検査で超えてしまう数字です。

ICRPはCT検査のような外部被ばくの場合、累積で1000mSv被ばくすると、がんなどによる生涯死亡リスクが5%増加すると勧告しています。

1回の造影CT検査による被ばく量を50mSvとすると、それによる生涯死亡リスクは0.25%増加することになります。20回のCT検査で1000mSvですから5%増加です。

ところで、「二人に一人ががんになる時代」と言われますから、仮に生涯のがんのリスクが50%とすると、それが50.25%に増えるというわけです。あるいは20回の累計なら55%になる。

しかも、今浴びた放射線によってDNAに傷がつき、それが目に見えるがん細胞にまで育つには10~20年かかると言われています。

ですから、辛辣にはっきりと申せば、初期のがんならともかく、膵臓がんのように、治らない末期がんの患者が20年後にがんになるリスクが5%増えることを心配することはないのです。(主治医はこんなにあからさまには言わないでしょうが)

それよりも、今の腫瘍の状態を頻繁に確認して、治療方針を考える、変えるなりに活かしたが利口です。

要は、どんな検査にもリスクとベネフィットがあるのですから、今どちらを選ぶべきかを賢く選択しましょう。

私の経験と対処法

  • 症状がないのにCTは撮らない。「取りあえずCTを撮っておきましょう」と言われたら、「まずレントゲンをお願いします」
  • 五十肩で整形外科に行ったら首の周りを5枚ほど撮られそうになった。2枚に減らしてもらった。
  • 会社の健康診断でもバリウムによる胃の検査は拒否しています。症状がないのに被ばくしてまで検査するような信頼性はないと考えるからです。
  • 歯科医の全周撮影、あれは相当の被ばく量です。歯医者にはなるべく行かない。良く歯を磨けば、被ばく線量低減に効果があるということ。
  • PET検診では4~5mSvの被ばく線量になります。造影CTよりも一桁小さい被ばく量ですが、PET検査による被ばくは「内部被ばく」です。外部被ばくと同等に考えることはできません。「石炭ストーブの前で暖をとっている人に伝わる平均エネルギー(外部被ばく)と、その赤く焼けた石炭を食べる人に伝わるそれ(内部被ばく)とを分別しない」で計測しても、真の効果は分かりません。PETによる5mSvはCTのそれと同じではないのです。
  • 私のPET体験はこちらに書きました。症状もないのに毎年PET検診を受けるなどという愚かなことは止めておく。済陽高穂氏の西台クリニックのように、旧式のPETですべての患者を検査しようとするような病院には近づかない。

ムダな被ばくは避けていますが、一度膵臓がんの再発が疑われたことがあり、通常通りに10mmピッチでCTを撮ろうとしたのを、私から要求して2mmピッチに変えてもらいました。被ばく線量は5倍になりますが、再発かどうかを正しく判断するには必要があると考えたからです。おかげでセカンドオピニオンをお願いした低用量抗がん剤治療の先生からは「イヤーきれいな画像ですね。これで判断したのならまちがいないでしょう」といわれ、再発なしで無罪放免でした。

確かにムダな検査が多いし、国民全体の総被ばく線量はもっと下げる必要があります。しかし必要なCT検査は被ばく線量や10年、20年後の発がん気にすることなく(気にする必要もない)受けましょう。

患者も

正しく怖がることが必要です。


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