膵臓癌の知識・情報

2018年1月15日 (月)

『命を救う!スゴ腕ドクター5』観ましたよ

昨夜のBS朝日の『命を救う!スゴ腕ドクター5』、静岡がんセンター 肝胆膵外科部長 上坂克彦医師が登場していました。

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腫瘍が大きな血管に浸潤していると、膵臓がんの手術はできません。血管に絡んだ腫瘍の状態によっては、多くのがん病院では「手術不可」と判断されます。

それでも果敢に挑戦するには、長年の経験と知識が必要です。上坂医師は、果敢に挑戦する医師の一人です。

膵頭十二指腸切除術の例が紹介されていましたが、この方も腫瘍が動脈に近く、手術できるかどうかのボーダーラインでした。

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数ミリしか離れていません。実は、私の場合もほぼ同様で、1~2ミリしか離れていないが、「なんとかできるかなぁ」ということで手術ができたのでした。「開腹してだめな場合もあるから、そのことも了承してください」と言われました。10年前のことですから、当時としてはさらに挑戦的な手術だったに違いありません。

動脈から腫瘍を切り離す手術の場面はリアルでした。ああ、こんな状態だったのかと、改めて自分の手術時のことを思い出しました。

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手術ができるのは、膵臓がんが発見された患者の3割、そして術後の抗がん剤として上坂医師らが試験で証明したTS-1を投与して、5年生存率が24.4%から44.1%に上昇します。

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まだデータはそろっていませんが、10年生存率は概ね5年生存率の半分ですから、2割程度でしょうか。以前よりは格段に良くなっています。

術前の放射線とTS-1で腫瘍を小さくして(ダウンステージング)、手術に持ち込むことのできる患者も徐々に増えています。『すい臓がんカフェ』の参加者を見ても、それを実感できるようになりました。

徐々に助かる命が増えています。諦めずに助かる方法を探すことです。

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2018年1月14日 (日)

ストレスは膵臓がんを助長する

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ストレスは膵癌を加速させるアクセル

やはりストレスは膵臓がんには悪い影響を与えますね。

2018年1月の "Cancer Cell" 誌に掲載されたコロンビア大学の研究です。
Pancreatic Cancer May Be Accelerated by Stress, Finds Study

例によってGoogle博士に翻訳してもらうと、

膵がんはストレスによって加速されるとの研究

ストレスホルモンを抑制するβ遮断薬が生存率を高める可能性があるとの結論

ストレスが「闘争または逃走」ホルモンの放出を誘発することによって膵臓癌の発症を加速させることを示す新しい研究である(New York、NY、January 18、2018) 。 これらのホルモンを阻害するベータブロッカー(一般に使用される薬物)は、この疾患のマウスモデルにおける生存を増加させることが判明した。

膵臓ガンのマウスに化学療法と非選択的β遮断薬を併用してみたところ、化学療法だけで治療した場合よりも生存期間が延びました。

進行膵臓がんで手術を受けた患者631人においても、非選択的β遮断薬を服用していた患者は生存期間の中央値が40ヶ月と、選択的β遮断薬を服用していた患者やβ遮断薬を服用していなかった患者に比べて生存期間が2/3ほど延びていました。

ストレス低減法

一番のストレスは何か

治らないがんを宿した患者の一番のストレスは、

  • 治ることばかりを考える
  • 死ぬことを恐れて、死後の心配をする

でしょう。治ることを考えるのは大事ですが、いわゆる堂々巡りになって、がんを治すためだけに残りわずかかもしれない貴重な時間を費やしている。それにストレスが加わって、もしかすると寿命を縮めているのかもしれないが、本人は気づいていない。

死を恐れるのは人間として仕方がない部分があるが、”せっかくがんになったんだから”、ここらへんで生とは何か、死とは何かと、自分なりの死生観を整理してみてはどうか。それがストレスを低減することにもなる。

「死ぬのが怖い」とはどういうことか 前野隆司氏の『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』はお薦めです。東京工業大学卒の工学博士であり、ロボットの研究から脳と心の関係に関心を持つようになった方で、システムデザイン・マネジメントという考え方を提唱している。理工系の方であるので私には取っつきやすいということもある。

ストレスを低減するのに効果があるのは

  • マインドフルネス・ストレス低減法
  • サイモントン療法
  • 瞑想、座禅

などです。サプリメントや食事療法ばかりに関心を向けずに、メンタルな部分が一番重要なのですから、こちらにも多いに関心を寄せるべきだと思うのですが、残念ながらほとんどの膵臓がん患者は興味を示しませんね。それじゃ治りませんよ。

  1. 死ぬのが怖いのはなぜか?
    難しい。それにひきかえ、前野隆司氏の『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』は分かりやすい。東京工業大学卒の工学博士であり、ロボットの研究から脳と心の関係に関心を持...
  2. マインドフルネス瞑想法
    療法とJ・カバットジンのマインドフルネスストレス低減法が紹介されています。そして「瞑想」によって自分自身と対話することは、「体の内なる治癒力を調和させはじめるのに欠...
  3. 『「病は気から」を科学する』(5)
    ーとメタ分析は相次いで、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)が慢性痛と不安感を軽減させ、がんを克服した人から健康な被験者まで、あらゆる人のストレスを軽減し、生...
  4. マインドフルネス瞑想
    ジョン・カバットジンは『マインドフルネスストレス低減法』で次のように注意を喚起している。「自分のストレスをコントロールし、病気と闘うために免疫システムを向上させたい...
  5. NHKスペシャル 「キラーストレス
    で放映されるNHKスペシャル シリーズ『キラーストレス』では、ストレスとがんの関係も取り上げられています。からだの知恵 この不思議なはたらき (講談社学術文庫)po...
  6. 心と体 NHKでストレスの特集
    があります。NHKスペシャル シリーズ『キラーストレス』6月18日(土)[総合]後9:006月19日(日)[総合]後9:00 ちょうど今ブログで書いている『「病は気...

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2018年1月 7日 (日)

命を救う!スゴ腕ドクター 静岡がんセンター 上坂克彦医師


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BS朝日の『命を救う!スゴ腕ドクター』、1月14日日)夜 9:00~10:54放送には、「難しいすい臓がん患者を救う名医」静岡がんセンター 副院長兼肝胆膵外科部長 上坂克彦医師が登場します。

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「沈黙の臓器」と呼ばれるすい臓は、がんになっても症状が少なく、進行した状態で見つかる場合が多い。診断から5年後の生存率は約9%と命の危険性が高い病気だ。すい臓に巣くったがんを取り除くための手術は、胃や小腸など周りの臓器も含めて切除するという難しい大手術で、日夜、多くの患者たちを救っている上坂医師。さらに、抗がん剤を使い、これまでがんが進行して手術ができなかった患者たちを救う最新の研究も進めている。

現在、膵臓がんの術後補助化学療法としてS-1(TS-1)が使用されていますが、これは「JASPAC 01」という臨床試験において、これまで予後不良といわれていた膵臓がんの生存率を大幅に改善できることを証明されました。その結果を受けて、それまでのゲムシタビン(ジェムザール)から変更されたものです。

このJASPAC 01の試験を中心になって行ったのが上坂医師です。

この試験の目的は、S-1がゲムシタビンに劣らないという、非劣性試験だったのですが、やってみると、TS-1を使った方がゲムシタビンよりも再発リスクを減少させ、死亡リスクを44%も減少させるという画期的な成果を出しました。

JASPAC 01試験の詳細については、
『膵臓がんの生存率を大きく変える「JASPAC 01試験」とは 膵臓がん手術の名医が解説』
をご覧ください。

JASPAC-01試験は膵腺癌の術後補助療法として、S-1がOSについてゲムシタビンに非劣性であることを証明する目的で実施された。成人で3年以内に放射線療法や化学療法を受けたことのない組織学的に腺癌である膵癌患者で、病理病期が1期、2期、3期のR0切除またはR1切除を行った患者を無作為にゲムシタビン群(1コースを4週間として1日目、8日目、15日目に1000mg/m2投与、6コース実施)とS-1群(1コースを6週間として体表面積によって40から60mgを1日2回4週間投与、4コース実施)に割り付けた。主要評価項目はOSで、非劣性のハザード比上限は1.25だった。   2007年4月から2010年6月の間に33病院で385人(ゲムシタビン群193人、S-1群192人)が登録された。このうち378人(ゲムシタビン群191人、S-1群187人)が全解析に用いられた。患者背景に差はなかった。2012年7月に行われた生存に関する中間解析で、独立データモニタリング委員会は結果の早期公開を推奨した。

JASPAC 01の成功を受けて、JASPAC 04、JASPAC 05の臨床試験が進んでいます。

JASPAC 04:膵臓がんの術前治療として抗がん剤治療+放射線療法、抗がん剤単独のどちらの治療アプローチがより有用であるかを検討する研究です。JASPAC 04は試験の対象患者100例の登録も終わり、追跡期間も終了しています。まもなく結果が報告されるでしょう。

JASPAC 05:手術が難しい症例(切除可能境界[ボーダーライン・レセクタブル])をいかに手術できるようにするかということに焦点を当てた研究です。切除可能境界の膵臓がんは、無理に手術をしても予後が悪いことが知られています。

そのために世界の医療機関が研究を行ってきましたが、2012年にアメリカのMDアンダーソンがんセンターが発表した論文で「手術前に放射線療法や抗がん剤治療など何らかの治療をすることで、切除可能領域の患者さんの約60%は根治切除が可能になる」という結論が示されました。

こうした結果を受けて、日本でも切除可能境界の患者さんに対する術前治療の検討をしっかりと進めていくべきだという動きが強まりました。そうして計画された研究がJASPAC 05です。

JASPAC 05も追跡期間も終了しています。結果が待たれます。

さらにJASPAC 07の臨床試験も計画されています。

切除不能な膵臓がんでも、果敢に挑戦している医師が、国際医療福祉大学三田病院院長の宮崎勝、がん研有明病院の肝胆膵外科部長 齋浦明夫、それに静岡がんセンターの上坂克彦の各医師であると、私は認識しています。(あくまでも私の認識ですよ)

  1. 膵臓がんの生存率の改善
    ました。膵臓がんの生存率を大きく変える「JASPAC 01試験」とは 膵臓がん手術の名医が解説 膵臓がんの生存率とは 大きく変容した膵臓がんの予後 生存率・再発率...
  2. 膵癌術後の補助化学療法、日本は変らず
    の標準が変更へ、日本は変わらず 日本ではJASPAC 01試験の結果からS-1のまま ただし、日本は異なります。日本で行われたフェーズ3試験JASPAC01試験...
  3. 情熱大陸「肝胆膵外科医:上坂克彦」治らないがんを治るがんへ
    きましたが、上坂先生が代表研究者を務めるJASPAC試験において、TS-1を使った方がゲムシタビンよりも再発リスクを減少させ、死亡リスクを44%も減少させるという...
  4. 膵臓癌の術後生存期間、GEMよりもTS-1が優位
    結果、明らかになった。この試験の名称は「JASPAC 01」。日本では現在、進行再発・手術不能膵臓癌にはゲムシタビン(GEM)とTS-1が使用されるが、その延命効...

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2018年1月 6日 (土)

楽天は、光免疫療法で星野仙一氏の仇討ちを


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星野仙一さんは膵臓がんだったようですね。告知から1年と6ヵ月ですから、ステージ4なら標準的な経過でしょうか。残念です。

楽天の三木谷会長は、父親の三木谷良一神戸大学名誉教授を末期の膵臓がんで亡くしています。それに続いて、今回の星野氏です。さぞかし無念に違いありません。

楽天が本格的にがん事業に参入し、「光免疫療法」の商業化を進めている米ベンチャー企業、アスピリアン・セラピューティクス(カリフォルニア州)に2割超出資して持ち分法適用会社とする。電子商取引(EC)会員の健康データと組み合わせた医療サービスを検討し、新たな収益源に育てる予定だという。

そうした事情もあり、光免疫療法に力入れをしているのでしょう。米国での臨床試験はこちらに登録されています。

と、頭頸部がんを先に承認させるのは致し方ないとして、その次にはぜひとも膵臓がんを優先的に臨床試験を実施し、お父上と星野氏の仇討ちをして欲しいものです。

PubMedをチェックしていますが、光免疫療法(NIR-PIT)に関する論文は、2ヵ月に一本ほどの勢いで発表されていますね。最近ではこんな論文が出ていました。

腫瘍光免疫療法の分子イメージング:光増感腫瘍壊死と血行力学的変化の証拠

NIR-PITが細胞膜損傷を介して急速な細胞死(アポトーシス)をもたらし、急速な細胞拡張の後に細胞膜破裂が起こるという証拠と共に、確認した。

光免疫療法による細胞死は、通常の細胞死とは違い、「免疫原性細胞死(免疫を誘導する細胞死)」という死に方です。がん細胞が破裂すると、近くの樹状細胞に「がん細胞が死んだ」というシグナルが届き、樹状細胞が活性化してT細胞にがん細胞を攻撃するように指令を出します。そして、がん細胞が免疫から逃れるのに利用している制御性T細胞が2割まで減少し、がん細胞の敵であるNK細胞の9割が目ざめて活発になります。こうした免疫細胞の働きによって、原発がんだけではなく、遠隔転移したがんも消失することが確認できたと、小林久隆氏は述べています。

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早期に遠隔転移する膵臓がんにとって、強力な武器になるに違いありません。

膵臓がん患者は期待しています。

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2017年12月24日 (日)

第9回『すい臓がんカフェ』の報告

今日はイブの『すい臓がんカフェ』。昼食は、いきなりステーキの300gで腹ごしらえをして闘い?に臨みます。

「四つ足の肉」を喰わないと、がん細胞とは戦えませんよ。蛋白質を補給しないと免疫細胞の産生ができません。

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今日のステーキはハズレかな。ちょっと焼き過ぎて固かった。

『すい臓がんカフェ』にはクリスマスイブにもかかわらず、たくさんのがん友さんが参加してくださいました。

山田信祐さんの講演は、ご自分でよく調べた上で、さまざまな補完代替療法を取り入れて、余命1年が今現在2年で、いたって元気な姿を見せてくれました。

ケトン食が中心の山田さんですが、何が効果があったのかは分からないですね。しかし、結果が良ければ何でも良いのです。

多くの方から参加して良かったとのお言葉をいただきました。(そうでない人は声をかけずに帰られたでしょうから・・)これからも運営に工夫を凝らしていきます。

大阪でも少しずつ開催の動きがあるようで、来年が楽しみですね。

次回は第10回の節目です。

2018年2月25日(日)13:10~

となります。

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2017年12月23日 (土)

膵臓がん細胞が免疫細胞の攻撃を無力化するメカニズム


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NF-κBは膵臓がんの黒い騎士

オハイオ州立大学総合がんセンターの研究です。
膵臓がん細胞が免疫細胞の攻撃を無力化するメカニズムの発見

  • マクロファージと呼ばれる免疫細胞は、体内でいち早く初期のがんに反応するの応答システムの1つである。
  • マクロファージからの攻撃を無力化する因子を膵臓がん細胞が分泌していることが研究によって明らかになった。
  • この知見は、免疫監視機構を阻害し、がんの発症に寄与する新たなメカニズムを説明している。

この研究では、初期の膵臓がんの形成にはGdf-15と呼ばれる物質が必要である可能性が指摘された。また、NF-kB(エヌ・エフ・カッパ・ビー)と呼ばれる分子ががん細胞によるGdf-15の生成を促進していることも明らかになった。

炎症性サイトカインのひとつであるNF-kB(エヌ・エフ・カッパ・ビー)と呼ばれる分子が、がん細胞によるGdf-15の生成を促進し、これがマクロファージに取りこまれると、マクロファージががん細胞を死滅させるために分泌する酸化窒素と腫瘍壊死因子という2種類の化学物質の生成を阻害する。

こうして膵臓がん細胞は、マクロファージと呼ばれる免疫細胞からの攻撃から身を守る。GDF-15とNF-kBの両方が、膵臓がん患者において過剰発現しており、「総括すると、われわれの結果は、膵臓がん細胞のGDF-15合成・分泌はNF-kBが取り仕切っていること、そしてGDF-15がマクロファージにおけるNF-kB活性を阻害し、がん細胞の死滅を阻害していることを明らかにしました」。

NF-kBに対抗する手段はすでにある

発がん過程全体をみたときに、鍵となる因子は転写因子 NF-κBである。NF-κBは、イニシエーシヨン(発生)、プロモーション(促進)、プログレッション(進展)のすべての発がんステージの前炎症反応に関与している。

では、このがん細胞の黒い騎士であるNF-κBに対抗する手段はあるのでしょうか?

シュレベールは『がんに効く生活』で、NF-κBについてこのように書いています。

NF-κBの生成を阻害するだけで、がん細胞の大半を再び死に追いやり、転移を防ぐこともできる。NF-κBは、いわば、がんを運ぶ”黒い騎士”である。

ノースカロライナ大学のアルバート・ボールドウィン教授は『サイエンス』誌の中で、「がんを抑える薬剤の大半が、NF-κBを抑制する作用を持っている」と語っている。さらに皮肉交じりに「NF-κBに対抗する作用で知られている分子を十分利用できる状態にあるにもかかわらず、どこの製薬会社も、不思議なことに、いまだにNF-κBを抑制する薬剤の研究をしている」と書かれています。

そして、NF-κBを抑制する代表的な分子を含む自然療法として、緑茶に含まれるカテキンと、赤ワインに含まれるレスベラトロール(ポリフェノールの一種)をあげているのです。さらにこれらよりも強力な分子として、ターメリック(クルクミン)をあげています。

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2017年12月21日 (木)

歯周病は膵臓がんのリスクを高める


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PubMedに発表されたニューヨーク州立大学の研究論文です。

Human oral microbiome and prospective risk for pancreatic cancer: a population-based nested case-control study.

手抜きでGoogle博士に翻訳してもらうと、

目的:
歯周病の病歴および選択された経口病原体に対する循環抗体の存在は、膵臓癌のリスクの増加と関連している。 しかしながら、口腔微生物と膵臓癌との直接的関係は、前向き研究において評価されていない。 我々は、大規模なネスト化症例対照研究において、経口微生物叢とその後の膵臓癌のリスクとの関係を調べる。
設計:
2つの前向きコホート研究、米国癌学会がん予防研究II、および国立癌研究所の前立腺、肺、結腸直腸および卵巣癌のスクリーニング試験から、361の膵臓腺癌および371の一致対照を選択した。 予備診断の口腔洗浄サンプルから、細菌性16SリボソームRNA(16S rRNA)遺伝子配列決定法を用いて経口微生物叢の組成を特徴付けた。 コホートおよび他の共変量のランダム効果を制御する口腔微生物叢と膵臓癌のリスクとの間の関連性を、従来のL1罰則最小絶対収縮および選択オペレーターロジスティック回帰を用いて調べた。
結果:
経口病原体Porphyromonas gingivalisおよびAggregatibacter actinomycetemcomitansの罹患率は、膵臓癌のリスクが高いことと関連していた(プレゼンスvs不在の調整OR = 1.60および95%CI 1.15-2.22; OR = 2.20および95%CI 1.16-4.18)。 門部フソバクテリアおよびそのレプトトリシア属は、膵臓癌リスクの低下と関連していた(相対存在量の増加率= 0.94および95%CI 0.89〜0.99; OR = 0.87および95%CI 0.79〜0.95)。
結論:
この研究は、経口微生物叢が膵臓癌の病因論において役割を果たすかもしれないという支持的証拠を提供する。

歯周病と膵臓がんの関係は、以前から指摘されていましたが、それを補強する研究結果です。

すでに膵臓がんになった患者でも、歯周病の治療と丁寧な歯磨きを日常生活に取り入れるべきでしょうね。

過去記事でも歯周病と膵臓がんについて書いています。

  歯周病は膵臓がんの危険因子

今回発表された研究では、口内細菌のうちどのタイプに感染している健常人が、その後膵臓がんを発症しやすいかを調査して報告しております。
その結果、P.gingivalis (ポルフィロモナス・ジンジバリス)という嫌気性細菌が検出された人は1.59倍に、A.actinomycetemcomitans (アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス)という嫌気性細菌が検出された人は2.19倍に発がんリスクが増加したと報じております。どちらも歯周病の原因菌としてよく知られております。

近年この菌は免疫系からのユニークな回避機構をもつということが報告されました。
これらの菌増殖の微小環境は、嫌気性、免疫回避等の観点から膵臓がんの増殖環境と類似しております。

今後もっと多くの微生物で発がん性が証明される可能性があります。今回取り上げた口内細菌による膵臓がんの発がん性についても今後の課題です。調べたサンプル数が、調査後に膵臓がんになった361例と、ならなかったコントロール群371例と比較的少ないにもかかわらず、この学会発表を「がんを生きよう」で取りあげた理由は、膵がん細胞と2つの口内細菌の増殖環境が類似していることです。

歯周病歴のある男性医療専門家を対象にした長期研究で、がんを患う可能性が全体的に14%高いことが判明した。論文では「喫煙その他のリスク要因を考慮した上でも、歯周病は肺や腎臓、すい臓、血液のがんのリスク増大と大きな関連性があった」としている。

また、歯周病菌は、歯だけではなく、全身にも影響を及ぼすこともわかっています。組織や白血球などを破壊する歯周病菌の毒素や、炎症によってできる物質などが、全身に広がる危険性があるのです。具体的には動脈硬化の促進、誤嚥性肺炎、糖尿病の悪化、低体重児出産・早産などのリスクが生じます。

歯をめったに/まったく磨かないと答えた人は、1日に2回磨く人に比べ、循環器疾患で入院するリスクが1.7倍高くなっていました(P<0.001)。
また血液検査をすると、炎症と関係するタンパクのCRPの値も(Ptrend=0.046)、血液凝固と関係するフィブリノーゲンの値も(Ptrend=0.015)、どちらも歯磨きが少ないほど有意に高くなっていました。体のどこかで炎症が起きており、血液が固まりやすくなっていることを示しています。

歯磨きを怠ると歯周病のリスクが高まります。歯周病になると、炎症は口の中で起きていても、その影響は血液にのって全身に及びます。その結果、重い循環器病を引き起こすリスクが高まっているようです。

シュレベールは『がんに効く生活』で、がん細胞は炎症反応を利用して、自らの成長を図るのだとし、「がん細胞が成長し、新しい領域を侵略するのに必要な炎症をつくりだすことを身体が拒否したときには、この野蛮な武装集団(がん細胞のこと)を解体し、毒性を失わせることも可能である」と書いています。がん細胞を育てないためには、がん細胞が喜ぶ環境ではなく、炎症を起こさない体内環境にすることがたいせつです。サプリメントや食事療法には関心があっても、歯周病に気をつける方は少ない気がします。

私は若いときの交通事故で半分の歯が義歯なので、歯は大事にしていますが、膵臓がんになる前は確かに歯周病がありました。電動歯ブラシを使い始めると歯茎から出血したのがその証しでしょう。今はこんなものを使っています。

ポケットドルツはいつもカバンの中で、外出時に使います。

寝る前の入れ歯洗浄にはライオンの超音波入れ歯洗浄キット

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2017年12月 9日 (土)

ステージ4aで5年生存を果たしたみのさん


池田実さんのストーリー

がん患者100万人のための生活情報メディア『MillionsLIFE』に、『すい臓がんカフェ』にもたびたび参加されている池田実さん(みのさん)のストーリーとインタビューが載っています。ステージ4aのサバイバーです。

長文ですが、膵臓がん患者として、読み応えがあり、気づきと共感のできる記事です。

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【ストーリー】池田実さん すい臓がん ステージ4 サバイバー

このストーリーの目次

  1. 【ストーリー】池田実さん すい臓がん ステージ4 サバイバー
  2. 第1話「IT業界を経て会社設立へ」
  3. 第2話「胃腸の不快感」
  4. 第3話「唐突なすい臓がん告知」
  5. 第4話「入院~検査ずくめの日々」
  6. 第5話「余命3ヶ月」
  7. 第6話「医師が決断したオペ」
  8. 第7話「手術を終えて」
  9. 第8話「退院・帰宅」
  10. 第9話「死の受容と抗がん剤治療」
  11. 第10話「治療の終了へ」
  12. 第11話「復職。がんから2年。」
  13. 第12話「薬の力を借りながら」
  14. 第13話「5年を迎えて」

 

終末期を意識して、がんによる死を受け入れる。
この心境は池田さんにとって悪くなかった。
なぜならインターネットで検索して、すい臓がん、治療、予後、などの情報を調べれば調べるほど明るい情報は無かった。
ほとんどの患者が再発・転移を経験するとあり、自分もきっとそうなる、そんな気がした。
その運命にあらがって、「生命」に執着すると、かえってつらくなる。
だから、人生の終末が平均的な日本人男性よりも早まるかもしれないが、「悪くない終わり方だ」と心を整理すると気持ちが楽になる。
当初、心配していた妻にそれを話すと、池田さんの考え方を受け入れた奥さんは気が楽になったという。

池田実さんのインタビュー

【インタビュー】池田実さん すい臓がん ステージ4 サバイバー

「がん(すい臓がん)で死ぬのは、人生の終わり方として悪くない」という心の整理は、年齢が69歳だからそのように考えたのでしょうか?もし、40代、50代であれば、そのように心を整理されなかったと思いますか?

おそらく、もっと若ければ違うと思います。責任も執着も沢山あるので、簡単には整理できないのではないでしょうか? 子供が小さいとかであれば、なおさらだろうと思います。
そう考えると、かなり年を取ってからの癌の発病だったので気持的に大分楽だったはずです。

進行したすい臓がんを経験して感じたこと

生物を構成する細胞は、生存期間がプログラムされており必ず死に、新しい細胞が生まれ、それに取ってかわります。人間も細胞からできており、必ず死ぬことを免れません。
そうであれば、生への執着が強すぎるのは不幸ではないでしょうか。
自分は、抗らえない場合は、あきらめ(安心立命)の境地を目指したいと思います。
少なくとも死の間際には全てから解放されて安寧でありたい、そうでないと救われないのではないかと思います。
今は、そのゴールを目指すために与えられた時間だと思っています。

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『すい臓がんカフェ』にも参加

たくさんの気づきがありますね。次回の『すい臓がんカフェ』にも奥様と二人で参加される予定です。ステージ4でリンパ節への転移もありながら、なぜ5年以上も生存し元気なのか。お話を伺うことができますよ。

また、当日の講演は、肝臓への転移がありながらも、さまざまな補完代替医療も取り入れてがんが消失した山田信祐の講演『やれる事は全部やってます。~ケトン食、運動、補完代替医療他~』もあります。参加して希望をお持ち帰りください。

参加申込みはこちら→ 『すい臓がんカフェ』オフィシャルサイト

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2017年12月 2日 (土)

膵臓がん長期生存患者にはネオアンチゲンとそれに反応するリンパ球が多い

中村祐輔先生のブログに表題の記事があがっています。

ネオアンチゲンや専門用語が多いので、すんなりと理解できないですが、要点をかみ砕いて書いてみます。

  • 長期生存している膵臓がん患者のがん細胞の表面には特殊な目印が出ている
  • これを目印にして、リンパ球の一種ががん細胞を攻撃する
  • どちらかが少なくても転移が多く予後が悪い

のです。

がん細胞の表面に出ている特殊な目印がネオアンチゲン(がん特異抗原)で、正常な細胞には発現しておらず、がん細胞だけにみられます。
CD8は、サプレッサーキラーT細胞の表面にある糖蛋白でできた抗原(目印)で、これを掲げているT細胞が分化して、がんを攻撃するCTL(キラーT細胞)ができる。

考えてみればあたりまえのことで、敵の居場所と規模を知っており、味方が多いほど戦に勝つ可能性が高いのです。

抗がん剤で免疫力を下げた状態(味方を攻撃する)で、免疫療法をやっても効果が得られるはずもありません。免疫療法は告知の直後にやるべき治療法です。低用量抗がん剤治療の梅澤医師もそのようなことを書いていました。

リンパ球が多いだけでは不十分で、その中にがんを攻撃する能力を持ったリンパ球がどれほどあるかが重要です。

リンパ球の3つの主要な種類は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)で、その中でも細胞障害性T細胞、(がんの殺しやと言われる)NK細胞の数が問題です。

ネオアンチゲン反応性リンパ球が増えるかどうかは現時点では「神のみぞ知る」状態だ。ネオアンチゲンはT細胞受容体によって認識されるのだが、われわれの免疫系は多様性が桁外れに高く、個人個人によって持っているT細胞受容体は、全く異なると言ってもいいくらい、大きく異なっている。したがって、ネオアンチゲンに反応するリンパ球が患者さんの体内に存在するかどうかは、予測できない。

つまり、現時点では個々の膵臓がん患者の予後は分かりません。それじゃ現役の膵臓がん患者は打つ手がないのか?

そんなことはありません。運動や瞑想で遺伝子の発現状態を変えることができると研究報告されています。
運動で、がん細胞が消える

夜更かしは遺伝子の働きを乱すから、規則正しい睡眠が大事です。
規則正しい睡眠でがんを治す

リンパ球、中でも目印がなくてもがん細胞を認識して攻撃するNK細胞を増やすことができます。笑うことでもNK細胞活性が高くなります。

キラーストレスをなくすことも大事です。

NK細胞はがんとの闘いの最前線にいる免疫細胞ですが、NK細胞も脳と密接に情報交換をし、脳の状態=心のありように大きく影響を受けているのです。心のありようが、局所再発や転移にも影響を与えていると考えても良いと思います。(今日の一冊(62)『がんでも、なぜか長生きする人の「心」の共通点』より)

がんに効く生活 克服した医師の自分でできる「統合医療」 がんを攻撃するリンパ球を増やす食品としては、タイミング良く金魚さんがブログに書いています。
NK細胞活性

影響のある食品成分として分析されてるのは
ゲニステイン(大豆大豆)
クルクミン(ウコン)
βカロチン(緑黄色野菜)
ビタミンD・E(ナッツ類など)
DHA・EPA(魚など)
ケルセチン(玉ねぎ玉ねぎ)
ポリフェノール(緑茶や葡萄など)
アシタキサンチン(甲殻類)
普通に健康に大事って言われるものばかり

そして、シュレベールの『がんに効く生活』にほとんど網羅されている。これがあれば十分だと。

Nature の元記事 日本語要約

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2017年11月28日 (火)

膵がん腹膜播種の形成をプラズマ活性乳酸リンゲル液で抑制-名大


膵がん腹膜播種の形成をプラズマ活性乳酸リンゲル液で抑制-名大

名古屋大学は11月21日、プラズマ活性乳酸リンゲル液が、膵がん腹膜播種治療の新たな治療戦略となる可能性があることを明らかにしたと発表した。

細胞死を介した抗腫瘍効果を確認

研究グループは、名古屋大学で開発した大気圧プラズマ発生装置を用い、日常診療で使用されている乳酸リンゲル液にプラズマを照射して「プラズマ活性乳酸リンゲル液(PAL)」を作成。まず、PALを膵がん細胞に投与し、細胞死を介した抗腫瘍効果をもたらすことを確認したという。

また、プラズマの抗腫瘍効果には活性酸素種が重要な働きをしていることがこれまでの研究において報告されていることから、今回の研究では、活性酸素種の阻害物質とともにPALを膵がん細胞に投与。その結果、その抗腫瘍効果は阻害され、PALの抗腫瘍効果でも活性酸素種が重要な働きをしていることがわかったという。

さらに、マウス膵がん腹膜播種モデルを用いて、PALの有効性、安全性について検討。膵がん細胞をマウスの腹腔内に投与し、経時的に腹膜播種の形成状況を生体発光イメージングにより観察した。その結果、PALを投与しなかった群では経時的に腹膜播種が増大・増加したのに対し、PAL投与群では腹膜播種がわずかしか形成されず、PALに腹膜播種形成を抑制する効果があることが示されたという。またこの実験中、PAL投与群では明らかな有害事象を認めなかったとしている。

膵臓がんから腹膜播種になれば、対処療法の他はほとんど打つ手はなかったけど、一縷の希望が見えてきた。

名古屋大学 プレスリリース

ポイント

  • 乳酸リンゲル液に大気圧プラズマを照射したプラズマ活性乳酸リンゲル液が、膵癌細胞株に対して抗腫瘍効果があることを明らかにしました。
  • プラズマ活性乳酸リンゲル液が細胞の接着能を低下させることが示されました。
  • プラズマ活性乳酸リンゲル液が腹膜播種形成を抑制することが示され、膵癌腹膜播種に対する新たな治療戦略となる可能性が明らかとなりました。

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