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2017年9月

2017年9月20日 (水)

明日は秩父路の旅

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明日は5時発で秩父へ行く予定です。

昨年も行ったけど、巾着田に寄ってから寺坂棚田の彼岸花を撮影予定です。

先ほどニュースで天皇皇后両陛下が私的な旅で巾着田の曼珠沙華公園に行ったと流していました。

どおりでGoogleマップの交通情報で周辺がやたらと渋滞していました。

明日でなくて良かったなぁ。でなくてもこの時期は巾着田周辺は車は動きません。

明日は快晴の予報です。秩父の蕎麦も楽しみです。

2017年9月19日 (火)

NHKドキュメンタリー 末期がんの“看取り医師” 死までの450日

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昨夜放送された、医師で僧侶で末期の膵臓がんの田中雅博さんの死までの450日のドキュメント。看取りのプロの末期がんの様子を、母を膵臓がんで亡くしたディレクターが全てを撮影した。

死ぬことは怖くはないと言った田中さん。最期は持続的沈静を希望し延命治療は拒否した。

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しかし、妻であり医師である貞雅さんの思いは複雑です。なんで膵臓がんをもう少し早く見つけられなかったのかと後悔して悔しいという。

看取りのプロのありのままの最期。

しかし、膵臓がんの最期の痛みに苦悶する田中さん。貞雅さんは一日でも長くと鎮静を先延ばしにする。医師としての理想と家族としての葛藤がせめぎ合う。

田中さんが拒否した心臓マッサージを、妻の貞雅さんは最期に行った。

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「千人の死を看取っても、人の死に慣れることはない」と貞雅さんは言う。

ディレクターは「理想の死なんて、最初からなかったのでないか」「死はきれい事ではない、思い通りにはいかない」と。人はひとりでは死ねない。

大腸がんだったと推測されている良寛さんも最期にはこう言ったという。「みんなが優しいから、もう少しこの世にいたい気がする」

人間にとって、死ぬのは最後の大仕事だ。

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2017年9月18日 (月)

代替医療を考えるなら、今でも『がんに効く生活』

標準医療だけでは皆さん不安になります。そこで代替医療を探すことになるのですが、本屋に行けばたくさんのがん関係の本が並んでいます。たまたま棚にある本を選んでしまいがちですが、本当にそれがあなたのがんに役立つのでしょうか。

代替医療(統合医療)を考えるのなら、シュレベールの『がんに効く生活』はぜひ手にとって欲しいと思います。

シュレベールとは

シュレベール氏は熱意ある科学者・医師であり、文筆家としての評価も高い。そして自身もがんサバイバーである。臨床精神医学教授、ピッツバーグ大学メディ カルセンター内総合医療センターの共同創設者にして、国境なき医師団の創立メンバーであり現在も国際的危機への介入に尽力している。

内容紹介(Amazon)
31歳のとき脳腫瘍が発見された精神科医の著者。自分の命の期限を知ってしまった著者は、「生きる」ことに望みをかける。摘出手術、化学療法を受けながら、がんのメカニズムを研究し、食事・心のケア・運動による「がん克服」メニューを導き出す。自らその方法を実践した著者は、がん発見から15年、いまも現役医師として活躍している。
本書では、がんのメカニズムを解きながら、がんを育てない、たとえがんになっても成長させない、がん治療に効果的な体質にする生活術を具体的に紹介していく。さらに、脳腫瘍により、著者の人生も人生観も大きく変っていった。そのエッセイも随所に盛り込まれている。
がんと闘っている人、治癒してもなかなか不安が消えない人、身近な人ががんと告知された人、そして健康を維持したい人への、がん体験記と克服法の両方を併せ持つ新しい「抗がん(anticancer)」本。

シュレベール博士が最初の外科手術と化学療法を受けたあと、担当のがん専門医に、今後どのような生活をした方がよいのか、再発しないためには何に注意するべきかと質問した。がん研究の第一人者でもある担当医は、「これといってすべきことはありません。普段どおりの生活を続けてください。定期的にMRI検査をしましょう。再発してもすぐに分かりますから。」と答えた。「でも、自分でできるエクササイズとか、食べた方がよいものや食べてはいけないものとかがあるのでは? 精神的には何に気をつけた方がよいでしょうか?」と食い下がったが、「日常生活のこういう点に注意すれば再発が防げると断言できるような科学的なデータなど存在しないのですから」とにべもない。

彼は最終的には次のような結論に達します。「私たちは誰でも、体内にがん細胞の芽を持っているだけでなく、体自体がその芽ががんに育つプロセスを妨げるように作られている。それを活用するかしないかは、本人次第である

目次

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私も「がんに効く生活」を実践してきた

この本に書かれている「がんに効く生活」のほとんどが、私が「@私のがん攻略法」に書いて実行していることと共通しています。この方向でよいのだと、更に確信を与えてくれる著作でした。巻頭にある次の言葉は、こころ(精神)の働きの重要さを改めて確認しているようで印象的でした。

「私はかねがね、科学としての医学の唯一の問題点は、十分に科学的でないところにあると考えている。医師と患者が、自然の治癒力を通じてからだと精神のもつ力を引き出すことができるようになるまでは、現代医学が真に科学的になることはないだろう」 ルネ・デュボス(抗生物質の発見者)

医師であり、研究者、ピッツバーグ大学統合医療センターの院長でもあった著者が、自分のがんを合理的・科学的に考え抜いてサバイバーになったのです。統合医療に興味がある人ならばぜひ読んでおきたい一冊です。

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2017年9月17日 (日)

深層心理が免疫細胞のエピジェネティクスに変化をもたらす

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エピジェネティクスについてはずいぶんと書いてきました。(最後にリンクを貼ってあります)

環境と遺伝子の間:あなたのエピジェネティクスは常に変化している」で、

スティーヴ・コール博士は、社会的に孤立し慢性的に強い孤独を抱えた人は、免疫システムに何らかのエピジェネティックな変化があるのではないかとの仮説を立てた。

DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行い、社交的なグループと孤独なグループを比較したところ、約2万2,000というヒト遺伝子のうち、209の遺伝子の発現において大きな相違が見られた。孤独感を感じている被験者は、炎症にかかわる78の遺伝子が過剰発現となっており、逆に抗体の生成や抗ウィルス反応にかかわる131の遺伝子においては、発現量の低下が見られたという。

研究チームは、幸福感が免疫細胞に及ぼす影響についても追求している。2013年7月29日付けで『米国科学アカデミー紀要』に掲載された論文では、驚くべきことに幸福の種類によっても免疫細胞のエピゲノムが変化すると発表されている。

物欲を満たすことや、おいしいものを食べるという行為で得られる短期で浅いHedonicな幸福では、免疫細胞が活性化するどころか孤独感を感じているのと同じようなエピゲノムのパターンが見られた。逆に社会に貢献することで人生に意味を見出すような、深い満足感を伴うEudaenomicな幸福感では、炎症反応に関連する遺伝子が抑えられ、抗ウイルス反応に関連する遺伝子はより活性化されていた。

遺伝子の実態はDNA(デオキシリボ核酸)で、ワトソンとクリックが発見したように二重らせんの構造をしています。しかしDNAは二重らせんのままむき出しになっているのではなく、そのまわりに多様な有機分子を結合しています。いわば腕をワイシャツの袖で覆っているようなものです。DNAは衣服をまとい装飾品で飾りたてているのです。

この有機分子が、遺伝子を活性化(タンパク質を作る指令)させたり不活性化させたりするのです。遺伝子には自分自身を活性化させることはできません。どういうタイミングでどの遺伝子を活性化させるかは、細胞核の外からの情報として与えられます。しかもこれらの有機分子は長時間同じ遺伝子にくっついている、場合によっては子孫にまでその状態が引き継がれるのです。遺伝するのは遺伝子だけではないのです。

エピジェネティクスとは

「エピジェネティクス」とは、遺伝子の働きを調整するこれらの分子が、どのようにして遺伝子をコントロールしているのかを研究する学問分野で、21世紀のこの十年間で急速に発展している分野です。特にがんに関するエピジェネティクスはよく研究されています。がん細胞内では多くの遺伝子がメチル基を失って「脱メチル化」していることが知られています。これによって遺伝子活動の異常が生じます。細胞増殖を抑制できなくなるのです。がんは遺伝子の突然変異によっても生じますが、多くが遺伝子の脱メチル化なのです。突然変異は元には戻せませんが、脱メチル化は、エピジェネティックなものなので元に戻すことができるのです。

コール博士らの研究は、心のありようがエピジェネティックに遺伝子に作用して、免疫系に影響を与えることを実証したわけだが、物欲や所有欲による幸福感では逆に免疫細胞は不活性化する、利己的な利益ではなく他者への利益を考え行動している人は、遺伝子が発現して免疫細胞も活発化するということですね。

「利己的遺伝子」という書籍もあったが、利己的では良い遺伝子は発現しないのです。

私利私欲や損得勘定だけで人生を送っていると「真の幸福」を得ることができず、病気になりやすいし、がんの治りも遅いのです。

マインドフルネスに「他者への幸福」を願う瞑想があるが、他者が幸福になることによって、自分にも真の幸福が訪れるのだろう。

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死ぬ一時間前でも「どう生きるべきか」を問う

古稀に近づいた今、一番に思い出すのは高校生時代のこと。働き盛りのころや定年間近のことなどを措いて、その頃が一番懐かしく思い起こされるのです。

確かに仕事には熱中もしたし、それなりの成果も上げたと自負しているのですが、それらの時間を、高校生の頃のような、めくるめく喜びを伴って思い出すということはないのです。

イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ (光文社古典新訳文庫)

トルストイの『イワン・イリイチの死』に次のようなくだりがあります。イリイチがまもなく苦痛を伴った死を迎えようとするときの一節です。

「おまえには何が必要なのだ? 何がほしいのだ?」彼は自分に向けて繰り返した。

「何がほしいって? 苦しまないことだ。生きることだ」彼はそう答えた。

そして再び彼は全身を耳にした。意識を緊張させるあまり、痛みにも気づかないほどだった。

「生きるって? どう生きるのだ?」心の声がたずねた。

「だから、かつて私が生きていたように、幸せに、楽しく生きるのだ」

「かつておまえが生きていたように、幸せに、楽しく、か?」声は聞き返した。

そこで彼は頭の中で、自分の楽しい人生のうちの最良の瞬間を次々と思い浮かべてみた。

しかし不思議なことに、そうした楽しい人生の最良の瞬間は、今やどれもこれも、当時そう思われたのとは似ても似つかぬものに思えた。幼いころの最初のいくつかの思い出をのぞいて、すべてがそうだった。
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当時は歓びと感じていた物事がことごとく、今彼の目の前で溶けて薄れ、何かしら下らぬもの、しばしば唾棄すべきものに変わり果てていくのであった。

法律学校を卒業し、人生の成功の階段を上るにつれて、イリイチの人生から生気が失われていくのでした。いや、いま死の瀬戸際のベッドの上で振り返るとそう思えるのでした。

自分では山に登っているつもりが、実は着実に下っていたようなものだ。まさにその通りだ。世間の見方では私は山に登っていたのだが、ちょうど登った分だけ、足元から命が流れ出していたのだ・・・・・そして今や準備完了、さあ死に給え、というわけだ!
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(従僕や妻と娘と、医者と顔を合わせて) 彼らのうちに彼は自分を見出し、自分が生きがいとしてきたものをすべて見出した。そしてそうしたものがことごとくまやかしであり、生と死を覆い隠す恐るべき巨大な欺瞞であることを、はっきりと見て取ったのだった。(光文社古典新訳文庫 望月哲男訳より) 

イリイチは死ぬ1時間前に、落下しながらも光を見出します。そうして自分の人生は間違っていたが、まだ取り返しはつく、そのためには何をすべきか。死ぬ1時間前にこうした考えに到達するのです。

がんから助かりたい。死にたくない。もっと生きたい。そう思うのは自然なことです。しかし、イワン・イリイチのように「もっと生きるとは、どう生きるのだ?」と問い直してみることです。「楽しく、有意義な生き方をするのだ」、「ならば、楽しい、有意義な人生の時間とはどんな時間だ?」

サイモントン療法でも、がん患者が目標を立てることの大切さを強調しています。「もし、かろうじて命にしがみついているような状態だとしたら、それほどまでにしてやりたいと思うことはいったい何か?」を問うことを教えています。

やりたいことを仕事のためにあきらめてこなかっただろうか? 子供を育て家庭を切り盛りするために、自分のやりたいと思うことを後回しにしてこなかっただろうか? そして、今わくわくすること、夢中になれることをやりなさい。それががんに打ち勝つ健康への道につながるのだといっています。

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2017年9月13日 (水)

がん患者はCT検査を控えるべきか?

最近何人かの方から、腫瘍マーカーが上がってきたので心配で、CT検査を受けたいけど、CT検査をすればがんのリスクが増えのでは・・・という質問を受けました。

このブログの過去の記事を引用しながら、もう一度考えてみます。

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近藤誠氏は「CT検査でがんになる」というレポートや書籍があります。

内容を箇条書きしますと、

  • CTによる被ばく線量はエックス線の200~300倍である
  • 1回のCT照射による被ばく線量(実効線量)は18~29ミリシーベルト(mSv)
    ただし、通常は1回の検査で2、3回は照射する
  • 低線量でも発がんリスクがあるとして、原発労働者には40mSvでも労災認定されている
  • 原発労働者の生涯の累積被ばく線量が20mSvでも発がん死亡数が増加している
  • 広島・長崎の被爆者の経過観察の結果、10~50mSvでも発がんによる死亡数が増加している
  • 欧米では以上のデータを根拠に、医療被ばくの低減に真剣に取り組んでいるが、日本では専門家も患者保護に動こうとしない
  • 最新鋭の多列検出型CTは1スライスあたりの被ばく線量を減少させるはずだったが、装置が急増することによって逆に総被ばく線量は増加している。より詳細で広範囲の撮影が可能になったためである
  • 日本のがんの3.2%は医療被ばくが原因といわれたが、いまではそれは2~3倍になっていると思われる
  • 不必要・不適切なCT検査、「とりあえずCTをやっておきましょう」という検査が多すぎる。医者に知識がないのと病院経営上の理由でムダなCTが行なわれている。
  • 胸部CTによる肺がん検診のくじ引き試験では、寿命延長効果は認められなかった。マンモグラフィによる検診もがんの予防効果はないとの論文がある。

といったところです。「がんもどき」の近藤先生ですが、これらの主張は概ね正しいと言えます。

確かに日本の医療被ばくは多すぎます。人口百万人当たり日本は107台で第1位、第2位のオーストラリア56台の倍になっています。OECDの平均は25台です。
それでも欧米ではすでに数年前からCTによる被ばく線量を問題にしています。

ラジオロジー誌2009年11月号に掲載された、米国放射線防護測定審議会および放射線の影響に関する国際連合科学委員会の発表を元にした研究では、全世界 での画像診断による1人当たりの被曝線量が、過去10~15年で倍増したことが明らかになっている。中でも米国は、他の国と比べて被曝量の増加が多かっ た。
 
さらに他の研究では、1980~2006年の間で、画像診断による被曝量が6倍になり、また過去56年間で、放射線または放射性医薬品を用いた年間の診断回数は、15倍に増加したと推定されている。

米国がん研究所(NCI)の放射線疫学の客員研究者によれば、「CTの使用頻度は劇的に上昇し、安易に使用されるようになっている。CT検査を行う場合、まず、本当に検査が必要であるかどうかを調べた上で検査する必要があるかを検討すべきなのに、今はその基本を忘れて、病気でもない患者にどんどんCT検査を行うようになってきている。また、頻度だけでなく、CTをいつ使用すべきかという検討がなされてこなかったことを反省し、医学界全体として、使用対象を慎重に検討し、検査の利点が有害性を上回る場合にのみ行うべきである」としている。

放射線による発がんのリスクを勧告しているのはICRPです。

ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告は出されるたびにより厳しくなっています。例えば放射線業務従事者の被ばく限度は50mSv/年という時代が長く続いたのですが、 1990年勧告では「いずれの5年間でも100mSvを超えない」ことを定めて、実際上年間20mSvの制限がかかるようになりました。この20mSvという線量は、近藤医師も書かれているように1回のCT検査で超えてしまう数字です。

ICRPはCT検査のような外部被ばくの場合、累積で1000mSv被ばくすると、がんなどによる生涯死亡リスクが5%増加すると勧告しています。

1回の造影CT検査による被ばく量を50mSvとすると、それによる生涯死亡リスクは0.25%増加することになります。20回のCT検査で1000mSvですから5%増加です。

ところで、「二人に一人ががんになる時代」と言われますから、仮に生涯のがんのリスクが50%とすると、それが50.25%に増えるというわけです。あるいは20回の累計なら55%になる。

しかも、今浴びた放射線によってDNAに傷がつき、それが目に見えるがん細胞にまで育つには10~20年かかると言われています。

ですから、辛辣にはっきりと申せば、初期のがんならともかく、膵臓がんのように、治らない末期がんの患者が20年後にがんになるリスクが5%増えることを心配することはないのです。(主治医はこんなにあからさまには言わないでしょうが)

それよりも、今の腫瘍の状態を頻繁に確認して、治療方針を考える、変えるなりに活かしたが利口です。

要は、どんな検査にもリスクとベネフィットがあるのですから、今どちらを選ぶべきかを賢く選択しましょう。

私の経験と対処法

  • 症状がないのにCTは撮らない。「取りあえずCTを撮っておきましょう」と言われたら、「まずレントゲンをお願いします」
  • 五十肩で整形外科に行ったら首の周りを5枚ほど撮られそうになった。2枚に減らしてもらった。
  • 会社の健康診断でもバリウムによる胃の検査は拒否しています。症状がないのに被ばくしてまで検査するような信頼性はないと考えるからです。
  • 歯科医の全周撮影、あれは相当の被ばく量です。歯医者にはなるべく行かない。良く歯を磨けば、被ばく線量低減に効果があるということ。
  • PET検診では4~5mSvの被ばく線量になります。造影CTよりも一桁小さい被ばく量ですが、PET検査による被ばくは「内部被ばく」です。外部被ばくと同等に考えることはできません。「石炭ストーブの前で暖をとっている人に伝わる平均エネルギー(外部被ばく)と、その赤く焼けた石炭を食べる人に伝わるそれ(内部被ばく)とを分別しない」で計測しても、真の効果は分かりません。PETによる5mSvはCTのそれと同じではないのです。
  • 私のPET体験はこちらに書きました。症状もないのに毎年PET検診を受けるなどという愚かなことは止めておく。済陽高穂氏の西台クリニックのように、旧式のPETですべての患者を検査しようとするような病院には近づかない。

ムダな被ばくは避けていますが、一度膵臓がんの再発が疑われたことがあり、通常通りに10mmピッチでCTを撮ろうとしたのを、私から要求して2mmピッチに変えてもらいました。被ばく線量は5倍になりますが、再発かどうかを正しく判断するには必要があると考えたからです。おかげでセカンドオピニオンをお願いした低用量抗がん剤治療の先生からは「イヤーきれいな画像ですね。これで判断したのならまちがいないでしょう」といわれ、再発なしで無罪放免でした。

確かにムダな検査が多いし、国民全体の総被ばく線量はもっと下げる必要があります。しかし必要なCT検査は被ばく線量や10年、20年後の発がん気にすることなく(気にする必要もない)受けましょう。

患者も

正しく怖がることが必要です。

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夕焼け

久しぶりにきれいな夕焼けでした。

わずか10分くらいの間でしたね。明日は快晴?

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がんとの闘いは総合戦

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がんの術後抗がん剤治療と、食事と運動の影響を調べた研究がある。

大腸がん(結腸がんの3期)で手術を受けた患者さんを対象に、術後補助化学療法の効果を調べた臨床試験である(06年)。「5-FU(一般名フルオロウラシル)+ロイコボリン(ホリナートカルシウム)」群と、「5-FU+ロイコボリン+イリノテカン(商品名カンプト/トポテシン)」群を比較している。

その結果、イリノテカンを加えても生存期間は延びず、副作用が増加することが明らかになった。この3剤併用療法は進行再発大腸がんの治療では有効だが、術後治療には適していなかったのだ。そしてこの臨床試験が興味深いのは、食事や運動の影響についても調べている点だ。

食事に関しては、補助化学療法中と6カ月後の食事内容について質問に答えてもらい、その影響を調べている。野菜、果物、鶏肉、魚などの「理想食」と、牛肉、脂肪、精製穀類、デザートなどの「欧米食」を、どのくらい摂取しているかが、生存期間にどう影響するかを調べた。

結論は、欧米食を多くとるほど生存期間が短くなるというものだった。欧米食を食べる程度で4段階に分けると、最も欧米食が少ない群に比べ、最も欧米食の多い群は、再発のリスクが3.25倍に増加していた。

運動に関しては、1週間に3MET時間(軽いウォーキングなら1時間)以下の運動しかしない人に比べ、18MET時間(同6時間)以上運動する人は、再発のリスクが45~49パーセント低下していた。

抗がん剤は、期待するほど大きな効果を発揮しないかもしれません。一方、適切な栄養や運動は、ときに抗がん剤治療に匹敵するほど大きな影響を示すことがあります。がんの患者さんは、そのことをぜひ知っておいてほしいと思いますね。

1週間に6時間のウォーキングを継続することは少し難しいかもしれないが、室内でもスクワットや腕立て伏せを加えればそれほど困難なことではない。

がん患者は代替医療に「魔法の弾丸」を求めようとするが、近代医学に対しても「魔法の弾丸」を求めようとしているかのようだ。今回のすい臓がんへのタルセバ承認についてもそのような傾向があると思う。

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この図を見ると、野菜と果物をたくさん摂って、適当な運動をすることの重要さがよく分かる。食事と運動は抗がん剤の効果をしのぐこともあるのだ。

また、“がんを防ぐ食事” と“がん療養中の患者さんの食事” を分けて考えることもない。がんの増殖メカニズムは一緒なのだから、がんを防ぐ食事は、既にがん山房を持った患者にも有効なはずである。

がんのサバイバー(がん治療経験者)を対象にした研究は、あまりありませんが、がん予防に関するエビデンスは非常に多いのです。有効に活用すれば良い。

がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」 がん予防のエビデンスは、がん患者の治療法にも採用してよいのである。緑茶のEDCGにがん予防効果があるのなら、がん患者は治療効果を期待しても良いのだから、私は毎日飲んでいる。

がん患者に治って欲しいから何度でも紹介するが、『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』はこれと同じことがさらに詳細に紹介されている。シュレベールは「がんを作らない、育てない、あきらめない」ことが大切であり、そのために必要なことをもらさず書いている。

ともすれば一つの食材に「魔法の弾丸」を期待して取り入れようとするが、そんなものがあればとっくに治療に採用されている。

食事と運動の目的は「がんを作らない、育てない」体内環境をつくることにある。現在医学でがん治療をするのは、あくまでも補助手段であって、抗がん剤で小さくなったがん細胞を寛解にまで持っていくのは、患者の体内環境、免疫の働きである。

がん治療の目的でサプリメントを摂ることはムダである。サプリメントは食事で不足しがちな栄養素を補充するためには利用しても良いだろう。

私マルチビタミンを摂っているのは、がん患者比はビタミンが不足しがちであることと、日本人には圧倒的に不足しているビタミンDの補給が目的である。ビタミンDの抗がん作用については過去に何度も書いている。

サプリメントの膵臓がんに関しての情報を探すのであれば、『「健康食品」の安全性・有効性情報』に次のようなキーワードでサイト内を検索すれば良い。

その結果をこちらにリンクしておく。

膵臓がんでは、

  • 緑茶(カテキン)
  • 魚油(EPA、DHA)
  • シイタケ
    ーアガリクスよりよほどましー
  • メラトニン
  • ビタミンD:多くても少なすぎてもリスクが高くなる。これについては「米国統合医療ノート」を参照してください。
  • ウコン(クルクミン)

に少し期待が持てる。

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2017年9月11日 (月)

甲状腺検査 異常なし

今日は9:20の予約でがん研有明頭頸科の診察日でした。

先月の超音波検査の結果を聞いてきました。良性の腫瘍なのですが、念のための1年ごとの検査です。

2年前に20mmあった腫瘍が、今回は6mmにまで小さくなっていました。

「もう来年は来なくていいですかね?」
医師「まぁ、80歳の患者ならそうするけど、70歳前ですから、もう少し経過観察をしましょう」

「悪性化しても乳頭がんなら10年生存率は98%ですよね。天命の方が先に来ます」
医師「そうかもしれませんが・・・」

ということで、来年また経過観察になりました。

膵臓がんの経過観察で造影CTによって見つかった以上ですが、私は過剰死んだんだろうと考えています。でも、甲状腺の部分までCT画像をチェックしてくれていると言うことで、がん研の画像診断医に信頼感が高くなりましたね。一般の病院ではそこまでは見てくれないということでした。

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2017年9月 9日 (土)

今日の一冊(79)『がん光免疫療法の登場』

がん光免疫療法の解説本が出ました。がん光免疫療法は、以前のブログ「光免疫療法(近赤外線免疫療法)の動画」でも触れていまが、今後のがん治療に大きな期待の持てる技術です。

毎日新聞社の医療記事に多く関わってきた永山悦子氏に、開発者の小林久隆氏が協力して上梓したものです。

がん光免疫療法の登場──手術や抗がん剤、放射線ではない画期的治療

光免疫療法は、米国国立衛生研究所(NIH)の主任研究員である小林久隆らの研究グループが、ネイチャー・メディシン誌上にて、その開発を発表したものです。

以前の記事では「がん細胞だけに特異的に結合する抗体というものは存在しない」ので、効果は疑問です、と書いたのですが、この解説本を読むと私の早とちりだったかもしれません。

小林さんが最初に開発したのは、抗体ががん細胞にくっついたことを「眼で見て」確認できる技術でした。がん細胞にだけくっついた抗体が光るようにしたのです。

IR700という、新幹線の塗料にも使われている物質にハーセプチンなどの分子標的薬を抗体として乗せ、近赤外線を当てるとがん細胞が破裂することを確認したのです。

その機序は次のとおりでした。

  1. IR700に硫酸基をくっつけて水溶性に変える
  2. 分子標的薬を抗体としてこれに乗せて注射で体内に届ける
  3. この抗体にくっつく抗原は正常細胞にもあるが、正常細胞は1万程度の抗原を持ち、がん細胞は数万~数百万の抗原を掲示している
  4. 700ナノメートルの近赤外線を当てると、硫酸基のケイ素が切れてIR700は一瞬で水に溶けない不溶性となる
  5. その結果抗原や抗体が変形して細胞膜に無理な力がかかり、たくさんの穴が開く
  6. 細胞膜に約1万の穴が開けば細胞が破壊されることが分かった
  7. 正常細胞も同様の変形を起こすが、抗体-抗原の数が少なく、1万に届かないので、穴が開くまでには到らない
  8. これは抗がん剤のような化学作用を利用するものではなく、「物理化学的」な破壊方法といえ、「ナノ・ダイナマイト」と名づけられた
  9. がん細胞は「免疫原性細胞死(免疫を誘導する細胞死)」と呼ばれる死に方であり、がん細胞が破裂すると、近くの樹状細胞に「がん細胞が死んだ」というシグナルが届き、樹状細胞が活性化してT細胞にがん細胞を攻撃するように指令を出す
  10. IR700に制御性T細胞の表面にあるCD25高原とくっつく抗体を載せて実験をしたら、がん細胞が免疫から逃れる守り神である制御性T細胞が2割まで減少し、NK細胞の9割が目ざめて活発になった
  11. これらの免疫細胞の働きによって、原発がんだけではなく、遠隔転移したがんも消失することが確認できた
  12. つまり、利口ながん細胞が免疫抑制によって自己を防御していても、それを無視して免疫反応が活発に働き出す

こうした機序らしいです。非常によく考えられた開発戦略ですね。本来の免疫の力を復活させるという点で、免疫チェックポイント阻害剤のオプジーボと似ていますが、オプジーボは全身の免疫力が高まるので自己免疫反応が避けられませんが、光免疫療法では、T細胞やNK細胞は、制御性T細胞が「門番役」として守っていたがん細胞だけを攻撃するので、自己免疫反応は起きないと確認されています。

マウス実験では、肺がんと結腸がんを持つマウスの肺がんだけの制御性T細胞を破壊したところ、結腸がんは残ったままでした。

アメリカでは頭頸部がんに対して安全性を確認する第一相試験が終わり、7人の患者のうち4人のがんが消失した。現在、各種のがんに対する第2相試験が進行中である。

日本では楽天が、この治療法の特許を持つアスピリアン社と合弁会社を設立して治験を進めると発表されています。楽天の会長三木谷さんは、父親を進行した膵臓がんで亡くしているのですね。

小林さんは「日本で治療として実現するのは3年~4年後でしょうか」と述べています。がん治療の選択肢が広がることを期待しています。

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2017年9月 7日 (木)

ブログ村のランキングなんて気にしなくてよい

ブログ村の「膵臓がん」カテゴリーに登録はしていますが、見ることも少ないし、順位などまったく気にしていません。それは、ブログ村のランキングはアクセスの実情を正確には反映していないからです。

Google Analytics でこのブログを分析した結果です。

20170907001

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  5. その他

です。ブログ村からは10%程度の割合です。GoogleやYahoo!で検索して訪れてくれ、気に入ったらブックマークに登録してリピートしてくれる。そのような概要が見えます。

だからブログ村のランキングなど気にしなくて良いのです。登録しておけば新着記事を見て訪問するかたがいますので、お願いしてまで「ぽっちっと」は要らないのですね。

最近はスマホからの訪問者が50~60%を占めるようになりました。したがって、スマホでも読みやすい記事の配置を心がけています。

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2017年9月 5日 (火)

代替医療のみで治療するがん患者は生存率が低い

表記の話題でネットは賑わっていますね。ハマリョウさんも書かれています。

原論文はこちら

「今回の研究では、米国内のがん患者のデータベースから、限局性の乳がんまたは前立腺がん、肺がん、大腸がんと診断され、代替療法のみを受けることを選択した患者280人を特定。」とされていますが、どのような代替医療を受けたのかは判明しません。JCASTの記事によれば、

NCDは、認定を受けた米国内の医療機関1500か所以上から集めた信頼性の高いデータが蓄積されており、患者のステージ(がんの進行状況)はもちろん、標準治療を受けたか否かも記録されている。
   そこでまず「標準治療を受けていない」とされていた患者を「代替医療を受けていた患者」と想定。データから、「診断時に転移は確認されていない」「末期がん(ステージ4)ではない」「がんが進行しやすいような他の病気や遺伝的特徴がない」など死亡率に影響を及ぼしそうな条件が均等なものを抽出した。

とのことなので、代替医療を受けていたかどうかは確認していないのです。

さらに、「最初に発生した原発部位から広がっていなく限られた狭い範囲にのみある<限局性のがん>に対し」ですから早期がんに限った話です。患者数も280人では少なすぎます。

「結論として、本発明者らは、標準治療をを伴わずに代替医療での治療を最初に選択した癌患者は死亡する可能性がより高いことを見出した。」と、最初に代替医療を選択した(と推測される)患者が対象であり、その後標準治療をおこなった可能性もあると示唆されています。

ですから正確に言えば、早期がんで標準医療を受けた患者とそれ以外の患者集団を比較したら死亡リスクが2.5倍になった、と言うべきでしょう。それは当然の結果でしょう。驚くほどのことではありません。その中には無治療も含まれているかもしれません。医療保険の劣悪なアメリカでは、保険のない国民は代替医療に走るか臨床試験を受けるしか治療の方法はありません。

膵臓がんの5年生存率を10%(死亡率90%)としたとき、その2.5倍は225%?。そんなことはあり得ないから、治りやすいがんに限った話しでしょう

しかし、日本のわれわれが知りたいのは、

再発・転移したがんで、標準医療に代替医療を上乗せした場合の効果なんです。

今回の研究は、それに対する答えにはなっていません。日本では、近藤シンパ以外は無治療を選択する患者はいないだろうし、代替医療だけの患者もほとんどいないでしょう。

それに、患者のQOLは考慮されていません。耐えられない抗がん剤の副作用を嫌って、余命が短くても、副作用のない無治療や代替医療を選んだ患者のQOLは考えられていないのです。エビデンスなどなくても、ごく希にでも効果を実感できて激しい副作用がないのであれば、十分に高い医療費を払う価値はある、と考える患者もいるでしょう。

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抗がん剤の副作用 食事の工夫【電子書籍】

静岡がんセンターのサイトで、電子書籍『抗がん剤治療・放射線治療と食事 症状別食生活の工夫編』が公開されました。

「抗がん剤治療・放射線治療と食事 料理の工夫編」と「抗がん剤治療・放射線治療と食事 症状別食生活の工夫編」の2部構成になっています。

電子書籍(EPUB)
スマートフォンやタブレット端末でも読みやすいように、これまで、発行してきた冊子の構成やデザイン、内容等を書き直して、EPUB形式の電子書籍にしました。
EPUB形式の電子書籍は、画面の大きさに合わせて表示を調整することができ、文字の大きさも変更できます。
(注意)EPUB形式の電子書籍を読むためには、EPUBリーダー(EPUB形式のアプリケーション)が必要です。iPhone用(最初から入っているibookアプリで読むことができます)、アンドロイド用などOS別に無料のEPUBリーダーがいろいろあります。また、ブラウザでは、Chromeのアプリ(Readium)でも読むことができます。

と書かれていますが、通常のブラウザでも開くことができます。

Windowsなら、対象のファイルをデスクトップなどに保存し、ファイルをマウスで右クリックします。

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Internet ExplorerでもMicrosoft EdgeでもどちらでもOKです。これらが表示されていない場合は、「別のプログラムを選択」をクリックして探します。

Microsoft Edgeで開くと↓ こんな感じです。画面の左右端をクリックするとページをめくることができます。

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白血球が減少して抗がん剤が打てない、吐き気がして食欲がないなど、症状別に対応策と食事のレシピが書かれています。ご参考に。

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2017年9月 4日 (月)

なぜ患者は夢の治療法に惹かれるのか?

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パンキャン・ジャパン静岡支部の石森恵美さんのインタビュー記事がBuzzFeedに掲載されています。

「夢の治療法」「副作用なし」 怪しい免疫療法になぜ患者は惹かれるのか?

末期の膵臓がんを告知されたご主人は、主治医の対応に不満を募らせます。

「若い主治医だったのですが、告知の場所も個室ではなくナースステーションの片隅で、『手術はできない状態です。月単位の命だと考えてください』と重大なことを機械的に告げられたと感じました。ショックを受けている私たち夫婦に何の配慮もなく、サクサクと用件を済ませるという印象で、特に夫は不信感を持ったようでした」
主治医を替えてほしいとお願いしたが、「チーム医療をしますから」とやんわり断られた。結局、夫はたった5ヶ月となった闘病中、最期まで主治医と信頼関係を築くことはなかった。
「『外泊していいですか?』と尋ねたら、『外泊して何が楽しいんですかね』と言われるなど主治医の一言一言に傷つけられました。主治医への不信感も、私たちが代替医療に向かった大きな要因の一つだと思います」

そして、標準治療だけでは心配だからと、免疫細胞療法を「外車を一台買ったと思えば良い」と、石森さんはご主人に勧めます。

効果はなかったわけですが、しかし、後悔はしていないと言います。それは、

夫は免疫療法のクリニックに行くのを楽しみにして、帰る時はいつもニコニコしていました。こうした怪しい免疫療法を批判する医師は、『そんなお金があったら世界一周旅行でもしたらいい』とよくおっしゃるのですが、患者や家族が求めているのは、普段と変わらない日常が続くこと。免疫クリニックは医師から受付の女性まで皆、夫の日常を支えるという姿勢を見せてくれました。

からです。

「代替療法をやる金があったら旅行にでも行った方が良い」はよく聞かれる言葉ですが、標準治療では統計にしたがって自分の残された時間が分かっているのですから、「上乗せの治療法」は何かないのか? このまま死んでいくのはなんとしても納得できない。もう少し普通の生活がしたいという患者の思いとはかけ離れています。

患者が標準治療以外の代替療法を使いたいと思うのは、科学的に証明されているからではなく、西洋医学=標準治療では手が届かない身体の不調にも対応して欲しいと願い、そして「あわよくば治りたい」と考えるからです。

大規模臨床試験で示されたエビデンスが臨床の現場にそのまま反映されているわけではない。セカンドラインの抗がん剤治療には明確なエビデンスが乏しくても実臨床では使われている。高齢者に対する抗がん剤治療をどのように考えるべきかも最近話題になっている。

西洋医学にも科学では証明しきれていない部分が多々存在し、それを無視して「エビデンスのない治療法は人体実験だ」と言ったって、それでは実際の治療の現場は回らないし、救える命も救えないだろう。

確かに金儲けの悪徳クリニックは多数存在する。その被害だけを強調するが、そこに追いやっているのは「インフォームドコンセント」とカタカナで強調される「責任を取らない、訴えられないための説明手続き」に安易に乗っかって、患者の生活や価値観にまで思い至らないがん拠点病院の医師の責任が大きい。

正しい医学知識を患者に教えさえすれば解決する問題ではない。確かに人間をある程度は標準化してモノとみなし、標準的な治療法を確立することは可能であり、医学はそうして多くの人命を救ってきた。しかし、個別の患者はモノではなく、「わたしの病気にはこのエビデンスは効果があるのでしょうか?」を知りたいし、私に効果がある治療を求めているのである。

多くの末期がんの患者は、自分たちが末期であることで、今までの病院から見放されてしまうことをもっとも恐れている。関係があり続けるということが彼らにとっての希望となるのだ。

医学を目の前の患者にインストールすることではなく、標準化が不可能なそれぞれの患者の人生の文脈に、医学という知をどう混ぜ合わせていくか、医療者の持つ専門知と患者の人生の間にどのような再現性のない知を立ち上げ、実践し続けていくかである。

医療者の仕事の根幹は、モノとしての人間を徹底的に標準化することで体系づけられた医学という知を、それぞれの患者の人生にもっとも望ましい形でつなぎ合わせ、オーダーメイドの新しい知を患者と共に作り出していくことにある。そこで作り上げられる知は、標準化されることもなければ、再現されることもないが、人間の営みが本来そのような再現性のないものである以上、医療という知もまた再現性のなさをはらむ。

医療者の仕事は医学を医療に変換することである。

磯野真穂『医療者が語る答えなき世界』より引用)

患者をモノとしか考えない標準治療至上主義では、永遠にがん患者からは信頼されることはないだろう。

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2017年9月 3日 (日)

統合医療を考えるなら、『がんに効く生活』を

海外 癌医療情報リファレンス」の7月28日付でこんな記事が載っていました。M.D.アンダーソンがんセンターで、7月22日に次のような教育セミナーが開催されたという記事です。

M.D.アンダーソンがんセンターがシュレベール氏の講演をおこなった際の案内にはこう記されています。

テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターは、ベストセラー『がんに効く生活』の著者ダヴィド・S.シュレベール医師(医学博士)を迎え、教育セミナーを7月22日(水)に開催。

S.シュレベール医師は著書を引用し、日々の生活やがん予防に関する人々の考え方に変化を与え、次の事柄について実践の方法を分かちあう。

・ 科学的根拠にもとづく抗がん食を取り入れる
・ ストレスがいかにがんに影響するかを認識する
・ 運動、ヨガ、瞑想のメリットを享受する
・ 環境有害物質への曝露を最小限に抑える
・ 従来の健康法と代替的な健康法のバランスをとる

S. シュレベール氏は熱意ある科学者・医師であり、文筆家としての評価も高い。そして自身もがんサバイバーである。臨床精神医学教授、ピッツバーグ大学メディ カルセンター内総合医療センターの共同創設者にして、国境なき医師団の創立メンバーであり現在も国際的危機への介入に尽力している。

シュレベール博士の『がんに効く生活』は、NHK出版から2009年の2月に翻訳されて出版されています。内容の多くは現時点でも大いに参考になるものです。

がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」 がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」
ダヴィド・S. シュレベール David Servan Schreiber

日本放送出版協会  2009-02
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  1. 統計や数字でわからない、本当の「余命」
  2. がんの弱点を知る
  3. がんに効く生活―環境を知る
  4. がんに効く生活―効果のある食物
  5. がんに効く生活―心の力
  6. がんに効く生活―運動
  7. まとめ―(がんを)作らない、育てない、あきらめない

からだの見張り番である免疫細胞をどのように活性化するか、がんを防ぐこころのあり方の秘訣、死の恐怖を乗り越える秘訣。著者自身の実体験に基づく内容ですから説得力があります。

シュレベール博士が最初の外科手術と化学療法を受けたあと、担当のがん専門医に、今後どのような生活をした方がよいのか、再発しないためには何に注意するべきかと質問した。がん研究の第一人者でもある担当医は、「これといってすべきことはありません。普段どおりの生活を続けてください。定期的にMRI検査をしましょう。再発してもすぐに分かりますから。」と答えた。「でも、自分でできるエクササイズとか、食べた方がよいものや食べてはいけないものとかがあるのでは? 精神的には何に気をつけた方がよいでしょうか?」と食い下がったが、「日常生活のこういう点に注意すれば再発が防げると断言できるような科学的なデータなど存在しないのですから」とにべもない。

日本でも同様でしょう。多くの医者は代替療法なんて興味もないし、知識もない。

現代医学のエビデンス至上主義では確かに断言できるようなデータは存在しないかもしれません。でも、一方で同じ病期で、同じような治療をしても再発する人もいれば再発しない人もいる。そうした結果になるには何かが違うはずです。<エビデンスがない=効果がない>ではないのです。

彼は最終的には次のような結論に達します。「私たちは誰でも、体内にがん細胞の芽を持っているだけでなく、体自体がその芽ががんに育つプロセスを妨げるように作られている。それを活用するかしないかは、本人次第である

巻頭にある次の言葉は、こころ(精神)の働きの重要さを改めて確認しているようで印象的でした。

「私はかねがね、科学としての医学の唯一の問題点は、十分に科学的でないところにあると考えている。医師と患者が、自然の治癒力を通じてからだと精神のもつ力を引き出すことができるようになるまでは、現代医学が真に科学的になることはないだろう」 ルネ・デュボス(抗生物質の発見者)

医師であり、研究者、ピッツバーグ大学統合医療センターの院長でもあった著者が、自分のがんを合理的・科学的に考え抜いてサバイバーになったのです。統合医療に興味がある人ならばぜひ読んでおきたい一冊です。間違いなく。

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2017年9月 2日 (土)

北朝鮮のミサイルは襟裳岬を通過していない

金正恩が盛んにバカなことをやっている。しかし、日本人の反応、特に政府やマスコミの対応は「印象操作」であり、騒ぎすぎだ。

8/31日に平壌郊外から発射されたミサイルは、襟裳岬上空を通過して東方海上に落下したと伝えられている。

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しかし、これはおかしい。なぜならミサイルは大圏航路を飛んで、最短距離を飛行するはずだからだ。

メルカルト図法で書かれた地図を見慣れている私たちは、地図の平面上で直線を結べば最短距離になると思い込んでいるが、地球は丸い。地球儀の上に糸を張って発射点と落下点を結んだものが、実際の最短距離であり、これを大圏航路という。今回のミサイルの大圏航路はこのようになる。

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実際は札幌市の上空を飛行したのであって、襟裳岬ではない。大圏航路が分かっていれば、山形にまで空襲警報(Jアラート)を出す必要はなかったのである。

多分そんなことは優秀な日本の自衛隊が知らないはずはない。知っていて落下する恐れのまったくない地域にまでJアラートを出し、頑丈な建物に非難して、頭を抱えてうずくまるように「印象操作」をしたのであろう。

また、最高高度550kmといわれているので、札幌市上空では550kmのはるか宇宙空間であり、日本の領空権は高度100kmまで(国際航空連盟が定めたカルマンライン高度が地上高度100kmで、ここまでが大気圏)である。ミサイル防衛システムでは届かないから自衛隊が打ち落とせるはずもない。仮に打ち落としたら、日本の領空でもない宇宙空間を飛んでいる(国際法上どこの国の主権も及ばない)物体を破壊したら国際法違反になるだろう。

小野寺防衛大臣は、破壊しなかった理由を問われ、

「飛来する恐れがないと判断したこと」がその理由だと語った。
「防衛省と自衛隊としましては、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際には、自衛隊の各種レーダーにより発射を確認しておりましたが、我が国に向けて飛来する恐れがないと判断したことから、弾道ミサイル等破壊措置は実施しておりません。他方、艦艇および航空機による警戒監視活動は継続して実施中である」

実際は「できなかった」わけだが。

北朝鮮の行為には厳重に抗議したいが、一方で政府はこのむちゃくちゃを、現政権にとって有利に利用しようとしているように見える。韓国の国民の方がもっと冷静である。

宇宙空間を飛ぶミサイルが落下してくるリスクよりも、オスプレイが墜落するリスクの方が高いだろう。どうも日本人は、原発にしろ癌治療にしろ、リスク評価がキチンとできていない。過大評価と過小評価の両端にぶれている。

標準治療と代替療法のリスクが正しく評価できないから、「がんもどき論」に惑わされ、怪しげな「水素水」やいかさま治療に引っかかるのだ。これは学校教育で確率論やリスク論をきちんと教えてこなかったのが原因だとおもう。

「だから日本も核武装して、抑止力を持つ必要がある」という論があるが、あの膨大な数の核兵器を持っているアメリカでさえ、抑止力にならないのだから、日本の核が役立つはずもない。むしろ原発を攻撃するぞ、と脅かされるのが関の山だろう。

朝ドラを中止してまで延々とミサイル問題を報道するNHKには、ほとほとあきれ果てた。

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