« 死ぬ一時間前でも「どう生きるべきか」を問う | トップページ | 代替医療を考えるなら、今でも『がんに効く生活』 »

2017年9月17日 (日)

深層心理が免疫細胞のエピジェネティクスに変化をもたらす

52e2da51a1b6a97de0f70debefa7b424_s

エピジェネティクスについてはずいぶんと書いてきました。(最後にリンクを貼ってあります)

環境と遺伝子の間:あなたのエピジェネティクスは常に変化している」で、

スティーヴ・コール博士は、社会的に孤立し慢性的に強い孤独を抱えた人は、免疫システムに何らかのエピジェネティックな変化があるのではないかとの仮説を立てた。

DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行い、社交的なグループと孤独なグループを比較したところ、約2万2,000というヒト遺伝子のうち、209の遺伝子の発現において大きな相違が見られた。孤独感を感じている被験者は、炎症にかかわる78の遺伝子が過剰発現となっており、逆に抗体の生成や抗ウィルス反応にかかわる131の遺伝子においては、発現量の低下が見られたという。

研究チームは、幸福感が免疫細胞に及ぼす影響についても追求している。2013年7月29日付けで『米国科学アカデミー紀要』に掲載された論文では、驚くべきことに幸福の種類によっても免疫細胞のエピゲノムが変化すると発表されている。

物欲を満たすことや、おいしいものを食べるという行為で得られる短期で浅いHedonicな幸福では、免疫細胞が活性化するどころか孤独感を感じているのと同じようなエピゲノムのパターンが見られた。逆に社会に貢献することで人生に意味を見出すような、深い満足感を伴うEudaenomicな幸福感では、炎症反応に関連する遺伝子が抑えられ、抗ウイルス反応に関連する遺伝子はより活性化されていた。

遺伝子の実態はDNA(デオキシリボ核酸)で、ワトソンとクリックが発見したように二重らせんの構造をしています。しかしDNAは二重らせんのままむき出しになっているのではなく、そのまわりに多様な有機分子を結合しています。いわば腕をワイシャツの袖で覆っているようなものです。DNAは衣服をまとい装飾品で飾りたてているのです。

この有機分子が、遺伝子を活性化(タンパク質を作る指令)させたり不活性化させたりするのです。遺伝子には自分自身を活性化させることはできません。どういうタイミングでどの遺伝子を活性化させるかは、細胞核の外からの情報として与えられます。しかもこれらの有機分子は長時間同じ遺伝子にくっついている、場合によっては子孫にまでその状態が引き継がれるのです。遺伝するのは遺伝子だけではないのです。

エピジェネティクスとは

「エピジェネティクス」とは、遺伝子の働きを調整するこれらの分子が、どのようにして遺伝子をコントロールしているのかを研究する学問分野で、21世紀のこの十年間で急速に発展している分野です。特にがんに関するエピジェネティクスはよく研究されています。がん細胞内では多くの遺伝子がメチル基を失って「脱メチル化」していることが知られています。これによって遺伝子活動の異常が生じます。細胞増殖を抑制できなくなるのです。がんは遺伝子の突然変異によっても生じますが、多くが遺伝子の脱メチル化なのです。突然変異は元には戻せませんが、脱メチル化は、エピジェネティックなものなので元に戻すことができるのです。

コール博士らの研究は、心のありようがエピジェネティックに遺伝子に作用して、免疫系に影響を与えることを実証したわけだが、物欲や所有欲による幸福感では逆に免疫細胞は不活性化する、利己的な利益ではなく他者への利益を考え行動している人は、遺伝子が発現して免疫細胞も活発化するということですね。

「利己的遺伝子」という書籍もあったが、利己的では良い遺伝子は発現しないのです。

私利私欲や損得勘定だけで人生を送っていると「真の幸福」を得ることができず、病気になりやすいし、がんの治りも遅いのです。

マインドフルネスに「他者への幸福」を願う瞑想があるが、他者が幸福になることによって、自分にも真の幸福が訪れるのだろう。

  1. がんとエピジェネティクス(6)心ががんを治すには
    胞との闘いを抑制する流れが書かれている。エピジェネティクス理論からはどのような説明ができるのだろうか。エピジェネティクスの分野において、その研究の端緒を開いたとされる細...
  2. がんとエピジェネティクス(5)微小環境と自然寛解
    介されているのです。これらを現在の新しいエピジェネティクス理論から研究すれば、あるいは何かのヒントが見つかるかもしれません。ミナ・ビッセルはトークの最後のほうで、下のよ...
  3. がんとエピジェネティクス(4)がんの原因は?
    以下は『エピジェネティクス 操られる遺伝子』の第11章「デビルに幸いあれ」からの要約です。細胞が変質してがん細胞になる過程については二つ...
  4. がんとエピジェネティクス(3)放射線の影響
    世代の非ガン疾患増加に対する放射線影響―エピジェネティクスの観点から)』としてチェルノブイリの影響をエピジェネティクスの視点から捉えようとの試みを提案している。 ...
  5. がんとエピジェネティクス(2):エピジェネティクスとは?
    遺伝するのは遺伝子だけではないのです。「エピジェネティクス」とは、遺伝子の働きを調整するこれらの分子が、どのようにして遺伝子をコントロールしているのかを研究する学問分野...
  6. がんとエピジェネティクス(1):「がんもどき」理論
    近年、生物学あるいは遺伝学の分野で「エピジェネティクス」が話題になっています。私はこの分野では門外漢ですが、がん患者としての立ち位置から、がんとエピジェネティクスの...
  7. 今日の一冊(50)『「病は気から」を科学する』
    、心の状態が体の物理的構造に与える影響(エピジェネティクス)にも言及しています。後で重要な章だけでも詳しく紹介したい(しないかもしれない)。約束は「ストレス」になるから...
  8. 瞑想で遺伝子のスイッチをオフにできる。
    れているテロメアの長さが維持されたのですエピジェネティクスですよね。「がん情報センター」にもエピジェネティクスが簡単に解説されるようになってきました。細胞ががん化する仕...
  9. 膵がん細胞が正常細胞に!
    る。このブログでも何度か紹介した、がんのエピジェネティクス理論では、がん細胞は適切な条件を与えてやれば、相当進んだがんであっても逆行させて正常細胞に戻ることが可能である...
  10. エピジェネティクスと劇的寛解
    のように述べているところがあります。――エピジェネティクスは遺伝子研究でもっとも重要な分野ですね。一卵性双生児は遺伝子上は100%同じですが、スイッチがオンになっている...
  11. がんと微小環境
    13年2月2日のこのブログの記事『がんとエピジェネティクス(5)微小環境と自然寛解』で紹介した動画でした。細胞はその周辺の組織と相互に信号のやりとりをしている。遺伝子の...


スポンサーリンク

« 死ぬ一時間前でも「どう生きるべきか」を問う | トップページ | 代替医療を考えるなら、今でも『がんに効く生活』 »

がん一般」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 死ぬ一時間前でも「どう生きるべきか」を問う | トップページ | 代替医療を考えるなら、今でも『がんに効く生活』 »

がんの本-リンク

  • がん患者が選んだがんの本

サイト内検索

膵臓がんブログ・ランキング

膵臓癌 お勧めサイト

アマゾン:商品検索

スポンサーリンク

がんの本「わたしの一押し」

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想